神陰流の流祖・上泉伊勢守秀綱は、故郷の上州を離れ、剣の道を追及するため漂泊の旅に出た。その道中で、柳生の評判を
耳にした秀綱は柳生の里を目指すことにした。
秀綱が来ると知った柳生宗厳(のちの石舟斎)は、慢心、過信、未熟さゆえ、無謀にも秀綱に手合わせを願った。
秀綱の前に手も足も出なかった宗厳は、即刻秀綱に入門する。そして、秀綱が理想とする「無刀取り」の境地に
到達することを誓う。
『柳生石舟斎』というタイトルだが、内容は、序盤―上泉伊勢守、中盤―柳生石舟斎、終盤―柳生但馬守宗矩にそれぞれ
スポットが当たっている。
現在放送しているNHK大河ドラマ「武蔵」は、かなり視聴率は悪いようだが、僕はほぼ毎週見ている。その「武蔵」の
中に柳生石舟斎が出てきたのだ。藤田まことが演じた石舟斎は武蔵相手に「無刀取り」を見せる。その奇妙な構えの無刀取りや、
石舟斎という人物に興味を持ったので本書を読んでみた。
真田幸村、坂本竜馬と同じくらい柳生一族にはまりそうだ。それほどに面白かった。真田幸村の本を読んでいたときは、
憎くて仕方なかった徳川家康だが、本書を読んで家康観が変わったというか、家康もなかなか面白いやつ、と思うようになってしまった。
全く僕は影響されやすくて困る。
|