漸く読み終えることができました。『鉄鼠の檻』は、今までの3作品よりもずっと分厚くなっていて、
一筋縄ではいかなそうだったので、読み始める決心がなかなかつかず、結局今ごろ読むことに
なってしまいました。しかし、京極さんの著書は、あまり間
をあけて読むものじゃないなと、つくづく思いましたね、この『鉄鼠の檻』を読んで。
なぜなら、この本には、『姑獲鳥の夏』の、
主要人物である久遠寺さんなど、が登場しているのです。だから、これから『鉄鼠~』を読もうとしている人は、
『姑獲鳥~』を先に読むことをすすめます。
舞台は、あの京極堂も知らないという、箱根の山奥の謎の禅寺。中心となる人々は禅僧。という、かなり奇異な設定です。
しかも、途中には、禅の歴史とか、公案とか、とにかくムズカシイ漢字がたくさんでてきます。はっきり言って、
何度か途中で投げ出そうかと思いました。こんなのが、殺人事件と関係あるのか?とも思いました。
しかし、そういうところにこそ、事件の重要な鍵
が隠されてあったりするんですね。だから、これから読む人は、読み流さずしっかり読みましょう。
でも、今回は、京極堂の出番が
かなり遅い感じがしました。あと、榎木津探偵の出番も少なかった気がします。
しかし、たとえ出番が少なかったり遅かったりしても
ちゃんと仕事はこなしています。
禅僧の苦悩、嫉妬、檻、振り袖の少女の悲しい過去、そして意外な結末。やはり、
京極夏彦はすばらしいなぁと実感させられる作品でした。 |