マンション販売の営業一筋11年。30代半ばになって日頃の不満がうっせきしていたある日、遠藤晋は17年ぶりに
昔憧れていた同級生の葉山紗月と出会う。写真家である紗月が、ある仕事のため沖縄に行くと聞き、現実から逃れるように
遠藤は彼女に同行する。
リゾート地化されたとある孤島に着いた遠藤は、人を襲うはずのないイルカが、調教師に食らいつくのを目の当たりにする。
そして、不気味な水神伝説が語り継がれるこの島での恐怖の日々が始まった。
幻冬社の著者紹介を読むと、黒岩氏は「モダンホラー・エンタテインメントの超新星」とのこと。
どうやらこういう小説は「モダンホラー・エンタテインメント」と呼ぶらしい。
第一部は、細かい章立てで話がぶつ切りになっているという印象だった。早く続きが読みたいのに、
たびたび別のホラーエピソードが割り込んできて、もどかしく、じれったい思いを味わった。そして第二部に
なってからの急展開には驚いた。これが「モダンホラー」と呼ばれる理由なのかなと思う。
ラストもなかなか良かった。こういうオチをつけたかぁと感心しきりだ。ただ、少し冗長だったという気がする。
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