♪Column - 極私的JAZZCD評 トロンボーン、早島大祐によるジャズCD評。
第19回(2004.11.1) - 小曽根真 "The Trio" (VERVE 1997年)
澤野商会から出た北川潔の「アンセストリー」が、付録のDVDも含めてやはりとてもよかったので、彼の出世作ともいえるザ・トリオのファーストを中古1200円で購入した。 で、97年に出されたこのアルバムだけど、コンセプトはNYジャズの正統派路線をまっすぐ行く04年の「アンセストリー」ととてもよく似ている。一方で小曽根真の近作では、こういうジャズ色は薄れているから、北川が人気絶頂の小曽根バンドから抜けた時には、人ごとながら「もったいない」と思ったけど、当時を振り返りつつ、現在の両者のアルバムを並べてみると、彼の脱退した理由もよくわかる。このころのトリオのサウンドは、とてもNYのジャズっぽく格好いい。しかし、この「ジャズっぽい」ってところがミソで、その後、北川はこの「ぽい」をなくすために、小曽根は「ぽい」部分をそれはそれとして肯定的にとらえ、それぞれの道を歩んでいったんだと思う。 ところでいくら新人のメジャーデビューに名のあるベテランをかませるのが業界の慣習だとはいえ、ドラムのクラレンスペンの快演と好対照にゲストのジョンスコはバンドコンセプトと全くのミスマッチ。彼の参加曲は飛ばして聴こう。
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