問題1
次の文を読んで、各問に答えなさい。
「お兄ちゃん、お願いがあるの。
今度の連休、お兄ちゃんは暇でしょ?私は月曜日にピアノの発表会がある、というのは知ってるよね。
あ、別にピアノの発表会を観にきて、という話じゃないよ。もちろん聞きにきてくれても別にいいけど。
お願いっていうのはその話じゃなくて。
発表会の前はしっかり練習したいから、連休の間はずっとピアノの練習をするつもりなんだけど。
でもその連休中に、私立中学の体験入学を実施するところが多いんだ。そういう機会って学校を選ぶ上で大事だと思うの。だからすごく行きたいんだけど、発表会直前に体験入学に行っても、集中してお話を聞けないと思うんだ。
そこでね、お兄ちゃんに体験入学に参加してきて欲しいの。それで、体験入学の感想を私に聞かせて欲しいの。
そうだよ。私立中学の体験入学。うん、女子中の体験入学にも参加して欲しいかな。お兄ちゃんの感想を、学校選びの参考にするから。
もちろん私が自分で行きたいよー。でも行けないし。
もちろん発表会の後にも体験入学は何度かあるよ。それには自分で行くよ。でも、気になる学校全部の体験入学に行けるわけじゃないから。
だからお兄ちゃんにいくつか参加してもらって、お兄ちゃんの感想を参考にして、自分が実際に体験入学に参加する学校を決めるの。
学校の友達?ほら、うちの小学校って人数少ないから、私が行きたいと思う私立中学を受験しそうな女子っていないの。受験しそうにない人の感想を聞いても、あんまり意味ないかなって。
だってお兄ちゃんは、ほら、私と一緒に同じ問題を解いたら、私と同じ点数を取るんだもん。間違える場所まで同じで。私よりずっと年上なのに、私と頭の出来が同じなんだね。ほんとそっくり。でも背が伸びない所は似たくないなー。
とにかくお兄ちゃんの感想の方が、友達の感想よりも自分の感じ方に近いんじゃないかなって思うの。だからお兄ちゃんに行ってきて欲しいんだ。
うん、だから、お兄ちゃん自身が『優しそうな先生がたくさんいる』とか『体験授業が分かりやすかった』とか『上級生が怖そう』とか思ったら、それを私に話してくれればいいんだよ。
お兄ちゃん自身が、来年4月から6年間その学校に通うと考えて、楽しいだろうな、しっかり勉強ができそうだ、こんな先生や上級生となら6年間一緒に過ごせる、そう思ったのなら、私にそう話してくれればいいよ。
いいじゃん、私よりずっと年上だっていっても、頭の出来は同じだし。小学6年生のつもりで、自分が入学するつもりで体験入学してくればいいから。
女子中の場合?女子中でも、お兄ちゃん自身が6年間通ったら、と考えてくれれば。制服?体操服?お兄ちゃんが自分で着てみたいと思うかどうか、6年間毎日着ると考えて……冗談だって。
その制服を私が着たら似合うか、と考えてみれば?だって、もし私が入学したら、お兄ちゃんは毎日私の制服姿を見るわけでしょ?そういう感想でいいから。
あ、でも、もし制服の試着とかあったら、お兄ちゃんが着てみてよね。お兄ちゃんに似合うかどうかじゃなくて、着心地とか気になるから。実際に着た感触を教えてね。
別に、そんな、私が気に入るかどうかなんて、お兄ちゃんは考えなくてもいいよ。お兄ちゃんの感想を聞けば、自分だったらどう感じるか大体分かるから。だから、私の代わりに参加するんだ、とか余計な事を考えずに、お兄ちゃん自身がどう思ったか、それを聞かせてくれたらいいの。
お兄ちゃんを信用してるんだからね。こういうのは信用してるって言わない?とにかくお兄ちゃんの素直な感想を聞かせてくれればいいの。
でも、制服や更衣室やトイレは、女子の方を確認してね。共学の場合も。私が使うんだから。もし男子の方しか確認しなかったら、お兄ちゃんにその中学校に通ってもらうからね。分かった?
あ、もしお兄ちゃんがすごく気に入った中学があれば、私と一緒にお兄ちゃんも入学してもいいよ。いまさら中学1年生になるなんてイヤ?もしかして、私と同級生になるのがイヤなの?こんな時ばっかり年上ぶりやがって!頭の出来は同じなのに!
ん?小学生ばかりの体験入学に、ずっと年上のお兄ちゃんが混じって大丈夫かって?小学生でもないのに体験入学に参加できるのかって?先生や他の小学生や保護者から変に思われないかって?
大丈夫だよー。お兄ちゃんは背が小さいし、ガキっぽく見えるしー。頭悪そうだしー。よく私と双子と思われるしー。ちょっと大人びた小学生くらいに見えるよ。多分。
女子中は無理?そんな事ないよ。お兄ちゃんよりも男子みたいな女子は結構いるよ。スカートはいてなかったら女子トイレに入れてもらえない女子っているよ。お兄ちゃんもその程度だって。
ずっと年上の男子が小学生の女子だけの中に混じるなんて、ばれたら先生に怒られる?お兄ちゃんは真面目でおとなしい子だって見れば分かるから、大丈夫だよ。きっと。多分。うん。
服装?確かに男の子みたいな服装で女子中に行くのは変かもね。制服を試着できるとしても、男の子みたいな服だと女子の列に並びにくいだろうし。じゃあ、私の服をどれでも着て行っていいよ。私がお願いして私の代わりに体験してもらうんだから、私の服を自由に着ていいよ。
コーディネイト?そんな言葉、お兄ちゃんよく知ってるね。私がいつも着ているように着ればいいじゃない。
やっぱり一人では不安?じゃあ久美ちゃん、体験入学とか興味なさそうだけど、一緒についてってもらう?
久美ちゃんの方がお兄ちゃんよりも背が高いし、大人っぽい服装が好きだから、久美ちゃんの方が付き添いのお姉さんに見えちゃうよね。私の服を着たお兄ちゃんを私立中学校まで久美ちゃんに連れて行ってもらうって事に…
久美ちゃんと一緒は恥ずかしいからやっぱり一人で行く?どっちでもいいよ。
じゃあ、連休の3日間のうちに5校が体験入学をやるから、そのうち2つか3つ、行ってきてね。
その日の晩にも少し感想を聞くだろうけど、発表会の後にまとめて聞くね。
お兄ちゃんを信用して、とっても大切な役目をお願いするんだから、ちゃんと頑張ってよね」
妹の佳純は以下の5校に興味があり、このうち2校か3校の体験入学に参加するよう佳純に頼まれました。参加できるのは1日1校です。
●土曜日に体験入学を実施
- 論聖女子学院中学校:女子中。進学校として県外にも名を知られており、ガリ勉校というイメージを持たれている。偏差値でいえば、佳純は合格できそう。
- 白雪学園中学校:女子中。おっとりしたお嬢様学校というイメージを持たれている。制服もお嬢様っぽいと評判。
●日曜日に体験入学を実施
- 順帆女子学園中学校:女子中。校則が少ない自由な校風で知られている。文化祭のお祭り騒ぎはご近所で有名。
- 徳務大学附属中学校:共学。お金持ちが集まる学校として有名。偏差値も授業料もさほど高くないが、それでも敷居の高い学校と思われている。
●月曜日に体験入学を実施
- 出山女子中学校:女子中。『躾の厳しい学校』というイメージを持たれている。
問1
自分が参加しようと決めた中学を挙げて、それを選んだ理由を述べてください。
学校そのものへの興味だけでなく、日程など他の理由があれば、それも述べてください。
消去法で選んだ場合は、選ばなかった学校について選ばなかった理由を述べてください。
(解答例)
- 順帆女子は文化祭が楽しいという噂を聞いているので、どんな学校か興味があった。自由な学校と聞いているので、男子の僕でも入りやすそう。
- 厳しいと噂の出山女子に、ずっと年上の男子の僕が行くと怒られそうな気がするから、佳純のピアノの発表会を見に行くという口実で行かないことにした。
連休に入り、選んだ女子中まで一人で来ました。学校の門の前には、体験入学に参加しようと並んでいる女子が二十人ほどいました。僕もその列に並びました。
妹には何度も『大丈夫』と言われましたが、実際にたくさんの小学生女子が作る列に並んでみると、自分が周りの子よりもかなり背が高くて、すごく目立っているような気がします。
周りの女の子や保護者が僕の方をチラチラ見て、僕についてひそひそ話をしているような気がします。みんな小声で話しているので、何を話しているのかは分かりませんが、人数が多いのでかなり騒がしく思えます。
僕が着ているのは、スカートでこそありませんが、明るい色のズボンと大きな襟のシャツという女の子っぽい服装です。そういう服を着ている子は周りにも何人かいますが、周りにいるのは本物の小学生の女子です。僕に似合っているのか、なんて分かりません。
ずっと年上の男子が女子小学生みたいな服を着ている、それをみんながバカにしている。そんな事をみんなが話しているような気がしてきます。
門の前に先生が4人現れて、受付を始めました。列に並んでいる小学生が封筒を受け取り、一人ずつ門の中に入っていきます。それに合わせて、僕も一歩ずつ前に進み、先生達に近づいていきます。先生達も僕の方をチラチラ見ています。
とうとう僕の順番になってしまいました。
「あなた、可愛らしい服を着ているけど、小学6年生の女子ではありませんよね」
やっぱり大丈夫じゃありませんでした。僕が小学生よりもずっと年上の男子だって、みんな気付いていたのです。
「遠くから見たら、最近は大きな小学生が多いわね、とも思ったけど、近くで見るとやっぱり中学生か高校生の男の子だって分かります。もしかして大学生?」
周りがうるさい分、先生もかなり大声で言うので、周りのみんなにそれを聞かれてしまいます。正直逃げ出したいです。
「でも、わざわざそんな可愛い服を着て、朝早くからここに来て、小学生の女の子達に混じって列に並んでいたのだから、この中学校の体験入学に参加したいんですよね?
そう思ってくれた事は、この学校の教師として嬉しいです。あなただったら、参加させてあげてもいいかな、とも思ってはいるんですけど」
先生は僕の顔や服装をジロジロ見ながら話し続けます。別の先生は、携帯電話で誰かと話しています。
「でも、あなたは小学6年生じゃないし、女子でもないから、来年受験する事は出来ないし、だから入学もできないんですよね。それなのに、どうして体験入学に参加しようと思ったんですか?
その理由を聞かせてくれませんか?それに、一緒に体験授業を受けるのは、当然だけどあなたよりずっと年下の小学生の女の子だけです。あなたのようなずっと年上の男の子が一緒に授業を受けるのは恥ずかしい事のように思うのですけど、
実際のところ、どう思ってるんですか?あなたがそれを先生達に聞かせてくれて、それで先生が納得できれば、あなたを体験入学に参加させます」
問2
体験入学に参加させてもらうためには、目の前にいる先生達に理由を話し、納得してもらう必要があります。先生に尋ねられた事を大きな声で答えてください。
- 問1で選んだ「体験入学に参加したい中学」のうち、女子中の1校を選んで、その女子中の校門で先生達に話すものとして答えてください。
- 自分の名前を名乗る必要があると考えた場合は、あなたの名前で述べてください。妹の名前を述べる必要がある時は、「(あなたの苗字)+佳純」として答えてください。
- 周囲が騒がしいので、先生達にはっきりと聞こえるように大きな声で答えてください。
- 制限時間は特にありませんが、自分の後ろにまだ列がある事を考えて話してください。先生達に納得してもらえるのなら、短くても構いません。話を短くするために正確な理由を一部省略したり、嘘を言ったりしてもかまいません。嘘の場合は、嘘のつき方も採点対象です。
たくさんの小学生の女子の前であんな事を言わされて、すごく恥ずかしかった。周りのみんなに変に思われただろうな。でも先生達はなんだか嬉しそうな顔をして、体験入学への参加を認めてくれた。
他の女子が受け取ったのと同じ封筒を僕も受け取り、校門の通り学校の敷地に入る。近所だから名前くらい以前から知っていたけど、僕がこうして女子中の敷地に入る事になるなんて思わなかった。
他の参加者である小学生と同じ方向に進んでいくと、校舎にたどり着いた。他の子と同じように上履きに履き替えて建物の中に入る。女子中の建物の中に入るなんて、なんだかドキドキする。
壁に貼られた矢印の方向に進み、教室に入る。そこには制服を着た女子がいた。在校生が案内をしているようだ。何年生だか分からないけど、たぶん中学生だ。小学生よりも僕の歳に近い人だから、少し安心する。でも今日は、僕は小学生に混じって体験入学に参加するから、僕は小学生扱いだ。
あそこに座っている在校生は、僕にとって上級生という事になるんだ。中学生の女子が上級生だなんて。こないだ妹に『頭の出来は私と同じ』と散々言われたから、きっとあの中学生は僕よりずっと頭が良くてお姉さんなんだろうな。
どう見ても僕より年下の女子中学生が、僕よりもお姉さんなんだ。そう思えてきてドキドキしてきた。そのお姉さん、じゃなくて在校生が、僕に向かって声をかけてきた。
「あなたのことね。年上の男子が体験入学に参加する、と先生から連絡があったのは。ほら、こっちに来て。私が説明するから」
本当にお姉さんみたいに話しかけてくる。でも近づいて顔を見ると、僕よりもずっと年下だと分かるから、余計に訳が分からなくなる。
「緊張しなくていいわよ。合格したら毎日この学校に通うんだから……あれ、それは違うのか」
他の参加者に繰り返し言っている事を、つい僕にも言ってしまったのだろう。小学生の女子に向かって言うべき事を、僕も言われてしまい、なんだか恥ずかしい。さらにそれを訂正されたら、僕だけ男子でずっと年上だっていう事を強調されたように思えて、余計にみじめに思えてくる。
「体験授業を1時間ずつ2回、全体的な学校説明を2時間、その後に部活動体験を1時間ずつ2回、行います。どれに参加するか、ここに届け出てください。
理科の実験などで人数制限がある教科や部活もあって、希望通りにいかない場合もあるので、それぞれ第3希望まで申し出てください。多分希望通りになると思いますが。どんな内容かは、まだ内緒ね」
問3
参加したい体験授業と部活体験を、第3希望まで挙げて、それを選んだ理由を述べてください。
- 国語、地理、歴史、数学、物理化学、生物地学、音楽、美術、保健体育、技術家庭、英語、宗教
- バレーボール部、テニス部、ダンス部、オリエンテーリング部、天文部、英語劇部、美術部、合唱部、文芸部、手芸料理部、茶道部、放送部
体験授業と部活体験の希望を受付の中学生のお姉さんに、じゃなかった、在校生に届け出た後、教室で一番人が少ない所に座る。とはいえ、後から次々と参加者がやってくるから、僕の周りに小学生女子がどんどん座っていく。
でもちょっと避けられてるかも。微妙に周りの席が空いている。
それでも残りの席が少なくなってきて、僕の隣に女の子が座った。座った途端、その女子は僕に話しかけてきた。
「ねえねえねえ、あなた、校門で先生に話しかけられてたよね?よくは聞こえなかったけど、私たちよりもずっと年上の男子だって言ってたよね?ほんとなの?私にもそう見えるけど、本当に本当なのかなって。
だってほら、こうして女子中の体験入学に参加しているから、もしかしたら小学6年生の女子なのかなって。本当は何歳なの?何年生なの?高校生くらい?もしかして、高校生くらいの歳だけど、落第してまだ小学校に通っているとか?
病気か何かで落第して、私たちと一緒にこの女子中を受験することになったとか?いや、そんなことよりも、男子なの?女子なの?男子に見えるけど、男子一人だけ女子中の体験入学に参加って恥ずかしくない?あ、本当は女子だったらゴメンね。でも同じ歳の女子には見えないから。やっぱ男の子?」
隣の女子は大きな声でまくし立てるように話してくる。近くにいる他の女子も、僕の方を見ている。前に座っている在校生も、僕の方を見ている。
問4
隣の女子の問いかけに答えてください。
- 周りの女子も興味を持っているようです。みんなに聞こえるように大きな声で答えてください。
- 隣の女子はおしゃべりです。疑問に思ったら、すぐに問い直してきます。嘘を答えても構いませんが、隣の女子が満足するように答えてください。
- 体験授業の組み分けまでまだ30分あります。30分ずっと話し続けてもかまいません。話がうまく収まるのなら、1分で話し終えてもかまいません。
(Sep-6th/2014)