「北海道新聞」夕刊(1999年7月1日号) より

(執筆者の阿部幸弘氏の掲載許可済)

コミック ラブひな

夢のような?浪人生活

 めくるめく夢のように楽しい(?)浪人生活の物語。
 主人公・浦島景太郎は、東大合格を目指す二浪生。 頭は悪い、運も悪い、ほとんどいいとこなしの彼はある日、 受験勉強の場を求めて祖母の経営する温泉「ひなた旅館」を久しぶりに訪れる。 ところがそこは彼の知らぬ間に、女子寮「ひなた荘」に衣替えしていた。 ひょんなことから管理人をするハメになった景太郎の、苦難の日々が始まる…。
 うっかり女の子の着替えを見てしまったり、滑って転んで全然悪気がないのに、 つい体を密着させてしまったりと、なんともお約束の不運が続く。
 はっきり言ってこれは、実質的ハーレムだ。 主人公が大失敗するたびに、読者もぬくぬく楽しい思いに浸れるというわけ。
 タイプの違う女の子五人が、それぞれ魅力的に描かれる。テンポも軽快で読みやすい。  棚ぼた式の幸運ですべてが進む恋愛の展開は、昔むかしの少女マンガを思い出させる。 が、ここで受け身なのは男の方だ。 考えてみると、ダメ男・景太郎のわずかな長所は、根が素直でカワイイところ。
 “男の子にとっての受け身の幸福”という主題が、それなりのリアリティーを持つ時代なのだ。 現在三巻。



関連商品のページにもどる

「ラブひな研究所」にもどる

copyright(C) 赤松健作品総合研究所