この本は、4つの物語が入った短編集です。
「山高帽のイカロス」
人間は、空を飛べるはずだとホントに信じていた画家が、ある日地上20メートルの空中で、死体となって発見
された。しかも、両手を大きく広げ今にも飛びたたんとするような格好で。この奇妙な事件を御手洗潔が、いつも
どおり見事に解き明かす。というような内容です。僕は、あまり面白くないなと思いました。ちょっと、トリック
が、わかりやすかったからでしょうか。
「ある騎士の物語」
これはおすすめ。何か、読んだあとに、ジーンとくるものがあります。トリックとか、そういったことではなくて
犯人の心理というか、犯行の動機というか、そんなところがよかったです。それと、ドン・キホーテの歌う「見果てぬ夢」
というのは、一度聴いてみたいなと思いましたね。
「舞踏病」
このお話では、御手洗の壊れぶりが見られます。浮浪者から情報を仕入れるため、一緒になって、段ボールで寝たり、
トリックがわかったと狂喜して池に飛び込み騒いでみたり。それと、わがままぶりも遺憾無く発揮されていますね。
この本のあとがきにもありますが、島田荘司の作品のプロローグは詩的で謎めいていますよね。この「舞踏病」でも、
詩的で謎めいたプロローグが登場します。ぜひ読んでみて下さい。
「近況報告」
まさに近況報告です。何の事件でもありません。ただ、御手洗潔とはどんな人物か?何が好きで。何が嫌いで。普段は
どんなことを考えていて。どんな部屋に住んでいるのか?などを知りたい人は読んで下さい。最初と最後の方は、御手洗
の口を借りた著者・島田荘司の意見だろうと思うのですが、僕には、ちょっと難しくて、1回読んだだけじゃ理解できま
せんでした。(たぶん、2,3回読んでも僕には、理解できないと思うけど。) |