シルクムーンライト


4歳時で、古馬初対戦にして初の重賞制覇。これはシルクムーンライトが作った素晴らしい記録。北九州記念で4歳馬が勝ったのはシルクムーンライトが勝った平成5年が実に17年ぶりだった。

第28回北九州記念(GV)。 この年は冷夏と長雨で、例年熱気に包まれて焦げ付くような日差しの下で行われる小倉とはまったく違う雰囲気の中で、小倉競馬が開催されていた。そんな中での、真夏の重賞第一弾に1頭の4歳牡馬が参戦してきた。シルクムーンライトだ。

北九州記念から遡る事一ヶ月とちょっと。シルクムーンライトは4歳最高峰のレース『日本ダービー』に出走していた。とても万全とは言えない状態だった。しかし、ダービーと言う一生に一度しか巡って来ないレースに出走させたいと言う馬主さんの意向もあり、急仕上げを覚悟で出走する事になった。結局ダービーでは惨敗(優勝はウイニングチケット)。結局クラシックレースは骨折が響いて活躍出来なかった。

そんな中出走したのが北九州記念だった。ダービーでの走りを見る限り、体調が良くなってきたと言うものの古馬に混ざっての重賞レースでは少々荷が重いだろうと言うのが、関係者の大方の予想だった。この年の北九州記念出走馬は次のような馬達だった。ウィッシュドリーム、ホクセイシプレー、グラールストーン(ナイスネイチャの弟)、スナークベスト、エイティボレー、マルカアイリス(前年の小倉3歳チャンピオン)、スペインランドなどなど。

戦前の予想では、スナークベストが飛ばすのか、それともグラールストーンが行くのかと注目された先行争いだった。しかし、スッと先頭に立ったのはその二頭ではなくシルクムーンライトだった。別に無理をして先頭に立った訳ではなくスムーズなスタートから馬の気持ちにあわせてすんなりと先頭にたったのだった。

人気の差し馬のウィッシュドリームの動きを他の馬が意識しすぎたのか、前を行くシルクムーンライトと土肥騎手に競りかける馬は居ず、気分よく逃げている。そして4コーナーへ。「後方の馬はまだ来ないのか?」勝利は間近に近づいているものの半信半疑だったと言う土肥騎手の話だが、道中の絶妙なペース配分も手伝い歴戦の古馬を尻目に堂々と逃げ切ってしまった。

この年の北九州記念の勝利は、土肥騎手にとっては3度目の制覇。高々と上げた左手には三本の指を差し出していた。そしてこの北九州記念でシルクムーンライト&土肥コンビは小倉競馬場始まって以来初めてのウイニングランをした。この時の勝利はシルクムーンライトにとって一年ぶりの勝利だった。北九州記念から一年前の3歳時、デビューを飾ったのは、灼熱の小倉の地だった。

1999年06月16日

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