3ヶ月前に京都に転校してきた中学生の天童純は、ある日、同級生の悪ガキたちに追いかけられ、一軒のお寺に
逃げ込んだ。源雲と名乗る密教僧が住むそのお寺で、純は、平安時代は人と鬼が激しい戦いを繰り広げていた時代だったと
聞かされる。続けて源雲は、もしも純がその場にいたら鬼と戦えるか?と問いかける。そして、源雲が真言を唱えると、
純はいつしか、鬼との戦いが繰り広げられている平安時代に飛んでいた。
そこで彼は、なぜ自分が平安時代に飛ばされたかを知る。生まれながらに胸元に痣があった純は、強力無比のオロチを
使える唯一の男だったのだ。純は、否応なく人と鬼の戦いに巻き込まれていくことになる。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」と銘打っているミステリーランドという企画の第三回配本。
字が大きい上にルビがついてるし、挿絵も多い。たしかに子供向けっぽい軽さはあるけれど、かつて子供だった
僕が読んでも、十分楽しかった。
マンガやゲームが好きな今の子供に受けの良さそうなストーリーだ。でも、一方で著者が講談社ノベルスの「QEDシリーズ」
で度々触れていた「鬼とは何か?」というテーマを、子供向けの本書でも扱っていたりもする。大人は鬼というと、
金棒、トラのパンツ、アフロに角というイメージが定着しているが、子どものうちに本書を読めば、鬼のイメージ像は
全く異なるものになると思う。
子どもの頃に、こんなに読みやすくて面白い本と出会えれば、読書好きの大人になれると思う。けど、子どもの
おこづかいで買うには少々お高い。というより、平均的なハードカバーより4、500円ほど高いので、大人でも
ちょっと高いなと思う。まあ、箱入りだし、本のつくりにも凝っている感じなのでそのくらいの値段しても
妥当かなという気もするが、読書好きの子どもを増やしたいなら、もう少し何とかならなかったのかと思う。
まあ、図書館で借りた僕は値段について文句が言える立場じゃないけど・・・。
maruさんの指摘で気づいたのだが、本書には、目次と
あとがきに暗号が隠されているようだ。その暗号とは...、以下ネタバレ
目次の頭文字だけを読むと「鬼神伝 鬼のまき」となり、あとがきの最後の一文字だけ拾って読むと
「こんなところに文章が隠されていることに気がついたあなたに、きっと世の中は冷たいでしょう。でもめげずに
がんバって生きてください。日本のどこかで、おうえんしています。」という文章が出来上がる。
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