長州藩の吉田松陰は幼くして養父を亡くし、5歳で吉田家の当主となる。さらに、家学である山鹿流兵法の後継者として、
ゆくゆくは藩の兵学教授にならなければいけなかった。そのため、5歳から徹底したスパルタ教育を受ける。
成長した松陰は、江戸へ留学し、様々な学問を吸収、多くの友に出会う。ある日、松陰は、その友人と旅行の約束をする。
友人との約束を重んじた松陰は、藩命にそむき勝手に出発してしまう。脱藩の大罪をおかした松陰は、国を追われ浪人となってしまう。
そんな時期、浦賀に黒船が姿を現す。
長州藩の吉田松陰と高杉晋作にスポットをあてた歴史小説。ただし、一巻では高杉晋作は登場しない。
幕末を舞台にした小説をいくつか読んだが、松陰の印象は薄かった。松下村塾で多くの人物を輩出し、安政の大獄で
死罪になった、というくらいの知識しか残っていない。本書を読んで、どうして印象が薄いかわかった。松陰は、おく手で、
真面目で、学者肌なので、表舞台に立ち戦って生きる派手さもしくは華やかさがないように思うのだ。続きを読めば、その評価は変わる
かもしれないが。
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