ハイツのフキノトウで一杯

 3月中頃の雨の夜、ハイツに至る新しい階段の脇にフキノトウを見付けました。2つばかり持ち帰り、早速手で細かくちぎり、ありあわせの味噌にすり混ぜて酒の肴にしました。独特の苦みと香気は春の気分を感じさせてくれ、桜に先だつハイツでの楽しみが1つ増えました。

 4月から管理組合の総務を担当させて頂いています。何かの参考にとこれまで配付され手元に残っていたハイツに関する資料を整理していたら、ガリ版刷りの「ハイツニュース」第1号や「ハイツ内の植物一覧表」などが出てきて懐かしく読み返しました。入居の頃の桜や欅の幹が細かったことを思い出します。新しい階段の脇には今はフキの花が咲きおわり葉が育っています。(「永山ハイツニュース」106号 1995年5月)


ハイツのリゴボウに乾杯

 秋の草取りデーに集会所の松林側で数本のキノコを見つけました。カサの直径は10センチ前後、ぬめりがあり色は黄褐色、カサの裏はスポンジ状なのでイグチ(猪口)の類だろうと思い摘み採りました。ハイツの古老(?)に尋ねたところ「これはリゴボウだね、食べられるよ、以前はハツタケなんかも出たんだがね」と、こちらの期待していた答え。味噌汁の具にしたところ、ヌルッとした舌ざわりでひと味ちがう感じがしました。数日後、スーパーの袋を用意して松林に入りこみましたが、目につくのはカサが赤色、イシツキが白色のベニタケの類ばかりでした。

 今年の秋にお目にかかったら、ナメコオロシ風に調理して「ハイツのリゴボウに乾杯」するのを楽しみにしています。(「永山ハイツニュース」108号 1996年1月)


ベランダからの花見酒

 グリーン広場の北側に10本ほどの桜並木があります。2月のある朝、出掛けに桜の枝の間に小さな動くものが目に入り、よく見ると常連のヒヨドリではなく数羽のメジロでした。おそらく近くにある椿の花が目当てなのでしょう。僕は桜の枝に小さな蕾を見つけ、それ以来「もうじきだな」と思い続けています。生憎、住宅管理組合の方は平成8年度も役員候補となっており、こちらの方は「もうじき」とはいかないようです。

 満開の花の頃、ベランダに椅子を持ち出し、ハイツに根付いて19年のソメイヨシノの花びらがハイツ風(ビル風)に舞い上がる様を肴に一杯やるのが今から楽しみです。(「永山ハイツニュース」109号 1996年3月)


春の永山ハイツ

 4月7日の草取りデー、ハイツの周辺の雑木林に入り空き缶やビニール袋を拾っていたら、しばらく見なかったコジュケイの群れに出会いました。頭のてっぺんが赤褐色で群れてチョコチョコ歩く様子が面白く、数えてみると十羽と以前と同じ数なのでなんとなくホッとしました。午後ベランダに椅子を持ち出し、缶ビールを片手にシジュウカラやメジロが枝から枝へ飛び交うハイツの桜を眺めていると、嘴を花粉で黄色くしたヒヨドリがベランダの手すりに来て満足そうな顔を見せてくれました。いい心持ちでいると頭上を何か黒いものがよぎる気配がし見上げると二・三羽の初ツバメがハイツの上空を旋回しています。

 楽しみにしていた百武彗星は見ないままに終わりそうですが、まあまあの春の永山ハイツです。(「永山ハイツニュース」110号 1996年5月)


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