ウィンターロード第1戦(’99.1.18)@日本CSC(修善寺)



行って来ました、東京都自転車競技連盟主催「ウィンターロード第1戦」 デビュー戦です。

 正直、終わってみてからの今では、ホントに呆然としています。まったくレースをやるとかそういう以前に駄目だったようです。実際、「ちったあぁ何か出来るのではないか」と思っていた自分が恥ずかしい限り。

 朝8時に日本CSCのゲートが開きます。
 ここで中に入って5kmサーキットに行きます。遊園地を越えてサーキットに出る辺りは、鈴鹿サーキットのミニチュア版という感じがします。

 さて、入って受付を済ませ、サーキットを試走です。
 ・・・試走の段階でちんたやばい。このサーキット、今回は周長5kmのところ、今回はショートカットを作って4kmにしてあります。レイアウトは・・・というと、これが全周に渡って登りか下り。・・・ちんたの一番嫌いなパターンです。しかし、そうも言っていられない。試走。なんだか霜が残っているところがある。下り坂なだけにめっちゃくそこわい。しかし、それ以上に思ったよりもタフなサーキットであることを思い知らされる。やばい。

 霜処理のため10分ほどスタートが遅れたものの、ほぼ何の問題もなく、まずエリートクラス「登録の部」スタート。それから1分遅れに残りがスタートする。未登録クラス、ビギナークラス、女子クラス、全部混走。スタートラインに付こうとしたら、偶然、アジア大会4位の女子選手が横に並んできてびびるちんた。

 スタート。ちんた、少々で遅れるもののしばらく付いていく。しかし、そんなものはあっという間、100mも走ったところから始まる登り坂からどんどん置いて行かれる。なんだろう?決定的な遅さである。この時点で既に先頭グループはぴゅーっと行ってしまった。  最初の坂は、まぁそれほどの坂でないこともあって、とりあえずクリア。次は右に左に曲がるカーブを含んだ下り坂。ここは楽しい。アウターにチェーンをかけて全開で回しながら心持ち身体を倒して、自分に出来る限りのスピードでコーナーを抜ける。ここは気持ちいい。しかしこの頃にはほぼビリの辺りに位置するようになってしまった。

 一周目の終わり、メインストレートが今回の一番の斜度がある急な登り坂。ここに至るとちんたもうぜんぜんだめ。息が完全に上がる。一周目にして売り切れている私。

 二周目は同じくビリを争っていた人に少々付いて行くが、それも下り坂までのこと。最後のメインストレートの坂で決定的な差を付けられ決定的なビリ。そもそも追いつこうとかそんなことを考える気力からして奪われてしまっている。正直、リタイアしたい・・・と心底思った。  三周目の半ば過ぎ、ついに同じクラスの選手にラップされてしまった。うひゃー4周しかないレースでラップか。が、その時は、そういった考え方を出来るような状況ではなかった。三周目の終盤の坂を登り頃には、ちんたはもうへろへろ、完全に終わっていた。上り坂ばっかのためか背筋がばりばりに痛い。心臓がはち切れそうに肋骨を押しているのは・・・まぁいつものことだ、だがしかし、この背筋だけは初めて味わう痛みである。先頭集団にラップされ続ける。ちんたビリ。本来、周回遅れにされたらヘルメットキャップを取られてリタイアとなるのだが、ビギナークラスにはそれは適用されないらしい。が、三周目のストレート、正直、もうここでリタイアしたい。俺が悪かった、だからリタイアさせて・・・という気持ち。このあと4周目に入って回ってこれるかどうかすら怪しい、自分のその時の状態を考えると、とてもではないが出来ないような気がする。それもあって、リタイアするのが一番ではないかとかなり本気で考えていた。
 「四周目に入るコントロールラインで自分でメットキャップ外してリタイアを申告しよう」
 本気でそう考えていた(そういう状態だったのだ)。

 そして、コントロールライン
 「ああ、終わった・・・・ごめんなさい」
 と思った、その瞬間、計時係をやっている役員のおじさん達から
 「25番(←ちんた)、もう一周!!」
 と声が飛ぶ。檄というわけでもない、声援というわけでもない。ただ単に計時処理上の係り間の連絡だったのだろう。しかし、その一言で、降りるに降りられなくなったちんた。
 「降ろしてもくれないのか・・・・」
 よろよろとストレートの坂を登り続ける。一個目の急坂。こんなん登れるんかいな。完全に死体となったまま坂を登る。もう、ちんたがしているのはレースではない。スピードが出ているわけでもない、誰かと争っているわけでも無い。何してるんだろう・・・こんな恥ずかしい状態で・・・。自分の中の強烈な疲労と情けなさで身体と頭が狂ってしまいそうな感じだ。上のクラスで周回遅れにされた人達(←この人達はリタイア)が死体が坂を登って行くのを見て「がんばれ」と声をかけてくれる。しかし、死体は死体、生き返ることは無い。

 最後の登り坂で、同じく死体になっている同クラスの人が視界に入った。あれ?あんな所にいたっけ?追いついているのか?そう思ったとき、少しだけやってみようかという気になった。後ろから見る限りは相手の方が死体度は高そうだ。行ってみよう。意外に早く追いついた。抜ける。抜いてしまうと相手が蘇生してしまうかも・・・抜いてしまうか一瞬迷ったが、小細工をするほどの余力は無かったので少し抜く。が、やはり相手、抜かれたのを見て蘇生してしまう。おまえ死んでいたのではなかったのか?!と言いたくなるほど軽快にぴゅーと行ってしまった。

 再びぶっちぎりビリ。最後のストレートも人が多いだけに情けないやら、みっともないやら。コントロールラインを超える。完走。しかし、完走しただけ。こんな完走にどれほどの意味があるのか。自分が何か頑張ったと言えるのか?そもそもこのレースの結果を何か悔しいと言えるほどの何かを自分をやったのか?そもそも自分は自転車に乗っているなどえらそーにしていて良いのか?そんな思いばかりが頭の中をぐるぐるぐるぐると駆けめぐる。ホントに、このレースで「良かった」ことなど何一つもない。いろんなことを、すべてのことを思い知らされてしまった。

 

上級者レースも最後のライダーがゴール。終了。
 入賞した人もリタイアした人も、パンクした人も、皆、それぞれに良かった悪かったと談笑している。ちんたはすでにそのレベルですらない。なにか入ってはいけないような所に紛れ込んでしまったような、それは全て自分の走りっぷりから来ているだけに、よけい疎外感を感じる。しかし、その疎外感も全ては自分のせい・・・。

 帰りの車の中。一人で(一人で行って良かった)ハンドルを握りながら考えることは全て今後のこと、今後のこと、今後のことばかりだった。



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