色の検定

2001.6.16

[ 色の検定の違い ]


★検定には3つある

  ●3つの検定主催団体Webサイト


A・F・T 色彩検定
(社団法人 全国服飾教育者連合会主催 文部科学省認定 ファッションコーディネート色彩能力検定試験)


「ファッションコーディネート色彩能力検定」というだけあって、もともとはアパレル関係者など主にファッションに関わる人々を対象とした、色の知識理解の手助けとしての試験でした。

そのため、初期の検定試験は記述式で、文部科学省認定になる以前の試験内容は、 色彩の基礎知識とファッションへの応用問題だけでなく、服飾の歴史、流通の仕組み、アパレル専門用語といった色と直接関係ない問題も出題され、一般の受験者は大変苦労しました。

現在は、マークシート形式で、色に興味のある一般の人々を対象にしており、「色彩検定」としての方向がより明確になり、ほとんどが色彩に関した問いになっています。一応「ファッション」と名がつくので、服飾と色の関わりを念頭に置いた内容で、色の分類や配色の種類、流行色、色と柄の関係、服飾史および美術史の中の色彩、などが「東商 カラー検定」と比べて特徴的な出題だと思われます。

最近は色彩全般を網羅しようという傾向が強まり、 日本工業規格(JIS)、光源、測色、商品や環境の色彩計画など「東商 カラー検定」に近い内容がかなり増えています。

実施日は毎年6月、11月頃です。詳細はAFTホームページ、または「色のカレンダー」をご覧下さい。





東商 カラー検定
(東京商工会議所主催 東京都後援 カラーコーディネーター検定試験)
*「カラーコーディネーター検定試験」は東京商工会議所の登録商標です。


社会で色への関心が高まる中、色彩について正しく理解し、活用ができる人材育成のために東京商工会議所が各地と連携して行う資格試験です。

企業や地域の産業発展につながることを目的としているので、 光と色の物理学、測色、心理学的評価法、JISなど、「AFT」よりもやや堅く、ビジネスライクな内容になっています。また、1級が「ファッション色彩」「商品色彩」「環境色彩」と業界ごとに分かれているのが特徴です。今後、1級のさらに上、「S級」が設定されますが、実施時期の正式発表はまだです。

最近は、テキストの内容が大幅に変更され、それに伴い出題傾向もカラー化しています。オリジナルカラーチャートの使用、カラー印刷を生かした出題が増え、色彩調和論、配色など「AFT 色彩検定」に近い内容がかなり増えています。

東商の検定受験者数のデータは、日本色彩学会ホームページ(検定情報ページ)にあります。

実施日は毎年6月、12月頃です。詳細は東京商工会議所ホームページ資格検定ページ)、または「色のカレンダー」をご覧下さい。




色彩士検定 (カラーマスター)
(全国美術デザイン専門学校教育振興会主催 色彩士検定試験)


美術デザイン系学校における色彩教育と連動した検定です。学校のカリキュラムの節目に利用されたりしていますが、学校に通っていない個人の受験もできます。

色彩士検定委員会は、全国美術デザイン専門学校教育振興会(略称ADEC)の教育事業部として発足しました。色彩教育カリキュラムにそった教科書の発行と、色彩士検定の実施がその事業内容です。

「実践」に生かせる色彩能力を身につけた人材育成を目標としており、「専門学校、短大、大学において」、「半年程度(3級)」、「1年程度(2級)」、「卒業後色彩に関する仕事や研究に2年以上従事また大学院において色彩を専門に学習した(1級)」レベルが設定されています。

筆記試験だけでなく、画材を使用しての混色といった実技試験も行われます。

実施日は毎年1月、9月頃です。詳細は色彩士検定ホームページ、または「色のカレンダー」をご覧下さい。






★試験内容はどう違うのか?

試験の傾向は毎年少しずつ変わるので、今後、3つの試験の違いも変化します。受験者からの情報を集めると以下のようになります。

AFT *カラー図版を多用、柔軟で、右脳的、文系、美的感覚やセンスがアップする、という感じ。ただの暗記だけでなく、用語の意味や成り立ち、カラーカードや着色実習の経験があって、はじめて知識が生きる、というスタンス

*試験問題は、AFTが発行している「テキスト」をもとに出題されますが、テキスト以外の知識を問われることもあり、その傾向は級が上がるほど強くなります。そのため、市販の参考問題集や色彩関係の書籍を購入したり、日頃から色の雑学を取りこんだり、広く色に関心を持つ姿勢が大切です。

*過去の問題は、AFTが毎年「過去問題集」を発行しています。

*カラーカードは、日本色研事業株式会社の配色カードを使用します。配色カードの番号は、色数と大きさを表します。同じ番号のもので練習するとよいでしょう。大きな画材屋なら売っているはずですが、AFT(TEL:0120-156005、0120-125662)や、日本色研事業(株)に注文することもできます。検定申込み受付している指定書店でも販売しています。

*テキストは、ときどき改訂されますので、その試験の対象となっているテキストは、旧テキストなのか、新テキストなのか、しっかり確かめる必要があります。

東商 *数字や文字が多く、やや堅く、左脳的、理系、カラー図版を多用しているが、理論的な導きを求められる、という感じ。論理的思考や裏づけを求める事柄が多く、実践とは別に、用語の意味や使い分けを正しく理解することが大切、というスタンス

*試験問題は、東京商工会議所が発行している「テキスト」の中から出題されます。今のところテキスト以外の知識を問われることはありませんが、1級では論文が重視されます。そのため、1級テキストを深く読みこみ、自分の考えをまとめておく必要があります。

*過去問題は、東京商工会議所が発行している副教材参考書や問題集の中に、一部記載されています。
*テキストは、ときどき改訂されますので、その試験の対象となっているテキストは、旧テキストなのか、新テキストなのか、しっかり確かめる必要があります。

色彩士 *美術の時間、美大やデザイン系学校の入学試験、という感じ。理論はもとより、絵具などの画材によって実際に着色する能力が求められる。色、形、素材すべてのバランス感覚を問われる。人まねではなく自分自身を表現する力と、現場の即戦力となりうる実力が必要、というスタンス

*試験問題は、画材による着色能力を問われるので、画材の扱いに慣れておく必要があります。理論問題と同じくらい演習実技問題が重視されます。





★どれが有利か?どれが難しいのか?


はっきりいって「あなた次第」という答が正解かもしれません。 なぜなら、試験の違いの前に、受験者の素質と目的の違いがあるからです。現在の仕事、将来やりたい仕事によっても違うでしょうし、好みもありますから。私なら、「全然別ものなので心配なら全部受験するのもひとつの方法」と答えますが..。全部受けたからといって就職に有利になるというわけではありませんので、やはり過去問題などを調べて自分に合うものを選択してみてはいかがでしょうか。

とりあえず得意なとっつきやすいものから受験することをオススメします。

それから、受験者に対しての色彩関係者、企業の方の危惧も知っておいたほうがいいかもしれません。

「知識だけで、実際に色を扱う経験を積まない人は困る。」「個人の楽しみだけでなく、何らかの形で社会に反映されることを期待。」「表面的な受験勉強に留まらず、色の世界の本質や楽しさを知ってもらいたい。」「資格の価値を正しく把握して(過大評価過小評価せずに)、就職活動して。」という声がありました。



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