なろう!なろう!あすなろう!明日は檜になろう!
井上靖「あすなろ物語」より
まんが道に見る藤子不二雄史

全国の漫画家を目指す少年少女に夢と感動を与えた「まんが道」!このコーナーでは、ストーリーを追って
まんが道の見所(満賀道雄と才野茂の活躍)をキャラクター名鑑及び名ゼリフ付きで紹介して行く!
ご存じの人も多いと思うが「まんが道」は、藤子先生の二人の出会いからマンガ家駆け出し時代までに
多少の脚色を加えた、ある意味ノンフィクション作品である!
このコーナーをもって、藤子先生の経歴を紹介していきたいと思う!

                    「まんが道」原作・藤子不二雄A
あすなろ編(昭和45年・週刊少年チャンピオン連載)
=「まんが道」シリーズ1作目、毎週2ページという特殊な形態で2年間連載された。
立志編、青雲編(昭和52年、昭和53年・週刊少年キング連載)=第2、第3シリーズ。前作が昔の作品&他誌掲載という事もあり、「あすな    ろ編」のラストと「立志編」のオープニングは内容的に重複している。青雲編は同作中もっとも長いシリーズである。
春雷編(昭和60年・藤子不二雄ランド連載)=世界初にして唯一の週刊まんが単行本シリーズ「藤子不二雄ランド」の巻末に連載された「青    雲編」の続編に当たる作品。この作品のオープニングは、そのまま「青雲編」のエンディングから始まっている。
青春編(平成7年・ビッグコミックオリジナル増刊号連載)
=「春雷編」の続編で正式タイトル「愛…しりそめし頃に…」。掲載誌の対象年齢
    のためかキャラクターデザインが一新されている。内容的にもマンガをそれほど主軸に置かず、人間ドラマとして成り立っている。
    その為、才野の出番が極端に少ない。今までのシリーズとは明らかに毛色の違う作品ながらも「まんが道」らしさは失われていない。    ちなみに現在も好評連載中の作品である。
昭和63年にはNHK「銀河テレビ小説」枠内でテレビドラマシリーズ化された。

すこし・ふしぎな藤子不二雄ワールドへ

月日 出来事 (文の色分け=人物名 作品名 雑誌名


20

8/15 あすなろ編〜「タエガタキヲ タエ シノビガタキヲ シノビ…」のお馴染みの文句と共に日本が終戦を迎える。
8/30 連合国最高司令官マッカーサーが日本占領の第一歩を記す。
9月 ・下新川の細野村に疎開していた満賀道雄が高岡市に戻り、宝塚小学校に転校。才野茂と出会う。
才野のパラパラマンガをを見せて貰い、満賀はその腕前にカルチャーショックを受ける。
満賀道雄(まがみちお)この作品の主人公。満賀が大好きな内気で心優しい少年。モデルは勿論安孫子素雄先生。
才野茂(さいのしげる)もう一人の主人公。マンガにかけるの才能と情熱は満賀以上で世渡り上手。モデルは藤本弘先生。
・当時、肝油は甘い者に飢えていた学童達には宝物だった。満賀と才野は似顔を描く代わりに肝油をせっせと貯める。
・満賀が雄島くんの似顔を描く。そっくり(ゴリラに)描いたため、雄島にぷん殴られる。才野は「長所を誇張して
似させる方がいい」と指摘。満賀、自分よりずっと先を行く才野の才能に負けを認める。
・才野が手製で作った反射幻燈機の為に、2人で作品を作る。満賀は一夜漬けで盗作の「曲垣平九郎」。
才野の制作した
「天空魔」は、1週間掛かったオリジナル作品。その完成度の高さに満賀は才野の前に平伏す。


21
4月 ・高岡中学校に入学。ふたりで肉筆雑誌「マンガ少年」の企画を立てる。
・小説を才野のクラスメイト・
桐井文男に頼むために桐井の家を訪問。
満賀道雄の萌え萌えギャルその1・桐井紀子(きりいのりこ)桐井の姉。ふたりは中学生のくせにタバコをふかす桐井より
姉の美人さの方がビックリしたらしい。
・「マンガ少年」創刊号完成。掲載作品は海野十四(才野)の
「宇宙制服団」漫画道雄(満賀)の「ニコニコ大会」
大東鉄人(桐井)の
「チベット・スパイ戦」大人気で30人の子供達に回し読みされた。


24
4月 ・高岡高校に入学。余談だが、中学と高校の校門、校舎のデザインがほとんど同じなのは謎だ。
・高岡古城公園の二つ山で、手塚治虫の「新宝島」と激河大介に出会う。勝手に人の単行本を見られた激河は憤激!!
激河大介(げきがだいすけ)「これからは、リアル・まんがの時代や!」という劇画漫画家志望者。関西弁がナイス!
・文苑堂書店初登場!ふたりは「新宝島」を探すが、タコ店主も「てづかおさむし」の名前すら知らなかった。
「ああー あの素晴らしい『新宝島』が、幻の本になってしまった……」何故かここだけ劇画調。
・激河大介から「新宝島」を貸して貰うが、「マンガ少年」を読んで貰った感想で古い、時代遅れと言われショックを受ける。
・「新宝島」190ページを全て模写する。文苑堂に手塚治虫の
「ロストワールド」が仕入れてあり、それを買うためにお金を取り
に行くが、文苑堂に戻ると売り切れている。買ったのは激河大介で、「影響されそうで見るのがこわい!」と
ふたりにプレゼントしてくれる。
・「ロストワールド」に感動したふたりは、手塚治虫にファンレターを出す。
・高岡新聞の高岡まんが集団というまんが募集に腕試しで投稿。二人で別の作品を描く。
・新聞社が学校に取材に来た。二人がまんが集団に入選したため顔写真を取りに来たのだ。
手塚先生からもファンレターの返事が来る。


25
1月 ・文苑堂のおじさんの計らいでふたりは運命の雑誌「漫画少年」と出会う。二人が描いた同人雑誌と同じ名前だ。
「漫画少年」に応募した「まこっタネ」で才野は掲載された。一方満賀は「よくできた漫画」として小さく名前のみだった。
・文苑堂にて手塚治虫の
「来るべき世界」を手に入れる。
・激河大介が漫画家になる為、大阪へと旅立つ!
「ユートピア」の制作を開始。高岡市政新聞社の佐輪剛介に連載漫画を頼まれるが、佐輪は詐欺容疑で逮捕される。
・毎日小学生新聞に「天使の玉ちゃん」を投稿。暫くすると原稿料が送られてきた。調べてみるといつの間にか連載されていた
のだ!それを知った二人は急いで数本書き上げ原稿を送るが、10回載って、シリキレトンボのまま終了となる。


26
8/15 「立志編」〜・二人は約束を取り付け、夜行列車で大阪の手塚邸へ向かった。
手塚先生のお母さんに案内され、念願の手塚先生に出会い感激するふたり。
手塚治虫(てづかおさむ)現在の日本漫画文化の生みの親である偉大なまんがの神様。代表作に日本初のテレビアニメにも
なった「鉄腕アトム」同じく初のカラーアニメになった「ジャングル大帝」。「ブラックジャック」「リボンの騎士」「火の鳥」等、数多
くの名作を代に送り出している。それらの作品が生まれる前だった当時からカリスマ的人気を誇っていた。89年2月9日、胃
ガンで逝去。享年60歳。その死の直前まで作品を描いていたことは有名で、これは藤本先生にも通じている。
・「漫画少年」の木村さんを紹介した手塚先生は再び仕事を始める。「漫画少年」での新連載「ジャングル大帝」の第1話で
ある。手塚先生は「来るべき世界」400ページのために、実は1000ページを描いていたことを知り驚愕する。
・まんがに燃えてきた二人は、そのまま手塚低を後にする。〜「あすなろ編」
・帰りの汽車から描きかけの「ユートピア」の原稿、30ページを投げ捨てる。
・ここで満賀道雄の家庭の事情について書かれてあるので掲載しよう。
満賀道雄は、小学校4年生の時に、父を亡くしていた二つ上の姉と四つ下の弟(満賀鉄雄)の3人兄弟だが、姉は胸を悪くし
て、半年前から療養所へ行っていた。母は、伯父の経営する喫茶店で働いていたので、こうやって弟と二人で夜食を取ること
が多いのだった。
・文苑堂で手塚治虫の「サボテン君」が載っている「少年画報」を購入。
その直後に手塚先生から描き損じの生原稿が送られてきた。満賀は才野に断りもなしに封を開けてしまい後悔する。
11月 ・肉筆少年雑誌「少太陽」創刊号完成。総ページ数174ページを数える。
・才野は、満賀の描いた
「小さな拳銃王」の完成度に絶賛する。(ここで才野の小学校時代の回想シーン、のび太のルーツが
分かる?)その後「少太陽」を家に持って帰りじっくり読んだ満賀は、才野の
「世界漫訳名作全集」を読んで、素直に負けを認
めると共に友達が本当に面白い作品を描いてくれたことに感動し、さわやかな気分になる。
12月 ・「漫画少年」1月号を見て、自分たちが投稿した作品が選外佳作だと知りがっかりする。その号で入賞していた寺田博雄と
鈴木伸一という名前は入選でよく見るのでふたりは羨ましかった。
満賀道雄の萌え萌えギャルその2・霧野涼子(きりのりょうこ)この作品のヒロインの一人。
満賀のクラスメイトでアイドル的存在。親切にされて惚れてしまう。似顔を頼まれたので、徹夜して描いて学校に持って行くも、
放課後に渡そうとした時、彼女は出木杉のようにかっこいい男と帰ってしまう。
それを見て満賀は、やっぱりぼくの恋人はマンガだ!と言い聞かせるのだった。
・養順湯に浸かりながら富士山、美保の松原、駿河湾と帆掛け船のペンキ絵にご満悦の満賀。
・「漫画少年2月号」に投稿した満賀の「スキー」と才野の「遠近法」が共に掲載される。その号に載っていた小野寺章太郎
作品を見て、手強い奴が多くいる事を知った二人は合作でいく事を才野が提案。
・二人の合作ペンネームが
「足塚茂道(あしづかしげみち)」に決定。二人とも書いてきた名前の案が全く同じだった。
・霧野涼子の薦めで、
「アサヒグラフ」のマンガ学校に挑戦することにする。初の大人マンガに足塚シゲミチ(大人マンガ用の
ペンネーム)七転八倒。後に入選発表があるが落選。涼子には出さなかったとまたウソをつく満賀。


27
1月 ・初詣の帰りに才野は、高校卒業後は進学も就職もせず、マンガ一本でやっていくと云う決意を満賀に告げる。
 「もし、おふくろに反対されても自分の道は自分で選ぶんだ!」才野の決意は固い!満賀に決断の時が迫る!
・母の励みでマンガ一本にすることを決意した満賀に、才野は二人で上京し、雑誌の編集部周りをする事を提案。
・上京資金を集めるために、おとなまんがに応募して賞金稼ぎをすることにする。
・満賀が「アサヒグラフ」に投稿した
「遺作」が入選し、原稿料1000円が送られてくる。
・足塚シゲミチのハンコをハンコ屋に以来。足塚シゲミチ名義で貯金通帳も作る。
・講談社の家庭向け総合雑誌
「キング」で満賀の「大奇術」採用。こちらも稿料1000円。涼子に誉められてウハウハ!
2月 ・雑誌投稿への賞金が1万円を越える。が、手塚先生の「月世界紳士」を読んで、本当に書きたい漫画を思い出す。
・伯父の
鍋河大策が満賀宅を訪れ、満賀道雄に自分が社長をしている立山新聞社に就職することを勧める。
・満賀が新聞社とマンガの板挟みで悩んでいる時、才野が「ユートピア」のシナリオを持ってきた。上京するまでに完成させて
出版社に見てもらうことにする。
・伯父に呼ばれ富山の立山新聞社に来た満賀。いきなり入社試験を受ける事に。試験は伯父を含むお偉い方3人の似顔。
・高岡駅に着くと、そこには才野がいた。おばさんから新聞社に行ったことを聞き、迎えに来たのだ。「おまえ、新聞社へ入る
んかい?」「い、いや、もちろん返事はしてこなかったんだ!」「満賀ぼくに気がねすることないんだぜ!新聞社に入りたかっ
たら遠慮せずに入っていいよ!
」満賀は、自分の裏切りに才野が怒っている……と思った!
・帰宅すると母親は入社試験のことは自分からは言っていないと告げる。才野は薄々感づいていたのだ。
・明くる日、才野は欠席。満賀は涼子に、クラスメイトの武藤四郎の家で開かれるパーティーに誘われる。パーティーで初めて
タバコと酒(ウィスキー)を口にする。酒は涼子が自分の家からかっぱらってきたものだ。アッという間に泥酔してしまった
満賀は、涼子に家まで送ってもらう。涼子は満賀がやはりこういうものには向いていない事を確信。「涼子さんは、なぜ ぼ、
ぼくなんかに親切にしてくれるんだ!?」満賀はいつか訊きたかったことを訊いた。涼子は一生をかけた夢を追い続ける満賀
に感動したのだという「あたし満賀くんの応援団長になってあげるから!」満賀
メロメロ
3月 ・満賀は武藤に呼ばれる。この間のパーティーの事が1組の牙沢騎八に嗅ぎつけられたらしい。牙沢は「影の校長」と呼ばれ
る学校のボスだ。酒やタバコが入ったパーティーのことを学校に知らせると脅してきたという。卒業前の大事な時にそんな事に
なったら卒業できなくなってしまう。武藤の話によると牙沢に口止め料を千円出せば助かるらしい。その話に怪しく思った才野
の提案で、満賀から直接、牙沢に千円を渡すことにする。牙沢は、そんな事を言った記憶はないと武藤を呼び出すのだった。
・試験勉強の為「ユートピア」を一時休止した満賀は、「ジキル博士とハイド氏」を観る。映画館を出て「ンガー」と人を驚かす。
帰りに立ち寄った文苑堂で
「鉄拳」という雑誌に載った「拳銃魔」という作品に驚く。作者はあの激河大介だった!刺激された
満賀は試験勉強そっちのけで、試験前日に授業中にまで、マンガを描いていた。
先生(山嵐)にそれを怒られ、原稿を取り上
げられるが、放課後(?)に返してくれる。マンガを描くことは認めるが、試験中は勉強をしようと促される。
・養順湯にて、女湯を覗いた犯人にされそうになる。
・卒業試験終わる。涼子と最後の会話「満賀くん!きっとりっぱなまんが家になってね!」固い握手で別れる。
・夜、高岡の大仏の前を歩いていると、車のヘッドライトに照らされて霧野涼子とどこぞの馬の骨とのキスシーンを目撃!
・ふたりはいよいよ上野行きの夜行列車で東京へ!
・上野の西郷隆盛蔵の前で、浮浪者にカメラを盗まれるが、江戸っ子に取り返してもらう。
・少年画報社を訪ねる為飯田橋へ。そこで福井英一に会う。
福井英一(福井英一)手塚治虫、馬場のぼると共に少年漫画の三羽ガラスと言われた人気漫画家。代表作の「イガグリくん」
は、戦後の柔道まんが、スポーツまんがのルーツとされている。ふたりが彼に会うのはこれが最初で最後になる。
・少年画報社の編集長に「ユートピア」幹線原稿100ページを読んでもらう。評価はおおむね好評。だが、漫画中心ではない
当時の雑誌に大長編は載せられないと言う。内容的にも主人公が確立していない。ストーリーが複雑など指摘され、身につ
まされる二人。少年画報社を跡にしようとすると、馬場のぼるに出会う。「あっ馬場先生!」「オホン?」
馬場のぼる(ばばのぼる)手塚治虫、福井英一と並ぶ昭和30年代を代表する人気児童漫画家。作風は代表作「山からきた
河童」「バクさん」に見られるように、明るくのほほんとしたオトボケまんが。第1回小学館漫画賞受賞者でもある。
2001年4月7日午前6時、胃がんの為東京都の自宅で死亡。享年73歳。
・二人が最も馴染み深い「漫画少年」の発行元の学童社へ。中は返本の山で今にも崩れそうだった。「漫画少年」は、二人の
様な漫画投稿家に絶大な人気を誇ったが、それ以外の支持を得られず売れてないのだった。この事に二人は衝撃を受ける。
・編集部の中には永田竹丸、山根青鬼、山根赤鬼がいた。「漫画少年」の
中野記者は、彼らに二人を紹介した。
・永田竹丸(ながたたけまる)「漫画少年」に投稿で、優秀な成績をおさめていた常連。芳賀まさお氏に師事し、後に幼年マン
ガの第一人者となる。第1回講談社児童まんが賞の受賞者。
・山根青鬼&赤鬼(やまねあおおに・あかおに)双子の兄弟漫画家。後に田河水泡氏に師事し子供達に人気の漫画家に。
・昨年の夏、宝塚の手塚先生を訪問した時に会った「漫画少年」の木村記者が学童社に戻ってきた。
・木村さんと一緒に学童社を出る。タクシー初体験!車は豊島区椎名町4丁目の二股交番の角を右に曲がる。着いた所は、
木造モルタル2階建てのアパート「トキワ荘」だった。二人にとって、このアパートとの出会いはまさに運命の導きであった。
・トキワ荘には、手塚先生がいた。四畳半の部屋を隠れ家にしていたのだ。二人は手塚先生に「ユートピア」を読んで貰う。
・集英社「少年」の桑畑氏がトキワ荘を訪問。ふたりは「手塚先生など知らない」と先生をかくまう。
・「ユートピア」は手塚先生に大好評。雑誌社じゃなく、単行本の出版社に紹介するといって、原稿は手塚先生が預かる事に。
・約束してあった両国の満賀の親戚の家には寄らずに、そのまま高岡に帰ることに。鉄郎へのお土産は「上野とんかつ弁当」
・翌日の朝刊で霧野涼子が自殺して死んだことを知る。妻子ある年上の男性と付き合い、振られたショックによる自殺らし
い。大仏の前でキスをしていたあの男だ。「涼子さんのばかーーっ!!ぼくの応援団長になってくれるって言ったのに、どうして
死んでしまったのーーっ!!」満賀道雄は泣いた!霧野涼子がもうこの世にいないと思うと涙が止まらなかったのだ。
・卒業式、道雄のクラスだけは沈んだ雰囲気だった。
帰宅後、満賀の家に鶴書房という出版社から速達が届く。なんとそれは「ユートピア」の単行本出版要請だった。
・才野も卒業したら製菓会社に勤めることを満賀に告白する。ふたりともサラリーマンになるのだ。
4/5 ・立山新聞社に初出勤早々、日上辰夫という意地悪な先輩に会い、憂鬱な気持ちになる満賀。暫くひとりぼっちで誰もその
存在にも気が付いて貰えなかったが、編集局長に図案部まで案内される。図案部の
変木という男の無愛想さに戸惑う満賀。
・長い初出勤一日目を終え高岡に着いた満賀は、そこで待っていた才野と会う。才野は一日で会社を辞めたという。「やっぱり
オレには勤め人は向いてないって事が分かったよ、オレの場合、サラリーマンには不適格なんだ」
4/6 ・出勤2日目、芳野という日上の意中の女の子の出現に胸がときめく。
満賀道雄の萌え萌えギャルその3・芳野君江(よしのきみえ)新聞社時代のヒロインその1。立山新聞社学芸部勤務。
・初日から線を引く練習ばかりだったが、ついにまともな仕事が貰える。立山新聞の広告に付けるカットだ。最初はバタ臭いお
じさんがソファーに座って新聞を読む構図だったが変木の厳しい審査により没。変木のアドバイスに従い、浴衣を着たお父さん
が家族で新聞を読んでいる構図を描く。これを変木は100点満点と評価。大喜びで帰路につく満賀だった。
・帰宅すると部屋で才野が待っている。才野は満賀に「足塚茂道の方はおれが責任持ってがんばる!そして、めどが付いたと
ころでおまえが全力投球してくれれば良いんだ!それまでは絶対、新聞社を辞めるなよ!」と満賀を励ます。
「これからはしばらく二人別々にまわり道をすることになるけど、近い内にきっとまた同じまんが道に戻れるようがんろばうぜ!」〜「立志編」
「青雲編」〜・通勤汽車のなかで描いていた似顔を見られ、北陸日本新聞社の社会部長にスカウトされかける。
・初めての大仕事、パチンコ店の広告カットが合格。芳野の誘いも断り、残業してまでの仕事に結果が出て満賀大満足。
・才野が原案した「ゲーム」(仮題)と
「西部のどこかで」ふたりで煮詰める事にする。
・パチンコ屋の広告が新聞に掲載され歓喜する満賀。新聞を10部買った挙げ句に、新しいスクラップブックを買ってきて「満賀
道雄広告作品集」を作る。自分の描いた広告をスクラップする。同時に仕事が楽しくなってくる。根っからのクリエイターですね。
・図案部の仕事に面白味を感じてきた満賀。この日は、「海の無法者」「惜春」の2本立ての映画の広告を朝刊用、夕刊用、そ
して字だけのものを作成していた。そんな折り、
広告部の原さんに先日描いたパチンコの広告が大ヒットだと告げられる。変木
にも誉められ、満賀思わずニッコニコ。オマケに今日は給料日。変木と居酒屋「ふくや」に飲みに行き、酔っぱらった満賀は
月給が入った鞄をなくしてしまう。結局、
「ふくや」の女将さんに届けて貰って一安心。
・ここで、満賀の給料について説明。
満賀道雄は、貰ってきた月給は全て一旦母親に渡し、その中から自分の小遣いとしていつも千円ずつ貰っていた。
満賀道雄は、その千円で毎月、映画代、本代をまかなっていた。
……えらいなぁ。
・養順湯で富山大学に進学した学生時代の
クラスメイト・中村に再会。新聞社に勤めていると云うと感心され少し得意になる。
・新聞社の仕事が快調で楽しいため、マンガの方がはかどらない満賀。
・変木から防犯キャンペーンの広告、政治部長から皇太子、吉田茂、チャーチル、アイゼンハワー、エリザベス女王、ネール
の似顔の仕事を頼まれ、徹夜で大忙しの満賀。似顔の方は竹ペンで工夫して描いた力作、才野にも好評。
・才野は一人で描いた「西部のどこかで」のコンテを満賀に見せる。満賀と違いマンガに全てを賭ける才野の熱意に満賀は
ショックを受ける。奮起した満賀は、資料用の西部劇のスクラップブックと公金からの千円を才野に渡す。
・出勤中に亡くなった
霧野涼子に瓜二つの女性を目撃する満賀。本人ではないと知りつつ、涼子の励ましを思い出し、ひとり
涙を流す。更に職場でも変木に同じように励まされ俄然奮起!才野に「西部」に少しでも参加させて欲しいことを告げる。
・鶴書房から「UTOPIA 最後の世界大戦」の単行本が届く!190ページ定価130円。足塚茂道初の単行本だ。
ふたりで息をのみながら1ページ1ページページをめくり、漫画家になったことを実感。
12月 ・12月10日号の立山新聞朝刊に満賀の描いた政治家の似顔と防犯キャンペーンのイラスト広告が掲載される。
・今日は賞与(ボーナス)の日、普段意地悪な日上もご機嫌だ。帰りに日上の家庭の事情を聞き親しみを持つ。
・賞与の金額は1万円。更に鶴書房より「UTOPIA」の原稿料3万円が郵便為替で送られる。一気にお金持ち!!
1万円は母親に渡し、3万円は足塚茂道の公金にすることに。
・「西部のどこかで」は作風を考え秋田書店の
「冒険王」に投稿することに決定!郵便局に速達で出した後、二人は映画「フラン
ケンシュタイン」を見る。怪奇映画もプラスアルファーを付け加えることで感動作品に仕上げることが出来ることを学ぶ。
その後食堂でカレーライスを食べるなど豪遊。予算は全部で千円。今の金額では1万円くらいでしょうか?
学芸部長の虎口氏が図案部へやってくる。用件は学芸部で企画した「漫画教室」の手伝いの依頼だ。応募作品の中から
掲載するものを選び、更に満賀の描いた見本が欲しいという。
・先日のボーナスで母親が満賀にオーバーを買ってくれる。それを来て出勤する満賀。急に大人になった様でちょっぴりテレる。
・漫画教室の見本を考えるため気分転換に外を散歩する満賀。風貌が坊主頭にツメエリだったため、大和デパート屋上で
警察の少年係に補導される
・「西部のどこかで」冒険王3月号に掲載決定!
・変木が日本版画大賞を受賞。満賀はその新聞記事で変木が日画会に所属する優れた版画家であることを初めて知る。
社長も「版画家としても広告デザイナーとしても一流の人だよ」と変木に太鼓判
・変木の版画大賞、満賀の冒険王掲載のお祝いに以前の「ふくや」へ。虎口氏も参戦し、満賀二日酔い初体験!


26
・「冒険王」3月号131ページ足塚茂道の少年誌デビュー作品「西部のどこかで」掲載。いよいよ漫画家の卵としてのスタート!
・満賀が明日から図案部から学芸部に異動することになる。既に正式に辞令も出ていることを知り、満賀はショック!
・図案部最後の仕事は映画「上海帰りのリル」の広告。変木は満賀をお忘れ会に誘うが、満賀は仕事が終わってから行きたかったので変木には先に行ってもらう。仕事完了後、明日から同じ職場となる芳野君江と一緒に帰宅。…ん?お別れ会はどうした?!変木が「ふくや」で待っているんだぞ!
・君江と帰る満賀に嫉妬した日上、満賀の頭に雪をぶつけて逃げる。社会人のやることじゃないなぁ(笑)
・学芸部1日目、芳野君江、日上辰夫、ニヒルな面立ちの
麻田記者、キャリアウーマンぽい雰囲気の梅木女史などと会う。
・勤務時間に入って暫く仕事を干された状態が続き、早くも図案部に戻りたくなる満賀。そんな手持ちぶさたの満賀に梅木が初仕事を与える「婦人」という文字を使った縦長のカットを3つ。全て採用されるが、麻田に「うまいけど、漫画的なところが全然ない。あんまり着ようにかき分けているときみ本来の描けなくなるんじゃないの」と釘をさされ心に引っかかる。
・帰り道才野に出会い
「漫画王」の別冊付録依頼のハガキを見せられる。
・ある夜、帰りの汽車の中で激河大介と再会!激河は、東京進出をすることを告げ、満賀に衝撃が走る!
・「漫画王」の別冊付録の下書きが才野の手により早くも完成!タイトルは
「三人きょうだいとにんげん砲弾」
既に32ページ全部の下書き、しかも内容も面白い!激河大介の情熱に続き才野茂の意欲に満賀は激しいショックを受ける!
・才野に「三人きょうだい〜」のキャラクター設定を頼まれて何度も何度も作品を読み返しイメージを膨らませる満賀。その意欲を職場にも持ってきてしまい、時間を見つけて描いていた所をよりによって虎口部長に発見され叱られる。
・その夜、虎口部長は努力する天才映画監督・黒澤明の逸話を話し、満賀にこう助言する「人と同じ事をしていたのではとても人をぬきんでる事は出来ない。満賀くん!君も新聞社の仕事はチャンとやった上で自分の時間には精一杯満賀の勉強をしたまえ!二足のワラジの二足ともキチンとはくように努力するんだ!」満賀道雄は心が奮えた!
・才野の家から帰宅すると建生間新聞社の社長でもある鍋河の伯父が待っていた。伯父の話では虎口部長は小説家を目指していたらしい。なんと芥川賞の候補にも挙がったほどの才能の持ち主だという。虎口部長は自分の夢を満賀に託しているのだ!
・虎口部長からラジオ欄の仕事を依頼される。共同通信から送られてくる番組表の中からめぼしいものをピックアップして載せるという簡単な仕事だが非常に神経を使う。時間を少しでも間違えたら大変だ。初めてのマンガ以外の仕事にはりきる満賀。
・ラジオ欄は新聞にとって最も重要な仕事の一つ。少しでも放送時間と番組にズレがあったら信用問題に繋がってしまう。普段なら何度もチェックを入れるのだが、その日はラジオ欄を印刷へ持っていく係の日上にせかされて読み直しが出来なかった。
・翌日、編集局はてんてこ舞いになっていた。昨日のラジオ番組表を今日の番組表として入稿してしまったのだ!編集局ではその抗議電話の対応に追われていたのだ。早速満賀も苦情電話を取った「バッケャロー!今朝のラジオ欄はなんや!メッチャクッチャやないか!もう立山新聞はとらんぞ!」聴取者の生の怒りの声は満賀にとっては衝撃が大きすぎた。麻田の「君はいない方が良い!」という気遣いにより満賀は早退!…しかし「お姉さんといっしょ」ってラジオ番組。どんな内容なんだろう?
・帰りの足でそのまま才野宅に訪問する満賀。失敗の件を聞いて才野は満賀を励まし、更に完成した「三人兄弟と人間砲弾」の原稿を差し出す。立山新聞社がひっくり返るような大騒ぎになっている事など忘れて、満賀はそれをむさぼるように読んだ!
・「三人兄弟〜」の原稿を郵送した後、映画館で「駅馬車」を見る二人。心地よい疲れの中で床についた途端、会社での大失敗が重くのしかかる。
・翌日、会社全体に大迷惑をおわせ途中で逃げてしまった張本人として、社内から冷たい視線と罵倒を浴びてしまった満賀は耐えられず涙目に。「社長の甥だと大失敗しても家へ逃げ帰りゃすむ訳か!」が、虎口部長の計らいで再びラジオ欄を任される。
・その夜の汽車、いつぞやの霧野涼子に似た女性に再会!列車に忘れた文庫本から彼女の名前が「
榊原良子」だという事を知る。「エスパー魔美」で魔美のママ役をやっていた声優さんと同じ名前ですね。
・「西部のどこかで」を呼んだ読者から初めてのファンレターが届く!「おれたちとうとう先生と呼ばれたんだな!」
5/
16
・「漫画王」6月号別冊付録として足塚茂道作「三人きょうだいとにんげん砲弾」がつく!初めての別冊読み切りだ。「UTOPIA」
「西部のどこかで」「三人兄弟」と3本の作品を発表し、いよいよ軌道に乗り始めた二人に更なる幸運!秋田書店・冒険王編集
部から東山実記者が二人の為にわざわざ東京からやって来た。なんと連載の依頼だ!だが才野は考えさせてくれ、とその場
での返事は避けてしまう。「連載となると毎月毎月続いて描かなきゃならない!よっぽど決心しなければ引き受けられないよ」
  5月 ・学芸部に新入社員が入った。その名は竹葉美子
・満賀道雄の萌え萌えギャルその4・竹葉美子(たけは よしこ)立山新聞社に入社した満賀好みの美人。満賀のラジオ欄の
仕事を引き継ぐ事になるが、教える肩越しに竹葉さんの女の子独特の甘い匂いが鼻をくすぐり、満賀
ムヒョヒョ!
帰りの列車の中でも、帰路についても竹葉の事が頭から離れない満賀は、才野に竹葉に仕事を教えたりした事を自慢した。
が、才野は軽く相槌を打つだけ。それほど羨ましがられなかった事を不服に思う満賀。
・才野が「冒険王」の連載を引き受ける事を提案する。既に案はある。
「四万年漂流」が、それだ!
・竹葉に仕事を取られて事実上干されてしまった満賀に、虎口部長はキャロル・リード監督の映画「第三の男」を見て感想文を
書いて欲しいと原稿を依頼される。しかし満賀は感想ではなく絵にして部長に渡す、これが部内に好評。麻田氏の薦めもあり
イラストが採用され、2本目の依頼「遊星よりの物体X」もタダ見。映画好きの満賀には天職かもしれない?
・「冒険王」編集部へ原稿を送る。高岡郵便局のヒゲメガネのおじさんは定年で辞めてしまったらしい。ちょっぴり寂しい2人。
・満賀、竹葉美子と生涯初デート!!高岡の町を案内しデートは大成功を収める。満賀
ニッタラニッタラ。

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