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吉本ばなな


『キッチン』
吉本ばなな(新潮文庫)
笑い0.5点 涙2.5点 恐怖0点 総合4.5点
 「キッチン」:祖母を亡くし、天涯孤独な身となった桜井みかげは、祖母の行きつけの 花屋でバイトをしていた田辺雄一に拾われ、田辺家で暮らすことになった。ひと目で愛してしまったキッチンを持つ 田辺家のマンションには、えり子さんという、昔は父親だった母親も住んでいた。
 「ムーンライト・シャドウ」:恋人を亡くしてから、眠れぬ夜を過ごすことが多くなった 私は、毎朝ジョギングを始めることにした。ある朝、ジョギングの途中で、うららという不思議な女性と出会う。
 以上のほか「満月―キッチン2」の計3編からなる短編集。

 僕は吉本ばななは女性が読むものだという思い込み、偏見を持っていた。読んでみて、たしかに女性の視点で書かれているし、 詩的で繊細な印象を持ったので、女性向きかと思ったけど、男が読んだって面白い。
 死や別れを乗り越え克服し、生きていこうとする人たちの物語なので、非常に読むのが苦しい。やはり悲しみや淋しさを和らげるには 誰かが必要で、人は独りでは生きられないということを痛感した。
 苦しいけれどいい読後感だった。


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