FILMS/

ネネットとボニ NENETTE ET BONI 

[INFO] [INTRO&STORY] [GENERIQUE] [IMPRESSION]

[FILMS TOP] [HOME]


「ネネットとボニ」(1996)NENETTE ET BONI

クレール・ドゥニ監督

配給:キネティック

1996年ロカルノ国際映画賞3冠独占受賞●グランプリ●最優秀男優賞:グレゴワール・コラン●最優秀女優賞:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ

10月31日(土)〜新宿:シネマスクエアとうきゅうにて


[INTRO&STORY]

前作、『パリ、18区、夜。』で熱烈なファンを生んだクレール・ドゥニ監督の最新作『ネネットとボニ』は、両親の離婚によって引き離された兄と妹が、互いに反発し、傷つけあいながら、心のどこかで求めあう姿を繊細に描き出し、観る者を深い感動で包み込む。舞台は犯罪が日常化している港町マルセイユ。愛する母親の死後、移動ピザ屋で生計を立て、一人で暮らすボニ。小さなウサギを飼い、毎晩、豊満な肉体のパン屋の女房を犯すことを夢みている。そんなボニの聖域に寄宿学校を脱走して突然転がり込んできた妹の存在はなにかと彼の気に障る。しかし、ネネットが妊娠していることを知った時から、不思議な温もりが彼の心を満たしていく。そして次第に育まれていく胎児への愛情がボニを驚くべき行動に走らせる・・・。J=P・メルヴィルの『恐るべき子供たち』(49)や、成瀬巳喜男の『あにいもうと』(53)、フレディ・ムーラーの『山の焚火』(85)など、兄妹や姉弟をテーマにした映画史上の名作に名を列ねる新たな傑作の誕生である。

白いピザの生地、ウサギの毛、ゆらめく朝の光、寝起きのままのシーツ・・・

まるで顔を埋めて微睡みたいような優しさに満ちた触覚的で官能的な映像世界。

プールの青い反映のなかに深紅のTシャツ姿のまま浮かび、豊かな黒髪を水に漂わせているネネット。この美しい冒頭のシーンは、映画全体のテーマをさりげなく象徴している。すべてを優しく包み込み、漂う水、羊水、母性・・・。光、音、匂い、肌触りといった感覚的要素まで脚本に書き込むというドゥニの演出は、大きな母性のテーマを観客の五感を通してうったえる。ボニの性的妄想を官能的な映像で捉え、対象をなめるようなカメラワークを見せるのは、ドゥニ作品には欠かせない撮影のアニエス・ゴダール。漂うような雰囲気を音楽面で支えているのは、カルト的な人気を誇るイギリスのバンド、ティンダースティックス。彼らの手掛けた『ネネットとボニ』のオリジナル・サントラはヨーロッパでも名盤になっている。

一つの頂点を極めた最高の演技!「グレゴワール・コランの演技はケタはずれだ!」ヴァラエティ

不器用に妹をいたわるボニの優しさや、複雑な心の変化を見事に演じているのは『オリヴィエ・オリヴィエ』(92)『ビフォア・ザ・レイン』(94)など、母性本能をくすぐる神秘的なマスクで日本にもファンの多いグレゴワール・コラン。250年続くという俳優一家の血はこの映画で完全に開花し、ボニ役は彼自身「一つの到達点」と自負している。共演のネネット役にはアリス・ウーリ。15歳にして驚くほど自立し、妊娠の事実にもうろたえないクールなネネット役を、彼女は自然体で見事に演じきった。エロスの象徴のように豊満な肉体のパン屋の女房役に「おせっかいな天使」(93)のヴァレリア・ブルニ=テデスキ、パン屋の主人に「アリゾナ・ドリーム」(93)などで不思議な男の色気を発散させる俳優ヴィンセント・ギャロ他、脇を固める俳優陣も個性派揃い。

(以上、チラシよりそのまま転載)


[INFO] [INTRO&STORY] [GENERIQUE] [IMPRESSION] [TOP]


[GENERIQUE]

監督:クレール・ドゥニ

撮影:アニエス・ゴダール

音楽:ティンダースティック

出演:グレゴワール・コラン、アリス・ウーリ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、ヴィセント・ギャロ、ジェラール・メイラン


[IMPRESSION]

(グレゴワール・コランって誰だったっけ?という人へ)

14〜5歳の男の子の顔がこんなにも発展途上で、成長とともに劇的なまでに変化してしまうものだったとは。

「めざめの時」(1991)に主演していた頃のグレゴワール・コランの幼い顔をふと思いだす。幼年士官学校の教官の若妻を愛してしまう、孤独な孤児フランソワ。虚勢をはっているときでさえ、泣き出しそうな顔をしていたけれど、その裸の背中はもっと哀しそうだった。ああ、彼はこの年令にして背中で演技することを本能的にやってのけるすごい子供なのかしら・・・などと思ったものです。

「オリヴィエ・オリヴィエ」で、ちょっとアンバランスな伸び方をし始めたな、と思ったそのお顔は、カトリック派の闘士ココナスに切りかかっていって、あっという間に切り殺されるだけの出演だった「王妃マルゴ」、長い僧衣がやたらと似合っていた「ビフォア・ザ・レイン」でどんどん伸び、もともと大きめの耳もとんがり、以前のままの目とのバランスをますます個性的にしていった。

そしてこの「ネネットとボニ」。

彼はいままで日本公開された作品で演じていたのとは、まったく違うキャラ。スキンヘッドと呼ぶには中途半端なボウズ頭で、OM(マルセイユのプロサッカーチーム)のフーリガンみたいなイデタチ。

思えばいままで彼は、監督たちの野心的ともいえる作品で、難しい役どころをキッチリこなしていったことで評価されてきている。今回も難しいといえば難しい。

ボニは両親の離婚後、母親と暮らしていた(妹ネネットは父の保護下におかれた)。おそらく離婚してから若くして死んでしまうまで、幸せではなかったのだろう。そんな母親を見ていたボニは母親を不幸にした男として、自分の父親を憎んでいる。そして妊娠したネネットが転がり込んできたときのボニのリアクションは、いまにでも追い返しそうなほど妹を邪険に扱っている。「母親が死ぬとき、会いに来なかった」といってなじる。またネネットがここにいることで父親と関わりを持たなければならなくなるというのがたまらないのだ。自分の母親への思慕、ヴァレリア・ブルニ=テデスキ演じるパン屋のマダムへの妄想・・・ボニはマザコン。

女性にとって、マザコン君はけっこう愛しい存在なのだ。もちろん愛する相手がマザコンでその対象である母親がまだ存在する場合はサイアクなのだけど、女性ならだれでも持っている“母性”をほんとうに必要としているマザコン君は、そのマザコン度が病的でなければ、けっこうかわいいと思ってしまうかも。

この作品の監督、仏映画界の女カゲ番的なクレール・ドゥニ、そして撮影を担当した16ミリと手持ちカメラの名手、アニエス・ゴダールはともに女性。彼女たちはほんとうに年下くんのマザコン、ボニがかわいくてしかたがない。ボニがパン屋のマダムを夢想して独りエッチしているシーンも、裸のボニの背中をカメラという眼でなめまわすのです。

その背中の、なんと健やかなこと。あの、「めざめの時」の痩せた小さな背中は、顔が伸びるに連れてこんなに健やかに大きくなっていったんですね。そして代々続く役者一家の血をひく彼は、その役者としての資質を損なうことなく、伸ばしていったんだなーと、ファンでない私も感慨ひとしお。というぐらい上手な役者さんでもありました。

‥‥‥ということで、グレゴワール・コランが昔から好き、またこの作品で好きになっちゃったよ〜、という方のために楽しいファンサイトを紹介しておきましょう。

click!グレゴワール・コラン推奨委員会

え〜と、[IMPRESSION] なのにあんまり作品の内容に触れてないって?まあ、私の場合けっこうそんなもんです。


[INFO] [INTRO&STORY] [GENERIQUE] [IMPRESSION] [TOP]

[FILMS TOP] [HOME]

MAIL

KAORI'PORAWA'TAMURA f-la-b@mxw.meshnet.or.jp