吉村達也
『花咲村の惨劇』(吉村達也)徳間文庫 |
最近僕は、バイトに行くためによく電車を使うのですが、その往復に1時間以上かかるんです。
読書好きの僕がこんなまとまった時間を逃すわけがない。当然、電車が僕の読書部屋になるわけです。
それで、なるべく薄くて、1〜2時間つまり、バイトの行き帰りで読める本を最近は読んでいるのです
が、そんな条件にぴったりの本を書くのが「吉村達也」さんです。この人は、2ヶ月に7冊もの推理小説
を世に出したことのある多作の人なんです。多作は濫作と言う考えもありますが、僕は、結構好きですね、
この人の本。
この本は、朝比奈耕作というとても変わった探偵のシリーズものです。どれだけ変わっているかとい
うと、まず、朝比奈耕作は、男のくせに化粧をしています。しかも、ロック・ミュージシャンのように
髪の毛をカフェオレ色に染め、金のメッシュ入を入れていて、で、今の職業は推理作家。メチャクチャ変
わってるでしょ?
それでは、内容をちょっと書きます。
あるきっかけで朝比奈耕作は、10年前に首吊り自殺をとげた父・朝比奈耕之介が書き残した4行詩を見
つける。そこには『四つの村から神が来る/花咲、鳥啼、風吹、月影/「四神」たちの祟りなり/我、秘密
を知りすぎたり』と書いてあった。そしてある日、花咲村から助けを求める手紙が耕作のもとに届く。
単なる
偶然として放っておけない耕作は、すぐに花咲村へ向かうのだが、
そこには、恐ろしい惨劇が待ち受けている
のであった。
とまあ、こんな内容です。 |
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『鳥啼村の惨劇』(吉村達也)徳間文庫
『風吹村の惨劇』(吉村達也)徳間文庫
『月影村の惨劇』(吉村達也)徳間文庫 |
実は、これはシリーズものなのです。ホントは、最後に『最後の惨劇』というのがあるのですが、
僕はまだ
それを読んでいません。でもとりあえず、月影までは読みました。どれから読んでもかまわない
と思いますが、
『最後の惨劇』はやはり、上の4冊を読み終わってから読んだほうがいいでしょうね。
内容ですが、『花咲村の惨劇』を読めば、自然とすべてを読んでみたくなると思いますので、
あえて書きませ
ん。あしからず。とりあえず、どれも2時間程度で読めますので、
気軽に読みたい人にはお勧めの一品です。 |
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『最後の惨劇』(吉村達也)徳間文庫 |
「惨劇の村」シリーズの完結編です。花咲村・鳥啼村・風吹村・月影村で起こった惨劇の本当の仕組みというか、裏の
動機がこの作品ではっきりします。しかし、この作品は、惨劇というより、悲劇がメインですね。主人公である、探偵
「朝比奈耕作」の出生の秘密・耕作の父が名乗っていたという『朝比奈耕作』の正体。尾車教授と朝比奈耕之介の関係な
ど、が明らかにされ、ラストは涙なしには読めない(?)ですよ。上記の4作品(『花咲村の惨劇』『鳥啼〜』『風吹〜』
『月影〜』)を読み終わった人は、ぜひ読んでみて下さい。 |
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『銀閣寺の惨劇』吉村達也(徳間文庫) |
興奮★★★☆☆ 笑い★☆☆☆☆ 涙★★☆☆☆ 総合★★★☆☆ |
カフェオレ色の髪に、端整な顔立ちの推理作家兼名探偵である、朝比奈耕作が活躍する『惨劇』シリーズです。
実は、『銀閣寺の惨劇』は、『金閣寺の惨劇』という本と、同月同日発売されました。タイトル読めばわかるとおり
この二作は、続きものです。続きものといっても普通の続きものではなく、なんと『銀閣寺の惨劇』から読んでも
『金閣寺の惨劇』から読んでもよいという続きもので、序文によれば、どちらから読んでも最後にはどんでん返しが待っているという
画期的な作品です。
中からしか鍵がかられず、外からでは絶対に開かないレコーディング・スタジオで、こめかみを撃ち抜かれて一人の男が死んだ。
完全な密室状態であり、誰もが自殺か事故だと考えた。しかしそこには、巧妙なトリックが仕掛けられており、やがてそれは
銀閣寺の惨劇へと発展していくのであった。
あとがきによれば、この本のドラマ的テーマは「日本人」だそうです。そして、ミステリーの視点から見たポイントは、
「意外性」だそうです。確かに意外な感じがしましたが、予測可能な意外性(矛盾してるかな)だったから、それほど驚きはなかったです。
でも、ここ最近、ヘビーな本ばかり読んでいたので、たまにはこういうタッチの推理小説もいいかなと思いました。
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『金閣寺の惨劇』吉村達也(徳間文庫) |
興奮★★★☆☆ 笑い★☆☆☆☆ 涙★★★☆☆ 総合★★★★☆ |
上記の『銀閣寺の惨劇』と対になる本です。
朝比奈耕作の思い出の地・京都の金閣寺で、顔・髪・口の中を金色に塗られた毒殺死体が見つかる。容疑者には、死亡推定時刻には
朝比奈と一緒にいたという鉄壁のアリバイがある。この鉄壁のアリバイは崩せるのか、そして、ホントにこの容疑者が犯人なのか。
『銀閣寺の惨劇』のドラマ的テーマが「日本人」だったのに対し、こちらはのテーマは「家族の絆」だそうです。
同じくミステリーの視点から見たポイントは、「説得性」だそうです。金銀を続けて読めば、最後にとんでもない大どんでん返しが待っている
そうなのですが、一度読めばわかるようなわかりやすいどんでん返しではないようです。作者もそれを感じたのか、あとがきには、
自作解説がついてます。僕は、それを読んでおぼろげながら、だいたいこういうことなのだろうか、とわかりましたが、
それほど衝撃はなかったです。(どんでん返しの仕組みがわかったときはうれしかったですが)
二作連続で読んで、作者は、どちらから読んでもいいと公言してるが、『金閣寺の惨劇』から読んだ方がいいのではないかなと思いました。
なぜなら、『銀閣寺の惨劇』は、『金閣寺の惨劇』の後に起こる事件であり、『銀閣寺の惨劇』の主人公的人物の家族像は、『金閣寺の惨劇』で
明らかになっているからです。でも、残念ながら僕は、『銀閣寺の惨劇』から読んでしまったのですが、それほど支障はありませんでした。
つまり、基本的にはホントにどっちから読んでもいいということのようです。 |
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『死者からの人生相談』吉村達也(徳間文庫) |
興奮★★★☆☆ 笑い★☆☆☆☆ 涙☆☆☆☆☆ 総合★★★☆☆ |
人気ラジオ番組であるAM東京の『電話人生相談』で1人の女性からの相談が放送された。だが、その女性は、録音日の20日も前に死亡している。
その事を知ったラジオディレクター青木聡美は、録音テープに残された「音」から様々な推理をめぐらせる。はたして本当に、殺されたはずの女性からの電話だったのか。
そして、彼女を待つのは、衝撃の結末だった。というような内容。
この本では、ラジオの世界が非常に詳しく書かれているのですが、それもそのはず、作者・吉村達也は、専業作家になる前は、ラジオ局のニッポン放送で働いていたという。
さらに、ニッポン放送で『山谷親平のテレフォン人生相談』という番組を担当したこともあるという。そんなわけで実体験に基づいた非常にリアリティがある文章が書けるのだそうだ。
僕は最近3連続で、吉村達也氏の著書を読んでいるが、それは、とても読みやすいからなのだ。それほど薄いわけではないのに、2時間弱で読めてしまう。だから、忙しいけど
本読みたいという人には、この作家はおすすめである。 |
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『「伊豆の瞳」殺人事件』 吉村達也(徳間文庫) |
笑い★☆☆☆☆ 涙★☆☆☆☆ 恐怖★★★☆☆ 総合★★★★☆ |
「伊豆の瞳」とも呼ばれる美しい湖のほとりにある山荘で、殺人事件が発生する。企画会議のためと称し、社員寮でもあるこの伊豆の山荘を訪れた8人の社員達。彼らの会社付近の病院で、最近、看護婦の舌を切り惨殺した上
「enma(閻魔)」というメッセージを残していくという事件が発生していた。そして程なく山荘に着いた社員の1人・林耀子のカバンの中に、「ENMA」というカードが入っていた。ここから連続殺人事件の幕が開ける。
いやぁ〜、こらまたたくさんの人が死ぬもんだ。久しぶりに読んだね、これほど人が死ぬ作品は。しかも、「朝比奈耕作」という、吉村達也氏の作品を代表するような探偵のデビュー作だし(厳密にいえば、違うらしいけど)。
ただ、文庫の後ろに書いてあるあらすじ読むと、なんとなくトリックとか犯人が分かっちゃうのが、残念。
それでも、ちゃんとドンデン返しとかあるし、楽しめる。 |
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