「東京大学新聞」(1999年2月2日号)の東大キャラを探せ@ より

(東京大学新聞社 掲載許可済)

成瀬川なる さん ●東大受験生

「やるだけ やってみようよ 東大」
クリスマスイブの夜、雪の安田講堂前にて。

 成瀬川なるは、高校三年生の東大受験生。最寄りの予備校・佐々木ゼミナールまで 一時間もかかるけっこうな田舎町、「ひなた町」(でも設定では東京都)にある「ひ なた荘」(元旅館で、現在は女子寮。管理人は東大二浪中の主人公・浦島景太郎)に 在住している。オーソドックスなラブコメヒロインで、彼女の性格は、やきもち焼き、 おせっかい、見栄っぱり、素直じゃない、ケチ、しっかり者そうで意外と弱虫、頑張 り屋さん、などの言葉で表現できる。第三回全国統一模試(時期は十月くらい)でト ップを取るほどの努力型天才美少女なのだが、勉強する時は(というかひなた荘の外 ではほぼ常に)、眼鏡にみつあみ&無表情のガリ勉三点セットで完璧に武装している。
 「ガリ勉」という型にはまったキャラに身を委ねることで、周囲からの誘惑をシャ ットアウトできる。自分が演じているうちに周りからもガリ勉であることを求められ 始め、どんどん自分が勉強一色の価値観に染められていく‥‥。東大の受験勉強には ある程度の強迫観念が必要だから、それを植え付けるためには「ガリ勉演技」をする ことが、もっとも楽ちんで有効な手段なのだ。頭のいい彼女はそれをよく知っている。 だけど、おっちょこちょいの景太郎の前では、つい本音の自分が出る。彼女は景太郎 との出会いにより、いったんは勉強に売り渡した己れの魂を再び買い戻してしまった のだ。センター試験には大きな影響は出なかったが、二次試験の結果はどうなるのだ ろう。「全国模試でトップを取った人は東大に落ちる」という現実のジンクスとのか らみも気になるところだ。
 ただ、景太郎の登場は、彼女にとって不幸であったわけではなさそう。むしろ彼の おかげで、彼女は強迫観念から解き放たれて輝き始めた。だからこそ、彼女には合格 してほしい。自分を追い詰めなくても合格できるのさってところを、彼女に見せても らいたいんだ。たぶん彼女は、それができるくらいに頭がいいだろうし。



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