俳句歳時記【顎にラリアート】





エンタイアが趣味の中原道夫主宰銀化俳句会で精進しています。

爾来一筋蟻穴を出でしより(主宰)

「春」



マシュマロのような春風われを抱き
恋猫や昼行灯に活を入れ
アメーバも恋していいよ春の水
春塵の書架古をおぼゆかな
菜の水温み夕餉の人を待つ

「梅雨から初夏」

麦の秋ひかりのこども生まれけり
野の仏切れし蜥蜴の尾を拝み
石塔を砕き石榴の花となる
萬緑やふらここ空をひとまたぎ
メジロ来てチチチチ父と吾子駆くる
メビウスの帯に潜みし青葉闇
大西日けふの根つこを見に走る
鮎刺しや迷ひなきこと良しとせり
真つ直ぐに見る癖つけな捩り花

「夏」







上の二句は俳句王国に出演の時の句です

小麦色麦わら帽におさまらず
雲の峯五段活用教へけり
星涼し夢を語れる人と逢ふ
北国のほとばしるねぶたかな
向日葵は一本筋を通しきり
原爆忌何もなかったやうな街

「秋」


鬼灯の肋を過ぎし風に色
赤とんぼ蒼の深さに染まらざる
来し方の皺に余白の敬老日

「初冬から新春」


光年は孤独の測り冬銀河
葛湯かげん聞いて御座すか喉仏
初雪や闇の形を教えけり



Copyright(C) 1999-2009 Tsuyoshi Hata, Japan. All Rights Reserved.