栄光のオランダ・フランドル絵画展
東京都美術館
2004.4.15-7.4
 ウィーン美術史美術館所蔵のフェルメール「画家のアトリエ」という絵画が日本で見られるのは特筆すべき ニュースと言える、なんていう宣伝文句に踊らされるがまま、東京都美術館に行くことを決めた。
 フェルメールの絵画は30数点しか現存していないらしく、「画家のアトリエ」は、そのなかでも一番大きなサイズの 絵だそうだ。この絵を、目玉にしているだけあって、この絵は、一番最後に展示して、詳細な解説が付けられていた。 モデルを立たせて、絵を描いているフェルメール(?)の姿を、描いているという面白い絵で、光の感じとかたしかに キレイだった。けど、あまり良さは理解できなかった感じ。絵に詳しい人だったら、「おぉ」って 感動するんだろうなぁ。
 そのほかには、ルーベンス、レンブラント、ファン・ダイクといった有名どころなどを含めて、 計60作くらいが展示されている。宗教画と言うのか、神話や聖書の登場人物を描いた絵が結構 あったのだが、どうして神様、女神様というのは、半裸もしくは全裸で描かれているんだろうか。 裸=美なのか。神様は服を着ない存在なのか。理由が知りたい。
 行列してまで見る程かどうかは微妙だが、フェルメールが見られるチャンスはあまりないようなので、 興味がある人は、行ってみては。

 


STAR WARS SCIENCE and ART
国立科学博物館
2004.3.20-6.20
 スターウォーズの撮影に使われた模型、小道具、衣装などが400点あまり展示されている見ごたえたっぷりの展覧会。
 入ってすぐに「スター・デストロイヤー」という巨大宇宙戦艦の模型があり、その大きさと、部品の細かさに度肝の抜かれた。 同じく「ミレニアム・ファルコン」の模型もあったが、これもかなり精密に作られていて、攻撃を受けたところはちゃんと 船体が焼け焦げていたりしていた。ただの飾りではなくて、ちゃんと撮影で使ったんだなという感じが見受けられた。 戦艦や乗り物系の模型は、かなりたくさんあったが、なんと言っても一番驚いたのは、実物大のポッドレーサーだろう。 アナキンと、セブルバのポッドレーサーが展示してあったのだが、実際に動きそうなくらいしっかりとした構造になっていて、 こうした模型の数々を見ていると制作費と製作日数が気になって仕方なかった。展示品のタイトルの横に、レストランのメニューにある カロリー表示のように、制作費と日数を表示しておいて欲しかったなぁ。
 模型は、たしかに素晴らしかったのだが、衣装が実は結構、チャチなつくりだった。ダースベイダー、ルーク、レイア姫、ハン・ソロ、 チューバッカ・・・などなど上げればキリがないほどメインキャラクターの衣装がズラリと展示してあった。遠めで見ると、 「映画で見たあのキャラクターの衣装だ!」という感動があるのだが、近寄ってみると、胸についているスイッチが木で出来ていて しかも、そのペンキがはがれかけていたり、全体的に素材もなんだか安物っぽい感じがしたりと、ちょっとファンタジーから現実に 引き戻されたような感覚に陥った。模型に金を掛けすぎたのだろうか。とはいえ、エピソード1のアミダラの衣装などを見ると、 かなり作り込んであってちょっと安心した。
 ヨーダやR2-D2、C-3POなど、スターウォーズを見たことないような人でも、きっと知っているだろうという、有名なキャラの 実物も展示してあったりするので、スターウォーズを知らない人でもある程度は楽しめると思う。スターウォーズ大好きな僕にとっては、 まさに夢のような展覧会だった。これで、一段と映画が面白く見られること間違いなし。


MoMA ニューヨーク近代美術館展
モダンってなに?―アートの継続性と変化、1880年から現在まで

森美術館
2004.4.28-8.1
 あの六本木ヒルズ森タワーの53階にある森美術館に行ってきた。損保ジャパン東郷青児美術館よりもさらに上空にあり、 今回も一気にエレベーターで昇ったので、耳が気圧でおかしくなった。
 1880〜1920年「根源に向かって」、1920年〜1950年「純粋さを求めて」、1950年〜1970年「日常性の中で」、1970年〜「変化に向かって」 という四部にわけて、それぞれの時代のアーティストの作品が展示されていた。正直言って、年代が新しくなるごとに、 どんどん理解不能になっていった。最初の方は、ゴーギャン、デ・キリコ、ムンク、マティス、ピカソなど、よく知られた画家とか、 とりあえず何が描いてあるか分かる絵画が多かった。でも、先に進むと、映像を使った作品や、石ころを並べた作品や、キャンバスを 青一色で塗っただけの作品や、様々なポスターをちぎって貼り付けた作品、フェルトで出来たスーツ、三色のキャンディの山など 表現方法が様々で、もう理解が追いつかない。アーティストの人は、これで何を表現しているのだろうか、と考えようにも、 全く想像できない。青一色の絵を見て、何を感じればいいんだ?「キレイな青だな」と思ったけど、それ以上のことは何も…。
 何が描いてある絵かわからないことが多そうだったので、僕は、タイトルを見る前に、これは何を描いた絵か、何ていうタイトルの絵か、 を考えながら見てみた。「山火事の絵だな」と思ったら、『日本の橋』(クロード・モネ)だったり、「男女が喧嘩でもしている絵かな」 と思ったら『雌オオカミ』(ジャクソン・ポロック)だったり、「握りこぶしの絵だな」と思ったら、『接吻W』(エドヴァルト・ムンク)だったり。 全然当たらない。
 それでも、僕が一番楽しみにしていた、ルネ・マグリット『光の帝国U』や、フランク・ロイド・ライトの採光窓などなど、 欲しい!と思うものは結構あった。あと、なぜかわからないけどエミール・ノルデという聞いたことのない画家の『子供たちの中のキリスト』 という絵が強く印象に残った。
 開館してすぐに入ったので、適度な混み具合でとてもゆっくり堪能できた。見終わってから、ミュージアムカフェで、52階の景色を 見ながら一休みした。うす曇だったのが残念だった。


世紀の祭典万国博覧会の美術
東京国立博物館
2004.7.6-8.29
 2005年に愛知万博が開かれることを記念して、今回の展覧会が開催された。
 万博って、最近はあまり開催されてないんだろうなと思っていたら、そうでもなくて、 1990年代には5回、2000年に入ってからもすでに2回開かれているのだ。その中には、 花博とか園芸博覧会などの特別博も含まれてはいるけれど、思っていたよりずっと多い。

 今回は、日本が最初に出品した1867年のパリ万博、1873年のウィーン万博、1893年のシカゴ万博、 1900年のパリ万博など19世紀から20世紀初頭の万博に出品された日本の工芸品、美術品が 展示されている。それと同時に、ジャポニズムの影響を受けた西洋の美術品なども展示されていた。
 日本の技術はすごいんだぞ、というのを見せつけるために、巨大な花瓶や香炉とか、 やたらと凝ったデザインの工芸品などが多かった。ちょうど幕末から明治になる頃だから、 新生日本の素晴らしさを世界に知らしめるのに必死だったのだなぁと思った。
 僕は正直言って、陶器、茶器とか花瓶とか蒔絵とかあまり興味がない。今回の展覧会は、 ほとんどそういった工芸品ばかりだったので、少々退屈した。しかし、僕の好きな自在置物が あったし、僕好みのデザインの香炉などもあった。それと、美術の教科書で見たことがある 高村光雲の老猿があったのだが、大人ひとりでは持ち上げられないくらいの大きさだったのが 意外だった。イメージとしては木彫りの熊サイズかなと思っていたのだ。まあ、いろいろ発見もあったり、 凝ったデザインの工芸品も数々あったりするので、行って損はないと思います。



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