売売新聞平成10年8月0日号 p01------------- 小中学生にフォーマルスーツ売上拡大  婦人フォーマル売り場に異変が起きている。ここの ところ、小学生高学年や中学生が着用するとみられる 販売件数が増えているのだ。子供を連れて婦人フォー マル売り場に来る親は以前からいたが、試着をする小 中学生が見られるようになってきた。  しかし、どこに着ていくのだろうか?当然の事なが ら冠婚葬祭である。冠婚葬祭は大人の付き合いの場と いう側面が強いため、子供は連れていかないという親 も多かった。しかし最近では冠婚葬祭もプライベート 化しているため、逆に子供を連れて行ったり、子供が 行きたがる事が増えたという。ホテルや葬儀場で子供 を見かける事が増えた、というのが関係者の声だ。  冠婚葬祭で子供が着るものといえば、従来は子供フ ォーマルという分野があった。しかし小学校低学年を 想定した可愛らしいデザインの服が多く、最近の小学 生高学年には受け入れがたいであろう。また中学生や 高校生は学校の制服で出席するのが普通だったが、デ ザインが派手な制服が増えて葬儀には着ていけないと いう声が増えた。逆にかっこ悪い制服では嫌だ、とい う子もいるし、そもそも制服がない中学高校も増えた。 このような子には冠婚葬祭に着ていく服がない事にな ってしまう。かといって、いくら冠婚葬祭がプライベ ート化したと言っても普段着という訳にもいかない。 ならば親が着ているのと同じ成人向けのフォーマルを 着よう、という事らしい。 女の子は小学六年ともな ると身長の面では大人とそう変わらなくなる。中学生 ともなると身長の伸びが止まる子が多い。事実、中学 生はティーン向けと銘打つものの婦人服の対象である。 体格面からは何も問題はない。デザイン等についても、 最近の子供のファッションを考えれば必ずしも特殊と いう訳ではない。多くの女の子達が満足している、と いうのが販売店の印象だ。冠婚葬祭の場でも、母親始 め顔見知りの大人と同じ服を着て、周りから「女の子」 としてではなく「一番若い女性」として扱われるので 喜んでいるらしい。  ただ、大人には反対の声が多く、「子供には似合わ ない」「子供らしさを大切にして」「大人扱いには早 過ぎる」「心の発達に合わせるべき」という声が強い。  その一方で「12歳にもなれば大人の服を着るのが 当然ではないか。中高生が制服で冠婚葬祭に出るとい う慣習は出来て百年も経っていない事を思い出すべき だ」「おしゃれに最も敏感な時期に大人の服装を経験 する方がいい。若い時だけのための服装にファッショ ン感覚を浪費するのはもったいない」という声もある。 -------- 初心者のためのインターネット   インターネットの正体を知ろう ◎インターネットは、大人と子供の壁を壊す  「子供はそんな事知らなくていい」という言葉に代 表されるように、大人と子供の間には情報に関する高 い壁があります。書店には子供に売ってくれない本が たくさんあります。20歳未満は入れない図書館も少 なくないし、子供が一人で入れる図書館では『子供向 け』と大人が決めた本しか読めません。学校図書館は なおさら。テレビやラジオは、深夜番組までもが『子 供が見ているかもしれない』と内容を制限し始めまし た。大人向けのドラマは子供が学校に行っている時間 帯に移りつつあります。深夜こっそり起き出し親に隠 れてドキドキしながらテレビを見たりラジオを聴いた り、という楽しみがなくなりつつあるのです。  昔であれば、本人の性格や知識、行いや努力次第で 「君は特別だ」と例外扱いを認めてもらえる事もあり ました。しかし最近では、特別扱いをする根拠をきち んと説明して周りを承服させる力量と押し通すだけの 権力を持つ人がいなくなり、昔のようにはいかなくな りました。  しかしインターネットではそんな壁はありません。 アマチュア無線の免許を持っていれば五歳でも大人と 対等なアマチュア無線技師であるのと同様、インター ネットの世界ではあなたは良識と理解力を期待される 大人として扱われます。生まれてから何年経っている かは関係ないのです。インターネットの世界で大人と してやっていける自信と実力があなたにあるのか、そ れが問題なのです。「十八歳未満ですか?」とウェブ 上で聞かれた時、インターネットの世界で十八歳以上 としての責任を全う出来る自信があれば「いいえ」と 答えるのです。十八歳以上でも自信がなければ「はい」 と答えるのです。  情報を発信する時も同じです。あなたは大人と同様 に情報を発信することができます。頭が良く正しい判 断をして素晴らしい情報を発信したならば、大人と同 様に評価され尊敬されます。子供だからと言って手加 減はされませんが、素晴らし過ぎて「子供らしくない」 などと批判される事もありません。馬鹿な内容であれ ば馬鹿な大人同様に批判されます。子供だからと言っ て大目には見てくれません。インターネット上では馬 鹿な大人なのか子供なのか区別する手段はないのです。 逆に大人であっても子供らしい内容ならば「子供らし い」と評価されるのです。  実際の年齢は関係ありません。インターネットでの 年齢はあなた自身の決断と行動によって決まるのです。  とはいえ「何に自信を持てばいいのか分からない」 「自分はインターネット上でどんな年齢がふさわしい のだろう」と悩む人もいるでしょう。そんな人は、い ろんなページや掲示板を回り、大人のやってる事を見 てみましょう。「さすがに大人、真似出来ない」「こ の程度なら自分も出来る」「こんな大人と一緒にされ たくない」など、色々感じることでしょう。  その中で興味を持った掲示板があれば書き込んでみ ましょう。ある程度の書き逃げは許されます。勇気を 持って書きましょう。掲示板での受け答えを通してそ の掲示板の雰囲気が分かりますし、あなたに対する評 価も得られます。掲示板に書き込む他の人達に対等に 扱ってもらえるか、駄目な大人扱いされるか、やっぱ り子供扱いされるかはあなた次第です。もちろん相手 にする大人のレベルを下げれば対等に扱ってもらえる かもしれませんが、それで満足するかどうかもあなた 次第です。  このようにして大人としてやっていく自信が出来た ら、大人としての自覚を忘れずにインターネットを楽 しみましょう。そうでなければ「自分はまだ子供なん だ」とあきらめましょう。 -------- 神保町の「なんちゃって女子高生」  週末になると、本物の女子高生が濃い化粧 にくずした制服姿という格好で渋谷に遊びに 行く中、女子高の制服をきちんと着こなした 男の子が神保町の大型書店の参考書売り場や 美術書・文芸書売り場を占拠している。この ような情報を聞きつけ、取材へと出掛けた。  まず文芸書売り場へ向った。いかにも文芸 書売場にたむろしてそうな、ちょっとださい くらいの女の子らしき子が何人かいる。それ らしい子に声をかけてみたが、近所の女子高 の生徒だ、最近そういう噂が立っていて困っ ている、と怒る。この中に男子がいたとして も自分から名乗り出るはずもないのが当然か。  そこで該当する女子高の近くに行って、明 らかにそこの生徒だと分かる子に声をかけて みた。生徒手帳も確認する。 「うちの学校には神保町行って文芸書読むよ うな子なんていないって。噂聞いて見に行っ た人がいるそうだけど、校則通りの制服だっ たって。そんな子もうちにはいないわよ。噂 になり始めた時には先生も困った顔してみん なに聞いて回ってたけど、最近は何も言わな くなった。校長先生が本屋で実際に見かけた らしくて、くそ真面目な奴で気に入っちゃっ たって噂。うちに転校してくるんじゃないか って言う人もいるけど、そん時はいびり出し てやるから」  教師が承知しているらしい。次は教師をつ かまえて話を聞く。みんな口が固いが、よう やく一人話してくれた。 「校長が気に入っているというのは本当です。 私も会いましたが、本当にいい子なんですよ。 うちの学校案内の制服写真はモデルを頼んで たのですが、今年の分はあの子を使いました。 今までのモデルだってうちの生徒じゃないん だから一緒でしょ?転校なんてのはありえな い。出来る出来ない以前に、あんな子がうち の生徒の中で勉強するなんて。うちの制服着 てくれてるのももったいないくらい。でも夏 休みには図書館くらい使わせてあげるつもり ですが。どうせうちの生徒は使わないし」  意外にも学校公認もいたのだ。今回の取材 では本人の取材が出来なかったが、なんとか 実現したい。 p02------------- みんなのひろば ----  習熟度別学級編成でリーダーシップの育成を  会社員・石井 忠志 42     (愛知県豊橋市)  教育評論家の一部に、学力別に学級を作ったり高校 を分けたりする事に反対する人がいます。「子供に劣 等感を与えるから」というのが理由だそうです。  しかし、学力が劣っているという事実はそのような 作為と関係なく存在します。たとえ学力に関係ない学 級編成を行っても、子供は劣等感を持つのです。むし ろ、学級の中に同じような境遇の子供がいなければ劣 等感と孤立感を強める結果になるのではないでしょう か。  もうひとつ大きな問題があります。もし学力等によ らない学級編成を行った場合、学級委員長などでリー ダーシップを取る子供はどうしても似たような子供ば かりになります。将来似たような社会階層を形作る子 供達だけがリーダーシップを取る経験を積み重ね、他 の社会階層を形作る子供達はリーダーシップというも のを体験しないまま高校を卒業するのです。  日本の労働組合組織率が低い理由は、実はここにあ るのです。リーダーシップというものを経験した人材 が労働組合を組織すべき人々の中にいないのです。リ ーダーシップを経験した人の多くが学力や技術力に優 れ、就労面で不利な立場に立つ事が少ないのです。実 際、労働組合の委員長の多くが有名大学等を卒業して おり「弱い立場の労働者を守ってやる」という態度で 行動しています。「労働者集団の中の一人がリーダー シップでまとめていく」という形には程遠い状態です。 果たしてこれでいいのでしょうか。  しかし学力別などで学級編成を行えば、どのような 学力レベルの集団でもリーダーシップを経験する子を 作る事ができます。どのような社会階層、どのような 社会集団にもリーダーシップを経験した人材がいるよ うになるのです。一時的な劣等感よりも、このような 長期的な観点に立った教育を行うべきです。 ----  自然の恵みをもっと活用しよう   主婦・坂井 久美 41        (新潟市)  最近は養殖物が増えてきました。高価な魚が今まで よりも安価に手に入るというのは喜ぶべきなのでしょ う。しかし結局のところは、濃縮エサなどを使い、多 数の魚を狭いイケスで育てた不健康な魚、安物に過ぎ ないのです。庶民とはいえ、やはり自然の恵みを頂き たいものです。それに養殖は、周囲の環境にも悪い影 響を与えています。もっともっと自然の恵みを活かし た生活をしたいものです。天然のクジラやイルカなど の有効的な利用を期待したいところです。 ----  簡単に謝る今の子供たち   無職・長田 太郎 71     (愛知県豊橋市)  昔の子供は簡単には謝りませんでした。たとえ悪い 事だと分かっていても、なかなか謝りませんでした。 謝る事は恥ずかしい事、非を認める事は恥ずかしいこ とだと思っていたのです。しかしそういう気持ちが、 二度と悪い事をしないようにしよう、という強力な歯 止めにもなっていたのです。言い訳する事が内省の機 会にもなっていたのです。  しかし、最近の子供は簡単に謝ります。教育の場で 謝る事への羞恥心を無くすようにしてきたからでしょ うか。悪い事をしても謝れば何も損はしない、という 感覚になってきたのか、あるいは実際にそういう社会 になったのか。  確かに過ちを犯さない人間はいませんが、だからと 言って歯止めもなく「謝ればいい」というのは問題が あるのではないでしょうか。「謝る事は恥ずかしい事 だ」と思う気持ちは「悪い事をした」という罪悪感に つながっているのです。目に見える謝罪よりも、そう いった気持ちの方をもっと大切にしたいものです。 ----  やめて、心の詰め込み教育   保母・多田 陽子 35        (青森市)  学校や塾での詰め込み教育が批判を受け、ゆとりあ る教育を目指してさまざまな改革が行われています。 しかし、それで生まれた時間的なゆとりを使い、子供 達にボランティアや福祉体験、自然との触れ合いなど を強要する「心の詰め込み教育」が行われているのが 実情です。多くの知識が十分に消化されないまま新た な知識が詰め込まれ、知識が有機的に結びつかずいび つで偏った知識を身につけてしまうのと同様、多くの 体験が十分に消化されないまま新たな体験が詰め込ま れ、いびつで偏った優しさや思いやりを身に付ける子 供が増えているのです。今の子供たちに本当のゆとり はなく、思いやりの丸暗記に苦しめられているのです。  教師や保護者の中には、「子供が自らボランティア を志願したのだからいいではないか」という方がおら れるようです。しかしそれは「子供が自ら塾へ行くこ とを望んだのだからいいではないか」という口実と何 も変わりません。周りの大人たちが子供に過大な期待 をして子供を塾通いやボランティアへと追い込む事が どれだけ問題の多い行為か、既に分かっているはずで す。  これからの教育は、知識や体験を押しつけて心や体 の条件反射を身につけさせるのではなく、真の理解を 得られるゆとりが必要なのです。 ----  今こそ学級定員増を実現しよう   主婦・鈴木 典子 31        (福岡市)  「一年生になったら」という歌には「ともだちひゃ くにんできるかな」という歌詞があります。子供たち は多くの友達が出来る事に胸を膨らませて入学してき ます。多くの友達がいれば、それだけ真の親友を捜し 当てる機会が増えます。逆に、友達と言っても仲のい い子だけではなく、ライバル的な子も、嫌いな子もい るでしょう。でもそういう子が周りにいるからこそ成 長出来るのです。多様な人間関係が大切なのです。  そんな多様な人間関係を作る場はどこなのか?友達 作りに消極的な子供が増えた昨今、学校や学級という のはすべての子供に用意された数少ない友達作りため の場になっています。  しかし、学校や学級の定員を減らして友達作りの可 能性を潰そうとする人達がいるそうです。「学級の定 員が減れば教師の目が行き届く」というのですが、一 体子供の何を監視するつもりなのでしょうか。「勉強 をそれぞれの子供に合わせて丁寧に教える事が出来る」 という人もいますが、これは勉強の個別化、勉強のプ ライバシー化を意図したものでしょうか。授業の場で 共同で作業をしたり、手分けして調べたり、お互いに 発表しあったり、というのは教育の場で頻繁に行われ ます。宿題などの教え合いっこもよくある光景です。 それらはもう必要ないというのでしょうか。  もちろん学校外の人間関係もありえますし、それも 必要でしょう。しかし子供であれば表面的な遊びだけ の関係になりがちです。学校や学級の場で起きている ような数々の葛藤は起こりえません。学級の定員削減 で子供に必要な体験が減ってしまうことを危惧します。 ----  「入学後に振り落とせ」は不親切 会社役員・田中 博之 59        (高知市)  「大学は入学する時は簡単にして、卒業するのを難 しくするべきだ」という意見を時々聞きます。入学さ せるだけさせて、後から振り落として選別せよ、とい うご意見なのでしょう。  しかし、二十歳前後の若者の何年間かを無駄にする ような「入学させてから振り落とせ」というシステム は問題も多いのではないでしょうか。もちろん振り落 とすまでに身につけた知識や技能が丸々無駄になると いう訳でもないのでしょうが、若い人材を育てて社会 に送り込むという観点から考えるとやはり無駄が多い と言わざるをえません。入学の時点で選別するのが最 も効率的でゆとりもある方法でしょう。  そもそも、入学の時点で向き不向きを教えてあげる のが親切なのではないでしょうか。毎日失業の心配を する弱小企業のサラリーマンのような生活を大学生に までさせて、本当に知識や技能が身につくのでしょう か。 ----  友達作りを強要しないで  会社員・吉原 美香 25     (東京都三鷹市)  学校や社会では、「心の触れ合い」が素晴らしいこ とのように子供に教え、友達が多ければ多いほど偉い かのような風潮があります。しかし、そんな風潮が 「友達も作れない奴」を馬鹿にするような雰囲気を作 りだし、子供たちは「友達を作らないと周りからいじ められ、先生からも叱られる」と怯える毎日なのです。 そして友達作りの脅迫観念にとりつかれてストレスを ため、結果として登校拒否になったり病気になったり する子が多いと聞きます。また友達作りや友達関係維 持のために暴走行為や万引きやシンナー吸引などの非 行に走る子供も少なくありません。  そんな子供達に「無理して友達を作らなくていいの よ」「友達がいないのは異常ではないのよ」と優しく 言ってあげたくなります。友達作りを強要する社会の 弊害を認識し、友達作りを強要しない社会を作りたい ものです。 ----------------