近頃、街で連続している放火事件に、私の弟はあるルールがあることを発見した。それは、
放火現場の近くには、必ず英語で書かれたグラフィティアート―いわゆる壁に描かれた落書きがある、
ということだ。無意味な単語の羅列は、何かのメッセージなのか。犯人の目的は、動機は、そして
その正体は?
癌で入院中の父親と、遺伝子関係の仕事をしている兄と、複雑な生い立ちを持つ弟。そんな
三人がおりなす傑作青春小説。
全体的にテンポよくストーリーはすすみ、セリフも印象的で面白い。3人の親子の設定は複雑で、
幸せとは程遠い感じがしてしまうが、悲壮感はなく、前向きに強く生きようという雰囲気が
漂っている。
本書の帯には、担当編集者の賛辞が書き連ねてある。これを見て、『ハードボイルド・エッグ』も
同じく担当者の賛辞が載せてあったことを思い出した。よく著名な作家の紹介文、絶賛の言葉が帯に
書かれていることがあるが、読んでみると意外と大したこと無いことがある。だが、担当者の
賛辞を参考にすると、今のところ百発百中、面白い本に出会えている。まあ、二冊しかデータが
ないんだけど、結構信頼できるのかもしれない、担当者の言葉というのは。
|