彼女は主婦である。まだ20代であるが、もう結婚して8年近くになる。子供もこないだ1人増えて3人になった。
「私は男は旦那しか知らないのよ〜」
というのが彼女の自慢というか主張である。
「下半身は身持ち堅いのよ」
とも主張する。うむ、たしかに身持ち堅いのは下半身だけかもしれない。
彼女は一時期、旦那ではないある男と夜な夜な遊びに行くことが多かった。もちろん、相手の男は彼女が3人の子持ちであることなんかかけらも知らない。が、旦那の方からは公認らしい。
「今日、Y君と遊んでくるから」
「ああ、行ってらっしゃい」
こんな感じなのだそうである。もちろん、何時に帰ってこようがなんのおとがめも無し。恐いのは、これが彼女、旦那の両親と同居で、さらにその義父母公認で夜遊びに行くというのである。これが子供達となるとさらに大人気。
「ママね、今日はY君と遊んでくるからね、お出かけなの」
「うわ〜今日もピカチュウ取ってきて〜〜♪」
もう狂喜乱舞なんだそうである。ちなみにピカチュウってのはUFOキャッチャーで取った景品というかなんというかそんなもの。Y君は彼女に「ねぇねぇ、今日もあれ、とってよ」とせがまれると何千円もかけてピカチュウを取ってくれるらしいのだ。そして彼は心を込めてピカチュウを贈るわけだけど、悲しいかな帰宅すればそのピカチュウはそのまま子供に流れていってしまう。おかげでY君の知らないところでY君幼児に大人気だ。
「ママ、またY兄ちゃんと遊んできて〜」
そんな感じらしいのである。
そんなY君でも、自分としてはいちおうつきあっているつもり(手は出していないけど)なので電話はよくかけてくるらしい。狭い家庭の中、いくら携帯電話とはいえ、幼児はお母さんのところにすり寄ってきてしまうものだ。今日もまた子供の声は電話を通じてまる聞こえ。いちおうはY君も気になるらしく聞いてくるらしい。
「その声、誰?」
「ああ、お姉ちゃんの子供、かわいいでしょう?」
これで済んでしまうらしい(^^;)。お姉ちゃんの子供がそんな毎日居るわけないだろう!(^^;) ちなみにY君からの電話の時には彼女は子供達に自分のことを「ママ」と呼ぶことは禁止しているらしい。Mちゃん(本名+”ちゃん”づけ)でしか呼ばないらしい。見事なしつけ。もちろん「ママって呼んだらピカチュウもらってこないよ」と言い含める。そりゃ「もらってこない」んじゃなくて「もらえなくなる」の間違いだろうよとも思うのだが、まだ3歳の幼児にそんな人生の香ばしさにつっこみを入れられるはずがない。日本でも10本の指に入るであろう人生模様の詰まったピカチュウだ。それでもピカチュウは微笑みを絶やさない。
ちなみに彼女の横流し物資の行き先は子供達だけでは終わらない。
Y君は時計マニアでもある。そんなY君、彼女の誕生日に合わせて、とてもめずらしいスウォッチのなんちゃらバージョン(なんのバージョンだかわからないが4万円したそうだ)を苦労してゲット、彼女に贈ったらしい。今、その時計どうなってるんでしょう?ちょっと聞いてみましょう。
「あの時計、今、どうなってんの?」
「あ、あれ?旦那がはめてるよ。Y君がくれたってあげたら喜んでた」
こらこらこらこら(^^;)。
そんな彼女も時が流れ、いつのまにかY君と別れていた(←こういうのを「別れた」というのかどうかは知らない)。
Y君が逆上したり、ストーキング始めたらどうしようかとも思っていたらしいが、そういうこともなく、独身で通したまま済んだのだという。
「でもねぇ、困ってるのよ〜」
電話の向こうで彼女がぼやく。ん?どしたの?
「娘がね〜、Y兄ちゃんと遊んできて、ピカチュウが欲しいってきかないのよ(--;)」
わはは、そりゃ、ちゃんと早いうちからピカチュウを通じて人生を教えた方がいいね。
なんだか仲が良いのか崩れているのかよくわからない彼女の家庭である(^^;)。
そんな仲の良い5人家族の彼女、今年の夏は一家で北海道旅行に行ってきたそうだ。は〜、いいねぇ相変わらず仲良い家族でさ。
「でもさぁ・・・・」
なんだい?
「旦那、札幌着くなりススキノ直行なのよ。家族旅行来て旦那がソープ行くような家庭、うちだけだわよ(^^;)」
うひゃあ(^^;)。
「悔しいから、後で根掘り葉掘り聞き出して真似してみたわよ」
ご、ごちそうさま(^^;)。
仲良きことは美しき哉。