水夏
(C)CIRCUS
水夏
2001年8月3日 CIRCUS発売
評価:[B-3A-3A-2A]

日本のどこかにある、海と山に囲まれた常盤村。
いつまでも変わらないと名付けられた村では、
やっぱりいつものように寂れた夏が訪れていた。
扇風機とうちわ、セミの声とテレビの野球中継、
線香花火と海開き、打ち水と夕暮れを告げる鐘の音。

恋が生まれ、恋が消えていく夏……。

だが、そんな夏、人語を解する謎のぬいぐるみを抱く名無しの少女が村を訪れたことで、
不可思議な物語の幕が開かれた……。


<動作環境&情報>
CD-ROM版
OS: Windows95/98/Me
CPU: MMX 200MHz/Pen2 350MHz
メモリ: 64/128MB(OSによる推奨)
ビデオ: 800×600×16bit
音源: CD-DA/PCM、ボイス有
HDD: 30MB/300MB/700MB
DirectX: 5以上

DVD-ROM版
OS: Windows98/Me
CPU: MMX 266MHz/Pen3 500MHz
メモリ: 94/128MB(OSによる推奨)
ビデオ: 800×600×16bit
音源: CD-DA/PCM、ボイス有
HDD: 30MB/1GB
DirectX: 5以上

注意:CD-DAで再生させるサントラは初回版にのみ付属。

シナリオ: 呉一郎、御影
原画: 七尾奈留、いくたたかのん
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コメント
システム:B
最初に書いておきますが、私がやったのはDVD版ですのでそちらをもとにして書いてあります。なぜかCD-ROM版もあったりするんですが(苦笑)。

さて、基本的システムは一般的なAVGです。4章構成なのですが、1〜3章はノベルタイプ、4章(とOP)はウィンドウタイプのAVGとなっています。基本的なAVGの補助システムはほとんどついていますね。システム設定も細かく設定できるので自分好みの形にできるのでほとんど不満はないかと思います。セーブ数も多いですし。

ただ、追憶(クリア後の幕間で)で読んだシナリオはすべて回想できるんですが、ちょっとわかりにくいかな(多すぎて)。あと、CD-DA再生したときには、(たとえフルインストールだろうと)まず起動のためにCD(DVD)が必要(起動KEY)で、そのあとにサントラ(初回版のみ付属)に入れ換えないといけないという2重の手間がかかるのがちょっと問題有りですね。できれば、サントラCDいれるだけで起動できるようにしてほしかったです。といっても、この点以外はできが良いので、まあ、起動してしまえば問題なしなんですけどね(ぉ
シナリオ:3A
シナリオは先にも書いた通り、4章構成になっています。ただ、同じ村で起こっている話なので、他の章の登場人物や出来事がリンクしてくることがあります。が、基本的には独立している話なので、各章だけで楽しむことができます。というわけで、ここからは各章についての感想を書いていきます。多少ネタばれを含む可能性があるのでこれからやろうとか思っている人は注意してくださいね。

第1章
伊月と小夜の双子の物語。出だしは非常にほのぼの〜とした感じで「夏」AVGを感じさせますが(笑)、後半はせつなさ爆裂です。双子ネタは結構有るものの、こういった終り方をするのはなかなか。ノベルタイプのシステムを上手く使ったストーリー展開で楽しめます。個人的には、ハッピーエンドが好きなんですが、この場合はこの終わり方がもっともよい終わり方なのではと思います。変に生き返ってもね。しかし、最後までだまされましたよ、伊月の正体、本当の真実には(単に気づくのが遅いだけ)。ちなみに個人的には伊月のほうが好みです(笑)

第2章
これまたほのぼの〜とした感じではじまりますが、1章とは違い、回想がほとんどはいらないため、よりヒロイン、さやかのキャラが立っています。2章にでてくるキャラはみんなどことなく暗い所があり、それでいて天然な人たちなので読んでて楽しいです。ほとんどはじめかららぶらぶ〜ですしね(笑)。ただ、1章と同じく後半はシリアスな展開になります。これまたノベルタイプのシステム(視点変え)をうまくいかし、最後の最後までどきどきさせてくれるのですが(なにせ、1章があれだから)、とにかく、最後のストーリー展開はかなり見物です。父娘の確執、大切な人への想いといったものがうまく表現されていて、前半3章の中では一番いい話ではないかと思います。さやかがいい味出してますよね、ほんと。

第3章
前半3章の中では、というか、全体を通してももっとも異質といえる章ですね。1つの愛情の形ではあるのですが、グッドエンドでもバッドエンドでもいまいち、う〜ん、とうなってしまいます。実のところ4章をやれば分かるのですが、これら3つの章は4章での千夏への影響を与えるもので、この3章があるからこそ4章での千夏の行動(選択肢にもよるが)につながっているように思えます。なので、ある意味避けて通れないタイプの話ということになりますね。ただ、話の構成は非常に上手く、最後はともかく、話自体は非常に面白いものになっているのでかなり楽しめます。まあ、途中が楽しめるぶん最後の逆転(特にバッドエンド)にはちょいびびりますが(笑)

第4章
基本的にはこのゲームのメインに当たるといってもいいでしょう。もちろん初めの3つの章でも十分楽しめますが。
さて、この話中もっとも謎な3人?、名無しの少女、千夏、アルキメデスのお話しです。バッドエンドもありますが、基本的にはグッドエンド(2種)についての感想です。
まず初めは、このゲームの特徴として前半は非常にほのぼのとしています。 しかしながら、中盤からびしばし謎解きがはじまり、そして最後の怒濤の展開。名無しの少女の正体、そして主人公との関係、過去、アルキメデスの想い、千夏の存在意義といったものが明らかになったとき、すべての物語が終幕に向かいます。正確にはグッドエンドには2つ有り(1つはトゥルー?)ますが、いずれにしても、最後はかなり泣けます(つか、泣きました)。というか、やはり私には名無しの少女をほっておくことはできなさそうです(苦笑)。あの優しさとそれゆえの寂しさをしった時点で無視するなんてできません(ぉ。もちろんちとせも救ってやりたいんですけどね(苦笑)
そして、意外といい味を出すのがアルキメデス。かなり感動しました。とくに病院でのシーンは必見ですな。おしむらくは、もうちょっとちとせとの絡みがあった方が、アルキメデスの選択がすんなりいくんですが。まあ、アルキメデスの過去などを思えばこれでも十分といえますが。
さて、この4章のグッドエンド二つについてですが、個人的には夏祭りで終る方がトゥルーだと思っています。選択肢からしてそんな感じですしね。個人的にめちゃめちゃお気に入りです(笑)

ところで、名無しの少女の帽子の下はどうなっているんでしょうか(笑)。結局最後まではずしてくれませんでしたね。天使の輪があるのではという噂もありますけど、正体を考えると、あながち間違いではなさそうです。あと、2章の主人公の妹は結局画面に登場しなかった。みてみたかったなぁ(笑)

いいことばかり書いていますが、個人的には本当に好きなタイプのお話しばかり(3章除く・笑)なので、そこらへんを考慮してください(笑)。こういう話好きなんですね、ほんと。特に2章、4章が。ほのぼの〜としながらもせつない話が好きな人にはお薦めです。
ビジュアル:3A
原画、CGともに最高レベルだと思います。さすがはCIRCUSといったところでしょうか(結構いろいろ外注受けてますもんね)。塗りも丁寧ですし、構図もうまく描かれてます。立ち絵も多いですし、1枚絵も・・・もうちょっと多くても良い気もしますが、要所要所では入っているのでまあ、それほど問題はないかと。個人的には名無しの少女全体図(上の絵)がお気に入りです。

ただし、CGに関してはDVD版を元にしています。たぶん、CD-ROM版とは色数とかが違うと思われますが、よほどじっくり見比べない限り分からないとは思いますけどね。

あとOPについて述べておくと、非常にゲームの雰囲気をだしており、上手い作りになっています。起動直後に流れますが、毎回見ていました(笑)。

ただ、これもまたDVD版での話ですので、CD-ROM版がどれくらいの解像度で収録されているのかは知りません。いや、調べたらすぐ分かることなんですけどね(苦笑)。

番外編。デモムービー(DVD版)を見ましたが、上手いですねぇ。最近のデモムービーはいいできのものが多いです。
さやか
サウンド:2A
OP曲いいです、って、最近こればっかり書いている気がします。が、本当に最近のゲーム曲はいい曲が多いです。そんな中でも水夏のOP、「Fragment」はかなりいいできです。OPムービーと上手くあっており、いままでみてきたOPの中でも最高クラスかと。

OP以外の曲も非常にレベルが高く、ピアノ曲は一級品です。「夏の終わりに・・・」がめちゃめちゃお気に入り。いや〜、ほんと、この夏はいい曲にたくさん出会えました(これと同時に君が望む永遠も書いてます)。

あと、ボイスについてですが、ボイスがついている分には非常によくイメージとあっており、実際ヒロインや主要キャラにはだいたいついてます。が、唯一難点をあげるなら、4章主要キャラの一人であるちとせに声がついていないのはちょっと残念。なにせ、ちとせを取り巻く人たち(華子、名無しの少女)はだいたい声があるのにちとせだけないし、かなり重要キャラなのにねぇ。アルキメデスはともかく(笑)、ちとせには声が欲しかったな、やっぱり。
総合
はい、ほとんどいいことしか書いてません。が、シナリオのとこでも書いた通り、個人的に非常にお気に入りな話なのでしかたないといえるでしょう(笑)。実際、それをぬきにしても非常によいできです。これとほぼ同時にやっていた「君が望む永遠」を(いまのところ)今年一番のお薦めと書きましたが、万人受けするという意味ではこちらのほうが上と言えるでしょう。私もお薦めするならこちらを先に薦めるとおもいます(君望ももちろん薦めますが)。

もうすでに時期はずれになりつつありますが、ぜひとも名前通り夏にやってほしいですね。そして、「水夏」の本当の意味を知ってほしいです(深い意味はないです・笑)
攻略とおまけ?
攻略は非常に簡単なので書きません。普通にやっていたらまず問題ないでしょう。シナリオ100%にするのはなかなかしんどいかもしれませんが、クリアするのは簡単です。が、多少CGを回収するにはコツがあるのでヒントだけ書きます。

まず、1章は特に問題なし。エロ本は拾っておきましょう。2章はまず川にいって、最後にエロ本をみせるのを忘れないように。それと、メイド服は渡しておきましょうね。
これくらいでCGはだいたい回収できます。
あと、3章の最後の選択(つか1つしかないけど)によって2通りにわかれますが、バッドエンド(主人公死亡)の方でもCG回収できるので忘れないように。

4章は途中でバッド直行がありますが、無言にはならないように、ということで(笑)。あと4章の2種類のエンドは、基本的に名無しの少女にかまうか、ちとせにかまうかの違いで別れるようです。1〜3章でのエンドはすべてハッピーエンドで4章にいっているので、ひょっとしたらそれも関係有るかもしれません(途中でバッドだといけない、とかね)が、未確認です。まあ、あえてバッドにする必要はないと思いますが(シナリオ回収以外)。


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