言わずと知れた、SF界の巨匠・筒井康隆のSF短編集。タイトルを、心理学ではなく、心「狸」学に、社会学ではなく、社「怪」学にしたところに、著者のこだわりが見える。
内容もタイトルにふさわしく、「ナルシシズム」「条件反射」「ゲゼルシャフト」「ゲマインシャフト」など、心理学・社会学の用語を題名とした
作品ばかりだ。しかし、その中身は、書かれた当時、マスコミを騒がせた出来事や、現代風俗を毒をもって風刺したものになっている。
例えば、「条件反射」は、瀕死の重傷を負った男が、ブタの胃袋、イヌの心臓、ウマの肝臓をそれぞれ移植し、なんとか一命を取り留め、その結果
日常生活に、各々の動物の条件反射が現れてしまうという話だ。これにより、当時世間を騒がせていた、臓器移植について一石を投じている、とも考えられるが、
ほんとにそうなのだろうか。 だいたいこの短編集は、全体的に、猥褻で下品な表現が多すぎる。すべての話が、猥褻で下品といっても過言でないくらいだ。
読む人によっては、気分を害してしまうかもしれない。だから、あまりおすすめはしない。 |