HOME 著者名 タイトル ジャンル

パーネル・ホール


『探偵になりたい』パーネル・ホール/田村義進訳(ハヤカワ文庫)
笑い1.5点 涙0点 恐怖0.5点 総合4.5点
 まともに取りあう気はなかった。人殺しがしたいので手伝ってくれなどという依頼は聞いたことがない。 わたしは断った。探偵とは名ばかりで、わたしは事故専門の調査員なのだ。が、その依頼人が翌朝死体になって見つかった。 人間にはできることとできないことがある。わたしにはできないことかもしれないが、探偵のまねごとをやってみる気になりだした…。 (本書あらすじ引用)

 作家になりたいスタンリー・ヘイスティングズは執筆のかたわらにできる仕事を探していた。そんなときに弁護士事務所の 事故専門調査員の仕事を紹介してもらった。条件は2つ。車を持っていることと、私立探偵のライセンスをとること。そんなわけで ヘイスティングズは、私立探偵のライセンスは持っているけど、探偵ではないのだ。
 そんなヘイスティングズは、臆病で控えめで暴力を好まずシャレたセリフも言わない40歳の男だ。小心で臆病な彼は 時に大胆不敵な行動を見せる。そしてしだいに私立探偵らしくなっていく。そんな彼は、最後のほうで「本物の探偵」とは 何だろうかと考え始める。このシーンを読むと著者が原書のタイトルをそのままずばり『DETECTIVE』にしたのが わかる気がする。
 ストーリーと直接関係ないが、本書を読むとアメリカの訴訟大国ぶりがうかがえて面白い。


『犯人にされたくない』パーネル・ホール/田中一江訳(ハヤカワ文庫)
笑い3.0点 涙0.5点 恐怖0点 総合4.5点
 もう探偵はやめたはずだった。しかし、息子のトミーが私立の幼稚園に合格してしまったため、高い授業料を 払わなければならなくなったのだ。仕方なく私は探偵に復帰した。ところが復帰して間もなく、 事件に巻き込まれた。しかも殺人の容疑をかけられ連行されてしまったのだ。

 スタンリー・ヘイスティングズシリーズ2作目。
 今回は、妻の友人であるパメラが、写真をネタに脅され売春を強要されているから助けてほしい、という 妻の強硬な頼みに負けてしぶしぶ引き受ける。そして、探偵に復帰したのは息子の教育費を稼ぐため。 こんな妻に弱い優しいパパがハードボイルドの主人公というだけで笑える。さらに今回は、 偶然死体を発見してしまい、あろうことか吐いてしまうのだ。死体を見て吐く探偵なんて 聞いたことがない。さらにさらに、殺人犯に会いに行くべく車を運転していると、あまりの恐怖で 震えてしまい、しばらく路肩で休むのだ。こんな怖がりで、どじなスタンリーだが、たまに勇気ある行動をとる。 そのギャップがこのシリーズの面白味でもあるかなと思う。


HOME 著者名 タイトル ジャンル