民衆の敵   1946.4  ・麗人 1946.5
終戦後は軍人俳優として活躍したことに自責の念を感じ俳優をやめようとした藤田だがその後も俳優を続けることとなる。
当時は世相を反映して民主主義の香りあふれる作品が数多く作られたが、この2作もその流れをくんでいる。      
     

或る夜の殿様    1946.7
長谷川一夫主演のほのぼのとした作品 。
藤田は出番は少ないが「書生節」なる曲を歌う自由民主運動員を演じている。
        

我が青春に悔いなし     1946.10
藤田の演じた野毛はミスキャストの声が多かったらしい。やはり姿三四郎のイメージが強かったのだろう。
藤田は東宝争議などを経て「新東宝」へ大河内傳次郎、原節子らと共に移籍する。黒澤作品の初期の常連であったが、1958年の「隠し砦の三悪人」まで出演はない。
      

誰か夢なき (前編) 1947.8.12  (後編) 1947.8.19
1947.8 竹山逸郎と藤原亮子のヒット曲を映画化した作品。富田常雄の原作の恋愛物語。 昭和22年当時の京成上野駅や国鉄大久保駅その周辺が偲ぶことができる。
藤田は大学生でラグビー部のキャプテン川路竜之介を演じる。
      

面影三四郎     1949.8
藤田の当たり役姿三四郎を題材に原作は同じ富田常雄による作品。
藤田演じる主人公宇津木は姿三四郎と同じく柔道の技山嵐を得意としたため面影三四郎と呼ばれる。宇津木は三四郎同様強すぎるがため悩み、傷ついたりする。
姿三四郎では車引きの役だったが今回は自転車を使ったタクシー運転手を演じる
    

森の石松       1949.4         
森の石松物語を現代喜劇風にアレンジした作品。
藤田は主役の石松を演じる。
    作品入手方法    SHV松竹ホームビデオ  

銀座三四郎       1950.3
富田常雄原案の作品 藤田は柔道六段で銀座で診療所を開く荒井熊介を演じる。
後に「銀座の猛者」と改題。  

虎の尾を踏む男達    1952.4
「勧進帳」を映画化した作品。、藤田は富樫を演じている。
黒澤明が監督、製作は終戦間近の1945年だが公開されたのは1952年である。
  

ひめゆりの塔      1953.1
ひめゆり部隊物としては初の映画化。後に何作かリメイクされる。藤田の演じる班長は前半の優しげな描写の分だけラストシーンでの女生徒を射殺する場面でのやるせなさが引き立ってしまう。 

戦艦大和  1953.6
新東宝の巨編作。大和の乗組員の生存者の手記をもとに作られている。
藤田は副長兼砲術長の能村次郎を演じるが、何故か艦長を演じていると紹介される事が多い。
     
   

潜水艦ろ号未だ浮上せず   1954.7
潜水艦呂号の船員の兵士たちの内地での生活、そして出撃を描く。
藤田は呂号の艦長を演じる。
    

日本敗れず   1954.10
ポツダム宣言、そして「玉音放送」を阻止しようとする軍人たちの動乱を描く。藤田は軍人達を諭す上官役。  

ノンちゃん雲に乗る   1955.6
児童文学を映画化。鰐淵晴子のデビュー作。
藤田は鰐淵演じるノンちゃんの父親役。
     

地球防衛軍     1957.12
本多猪次郎監督、円谷英二特撮監督の東宝初のSF映画。
藤田は防衛軍の森田司令官を演じる。
TV関連でリンクを貼らせていただいている東京地球防衛軍さんのHPをぜひご覧ください
    

蜘蛛男    1958.6
江戸川乱歩の原作をほぼ忠実に娯楽化し映画化。
藤田は名探偵明智小五郎を演じる。
詳しくはこちらのホームページ日のあたらない邦画劇場)をご覧ください。

隠し砦の三悪人  1958.12
黒澤明監督作品。三悪人とは六郎太(三船敏郎)太平(千秋実)又七(藤原釜足)のこと。藤田は田所兵衛を演じる。出番は他の三人に比べて少ないが藤田本人が後に「いい役だった」と述べたように好演だった。そのため「首実検」のシーンでは黒澤は兵衛が目立ちすぎないようにわざと台詞を早口で言わせたといわれている。「裏切り後免」の台詞は何とも言えない味わいを感じる。 
     

人間の条件  第3部 第4部    1959.11
戦線での人間の闇の部分、憎悪、哀しみを描いた巨編。この頃は上官や幹部クラスの軍人を演じることが多い藤田であったがこの作品では初等兵を演じる。

悪い奴ほどよく眠る   1960.9
用心棒               1961.4
天国と地獄           1963.3
この頃の黒澤明監督作品に何作か出演出演する。出番は少ないが、存在感のある役所である。「悪い奴ほどよく眠る」では刑事、「天国と地獄」では捜査一課課長を演じる。
「用心棒」では三船敏郎演じる桑畑三十郎の前任用心棒本間先生を演じる。実際の決闘になると逃げ出すといった役だが、その際の三十郎との無言のやりとりは、むしろさわやかな印象すらある。 

    

モスラ対ゴジラ  1964.4
当時は人類の敵であったゴジラから人類を救うべくモスラが戦うといった作品。
藤田というと怪獣映画の常連というイメージもあるがゴジラシリーズの出演はこの作品だけ。自衛隊の司令官を演じる。
    

日本の一番長い日   1967.8
この「長い日」とは昭和20年8月14日の正午から翌8月15日正午の「玉音放送」までの一日であり、閣僚、役人、軍人、そして国民の激しい人間模様、葛藤,攻防を描いている。
東宝35周年記念作品で、まさにオールスターキャストだが、女優の出演シーンはほとんど無い。
藤田は近衛師団歩兵第2連隊長芳賀大佐を演じる。
詳しくはこちらをご覧ください。(日のあたらない邦画劇場
   

激動の昭和史軍閥   1970.8
東宝の「激動の昭和史」の第2弾。2.26事件から開戦そして原爆投下までの内閣、そして戦線が描かれる。
藤田は永野修身軍令部総長を演じる。  

新網走番外地、吹雪の大脱走    1971.8
高倉健の当たり役の網走番外地シリーズ、今回は網走刑務所を舞台にしている。
藤田は前半の2シーンだけ高倉演じる末広勝治の保護人として出演。

日本の仁義   1977.5
東映得意ののやくざシリーズ。藤田はやくざ家業よりもビジネスに気持ちを奪われる組長を演じる。

冬の華     1978.6
高倉健主演の東映やくざ映画。脚本は倉本聡。
藤田は絵画、特にシャガールを愛する組長を演じる。

仕掛人梅安   1981.4
松竹の必殺仕掛人シリーズが東映製作で登場。
藤田は音羽屋を演じる。
詳しくはこちらをご覧ください (日のあたらない邦画劇場) 

探偵物語    1983.7
薬師丸ひろ子が主演し、自ら歌う主題歌もヒットさせ、赤川次郎の原作本もベストセラーにし同時上映は原田知世主演の「時をかける少女」と、まさに角川映画の骨頂といえる作品。
藤田は国崎興業の会長を演じる。この頃は「たのきん映画」といった、アイドル映画にも出演している。 

森の向こう側      1988.2
村上春樹の短編小説を忠実に映画化。
最後の映画出演作品と思われる。  




HOME