♪Column - 極私的JAZZCD評 トロンボーン、早島大祐によるジャズCD評。

第10回(2004.7.12) - PHIL WOODS "HERE'S TO MY LADY" (CHESKY、1989年)

ウッズのバンドで長年レギュラーを務めているビル・グドウィン(ds)の刺激のない保守的なプレイがどうも苦手で、なんで天衣無縫のウッズがこの人を可愛がるのか不思議だった。ところが本作タイトルの”MY LADY”とはウッズの奥さんで、名前はジル・グドウィン。なるほど、ビルは義理の兄貴だったのねと長年の疑問もここに氷解。リスナーにとって幸い(?)にもこのアルバムのドラムは義兄ではなく、若き日のケニー・ワシントンで、期待通りにオーソドックスながらもバネの効いたスリリングなスティックさばきを聴かせてくれます。それにあおられてウッズも熱い。Gではベースで穏やかに提示されるテーマの後、光線のようなまばゆいアルトの音でサビを歌ってくれる。圧巻はI後半でのウッズとワシントンのバトル。シンバルとスネアがびしびし飛び出してきてこれには身体の芯がジーンとしびれる。う〜ん、十分に名盤といえるのに、とほほさ120%のジャケットが何ともうらめしい。この後の、ウッズとワシントンの共演作の存在は寡聞にして知らないけど、ノリノリのワシントンは翌89年にはトミフラの「ジャズポエット」(TIMELESS、国内盤はアルファからスーパージャズトリオ名義で『プリーズリクエストアゲイン』、僕のはこれ)での高速ブラッシュプレイでファンを大いに喜ばせることになります。

1.Superette
2.Johnny Hodges
3.Another Love Song
4.Canadian Sunset
5.Charles Christopher
6.Butter
7.Visions of Gaudi
8.Yours Is My Heart Alone
9.Blue and Sentimental
10.Origins
11.Here's to My Lady
12.Waltz for Debby
13.Just Us

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