「玩具修理者」「酔歩する男」の計2篇からなる短編集。
「玩具修理者」:近所にどんな玩具も修理してくれる正体不明の人がいた、と彼女は言う。
幼い頃、彼女は弟をおぶったまま、誤って階段から落ち、弟を死なせてしまった。親に怒られると思った彼女は、
弟の死体をその玩具修理者に持っていったのだが・・・。
「酔歩する男」:血沼はある日、パブで奇妙な男に出会った。初対面のはずの小竹田と名乗る
その男は、「あなたと私は、大学時代、親友だった」と言う。それから彼が語りだしたのは、一人の女性をめぐった狂気
の物語だった。
「玩具修理者」は第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作である。
その短編の中に恐怖が凝縮されている。「死体を修理する」という設定自体も怖いが、食事中には絶対に読めない
ような表現の気持ち悪さもある。「酔歩する男」は、中編といっていいくらいの長さがある書き下ろし作品である。
こちらは、精神的に不安になる怖さがあった。
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