男声合唱団

志木グリークラブ
      こんなこと・あんなこと        

志木グリークラブとドン・キホーテ男声合唱団との交歓会開催 2004.11.06


 遂に実現した。11月6日、志木グリークラブとドン・キホーテ男声合唱団の合同練習を兼ねた交歓会が、志木ニュータウン東の森弐番街集会所で開催され た。両合唱団は異母兄弟のようなものである。ご存知のとおり、我が志木グリークラブは、志木第九の会の男性を核に1991年8月、僅か5名で発足した。一 方、ドン・キホーテ男声合唱団は、1992年12月に発足した。

 両団は同じ頃に発足したが、設立の母体、経緯が異なることから、個性を生かした演奏活動を行っている。志木グリークラブは、あくまで第九の会の広告塔の 役割を主体に活動しており、積極的な外部活動は自制してきた。一方、ドン・キホーテ男声合唱団は、既に5回の定期演奏会を開催し、その外にも、埼玉県合唱 連盟合唱祭、YARO会参加、老健施設の慰問等々の演奏活動を行っている。

 両団が席を同じくしたのは、今回が初めてではない。1994年10月の「小さな展覧会」。1999年11月の「八ヶ岳音楽祭」にも一緒に参加した。勿 論、おとうさんコーラス大会でも一緒である。

 当日は、志木グリークラブから10名、ドン・キホーテ男声合唱団から12名が出席し、自己紹介とお互いの持ち歌を2〜3曲歌い、ビールで乾杯の後は、合 唱談義に花を咲かせ、2次会まで行って交流を深め、和気藹々のうちに散会した。同じ市内に実力の伯仲した2つの男声合唱団があり、お互いに切磋琢磨して今 日まできた。

 思い返せば、志木グリークラブも設立当初はメンバーが揃わず、とてもハーモニーなど望むべくもなかった。練習会場も、M元会長の塾の一室を借りたり、宗 岡公民館へ行ったり、会場の確保もままならず先行きどうなることやら不安であった頃がある。

 想い出深いのは、初めて参加した第3回おとうさんコーラス大会で、指揮者Nさんの肝いりで歌った“線路は続くよどこまでも”が途中で脱線転覆し、聴衆か ら大爆笑を買ったことである。翌年の大会では捲土重来、再度“線路”に挑戦し、今度は、名演奏に会場から絶賛の声が上がった。その後はこの“線路”が我が 団の十八番になっている。

 1994年4月には、河口湖「おおば」で合宿を行い、初めてカルテットを練習に取り入れた。同年9月には初めて盲老人ホーム「ひとみ園祭」に参加し、盲 老人が演じる劇「月よりの使者」に衝撃的な感動を覚えたものである。

 その後は、メンバーも増え、現在では常時練習に十数名が参加している。指導者も細江先生、菅沼先生、そして現在の初谷先生と素晴らしい指導者に恵まれ、 メキメキ腕をあげ、今年の第15回おとうさんコーラス大会では、“アニーローリー”を暗譜で演奏した。設立当時には、想像だにしなかったことである。

 一方、ドン・キホーテは、指揮者Mさんを中心に男声合唱の王道を歩んできている。過去5回の定期演奏会での曲目は、多田武彦等の組曲や日本民謡、シー シャンティ等レパートリーも多岐にわたっている。最近は、他団体との交流にも積極的で、正直言って志木グリークラブより1枚上かなと思うことがある。一時 は、“人気のグリー、実力のドンキ”といわれていたが…。

 設立から両団とも紆余曲折があったが、兎も角十数年続いてきたことは、素晴らしいことである。これは何物にも変え難い宝物である。正に継続は力なりであ る。

 ところで、これからの志木グリークラブの演奏活動のあり方を考えた時、参考になるのは、一昨年観た映画「歌えフィッシャーマン」の“ベルレヴォーグ男声 合唱団”(※)で ある。皆さんの中には、この映画をご覧になった方がおられると思います。映画に出てくる“ベルレヴォーグ男声合唱団”これこそが我々グリークラブが目指す 姿ではないでしょうか。

 志木グリークラブも“ベルレヴォーグ男声合唱団”のように、地域に根ざし溶け込み、何歳になっても元気に歌い続け、男声合唱を通して、その町に住む人々 に希望と勇気と思いやりを与えられたら、男声合唱冥利に尽きるのではないか。歌っている自分たちだけが楽しむのではなく、合唱を聴いてくださる方々に感動 を与えたいものである。

 そして、近い将来ドン・キホーテ男声合唱団と合同で演奏会を持ち、地域の人々に力強い男声合唱を聴いていただきたいものである。(来年5月22日ドン・ キホーテの第6回定期演奏会に友情出演できないか交渉中である)
※ 映画「歌えフィッシャーマン」

 この映画は、北欧の国ノルウェーの最北端にある小さな町ベルレヴォーグで、1917年創立以来、父から子へと歌を継承してきた90年の歴史を誇る男声合 唱団をテーマにした作品である。

 かつて漁業で栄えた町ベルレヴォーグ。今では、魚工場が一つだけの人口1200人の小さな町だが、ベルレヴォーグ男声合唱 団は、この町で歌うことを誇りとしている。メンバーは、96歳と87歳のストランド・ボーイズと呼ばれる兄弟を中心にした30人。車椅子の指揮者、数学の 才能がありながら町に留まり今も漁を続けている男など。四季折々の自然を背景に、合唱団の日々の営みを追ってゆく。

 「人生で本当に大切なもの」を知るメン バー達の満ち足りた顔。彼等が誇りをもって、時にはユーモラスに語る人生。それらは、心地よく力強いハーモニーとなって私たちを癒し、勇気づけてくれる。 「人生はあなたが楽しむためにあるのだ」と。特に印象的だったのは、ラストシーンで猛吹雪に中で力強く歌い上げる合唱団の姿は圧巻であった。

 本作品は、 2001年1月ノルウェーで公開され、1年以上のロングランヒットを記録した。そしてベルレヴォーグ男声合唱団は一躍国民的スターになった。

(2nd Tenor:和氣敏夫記) <2004.12.12掲載>