小林夫妻は、結婚してすぐ一戸建てを買った。幸せなはずの新婚生活は、他ならぬその家のために、最悪なものとなった。
家中いたる所にカビが異常繁殖し、ついに妻はノイローゼになる。そして、この異常事態は、最近加入した生命保険会社が始めた
占いサービスによって予言されていた。困った夫は、黒田龍人という風水師に相談する。彼と彼のパートナーのミヅチの調査により、
夫が加入した保険会社の背後に恐るべき邪悪な存在があることを突き止める。
風水ホラー小説。
本書を読むと、風水の基本的な知識がつきそうな気がする。数年前からちょっとした風水ブームだが、ほとんどの人は、根拠や
仕組みもわからず、「西に黄色で金運UP」などといわれたら、その通りに従っているだけだと思う。まあ、結果がよければ
「風水とは?」なんて知る必要もないかもしれないが、風水にちょっとでも興味のある人は、一度本書を読んでみてはどうだろうか。
ホラー小説としては、場面の切り替えと時間の経過が唐突で、怖さを感じるよりストーリーを追うのに精一杯になってしまった。
それと、主人公の黒田がクールそうでパニックに陥ったり、博学そうでいてそうでもなかったり、万能そうでいて万能じゃなかったりと、
何となく人物像がつかみにくい中途半端な感じがした。まあ完璧な人などいないから、逆に人間らしくてよいかもしれないが、
少し気になった。
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