注:この話は、角川書店が出している季刊『怪』の第零号に掲載されているものです。だから、読みたいときは、季刊『怪』第零号
をお探しください。
今回の話には、京極堂はおろか、榎木津探偵・関口先生などの面々は出てこない。そのかわり、『嗤う伊右衛門』に登場した
小股潜りの又市が登場する。おそらく、『嗤う伊右衛門』の世界の延長線上の話なのだろう。
内容は、ある僧が、大雨のなか山道を急いでいると、一人の僧があらわれ、この先の橋が雨で落ちているから、夜が明けるまで下にある小屋で
休んだほうがいいと言ってくる。その小屋には、すでに数人の人が休んでおり、暇を持て余した彼らは、百物語をはじめる。そして、彼らが話す百物語を聞くうちに
その僧は、小豆を研ぐような音を聞き、次第に顔色が変わってくる。
『嗤う伊右衛門』のような、不思議な世界が全体に漂っていて、短編ながら京極夏彦の魅力は十分に味わえる作品でした。 |