HOME 著者名 タイトル ジャンル

高田崇史



『鬼神伝 鬼の巻』 高田崇史(講談社)
笑い1.5点 涙1.0点 恐怖0.5点 総合3.5点
 3ヶ月前に京都に転校してきた中学生の天童純は、ある日、同級生の悪ガキたちに追いかけられ、一軒のお寺に 逃げ込んだ。源雲と名乗る密教僧が住むそのお寺で、純は、平安時代は人と鬼が激しい戦いを繰り広げていた時代だったと 聞かされる。続けて源雲は、もしも純がその場にいたら鬼と戦えるか?と問いかける。そして、源雲が真言を唱えると、 純はいつしか、鬼との戦いが繰り広げられている平安時代に飛んでいた。
 そこで彼は、なぜ自分が平安時代に飛ばされたかを知る。生まれながらに胸元に痣があった純は、強力無比のオロチを 使える唯一の男だったのだ。純は、否応なく人と鬼の戦いに巻き込まれていくことになる。

 「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打っているミステリーランドという企画の第三回配本。
 字が大きい上にルビがついてるし、挿絵も多い。たしかに子供向けっぽい軽さはあるけれど、かつて子供だった 僕が読んでも、十分楽しかった。
 マンガやゲームが好きな今の子供に受けの良さそうなストーリーだ。でも、一方で著者が講談社ノベルスの「QEDシリーズ」 で度々触れていた「鬼とは何か?」というテーマを、子供向けの本書でも扱っていたりもする。大人は鬼というと、 金棒、トラのパンツ、アフロに角というイメージが定着しているが、子どものうちに本書を読めば、鬼のイメージ像は 全く異なるものになると思う。
 子どもの頃に、こんなに読みやすくて面白い本と出会えれば、読書好きの大人になれると思う。けど、子どもの おこづかいで買うには少々お高い。というより、平均的なハードカバーより4、500円ほど高いので、大人でも ちょっと高いなと思う。まあ、箱入りだし、本のつくりにも凝っている感じなのでそのくらいの値段しても 妥当かなという気もするが、読書好きの子どもを増やしたいなら、もう少し何とかならなかったのかと思う。 まあ、図書館で借りた僕は値段について文句が言える立場じゃないけど・・・。
 maruさんの指摘で気づいたのだが、本書には、目次と あとがきに暗号が隠されているようだ。その暗号とは...、以下ネタバレ
目次の頭文字だけを読むと「鬼神伝 鬼のまき」となり、あとがきの最後の一文字だけ拾って読むと 「こんなところに文章が隠されていることに気がついたあなたに、きっと世の中は冷たいでしょう。でもめげずに がんバって生きてください。日本のどこかで、おうえんしています。」という文章が出来上がる。


HOME 著者名 タイトル ジャンル