まともに取りあう気はなかった。人殺しがしたいので手伝ってくれなどという依頼は聞いたことがない。
わたしは断った。探偵とは名ばかりで、わたしは事故専門の調査員なのだ。が、その依頼人が翌朝死体になって見つかった。
人間にはできることとできないことがある。わたしにはできないことかもしれないが、探偵のまねごとをやってみる気になりだした…。
(本書あらすじ引用)
作家になりたいスタンリー・ヘイスティングズは執筆のかたわらにできる仕事を探していた。そんなときに弁護士事務所の
事故専門調査員の仕事を紹介してもらった。条件は2つ。車を持っていることと、私立探偵のライセンスをとること。そんなわけで
ヘイスティングズは、私立探偵のライセンスは持っているけど、探偵ではないのだ。
そんなヘイスティングズは、臆病で控えめで暴力を好まずシャレたセリフも言わない40歳の男だ。小心で臆病な彼は
時に大胆不敵な行動を見せる。そしてしだいに私立探偵らしくなっていく。そんな彼は、最後のほうで「本物の探偵」とは
何だろうかと考え始める。このシーンを読むと著者が原書のタイトルをそのままずばり『DETECTIVE』にしたのが
わかる気がする。
ストーリーと直接関係ないが、本書を読むとアメリカの訴訟大国ぶりがうかがえて面白い。
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