高句麗

(前33?〜668)
前1世紀頃、東満州にツングース系貊族が建てた国。
始祖は伝説では朱蒙。
言語風俗は扶余に似ており、その別種といわれる。
北は扶余、東は沃沮、西は遼東、南は韓と接する。
王の下には相加・対廬・沛者・古雛加などの官位が置かれた。
(三国時代当時)
 
紀元32年、後漢の光武帝に独立を認められる。
以後服従背反を繰り返し、2世紀後半からは台頭してきた遼東の公孫氏と争う。
209年、公孫氏に追われた山上王伊夷模は鴨緑江北岸の国内城(丸都城)
に都を定めた。
山上王の子東川王は魏の毋丘倹の討伐を受け、北沃沮に亡命した。
4世紀初、美川王は楽浪郡・帯方郡を滅ぼし、晋の半島支配を脱した。
4世紀末、広開土王が即位すると、百済・倭を破り、新羅を服属させた。
広開土王の子長寿王の時代に、都を平壌に移し、最盛期を迎える。
7世紀初、隋の煬帝から三度の大遠征を受け、国力を消耗し衰退。
668年、唐・新羅の連合軍に敗れて滅亡した。

高句麗系図

中国皇帝 年号 王・族長 事跡
武王 前12C 箕子 紂王の叔父箕子、武王から朝鮮に封じられる。(伝説)

前4C
燕の侵入始まる。
始皇帝 前214 始皇帝、蒙恬に長城を遼東まで増築させる。



否、秦に服属する。
高祖 前195 燕人衛満、朝鮮に亡命する。
恵帝 前194 衛満 衛満、箕子朝鮮を滅ぼし、衛氏朝鮮を建国する。
武帝 前108 衛右渠 武帝、衛氏朝鮮を攻め滅ぼす。



武帝、楽浪・玄菟・真番・臨屯郡を設置する。
昭帝 前82
真番・臨屯郡廃止される。
元帝 前33 東明王 東明王(朱蒙)、高句麗を建国。(伝説)
成帝 前19 東明王 東明王死す、子の瑠璃明王(孺留)が後を継ぐ。(伝説)
王莽 後9 瑠璃明王 王莽、高句麗王を降格して侯とする。
王莽 12 瑠璃明王 王莽、高句麗を討伐し、国号を下句麗とする。
王莽 18 大武神王 瑠璃王死す、子大武神王(無恤)が後を継ぐ。
王莽 21 大武神王 大武神王、夫余を討つ。
光武帝 32 大武神王 大武神王、後漢に朝貢、光武帝から高句麗王に封じられる。
光武帝 37 大武神王 大武神王、楽浪郡を滅ぼす
光武帝 44 大武神王 後漢、楽浪郡を回復 大武神王死す、弟閔中王(解色朱)が後を継ぐ。
光武帝 48 閔中王 閔中王死す、甥慕本王(解憂)が後を継ぐ。
光武帝 53 慕本王 慕本王死す、従弟太祖大王(宮)が後を継ぐ。
和帝 105 太祖大王 太祖大王、遼東に侵入する。
安帝 121 太祖大王 後漢、高句麗を攻める 太祖大王死す、子の次大王(遂成)後を継ぐ?
桓帝 165 次大王 次大王家臣に殺害される、末弟新大王(伯固)後を継ぐ。
桓帝 166 新大王 新大王、匈奴・烏桓・鮮卑と漢に侵入する。
霊帝 169 新大王 新大王、玄菟太守耿臨に降伏する。
霊帝 179 新大王 新大王死す、子の故国川王(男武)が後を継ぐ。
霊帝 184 故国川王 故国川王、公孫度と戦う。
霊帝 190 故国川王 故国川王、公孫度の遼東平定に協力する。
献帝 197 故国川王 故国川王死す、弟山上王(伊夷模)が後を継ぐ。
献帝
山上王 公孫康、高句麗に侵攻する。 山上王の長兄抜奇、公孫氏と結ぶ。
献帝 209 山上王 山上王、公孫康に敗れ国内城(鴨緑江北岸)に都を移す。



抜奇、息子の駮位居を高句麗の故地に残す。
曹丕 227 山上王 山上王死す、庶子東川王(位宮)が後を継ぐ。
曹叡 233 東川王 呉の孫権の部下、公孫淵に追われ、東川王を頼る。
      東川王、呉に使いを送る。
曹叡 234 東川王 東川王、魏との内通を疑われ、孫権の使者に謝罪する。
曹叡 236 東川王 東川王、孫権の使者の首を切り、洛陽に届ける。
曹叡 238 東川王 東川王、司馬懿の公孫氏討伐に協力する。
曹芳 242 東川王 東川王、魏の西安平に侵入し、略奪を行う。
曹芳 244 東川王 東川王、魏の毋丘倹と梁口で戦って敗れ、丸都城を占領される。
曹芳 245 東川王 魏の弓遵、高句麗治下のワイを討ち、降伏させる。
曹芳 246 東川王 東川王、沃沮に逃亡する。が、魏の王[斤頁]に追撃される。
曹芳 247 東川王 東川王、平壌に祖廟を移す。(遷都?)
曹芳 248 東川王 東川王死す、子の中川王(然弗)が後を継ぐ。
曹髦 259 中川王 中川王、鴨緑江支流で魏と戦い勝利する。
司馬炎 270 中川王 中川王死す、子の西川王(薬廬)後を継ぐ。
司馬炎
西川王 鮮卑の慕容カイとの抗争が勃発する。
司馬衷 292 西川王 西川王死す、子の峰上王(相夫)が後を継ぐ。



慕容カイ、西川王の墓を暴く。
司馬衷 300 峰上王 峰上王、家臣団に廃され自殺する。 甥の美川王(乙弗利)が後を継ぐ。
司馬衷 302 美川王 美川王、玄菟郡を回復する。
司馬熾 311 美川王 美川王、西安平を占領する。
司馬ギョウ 313 美川王 美川王、楽浪郡と帯方郡を滅ぼし、晋の半島支配を排除する。
司馬ギョウ 315 美川王 美川王、玄莵城を攻め破る。
司馬睿 319 美川王 美川王、慕容カイと戦い敗れる。
司馬睿 320 美川王 美川王、遼東に侵攻する。
司馬衍 330 美川王 美川王、後趙の石勒に使いを送る。
司馬衍 331 美川王 美川王死す、子の故国原王(斯由)が後を継ぐ。
司馬衍 339 故国原王 前燕の慕容[皇光]、高句麗に侵入する。
司馬衍 340 故国原王 故国原王、慕容[皇光]に王子を遣わして朝貢する。
司馬衍 342 故国原王 前燕の慕容[皇光]、高句麗に侵入、丸都城を破壊する。



慕容[皇光]、故国原王の后を捕虜とし、美川王の墓を暴く。
司馬岳 343 故国原王 故国原王、慕容[皇光]に臣従する。
司馬奕 369 故国原王 故国原王、百済を攻め、敗北する。
司馬奕 370 故国原王 故国原王、前燕の亡命者慕容評を前秦に送る。
司馬c 371 故国原王 故国原王、百済と平壌で戦い、流れ矢に当たり戦死する。



子の小獣林王(丘夫)が後を継ぐ。
司馬c 372 小獣林王 前秦の僧順道(スンド)が仏像・経文を伝える。
司馬曜 373 小獣林王 小獣林王、律令を制定する。
司馬曜 374 小獣林王 広開土王生まれる。
司馬曜 375 小獣林王 小獣林王、肖門寺・伊弗蘭寺を創建する。
司馬曜 377 小獣林王 小獣林王、前秦に朝貢する。
司馬曜 384 小獣林王 小獣林王死す、弟の故国譲王(於只支)が後を継ぐ。

385 故国譲王 故国譲王、後燕の慕容垂と戦い敗れる。


故国譲王 故国譲王、仏教の信奉を命じる。
司馬曜 390 故国譲王 故国譲王、国社・宗廟を建てる。


故国譲王 故国譲王、百済の攻撃を受ける。
司馬曜 391 故国譲王 故国譲王死す、子の広開土王(談徳)が後を継ぐ。
司馬曜 392 広開土王 広開土王、百済を攻める。
司馬曜 394 広開土王 広開土王、百済を攻める。
司馬曜 395 広開土王 広開土王、百済を攻める。
司馬徳宗 396 広開土王 広開土王、後燕の慕容宝から平州牧・遼東王に任じられる。



広開土王、百済を降伏させ、百済北部を領有する。
司馬徳宗 398 広開土王 広開土王、粛慎を征伐する。
司馬徳宗 400 広開土王 広開土王、新羅救援の為、倭と戦い勝利する。



後燕の慕容盛、高句麗を攻める。
司馬徳宗 402 広開土王 広開土王、後燕と戦う。(〜407)
司馬徳宗 404 広開土王 広開土王、百済と倭の連合軍を破る。
司馬徳宗 410 広開土王 広開土王、東扶余に親征する。
司馬徳宗 413 広開土王 広開土王死す、子の長寿王(巨連)が後を継ぐ。
司馬徳宗 414 長寿王 長寿王、広開土王碑を建てる。
劉義隆 427 長寿王 長寿王、都を国内城から平壌に移す。