いろのずかん

きせつや、ぎょうじにまつわる、いろのおはなしです。
へやのさいしょのページで、きせつにあわせてしょうかいしているおはなしを、じゅんにあつめました。


7がつ7日(なのか)は、たなばた。
「ごしきのたんざく、わたしがかいた♪」ねがいごとをかくたんざくは、あお、あか、き、しろ、くろの5しょく。あおはき、あかはひ、きいろはつち、しろはきん、くろはみずをあらわします。むかしは5しょくのいとを、そなえていましたが、えどじだいに、ささたけに5しょくのいろがみやたんざくをつけて、のきさきにたてるようになりました。
7月7日は、七夕。短冊は、青、赤、黄、白、黒の5色。青は木、赤は火、黄は土、白は金(ごん)、黒は水を表し、五つの要素で万物が組成されるという、古代中国の五行(ごぎょう)説に由来。古来日本では、盆(7/15)に来臨する神様の衣をつくるため、神女が川縁や湖の畔の棚(たな)で機織り(はたおり)をしました。奈良時代、「棚織津女(たなばたつめ)」伝説と、中国の「七夕伝説」、それにちなむ「乞功奠(きこうでん)」が結びつきました。中国では、旧暦7月7日「乞功奠(きこうでん)」の際、裁縫(さいほう)、機織(はたおり)、習字の上達を願い、菓子7品・針7本・5色の絹糸7筋を供えますが、日本では宮中行事として伝わり、ヒサギの葉に5色の糸を通した金銀7本の針を刺し、詩歌を書いた短冊や色紙を供えました。笹竹に色紙や文字を書いた短冊をつけて軒先に立てる現在の形になったのは江戸時代。


5がつのだい2にちようびは、ははのひ。
6がつのだい3にちようびは、ちちのひ。
ははのひ、ちちのひは、アメリカからにほんにつたわりました。ははのひは、カーネーション、ちちのひは、バラをおくって、かんしゃのこころをあらわします。はは、ちちがけんこうなら、あかいはなをおくります。なき、ははちちをしのぶなら、しろいはなをむねにかざったりしますが、あかいはなをつけてもかまいません。
5月第2日曜日は、母の日。6月第3日曜日は、父の日。母の日の花はカーネーション、父の日の花はバラ。父母が健康なら赤い花を贈り、亡き親を偲ぶなら白い花を胸に飾ったりしますが、子ども心に配慮して赤をつけても構いません。1908年、アメリカのフィラデルフィアのアンナ・ジャーヴィス夫人が、母の命日に白いカーネーションを配り「母にささげる日」を提唱、1914年ウイルソン大統領が認め「母の日」となり、大正初期に日本に伝わりました。「父の日」はドット夫人が亡夫の墓に白いバラを捧げたことに由来します。


5がつ5日(いつか)は、こどものひ。
おとこのこのせいちょうをいわう、たんごのせっく。こいのぼりのいちばんうえのぬのは、ふきながしといい、あか、き、しろの3しょく、またはあか、き、みどり、しろ、あお(またはぴんく)の5しょくです。いちばんおおきなまごいはくろ、ひごいはあかです。こいがかわをのぼるようすから、しごとがせいこうし、しゅっせするといういみがあります。むかし、たうえのまえに、たんぼのかみさまのめじるしとして、ながいさおのさきに、ふきながしをつけてそとにたてました。また、まよけに、いえののきさきに、しょうぶのはなをつるし、ちまきやかしわもちをたべました。
5月5日は、端午の節供。鯉のぼりの一番上は赤、黄、白の3色、または赤、黄、緑、白、青(またはピンク)の5色の吹き流しで、真鯉は黒、緋鯉は紅や黄みの赤など赤系統の色。その昔、田植え前に来臨する田の神の目印に、長い竿の先に吹き流しをつけ戸外に立てました。平安時代は、邪気払いに軒先に蓮(よもぎ)や菖蒲(しょうぶ)をつるし、粽(ちまき)や柏餅を食べました。江戸時代に、菖蒲が尚武に通じることで男児の成長を祝う節供となり、定紋の幟(のぼり)、馬印、長刀、武者絵、吹き流しなどを門口に飾りました。江戸初期頃、立身出世を意味する鯉柄が登場、中期に町人の間で鯉のぼりが飾られるように。もともと月の端(はじめ)の午(うま)の日でしたが、午(ご)と五(ご)の音からやがて5月5日に。


4がつ8日(ようか)は、はなみのひ。
おはなみのときにたべるはなみだんご。しろ、うすいあか、みどりの3つのだんごがくしにささっています。しろは、あまい「しろざけ」のいろ。うすいあかは、さくらのはなのいろ。みどりは、はすのはのいろです。むかしは4がつ8かが、はなみのひでした。たんぼのかみさまが、やまからおりてくるので、やまからとってきた、さくらのえだをそなえました。
4月8日は花見の日。お花見で食べる花見団子は、白、薄い赤、緑の3色。白は白酒、薄い赤は桜、緑は蓮を表します。かつて4月8日は花見の日と決められていて、農作業の始まる時期に、桜の木を依代として田の神を迎える行事でした。観桜の習慣は、奈良時代からともいわれ、安土桃山時代に豊臣秀吉が催した醍醐の花見のように武士の楽しみでもありました。花見が庶民の娯楽として定着した江戸時代から、花見団子が定番となり「花より団子」という言葉が生まれました。


3がつ3日(みっか)は、ひなまつり。
ひなだんにそなえる、ちいさなだいにのせたひしがたのもち。このひしもちのいろは、あか、しろ、みどりの3しょくです。あかは、もものはなのいろ。しろは、ゆきのいろ。みどりは、しょくぶつのはっぱや、しんめのいろ、をあらわします。5だんがさねのばあいは、あか、しろ、きいろ、みどり、あおの5しょくになります。
雛祭りの際、雛壇に供える菱形の餅。この菱餅の色は、紅、白、緑の3色。これは花、雪、緑をあらわします。天地人をあらわすとも。5色にするときは、青と黄を加えます。3枚重ねるのは、小笠原氏の家紋の三蓋菱にちなんだものとか。桃の花を飾るのは、桃の持つ霊力にあやかるため。中国では長寿を意味し、日本の「古事記」には桃を投げて悪霊を追い払う神話があります。


1がつ1日(ついたち)は、がんじつ。
しんねんのはな、ふくじゅそう。はなのいろは、こがねいろです。はなのすくない、しんねんにさくため、「がんじつそう」ともいいます。がんじつは、1ねんのはじめのひのこと。こがねいろは、えんぎがよいので、えどじだいから、おしょうがつのはちうえとして、さいばいされています。うめや、なんてんのえだといっしょに、とこのまにかざります。
1月1日は元日。福寿草(ふくじゅそう)の花は黄金色。花の少ない新年に咲くことで珍重され、元日草ともいう。もとはキンポウゲ科の野生の花だが、江戸時代から、黄金の花色が縁起良いとされ正月用の鉢植えとして栽培されている。新年を祝う盆栽として、梅や南天と寄せ植えにして床飾りに用いる。


参考図書
「にほんのにほん1暮らしの歳時記」千趣会
「お喜びの作法としきたり」篠田弥寿子/文研出版



.


こども

小学生

中学生