よもやま通信カイロふらふら滞在記ナイルの恋人たち  

 
(第二回・ナイルの恋人たち)

あっつ〜い夏がまたやってくる。今年も日本は暑っ苦しい若者で溢れかえるのだろう。一時、「電車の中でちゅーするなあ!!」という大クレームが出た時があったが、この頃騒がれなくなったのは、する人がいなくなったのか、日常の光景になってしまったからなのか。
 カイロにいると、そういう光景は欧米人のパーティないでしか見られない(実は一部例外な所もあるんだけど)。そういうカイロになれてしまうと、欧米人でも町中でベタベタしていることに過敏になるらしく、兄を訪ねてスペインに行っていたイギリス人は、カイロに戻ってきてから一言、「スペインじゃ、町中でせっくすしていた!」といって彼女に殴られていた(実際はそんなことない、ただベタベタしているだけです、念のため)。
 じゃあ、カイロにカップル(このいい方も何だかアナログ)が存在しないかと言うと、そんな事はない。売るほどいる。今回はそんなカイロの恋愛事情などを少し。

出会ったその場でプロポーズ、のわけ
 エジプトを旅行した女性で、出会ったばかりのエジプト人男性にいきなりプロポーズされた経験がある人は多いのではないだろうか。それが縁で結婚してもそれはそれ、なのだが、これには彼らの宗教が深く関わっている。イスラム教とにとって結婚は義務。絶対にしなくてはならないこと。しかし婚前交渉はもちろん御法度。出来ちゃった結婚など、存在するはずもないし、そんな事になったらその結婚はおしゃかになり、女性は一生結婚どころか近所を歩くこともできない(親に殺されてても、殺した親は罪に問われない)。ちょっと2人きりでデートしているだけで、「娘を傷物に〜!!」と名誉毀損で訴えれれても仕方ない。2人きりになれるのは、結婚してからか、もしくは婚約が無事整ってからだけだ。だから彼らが私達にすぐ「結婚しよう。」というのは、別に本当に結婚したいと言うわけではなく、「おつきあいしたい!」という意味だと思ったほうがいい。ナンパの常套手段、というか、それしか知らないからそう言っちゃうのだろう。あまり真剣に受け止める必要はないのであ〜る。

ナイルの恋人たち
じゃあ、町を歩いているエジプト人カップルの全部が全部、夫婦か婚約しているかって言うと、そうでもない。蛇の道はヘビ、そこは上手くやっている。
 休日である金曜日に、タハリールあたりのコシャリ屋(エジプトの庶民の味。ご飯にマカロニ、豆を混ぜたものに、トマトソース、フライド・オニオンが乗っている。)に行くと、婚約したてのまだ初々しいカップルが、見張り役の弟や妹を連れて食事をしているのに会う。日本のような娯楽もなく、お金もないので、もっぱらデートは安上がりな所。映画館でデートなんて、アメ大生あたりの金持ちのすることだ。庶民は歩きます、ただただブラブラ。それでも結構楽しそうだ。

ザマレックのアグーザ側は、絶好のデートスポット。公園や植木屋さんがあるだけなので、昼夜関係なく、エジカップルの溜まり場。車は通っていても人は余り通らないので、あっちのベンチ、こっちの木陰と、あま〜くささやき合っている。ある日見たカップルちゃんは制服姿の高校生だった。ひゅ〜ひゅ〜、やるねぇ

 この人たちお互いに遠慮しあってか、大体等間隔で座っている。邪魔はしないのがお約束である。でも日本の夜の公園のようにとんでもない狂態には絶対にならないんだな。なぜなら、あんまり暗がりに入ろうものなら、どこからともなく「ペッパー警部」ならぬガラベーヤおやじが登場!明るい場所へと追い出されるのだ。さすがである、よく見ている。
 宗教で止められようと、ガラベーヤおやじに邪魔されようと、そこは恋する地中海人種、熱い気持は押さえられないのよね。例えそれが恋に恋しているだけだとしても。

現代エジプト恋愛事情
 カイロ大日本語学科の男の子とラングェッジ・エクスチェンジをしていた時のこと、その手の話を聞く機会があった。彼曰く、大学生ともなると、特別な(異性の)友達がいるのは普通のことだと言う。ただここからが可愛らしく、デートをしたり、時には手をつないだりするという。
海外で暮している時に、「日本にしかない変なもの」に気がつくことも多いが、「ラブ・ホテル」ちゅうものもその1つ。中学生までノーパスで入れるそれ目的の施設なんて、ある事が大体変だよな。そんなものが山のようにあるから、援助交際だの不倫だのが簡単に成立するのだろう。カイロにもマドリッドにもそれ目的の安ホテルは確かに存在するが、そんな所恐くて知素人は入れないぞ。
さて、おばさん状態に入って興味津々な私は、もうちょっと詳しい事を聞いてみたくなった。デートするだけなの?えー、あー、と口ごもっていたが、彼が白状(?)した所によると、ちゅーくらいはしちゃうそうだ。でも大体ここまでで我慢。・・・・しかし。
「中には間違ってしまう人もいます。」とのこと。
間違っちゃった人はどうするんだろうか??????
純情そうな彼に、そこまで聞くほどおばさんではなかった私。ああ、でもせっかくだから聞いておけばよかったなあ。

2人きりで会うのは、やはり特別なこと。そのため何の気なしに2、3回2人きりでお茶でも飲もうものなら婚約者気取りで、「いつ親に会ってくれるの?」とうるさく付きまとわれたり、その後振られた(弄ばれた)と思い、イタ電かけて来る男性も多いらしい。純情なのか、思い込みが激しいのか(多分両方だろう)。
 でもカイロであってカイロではない(?)アメリカン大学の中では、もっと大っぴらに男女交際が行われているし、反対に庶民は見知らぬ人と知り合う機会もなく、結局身内とか、昔からの知り合いと、条件だけで結婚する人もまだまだ多い。
 

イスラム教とコプト教、規律の中で生きるという事
 もしあなたがエジプト人男性と道ならぬ恋(まあ、いわゆる不倫ね)に落ちてた時、その人がイスラム教徒であったなら、その恋は成就する可能性がある。エジプトでは、宗教法だけでなく民法でも4人までの妻帯が認められており、男性のIDカードには奥さん4人分を記載するページがきちんと用意されているのだ。だから他の婦人や子供たちとの確執、日本側の偏見など様々な問題、精神的ストレスを甘んじて受け入れられるのであれば、相手の家庭を壊すことなく、合法的に(第二)夫人になれる。
 しかし、もし相手がコプト(エジプトのキリスト)教徒の男性であったら、すっぱりその恋を諦めるか、一生日陰のみで我慢するか、深入りする前に選択しなければならない。いくら民法で離婚が認められているとは言え、彼らコプト教徒にはイスラムとはまた違う宗教的律法があり、一夫一婦制で、離婚も認められていないのだ。
 生活の全てに宗教が関わっている国、エジプト。いかに恋の力でもそれを打ち破ることは、象に蟻が一匹挑むことに等しいくらい、可能性がひっく〜いことなのだ。イスラム、コプトに限らず、様々な規制があることは確か。間借り人である私達外国人も、好むと好まざるとに関わらず、この規制に縛られるのである。知らなかった、関係ないと言ってはいられない。色々気をつけなくちゃ行けないことも多いんだよな。
 

      次号もお楽しみに!
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