売売新聞平成11年8月0日号 p01------------- 「小学校と地域があいさつのキス強要、心に深い傷」 日本在住米国国籍女性が起訴  米国在住中に小学校などであいさつとしてキスを強 要され、心に深い傷を負ったとして、香川県に住む米 国国籍の女性(22)が小学校とケンタッキー州、地域 住民などを相手取り二千万ドルの損害賠償を求める裁 判をケンタッキー州の裁判所に起こした。  訴えによると、この女性は米国人男性と日本人女性 の間に生まれ、八歳までケンタッキー州で過ごし、そ の後香川県に転居。米国の小学校在学中は教師や地域 の大人に言われるままにあいさつとしてキスをしてい たが、日本に転居してからキスの持つ意味や唇の大切 さを知り、幼い時に大人に言われるがままに不特定多 数の人々とキスをしていた事で「自分の唇は汚された」 との念が序々に強まった。中学生になってからはそれ がさらにひどくなり、治療を要するほどになった。現 在は安定した状態ではあるものの、完全とは言えない 状態。このような状態に陥ったのは、小学校や地域に よって、何も知らない子供の時にキスを強要されたた めで、これは立派な児童虐待であるとして、賠償を求 めている。  この女性は「米国にいる時はキスは当然のあいさつ だと思っていたが、日本の友達はせいぜい親としかし たことがないと聞き驚いた。実は自分の体験が異常だ ったことにすぐに気付いた。それ以来、自分の唇に常 に異物がこびりついているような不快感に苛まれ続け た」と被害を訴えている。  訴えられた地域住民はこの起訴に強く反発している。 原告の小学一年当時の担任だった女性教師は「あの子 は自分からすすんで誰にでも喜んで抱きつきキスして た」と主張している。その一方で、アジア系の市民が 米国全土から集まり文化的権利の擁護を訴えるデモを 繰り広げ、さらに児童虐待を告発する市民グループも デモを行い、裁判所周辺は騒然とした雰囲気になって いる。 -------- PL法被害を考える会設立  PL法施行によって不当に名誉や社会的信用を傷付 けられる恐れが増している中、中小企業関係者が中心 となってPL法の有り方やPL法被害の補償を議論す る「PL法被害を考える会」を設立し、東京で設立総 会が開かれた。  最初に、PL法施行以前に起きた「人工ヘチマ事件」 の事例を紹介。この事件は「人工ヘチマで肌を擦ると 肌が黒ずむ」との症例発表が新聞で大きく報道され、 生産業者が大きな損害を被ったが、後になって天然ヘ チマや他の素材による同様の症状が見つかり、単に擦 り過ぎが原因だった事が判明した事件。しかしこれら の事実は大きく報道されず、商品の信頼回復や生産業 者の被害補償は十分なされなかった。この事件は報道 被害や学術発表の及ぼす影響などの点で既に注目され ていたが、PL法施行でPL法被害の参考になる事例 として再び注目を集めている。  この事例紹介を元に討論が行われた。参加者は「こ の事件がPL法施行後だったら、想像も出来ない被害 を被っていたはず」と顔を強張らせて話していた。ま た別の参加者は「PL法被害は保険で補償すればいい との意見もあるが、名誉や社会的信用を金ではかるや り方は人命を金ではかるやり方以上に問題が多い」と の意見も出た。さらにPL法の本来の目的である商品 欠陥による被害を予防する効果についても、「無過失 賠償という前提では、安全性に万全を期しても敗訴す る可能性がある。それが常態化して『どうせPL法で 負けるんだから』と名誉や社会的信用というものに社 会全体が鈍感になれば、安全性確保より賠償金に金を 回した方がいいという考えが生まれる恐れがある」と いう『モラルハザード』の危険性を指摘する声も挙が り、PL法の欠陥が明らかにされた。  同会では年1回の全国集会の他に地方ごとの勉強会 を開き、活動を進めていくことにしている。 -------- メイド市場の開放を フィリピン人が集会  アジア諸国にメイドを送り出している事で有名なフ ィリピンのマニラで、唯一メイド市場が閉鎖されてい る日本に市場開放を求める集会が開かれた。  あいさつに立ったメイド教育協会理事は「メイドを 正しく使いこなす事こそ先進国の証。その意味で日本 はまだ発展途上である」と日本を批判し、市場開放を 要求。  集会では日本の教育の現状が報告された。日本の小 中高校では皇族も含め全ての生徒がトイレ掃除までや っている現状に大きな驚きの声が上がり、「これが貿 易黒字の原因だ」との批判が挙がった。その一方で、 SM的なコンピュータゲームも報告され、メイドが根 づいてないがために生じた歪んだ現状として「早急に メイドを使うための教育を確立しないと日本はダメに なる」との声も挙がった。 --------  行き詰まるカジュアルフライデイ  「社員の自由な発想を促すため」などとしてカジュアルフライデイを導入 する企業が相次いでいたが、いつの間にか以前通りの背広姿に戻るなど「自 然消滅」する事例が多い。カジュアルフライデイが残した問題を探ってみる。  そもそもカジュアルフライデイを導入する企業はどのような職種か。 研究・開発・技術職や完全な裏方仕事では元々カジュアルな服装か作業 着である事が多い。ことさらカジュアルフライデイを強調する職種は公 務、営業、接客や銀行・商社の事務など、元来「体面」に敏感な職種で ある。  そのような職種がカジュアルフライデイを導入する理由は、表向きは 「社員の自由な発想を促す」などであるが、実際には「堅苦しくて近づ きがたい」という一般客や市民の持つマイナスイメージを払拭するため、 つまり親しみやすさという「体面の維持」を目的としている事が多い。 所詮体面の維持が目的であり、「堅苦しい」という批判と「だらしない」 という批判の双方に応えなければならないから、カジュアルと言っても 多くの制限が加えられ、第二の背広と化す場合が多い。それだったら色 々悩んで着慣れない服を着るより普段着慣れた背広にした方が……と考 える職員が多いのも当然である。  体面の維持自体を放棄すれば話は簡単である。しかし、役所であれば 「堅苦しい」とか「だらしない」と批判する市民がそれなりの数いる以 上、企業であれば不愉快に思う市民がいて商売のマイナスになる以上、 体面の維持に気を使わざるをえない。市民がそれを望んでいるのである。 したがって、「堅苦しい」という批判をする人に気兼ねしてカジュアル フライデイを提唱し、「だらしない」という批判をする人に気兼ねして 引っ込める、という事を延々と繰り返すことになる。もちろん市民の嗜 好が一定方向に落ちつけばこの繰り返しも止まるが、実際には多様化の 方向に突き進んでいる。競合他社の多い業界ならば企業ごとに雰囲気を 変えて客に選んでもらうことも出来るが、そうでない業界や地域だと難 しいだろう。  ところで、一般に「カジュアルフライデイ」の議論においては男性の 背広が問題となるが、では女性の方はどうか?女性の職場進出がまだ少 なかった頃は、定着した服装というものがなく、本人にしてみれば選ぶ のが大変であったろうが、多様性はあった。しかし女性の職場進出が増 えた結果、そのための服も多く提案され、結果的に画一化する傾向が見 られる。そのうち女性の服装も「堅苦しい」と言われる日が来るかもし れない。 --------  ◎訂正とお詫び  七月〇日号、県立体育館での合同就職面接会に関する記事において、 現場風景として掲載した写真に「真剣な表情で就職面接を受ける女子大 生」との説明を付けておりましたが、写真に写っていた人物は女子高生 であることが判明いたしました。  主に大学生を対象とした面接会であり、面接での会話の内容からも女 子大生であると記者が判断した模様ですが、十分な確認を取らなかった 記者及びデスクの落ち度であり、読者及び撮影を快諾して頂いたご本人 にご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます。 p02------------- みんなのひろば ----  女性ストーカーに見る固定観念  会社員・谷内 芳江 36        (横浜市)  最近はそれほどでもありませんが、一時期ストーカ ーという言葉がよく使われ、ドラマ等の題材にもなり ました。男性ストーカーの場合は「恐い変質者」とい う描かれ方をしていました。一方女性ストーカーの場 合、確かに「恐い」という側面もあるのですが、多く は美人女優を配役し、必ずしもマイナスイメージだけ とは言えませんでした。  特に問題なのは、その中に「恋に狂う女性」という ステレオタイプを巧妙にもぐりこませていた点です。 「恋に狂えばどんな事でもやりかねない女性」という のは、それこそ江戸時代から文芸の題材となっていた ものです。そんな古臭い女性像をわざわざ「ストーカ ー」と名付けて新しい流行のように扱って古い固定観 念を延命させると同時に、それを扱う人達がトレンド リーダーであるかのように振る舞って売名や金儲けま でやってしまうのです。  「恋に狂ってなんでもやる女性」という固定観念を、 ストーカーという一見新しそうな看板と美女のイメー ジと共に刷り込むやり方に恐ろしさを感じずにはいら れません。 ----  女性ストーカーに見る新しい女性像  会社員・河野 志穂 35        (神戸市)  女性ストーカーを扱かったドラマを見て、最初のう ちは「怖い」と思っていました。  しかし何度か見ているうちに、自分の目的を実現す るためにあらゆる手段を駆使する姿に共感を覚えるよ うになりました。恋愛という目的のために時間やお金 や努力を惜しまない姿は、目的こそ違いますが私の目 指すキャリアウーマンと重なる所が大変多いのです。 カメラや盗聴器など最新の機器を駆使して目的を果た そうとする姿は、OA機器を扱うキャリアウーマンと まったく一緒なのです。怖いほどまでに積極的に行動 して夢を実現する姿は新しい女性の姿を示していると 言えるでしょう。  私もあの積極的な態度を見習いたいものです。 ----  六十歳以上を老人と呼ぼう   主婦・坂井 久美 41        (新潟市)  「六十五歳は老人ではない」と主張する六十代が増 えたと聞き、大変悲しい気持ちになりました。六十歳 を越える歳になってまで、たかが十歳二十歳の違いに めくじらをたて、世代の溝を深めようとしている。そ んな人達がこんなに多いなんて、本当に悲しくなりま す。世代を細く区切り、対立を煽る事がそんなに楽し いのでしょうか?六十歳の人が七十代八十代の人を敬 うと共に、老いていく体という共通の話題を共有する 事が出来ないのに、十代の子供達が大人を敬い共通の 話題に乗る事など出来るわけがありません。  昔は老人と言われる事にここまで否定的ではなかっ たはずです。なぜこんな世の中になってしまったので しょうか。子供を大切にする文化の弊害なのか、老人 を権威と捉えて反権威を気取っているのか。いずれに しても、世代間の断絶と不理解を当然視する風潮を変 える義務を負うのは六十代の方々なのです。まずは六 十歳を「老人」と呼ぶことから始めるべきです。 ----  米国の歪んだセクハラ論  会社員・多田 敏夫 44       (名古屋市)  アメリカでは「ヌードポスターを職場に貼るとセク ハラになる」との主張が罷り通っているそうだが、実 に理解に苦しむ。  セクハラになる理由として「職場の女性が不愉快に なるから」だそうだ。しかし、なぜヌードモデルとな んの関係もない他人が不愉快になるのだろうか。強い て挙げれば、(モデルがニューハーフでなければ)女 性であるという一点の共通性がある。しかし、女性で ある事だけを理由にヌードモデルと自分を同一視し不 愉快な感情を持つのは、女性というだけで一括りにす る古い考え方の名残であり、個人主義の国として不適 切な行為である。きっと多くのヌードモデルが「あん な奴らと一緒にされても困る」と思っていることだろ う。この点、日本の方が「ヌードモデルと私は別の人 間、お互い干渉しない」という意識をしっかり持って いる。  アメリカのフェミニストは古い考えに囚われること なく、他国を見習い、新しい個人主義を構築していた だきたい。 ----  アニメのキャラとの自己同一視はやめて   主婦・岩岡 麻子 29        (静岡市)  最近、推理小説やスプラッタ映画の犯人と自分を自 己同一視し、完全犯罪を信じ込んで凶悪犯罪を犯す人 が増えていると聞きます。凶悪とまで行かなくても、 小説や映画、漫画の主人公を自己同一視して傷害、窃 盗、やくざ紛いの脅迫をかっこいいと思い込んで真似 する少年が増えています。  このような事実を口実に、映画やドラマ、アニメの 内容を規制しようという動きがありますが、そのよう な事では犯罪は防げません。根本原因はフィクション を自己同一視したり現実と混同したりすることにある のです。これこそを防止すべきなのです。  このような自己同一視や現実との混同は小さな頃に ドラえもんやトトロなどのアニメを通して覚えている のです。この段階で混同を防ぐ処置を取るべきです。  と言うと、「こういうアニメなら多少現実と混同し て夢を持つのもいいじゃないか」とおっしゃる方もい るかも知れません。しかし「シンデレラ」によってシ ンデレラ・コンプレックスが生じたように、自己同一 視や混同は思いもかけぬ影響を生じるのです。どうい うアニメなら良くてどういうアニメなら悪いのか、専 門家でも判断が難しいでしょう。また、子供は大人の 期待に反して「悪い継母」や「狼」を自己同一視する かも知れませんし、立派な主人公を「僕をいつも叱る 親」と同一視するかも知れません。このような事を、 自己同一視や混同を許容しながら防ぐ事がどうして出 来るでしょうか。  このようなドラマやアニメでの同一視や混同や「夢 を持つ」事を防止する事は是非必要な事なのです。小 説や漫画をあくまでも消費の対象として扱える子供を 育てたいものです。 ----  教師の腰掛け社会経験に反対  会社員・前川 信行 35        (富山市)  教育談義でよく聞かれる意見に「教師は社会の実態 を知らない」「何年かの社会経験を教員採用の条件に するべきだ」というものがある。「社会経験豊富な教 師を」と言われれば、確かにもっともらしく聞こえる。  しかし、これが実現するとどうなるだろうか?教師 になりたい学生の多くは、教師になる資格を得るため に適当に就職して、所定の年数がきたら辞めていくだ ろう。その間、他の社員同様に真剣に働くだろうか? 「結婚までの腰掛け」という言葉があったが、「教員 になるまでの腰掛け」にならない保証があるのだろう か?そんな人物が教師になった場合、生徒に向かって 「世の中なんてちょろいもんさ」などと言わないだろ うか?  もちろん、腰掛け気分で就職した人物を即刻クビに 出来るのなら良い。あるいは、教員採用試験の際に勤 務評定を添付するというのならまだ分かる。しかし教 職員組合がそれをのむとは思えない。  形だけの社会経験になるのならやらない方が世の中 のためだ。場を提供する企業の負担と、それに見合っ た成果が得られるのかどうか、よく検討するべきであ る。 ----  学校での対いじめ教育について  公務員・石井 隆一 40        (福岡市)  学校、特に小中学校は子供たちにとって、複数の人 間が同じ場を共有し、社会や地域にその存在を示すと いう公的な側面を持っています。その一方で友達作り や思い出作り、生活作文を書くなどの私的側面もある、 微妙な存在です。このため、「警察沙汰にはしない」 など学校特有の不文律が生まれやすいのでしょう。  さて、学校において道徳の時間に「仲間外れをしな い」「いじめはいけない」というのは何度も口にされ ている事でしょう。これは学校の公的側面を示すもの です。しかし、学校には私的側面もあります。嫌いな 人を嫌うという心の内面の問題にまで立ち入って干渉 することは出来ない、というのが多くの教師の立場で しょう。もし「仲間外れやいじめはいけない」という 公的側面を強調し子供に押しつければ、学校の私的側 面が崩れ公的側面だけになってしまい、今まで学校に 囲いこんでいた子供の私的側面が教師の手の届かない 所に行ってしまいます。また、場合によっては宗教や 思想信条の自由に関わる重大な問題にもなるでしょう。 一般論として「仲間外れやいじめはいけない」という のは必要ですが、それを学校という場で子供に押しつ けるのは大変問題の多い事であり、道徳の時間はもち ろん、その他の場面でも注意する必要があるのです。 p03------------- こどものひろば ---- トライヤルウィークでひやひや     西脇 舞子  (中二・兵庫県宝塚市)  兵庫県では「トライヤルウィーク」といって、いろ んな職業を現場で体験するというのがあるんだけど、 私は保険会社でした。保険会社って決まった時、びっ くりしてしまったんです。実は以前歳をごまかして、 こっそり保険会社でバイトしてたんです。  別の保険会社と知ってほっとしたのですが、それで も当日は手際が良くて課長さんに驚かれるし、使い慣 れた専門用語がつい口から出そうになるし。専門用語 といえば社内用語が微妙に違ってて、うかつに口に出 来ない。さらに、仕事の内容ややり方を教える係の人 が新入社員で全然分かってなくて、ついでにとろくて、 怒鳴りつけて私が代わりにやってしまいたくなる程。 でも中学の制服着て怒鳴りつけるのも様にならないか。  とにかく気を使いまくってへろへろ。もうどんな仕 事でもやりますから、こんなのは勘弁して、って感じ。  (編)隠れてバイトするからこそこそしなきゃな  んないんだよ。でも、何も知らない中学生の振り  するのも結構大変だね。 ---- 日本の学校で驚いたこと   フランソワ・セモール     (中一・岡山市)  パリから岡山にやってきて二年とちょっとになりま す。日本の学校はフランスと色々違ってて、驚いたり 感心したりしています。  まず驚いたのは、入学式、卒業式、それに始業式、 修了式、運動会、その他色々、まるでオリンピックの 開会式かと思うほど手の込んだ式典を毎月のようにや ってる事です。フランスでもそういう事をやってる学 校がなくはないですが、私の通ってた小学校ではあま りやりませんでした。私が日本に来た時、その式典で 全校生徒の前で紹介された時は、恥ずかしかったけど、 有名人になったみたいでちょっと嬉しかったです。卒 業式は立派な卒業証書をもらえて嬉しかったです。  中学校では、なんといっても制服。フランスではよ ほどのエリート校でないと制服なんてありません。私 がそれを着るなんて、フランスにいる時は思いもしま せんでした。同級生は「かわいくない」と言ってるけ ど、私はかっこいいと思います。フランスの中学には 在学した事がなくて外から見ただけだから、私にはこ れ以上の比較は出来ませんが、姉がいうには日本の期 末試験は「まるで大学入試でも受けてるような気分で、 緊張して足し算も難しく思えた」そうです。  これからも、いろいろ驚くようなことに出会えるか と思うとわくわくします。 (編)フランス人から見たら、始業式も驚きの対象な んですね、驚きました。これからもどんどん驚いてく ださい。 -------- 性の悩み、作文を朗読  性の悩みを作文に書き、クラスのみんなの前で朗読 する授業が全国の小学校で試みられている。子供たち の悩みを解決する手段として、今大きな注目を浴びて いる。  この試みを始めたのは、原立市立中学校の柴田郁夫 先生。「悩みを心の中にためこまず、なんでも大人に 相談出来る子供になって欲しい」との考えから、もっ とも口にしにくい性の悩みを題材に作文に書かせる授 業を始めた。初めのうちは「書けない」と言い張る生 徒や本心ではない作り事の悩みでごまかす生徒も多か ったという。そこで、クラスのみんなの前で朗読させ、 みんなで真剣に考える形を取った。「みんなの前で発 表するとなると、『書けない』という無責任な態度は 取れないし、冗談半分の悩みも友達を愚弄する事にな る。朗読という方法は効果的でした」と柴田先生。今 では、心に一切隠し事のないクラスメート同士、どん な悩みでもお互いに相談し合い、明るい中学校生活を 送っているという。  今では全国五十校で同様の授業が行われ、大きな成 果を上げているという。 -------- 今月のウィスパーガール  高井陽子ちゃん(11)  藤見真子ちゃん(19)  今月のウィスパーガールは東京都中野区にお住まい の陽子ちゃんと真子ちゃん。二人は別々の応募でした が、おうちが三軒しか離れてないご近所さんだったの で一緒に取材をしてきました。  小学五年生の陽子ちゃんと短大生の真子ちゃん。八 歳も違うけど、最近始まったばかりの二人は共通の話 題がいっぱい。体つきも真子ちゃんの方が小さくて、 陽子ちゃんのお母さんからは「小さいのに短大生だな んて偉いね」、陽子ちゃんからは「私も短大入れるか な?」と言われちゃうくらい。はしゃぐ二人を見てい た陽子ちゃんのお姉さんの景子さんは「若いわねぇ」。  陽子ちゃんも真子ちゃんもブラはまだ? 陽子「もうしてまーす」 真子「まだ…陽子ちゃんいいなー。短大で体育の時間 に、すっごくはずかしい」 景子「これからどんどんおっきくなるよ」 真子「だといいな…」  これからおっきくなってくると、大人のファッショ ンも興味がわくよね。 真子「大人の服、早く着られるようにならないと困る んです」 陽子「短大行く時はどんな恰好なの?」 真子「初めの頃は気合入れてたけど、午前中に授業が ない時に街を歩いてたら三回補導されちゃったんです」 陽子母「私も見かけたら補導しそう。わざと大人ぶっ た恰好してれば尚更」(陽子ちゃんのお母さんは元婦 警さん) 真子「既製服は大きいから特注になるし、わざわざ特 注して誤解されるのも嫌だし。だから今では、子供服 売り場でぷりぷりじゃないの選んで着て、授業が無く ても朝早く登校して…全然短大生らしくない…」 陽子「今着てるような服?」 真子「あっ、これは単にかわいいから買っただけ、学 校には着ていってないです」 陽子「私もそういう恰好してみたいな、今のうちに」 景子「あんたはだらしないから今も似合わないって」  二人とも、早く景子さんみたいな恰好が似合うよう になればいいよね。 陽子「お姉ちゃんより美人になってやるー」 真子「私もせめて中学生くらいには見られたいな…。 以前中学に通ってた時に制服着てたけど、なんだかお 芝居の衣装みたいで、中学生だって実感全然なかった」 景子「それはかわいそう、早く似合うようになるとい いね」  で、ウィスパーは使ってますよね。 陽子・真子「はーい」 真子「学校行く時鞄の中にいつもいれてます。もう嬉 しくって。でも同級生に見つかってお祝いされちゃっ たのは恥ずかしかった…」 陽子「仲良しならともかく、やっぱり恥ずかしいよね。 特に男子とかだと」 真子「うん、うちは男子いないけど」  男子といえば、好きな男の子いる? 陽子「うちのクラスにはいないなー」 真子「じゃあ隣のクラス?」 陽子「…、真子ちぉんは?」 真子「同級生の知り合いの男の人にはよく合うけど、 興味湧かないというか、なんか自分とは不釣り合いの ような。私に言い寄って来る人は変な人ばかりだし」 景子「真子ちゃんには二十歳位の男の人は合いそうに ないよね。私の同級生を今度紹介してあげよう」 陽子「あー私もー」  今日、すぐご近所でウィスパー仲間が出来た感想は? 陽子「短大通ってるすごい友達が出来てうれしい。こ れからも仲良くしたいです」 真子「短大の同級生は別に仲が悪い訳じゃないけど、 やっぱり話が合わない。陽子ちゃんの方が興味や悩み が同じでずっと話が合う。景子さんも、同級生より身 近な感じがして頼れるって感じだし。仲良くなれて良 かったです」 陽子「小さいのに短大通うの大変だと思うけど、がん ばってね」 真子「はい」 (写真)  右から陽子ちゃん、真子ちゃん、景子さん p04------------- (p04は小説「中央線」を掲載しました) ----------------