売売新聞平成10年1月0日号 p01------------- 「学校の健康管理に落ち度」親子、市を訴える  原立市内の小学校に通う児童とその親が、小学校の 健康管理に落ち度があったとして、市に対して一千万 円の損害賠償を求める訴訟を浜々地方裁判所に起こし た。  訴えによると、この児童はもともと太りやすい傾向 にあったが、小学校高学年になって急速に肥満が進行 した。小学校に健康管理の義務があるにも関わらず、 十分な健康診断とそれに基づく健康維持のための指導 を怠ったためにこのような肥満進行が起きたとして、 ダイエットにかかると見られる費用を損害して、その 賠償求めている。 -------- 健康管理の中止を訴える市民集会  「健康プライバシー管理の廃絶を求める全国市民集 会」が原立市で行われた。  主催者代表が「健康は個人のプライバシーであり、 学校や企業が勝手に調査し治療を強要出来るものでは ない。学校や企業に健康管理を任せて来た日本のやり 方を変える時がきた」とあいさつ。この後、過労死が 問題視されて以降進んだ企業による健康管理の実態や、 学校での健康診断による健康プライバシー侵害への抗 議の取組が報告された。  最後に、健康プライバシーを保護する法律の制定を 求める大会アピールを採択して閉会した。 -------- 欧州サッカー界 セクハラ多発  欧州サッカー界では近年セクハラが多発している。  まず、イタリアの地元リーグでのキス事件。主審か ら退場を宣告された選手が、この若い主審に握手を求 め、素早くほおにキス。びっくりする彼に、すかさず もう一度。この行為で、この選手は地方協会から2試 合の出場停止処分を受けた。  同じくイタリアの地元リーグのコーチ。三度目のペ ナルティーの笛を聞くと、カッとなってベンチを飛び 出し、二十五歳の主審の顔面にパンチを浴びせてしま った。これで同コーチは三年間の活動停止処分を食っ た。  このような男性審判に対するセクハラは昔から多か った。そのため、欧州サッカー協会はその対策として 女性審判を増やし「人間の楯」にして審判に対するセ クハラを防止を図ろうとしてきた。しかし、女性審判 が増えるに連れ、数が減少してきた男性審判にセクハ ラが集中する結果となったようだ。また、女性審判が 増えてその存在に慣れてくると、女性に対するセクハ ラも増えてくるとの見方も多い。 -------- 「自分探し」に疲れた?自殺相次ぐ  自分探しに疲れて自殺するケースが最近相次いでい る。「自分らしさ」や「個性」を強要する最近の風潮 が重荷になっているようだ。  九月三十一日に飛び降り自殺した女性の場合、遺書 に「自分の適性が分からない」と書かれていた。また 日記などには「これが本当に自分のしたいことなのか」 「私の個性ってなんなのだろう」と書かれていた。し かし、この女性が通った学校での成績はいずれも良く、 「ちゃんと就職して経験を積めば、立派な職業人にな れたはず」と言う。  十一月零日に首吊り自殺した男性は、遺書に二十に も及ぶ転職歴を列挙した後、「どれもぼくのやりたい 仕事ではなかった」と締めくくっている。  このような自殺について、山崎智美FT実行部部長 は「『自分らしさ』を強調する社会的風潮が多くの若 い人にとって重荷になっている。特に真面目な人が自 分らしさや個性、目的意識といったものを必要以上に 追い求めて自滅している。自分らしさは社会の中で生 きてるうちに出来るものだし、もっと気楽に学校に入 ったり職に就いたりして、勉強や経験から自分なりの 面白さを発見すればいい。たかが高校や大学を出たば かりで自分らしさや個性がある訳がない」と話してい る。 -------- 増える越境通学  一時、受験競争の加熱で増加した越境通学だが、公 立小中学校の画一化と自治体による撲滅運動によって 減少していた。しかし、ここに来て増加の兆しが現れ ている。また私立受験やそのための塾通いも相変わら ず盛んだが、その目的が変わってきた。越境通学・私 立受験に人々が求めるものを追ってみた。  東京都内に住むAさんは自分の娘を隣の市にある公 立小学校に電車で越境通学させている。特に進学実績 がいいという訳ではないという。この小学校を選んだ 理由は「近過ぎず、通勤ラッシュとは逆向きで、無理 なく通える距離にある小学校の中から、そんなに評判 の悪くない小学校を選びました。強いて言えば運動場 が広い事くらい」と言い、どの小学校というこだわり はまったくなさそう。私立小学受験は「うちから通え る範囲にある私立小学校にはちょうどいい所がない。 それなら塾や習い事にお金をかけた方がいい」という ほど。  しかし越境通学は「絶対させたかった」。「地元の 小学校では、地元の付き合いに巻き込まれる心配があ りますから。スーパーに買い物に行ったら子供の同級 生のお母さんと鉢合わせ、なんて生活はいやですし。 子供だって二十四時間、休みの日まで小学校の交友関 係引きずりたくはないでしょう。私が子供の時そう思 いましたから」とAさんは語る。  電車で通わせる事については「塾通いでどっち道利 用するし、今くらいの距離が子供にちょうどいい刺激 になる。むしろ近過ぎると日頃の生活に緊張感が無く なる」。子供の友達は「塾の友達と小学校の友達とで 重なりが少なく、近所の公園で遊ぶ友達も合わせれば、 かなり多くの友達が出来たようです。学校での学年や 交友関係のしがらみをそのまま塾や公園に持ち込まず に済んでいる分、仲良しが多いみたい。学校で嫌なこ とがあっても、塾や公園で気分転換が出来るし」と、 越境通学に特に不便を感じている様子はない。唯一の 不満は「教育委員会にばれないか、毎日びくびくしな きゃならないことだけ。せっかく順調にいってるし、 いまさら引っ越しなんてしたくない」。  現在この子は小学五年生だが、一年後の中学進学に ついては「もっと遠距離でも大丈夫だから、公立中学 も私立中学も選択の幅が広がりますね。もちろん子供 の成績や適性もあるけど、小学校を選んだ時より色々 考えると思います」。地元中学校に通わせる可能性を 聞くと「それは絶対にありません」。  首都圏に数多くの教室を持つ進学塾で、あえて遠い 塾を選ぶ児童が増えていると言う。遠いと言っても電 車で数駅程度だが、もっと近くに教室があってもそち らを選ばないという。  従来、塾の遠距離通学は最難関校受験者向けの特別 クラスに通うために、都心などの拠点校に通うケース など、ごく一部の子に限られていた。しかしこれが郊 外や住宅地の教室の普通のクラスでも増えはじめたと いう。  同じ小学校の子がいなくて寂しくないのか、と思う 講師も多いが、子供はむしろ楽しそうだという。子供 たちに聞いてみると「小学校の同級生に進学校希望や 塾での成績まで知られたくない」「昼間の学校での事 は忘れて勉強に打ち込みたい」「小学校の同級生と同 じ中学校には行きたくない。別に仲が悪い訳じゃない けど、中学まで同じじゃ嫌だ」「塾や中学まで同じ友 達じゃつまらない」などという声が聞かれた。  このような傾向について、野田久美子・山崎学園大 学教授(人間科学)は「小中学校や塾に通う事が個人 のプライベートな事柄だという認識が広まっているの ではないか。子供であれば学校と塾のそれぞれの成績 や習い事の内容などを、親であれば子供の通う学校や 成績や子供がいる事までも、プライバシーとして「知 られたくない」と感じているのだろう。プライバシー 意識の拡大だと考えられる」と話しいる。 -------- NSLフラワー文庫 好評発売中    瞳、小学6年生  女の子気分1、2、3  あの場所 p02------------- みんなのひろば ----  プライバシー秘匿で差別をなくそう  美容師・深井 光子 35        (大津市)  最近はプライバシー重視が叫ばれるようになりまし たが、市民も行政もプライバシーへの認識が甘いよう でなかなか徹底されません。  プライバシーの尊重を、単に「私生活を知られたく ない気持ちの尊重」という文脈で語る場合が多いよう ですが、これはまったくの見当違いです。私生活を知 られる事自体は何の意味もないのです。それより、差 別につながる情報を他人に知られない事の方がより重 要です。差別をなくすためにはそういった情報を他人 に知らせない、そのためのプライバシー保護なのです。  この目的から考えれば、自分の生活となんの関わり もない人に知られる事より、ある程度身近な人に知ら れる事の方が問題になります。「親しい付き合いをす るのだから知られてもいいじゃないか」という視点は 出てこないはずです。  「知ってしまっても、差別しなきゃいいじゃないか」 という人もいるかも知れません。でも、知ってしまっ て差別せずにいられる人がどれほどいるでしょうか。 部落出身、非嫡出児、あるいは元犯罪者やその家族だ と分かれば、誰だって差別をしたくなるものです。そ れは人間として抑えることの出来ない自然な感情では ないでしょうか。それを批判するのは酷ですし、差別 を無くす上でなんの役にも立たないでしょう。もし抑 えることが出来る奇特な方がいても、差別をしないた めに逆差別に走ってしまうはずです。逆差別も他の人 達を差別する点では立派な差別です。  差別を無くす最善の方法は、相手の事を知ろうとし ない、自分の事を知らせない、これに尽きます。そん な社会を「心の通わない冷たい社会」と批判する方も おられるかもしれませんが、「心の触れ合う差別社会」 よりはましです。事実から目を背けることで、差別の ない社会をつくりましょう。 ----  「体は資本」は差別語だ  会社員・三田 順子 25     (東京都中野区)  今朝テレビを見ていたら、「体は資本です、大切に しましょう」という台詞を聞き、大変驚きました。  「体は資本」といえるほどの体をお持ちの「持てる 者」は優越感を抱かれるでしょうが、障害者や虚弱体 質の方など「持たざる者」にとっては差別語でしかあ りません。この程度の思いやりも持てない人がテレビ 出演してるとは許せません。  また、「体は資本」という言葉を聞いて売春や児童 労働を連想される方も多いと聞きます。  このような社会全体にとって不適切な言葉は是非排 除して頂きたいものです。 ----  エリート教育撲滅の成果を喜ぶ   主婦・遠藤 栄子 41        (静岡市)  エリート教育に反対し国民を平等に扱うように求め 続けてきた市民のおかげで、ごく一部を除いてエリー ト教育は姿を消しました。  今、その成果が社会全体に現れつつあります。特権 意識に裏打ちされた純粋培養の高潔な倫理感を持つ聖 人君子人ではなく、庶民と同じ教育を受け同じレベル の道徳感を持つ人達が大企業の重役や官僚などの地位 に就き始めました。  特に顕著なのが政治家です。地方の小さな土木建築 会社の社長や農協漁協の役員、労働組合の幹部だった 人が多数います。こういった人達は、自分の身近な利 益を庶民感覚で守る事によって、無意識のうちに同じ 境遇にある庶民の利益を代表しています。庶民の身近 な利益を地に足付かぬ倫理感で切り捨てるエリートに は出来ない技です。  高級官僚や弁護士などは例外的存在ですが、それで も例外なのは専門知識だけであり、東大・京大・早慶 で特別な倫理教育を受けた訳ではありません。一般庶 民と同じ生活環境で同じ道徳教育を受けたのです。そ のおかげで正義を庶民に無理強いする悪徳官僚・悪徳 弁護士はいなくなりました。そして仕事の内容はとも かく、通勤は満員電車に揺られ、昼食はコンビニ弁当 で済ませ、車に乗ればついついスピード違反や駐車違 反してしまい、物欲も金欲も庶民並に持っている、そ んな親近感の持てる官僚や弁護士が増えました。  いまや、政治家・官僚や大企業の幹部は、特別な倫 理感を持った特別な人が就くものではなく、ごく普通 の庶民が就くものなのです。今学校でいじめをしてる 子も登校拒否をしてる子も暴走行為で騒音をまき散ら してる子も万引きしてる子も、そんな弱い心を持った 小中高校生達にも将来そういった職に就ける可能性が 広がっているのです。 ----  「保健室登校」深刻に受け止めて  塾講師・藤田 一也 52     (東京都大田区)  「保健室登校」が一万人にも達しているという文部 省の調査結果を知り、大変驚くと共に、そうなる背景 は確かにあると思った。  子供達が保健室に来るのは、優しさ、明るさ、子供 らしさ、自主性、協調性、社会性、目的意識などとい ったものさしで子供を評価しようとする学校のまなざ しや、生徒同士の人間関係の困難さから逃れるからだ。 本来なら、学校のあらゆる場でそのような呪縛から自 由であるべきなのに、保健室に来るという事態の深刻 さを考えるべきだ。保健室だけで抱えこまず、社会全 体で子供を育てていく体制が必要だ。 ----  愛知県警の英断に拍手を  自営業・鹿戸 三郎 55        (広島市)  愛知県警が、路上駐車に対するこれまでの態度を改 め、路上駐車を認める場所を大幅に増やした。  市民の行動範囲が広域化する一方で、新幹線などの 中・長距離交通機関も電車などの短距離交通機関も整 備が遅れがちになる中、自動車は欠く事の出来ない市 民の足となりつつある。そんな中で駐車場不足が大き な問題となっていた昨今の状況を考えると、愛知県警 の決定はまさに英断であり、拍手を送りたい。  一部に「道路が広い名古屋は特別」との声が聞かれ るが、とんでもない話だ。名古屋市は区画整理を大胆 に押し進め、その結果としてゆったりとした広い道が 確保出来たのだ。その努力を「特殊事情」と切り捨て る態度は許されるものではない。路上駐車が増える事 を理由に区画整理に反対している住民にいたっては、 道路を自分達だけで独占しようとする地域エゴ以外の 何者でもない。地域や道路はそこの住民だけのもので はない、という事を念頭に置くべきである。他地域の 人々との心の交流を拒否するような住民の住む町に明 るい未来はありえないのだ。  「道路利用はお互い様」、この気持ちを忘れてはな らない。 ----  ドライバーのみなさん生活道路を走ろうよ  会社員・中井 伸一 39        (大阪市)  大きな道路が作られ、沿線住民が騒音や廃ガスに悩 まされるという話はなかなか無くなりません。一方で 「閑静な住宅街」というものがあり、ここの人達は騒 音にも廃ガスにも悩まされない特権階級です。なぜこ のようなギャプが生まれるのでしょうか?  これは道路の問題だけではありません。ゴミ・汚水 ・騒音・子供に有害な娯楽・等々、一部の住民がその 重荷を担い、他の住民は知らん顔。その結果、汚水処 理のように全体的には年々問題が解決していても一箇 所に集中するために、その地域では以前よりも環境が 悪くなる一方という現象が見られます。多数の市民が より快適な環境を求めるために、そのツケを一部の住 民が被っているのです。  なぜこんな社会になってしまったのでしょうか。昔 は国民みんなが、少しくらいの騒音や異臭を我慢して いたはずです。その結果、今よりも騒音や異臭や汚水 はひどかったにも関わらず、だれかにしわ寄せが行く こともなく、そこそこ快適に暮らせていたのではない でしょうか。  大規模道路沿線住民が抱える騒音・廃ガス・交通事 故・地域の分断といった悩みを国民みんなで分け合う ためにも、これ以上大規模道路を作らないようにする ためにも、自動車、特にトラックはもっともっと生活 道路を走って欲しいのです。  動車が生活道路を走れば、閑静な住宅街は閑静では なくなるでしょう。地価が下落して資産価値も下がる でしょう。でも私達は運輸業のおかげで生活できるの だという事実を忘れてはなりません。国民の多くが運 輸業の実態に触れるためにも、トラックは生活道路を 走って欲しいのです。  交通事故も増えるでしょう。でも、大規模道路の冷 たい風景の中での引き逃げに比べたら、人と人、人と 車の触れ合いが感じられる生活道路での事故はまだ救 いがあります。たとえ子供が交通事故で死んでも、生 活道路での暖かい心の触れ合いがあれば、心の傷が癒 えるのも早くなるはず。  ドライバーのみなさん、今日から生活道路を走りま しょう。心安らぐ住宅街が、あなたの走行を待ってま す。 --------  質実剛健  富田林女子高等学校 ----------------