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ホラー



『リング』鈴木光司(角川ホラー文庫)
興奮★★★★☆ 笑い☆☆☆☆☆ 涙★★☆☆☆ 熱中★★★★☆ 総合★★★★☆
 言わずと知れた鈴木光司氏の代表作。最近では映画化もされ、そこそこヒットしたようだ。僕は、映画化される前に、テレビドラマで 『リング』を見ていたので、その時の映像を思い浮かべながら読んだ。やっぱり映像化されたものを見てしまうと、イメージが固定されて しまい、自由な想像というのは制限されてしまう。特にこの作品では、見ると1週間後に死んでしまうという恐ろしいビデオを、どのように イメージするかというところが、結構大事な気もするので、やはり映像は、原作を読んでから見るべきだと思った。

 同じ日、同じ時刻に、恐怖と驚愕の表情を残し、四人のティーンエイジャーが不慮の死を遂げる。死因は心臓麻痺。四人のうちひとりの 叔父にあたる浅川和行は、そこに事件の臭いを嗅ぎとり、新聞社系週刊誌の編集部勤務という立場を生かして独自の調査を始める。 そして、彼は、1本の「死を呼ぶビデオテープ」にたどりつく。このテープは、見たら1週間以内にあるオマジナイをしないと、確実に 死に至るというしろものだった。しかし、肝心なオマジナイの部分が、消されていたため、このビデオを見てしまった浅川は、オマジナイ解読に 奔走する。(一部『らせん』の解説から引用)

 あまり詳しく書けないのが残念だが、中盤から終盤にかけて、謎が解明されたと思わせて、最後にどんでん返しが待っているはずだ。 ほんとに最後まで安心できない作品だった。


『らせん』鈴木光司(角川ホラー文庫)
興奮★★★★★ 笑い☆☆☆☆☆ 涙★★☆☆☆ 熱中★★★★☆ 総合★★★★★
 『リング』の続編。でも、『リング』を読んでいなくても、十分楽しめる。はっきりいって、僕は、『リング』よりこっちの方が 数倍恐かった。『リング』以上に荒唐無稽なのだが、妙な説得力というか現実味があって、もしや僕もウィルスに感染してしまったのでは? と考えたりしてしまうほどだ。それと、横尾忠則の口絵も独特で幻想的でよかった。

 息子を事故で亡くした監察医の安藤満男は、ある日、大学時代の友人で謎の死を遂げた男(あえて名は伏せておこう)を解剖する。 彼の冠動脈からは、謎の肉腫が発見され、さらに同じ死因で死亡した人が、他にも数人いることがわかる。その人たちこそが、 「死を呼ぶビデオテープ」を見た人達だったのだ。安藤は、そのビデオテープと浅川が書いたと思われる「リング」という、報告書を読み 恐ろしい事実に気がつく。

 とにかく、詳しく書くと怖さが半減してしまうので、ぜひ読んでほしい。『リング』を読んでいなくても、十分楽しめるが、読んでいると、 より楽しめるだろう。特に、後半は恐ろしい。幽霊やゾンビやジェイソンのようないわゆるホラー的なキャラクターを登場させず、文章で これほど恐がらせる鈴木氏は、ほんとにすごいと思う。


『ループ』鈴木光司(角川書店)
興奮★★★★☆ 笑い☆☆☆☆☆ 涙★★★☆☆ 熱中★★★★★ 総合★★★★☆
 二見馨という少年は、ある日、直感的に世界の長寿村の位置と、重力異常がマイナスを示す位置が一致することを発見する。そしてこれが始まりだった。
 数年後、馨の父は「転移性ヒトガンウィルス」という強力なガンウィルスに感染してしまう。そして、その父が昔、研究していたという人工生命『ループ』 の研究に携わっていた人物が次々と、このウィルスに感染し死亡したことを馨は突き止める。そして、このウィルスの鍵を握るのが「タカヤマ」だった。

 映画にもなった鈴木光司氏の著書『リング』『らせん』。その完結編とも言うべきこの作品『ループ』だが、読む前にあまりいい評判を聞かなかった。 そして、僕が実際読んでみた率直な感想としては、『リング』『らせん』のような怖さ・おもしろさを期待して読むと確かに裏切られる感じはする。 しかし、純粋な完結編として読むと、すべてがすっきりと(?)説明されていて、それでいて、とんでもない結末であるため非常に面白いと思う。 ただ、ちょっと人工生命や遺伝子など理科系の知識が使われていて、文系の僕には少々きつかった。


『図説 日本妖怪大全』水木しげる(講談社+α文庫)
興奮★☆☆☆☆ 笑い★★☆☆☆ 涙☆☆☆☆☆ 熱中★★☆☆☆ 総合★★☆☆☆
 タイトルの通りこの本は、日本の妖怪を水木さんの絵と解説で紹介したものだ。大全と言うくらいだからその数は半端ではなく、400種類以上もの妖怪が絵入りで紹介されている。 僕がこの本を買ったきっかけはもちろん、京極夏彦さんの影響だ。この『図説〜』では、京極作品に出てくるほとんどの妖怪の説明がのっているので、京極作品を読んだ ことのある人は是非一読してほしい。そして、次はどの妖怪が使われるのかなぁ、なんて想像するのも楽しいかもしれない。
 小説とは違い、妖怪辞典的なものなので、ちょっと★の数は少ないが、興味のある人は、手に入れるといいと思う。


『BRAIN VALLEY』【上・下】(瀬名秀明)角川書店
興奮★★★☆☆ 笑い☆☆☆☆☆ 涙★★★☆☆ 熱中★★★☆☆ 総合★★★☆☆
 難しい・・・
 この一言につきます。著者のデビュー作である『PARASITE EVE』も、専門知識を駆使した難解な小説だったけど 今回は、専門知識に加え「神」「魂の交感」「奇蹟」「カオスの縁」「エイリアン」など、宗教的というか哲学的というか オカルト的というか超自然的というか、そんな背景があってより難解になっています。

 とある山間部にある船笠村。そこには、人工生命・心理学・脳科学などの一流の研究者を世界中から 集めた研究所「ブレインテック」がある。それはちょうど谷間に位置するため、「シリコンヴァレー」に ちなんで「ブレイン・ヴァレー」と呼ばれていた。その研究所に研究員として招かれた孝岡は、ある女性と接触した日から エイリアンを見、体外離脱する、など不思議な体験をするようになる。そして、彼は、自分が、ブレインヴァレーに 呼ばれた真の目的と、その背後で進められる、驚くべきプロジェクトを知ることとなる。

 とまあ、こんな内容なのですが、はっきり言って僕には、難しすぎてその良さが十分伝わってきませんでした。 『PARASITE EVE』のような面白さ、怖さを期待して読むと失望するかもしれません。しかし、上・下巻計2冊を一気に 読ませてしまう勢いのようなものは感じられます。2月下旬に、この本のガイドブック(何か妙な表現?)が発売される そうなので、それを読んでから、もう一度読んでみたいなと思いました。


『幻想ミッドナイト』 京極夏彦・綾辻行人ほか(角川書店)
笑い☆☆☆☆☆ 涙★☆☆☆☆ 恐怖★★★☆☆ 総合★★★★☆
 その昔テレビ朝日で放送していた「幻想ミッドナイト」というドラマの原作集。「幻想ミッドナイト」は、テレビ朝日版「世にも奇妙な物語」といった感じの番組で、 日常に潜んでいる恐怖をテーマに放送していた。

 この本に収められている話の原作者をザッとあげてみる。
 赤川次郎・綾辻行人・飯田譲治+梓河人・京極夏彦・鈴木光司・高橋克彦・筒井康隆・宮部みゆき・夢枕獏の、計10人だ。なんと豪華なラインナップなんだろう。まあ、 このドラマのためにわざわざ書き下ろした小説というのは、あまりないのでそれほど凄いことでもないのかもしれない。それでも、今をときめく作家の短編が、この1冊で読めてしまうのは なんともうれしい。僕は、先にドラマで映像として見てしまっているので、それぞれの話の結末を知っていたのだが、やはり活字と映像は、恐怖の度合いが異なるようだ。 ん〜、今回は非常に感想が書きにくい。まあ、とにかく十人十色でどれも良かったです。


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