浦島景太郎 さん ●東大3浪生
「東大に入ってハクをつけないと このままじゃ一生彼女もできないぞ!!」
−偏差値48からの東大受験
彼は三年続けて東大受験に失敗し、現在浪人生活三シーズン目に突入しようとしている。
外見ダメ、勉強ダメ、運動ダメと、三重苦に陥っている彼の趣味はなんとプリクラ集め。
もちろんプリクラに一緒に映ってくれる女の子がいるわけもなく、クラ〜イ人生を送ってきたわけだ。
そんな彼の人生も、あきれ果てた両親に家を追い出され、
祖母の経営する旅館に住み込ませてもらおうと思い立ったのを契機に、百八十度急転する。
捨てる神あれば拾う神あり。
祖母の旅館は女子寮へとその姿を変えていたのだ。
ドタバタのあげくに女子寮の管理人となった景太郎には、非常に羨ましい、
もとい、凄まじい女難の日々が待ちうけていたのである。
『ラブひな』の中の東大生像はかなり極端に描かれている。
第一話において、偽って「東大生」の肩書きを用いた景太郎はひなた荘の女の子達からもてはやされ、
まさにハーレム状態。
実際には、駒場のある講義で「彼女いる」と答えた東大の男子は二割程度しかいなかったことを考えれば、
「東大生→エリート→玉の輿」という思考パターンが現実にはまかり通っていないことは明白であろう。
偏差値四八からの東大受験。匹夫の勇と言いきってしまえばそれまでだが、
なにが景太郎をそこまで突き動かしているのだろうか。
「大きくなったらふたりで一緒にトーダイ行こーね ♥」。
この幼い頃の約束を果たすためだとも言えようが、
その約束を実現させた先にあるもの、
東大に入学した後にあるはずの女の子との明るい大学生活こそが彼の勇気の原動力となっているのだろう。
「東大」神話は、所詮神話でしかなく、現存しない。
しかるに「東大」神話に憧れ、東大を志す者が現実にもいることは確かなのだ。
彼らはいつ現実に気付くのだろうか。
架空の「東大」を目指していては、いつまでたっても現実の東大へはたどり着けない。
現実を見つめ、等身大の東大に価値を見出せたとき、
東大はその門を景太郎に開くことになるのではなかろうか。