SS−9チューニング講座


 SS−9は様々な名前を持ちます。SS−9000、UX−9、S−9、SS−9。
 初めはSS−9000という銃で、もう20年ほど前です。
 今に至るまで、メーカーの倒産し、他メーカーから再生産されるなどを繰り返し、同時にマイナーチェンジなどを繰り返しています。
 そんなSS−9は古くからサバイバルゲームにおけるスナイパーライフルとして使用されて来ました。昔はスナイパーでなおかつエアコッキングといえば、ほぼ全てがSS−9でしょう。
 しかし、今現在はAPS−2の出現で、ボルトアクションナンバー1の座を渡してしまっています。
 同じようにカスタムしていったところでAPS−2より下の性能になることでしょう。

 ここでは、そのSS−9をノーマル状態から今風のスナイパーライフルに仕上げるカスタム方法の例を上げ、初心者向けにわかりやすく書いていきます。

SS−9の種類
名前価格
UX−911800円
UX−9PRO19800円
UX−9メタル24800円

 一般に知られているのはこのくらいでしょう。
 他にカスタム9や、LRB搭載モデル、スーパーXシリーズなどもありましたが、ここでは省きます。
 なお、11800円のUX−9は、有名ですが、今は生産されていないと思われます。よって店頭で見かけることもまず無いでしょう。
 UX−9PROが、現在もっともメジャーでしょうか。
 UX−9メタルは基本的にはUX−9PROと同じですが、アッパーレシーバーがダイキャストの金属でできています。

SS−9の性能
 SS−9の性能はノーマルのままでは使い物になりません。これは聞いたことがある方が多いでしょう。
 性能の悪さにはチャンバーの構造と、全体的な気密性の低さにあります。
 気密性が低いのでスプリングのわりにパワーが低く、なおかつ初速も安定しません。
 チャンバー部分の構造が悪いので、弾道も毎回同じ方向に曲がりやすくなっています。
 これらの欠点を解消しないかぎり、SS−9は満足のいく性能にはなりません。

SS−9のパワー

 SS−9はノーマルでは1Jのパワーも無いでしょう。意外とローパワーな銃なのです。
 とはいえ、気密性を上げるだけでもノーマルスプリングで1.3J程度になります。
 ちなみに昔、よくみられたショップカスタムなのは、スプリングも変更しているわけで、非常に固いスプリングを付けています。
 もちろん、それに耐えれるように各パーツの耐久性も上げているのでしょうが。
 しかし、それでは簡単にゲームのレギュレーションをオーバーしてしまいます。その上、スプリング強化によるパワーアップでは、かならず破損率の増加が付き物です。
 これはSS−9に限ったことではありませんが、ノーマルスプリング使用の銃と、ハイパワーにして、さらに耐久性も上げるようなカスタムを施した二つの銃があったとしましょう。
 カスタム内容にもよりますが、ノーマルスプリング銃のほうが耐久性は高い場合が多いのです。
 高いお金をかけたところで、得れるものはパワーのみで、高い耐久性を手にいれることは不可能に近いわけです。
 ショップカスタムなどでは、これには売る問題もあるのでしょう。耐久性が高い銃と、パワーの高い銃があったとして、売れるのはパワーの高い銃ですから。
 仮に耐久性の高い銃を売るとして「この銃はパワーは普通ですが、5万発撃っても壊れませんよ」といっても、魅力を感じるユーザーは少ないでしょう。

 ちなみに、もしノーマルのSS−9のスプリングだけを強くした場合を例にとると、以下の順番で破損すると思われます。

ノーマルSS−9にスプリングだけ強化した場合、破損しやすい個所
 シリンダーの先端部が抜ける(現在バージョンではシリンダーを破壊しないかぎりスプリング交換は出来ませんが)
 チャンバーが割れる。
 スプリングガイドが折れる。
 ロアレシーバーが割れる。
 ボルトハンドルが折れる。
 ボルトハンドルとシリンダーの接合部分が割れる。
 シアが削れて暴発。
 ピストンが真っ二つになり暴発。
 ボルトセットピンが曲がる、または折れてシリンダーが後方、つまり顔面に向かって飛んでくる。
 レシーバー全体が曲がる。
 曲がったレシーバーを支えるため、ストックも曲がる。

 パワーアップする場合、これらのリスクは承知の上で行ってください。
 ちなみに「どの程度までのパワーアップなら破損の心配が無いか?」という質問にはお答えできません。
 スプリングを強化すればしただけ、確実に寿命と耐久性は下がります。確実性を求めるならノーマルスプリングまでがパワーアップの限界です。

ノーマルSS−9の性能を現在レベルにするためには
 昔のSS−9がなぜ使えるスナイパーライフルだったか。それは単純に命中精度が高かっただけではありません。
 パワーが高かったからです。
 パワーが同じなら、SS−9でもマルイの6000円程度のエアコッキングMP5と命中精度に大差はありません。差があるとしたら、スコープ装着が可能かどうか程度でしょう。

 今現在、SS−9をサバイバルゲームで有効なスナイパーライフルにまで仕上げるであれば、1J程度のパワーで、ホップがついており、満足な命中精度を出せることが条件です。
 さらに言えば発射音が小さいと良いでしょう。

どんなパーツを組むか

 性能を上げるためには気密性を上げ、なおかつホップをつけることです。
 下に書かれているものを全て組み込めば、使える性能になるでしょう。

必要なカスタムパーツ
ノズルタイプシリンダー7000円程度(?)いくつかのメーカーから出ています。ノズル長が長いものと短いものがあったと思います。
わからない場合ショップで相談してください。私もこのへんは詳しくありませんので。
スプリングなど、シリンダーの中のものもセットになったものもあるようですが、大抵がハイパワー向けですので、ローパワーにするのなら必要ないでしょう。
ピストンカップ500円〜700円ノーマル品は気密性が低すぎます。ここはゴム製のものに変えましょう。
HOP10015800円OKから発売されているホップバレルとチャンバーのセットです。
可変ホップなのですが、最低限に弱めても、0.2gのような軽い弾ではホップがかかりすぎてしまいます。
それでもSS−9の市販ホップでは、これが一番です。
スコープマウントベース1200円程度SS−9はノーマルのままではスコープマウントは無いのです。必ず付けてください。

 全てあわせて25000円ほどですが、これだけ変更すれば性能は見違えます。
 特にシリンダー部分の気密性は100%にもって行けるはずです。
 シリンダーノズルの頭を指でおさえてピストンを前進させても、ピストンが途中でストップするくらいになるはずです。

 パーツ選択の一つとして、ホップバレル作成の自信があればHOP100を省き、4000円程度のチャンバーと10mmバレルでのホップバレル自作を試してみても良いと思います。

 パーツはとにかくカスタム品に交換すれば良いわけではありません。
 実はノーマルでも十分なパーツもたくさんあります。
 SS−9は全てのパーツを交換しないと使い物にならないというのは、ハイパワー化するときです。

ノーマルのままで良いパーツ
ピストン実はノーマルスプリングを使うぶんには、これで十分です。
アルミピストンなどの金属ピストンは、ボルトの動きを悪くしがちな上、シアの耐久性を縮めます。
スプリングノーマルスプリングでも1.3J出せます。場合によってはカットして使ってください。
スプリングガイドこれもノーマルで十分です。ノーマルスプリングを使用するぶんには、簡単には折れないでしょう。
ボルトハンドルと、シリンダーとの接合部ここも変更する必要はありません。コッキングは親指でボルトハンドルの反対側をおさえて、ボルトハンドルの根本においた人差し指でつまむように引いてください。
ノーマルスプリングであれば、コッキングのしかたが悪くないかぎり折れないと思われます。
シア、トリガー、ボルトセットピンノーマルスプリングを使用する分には十分な耐久性です。
ただ、シアだけは数千発か数万発で削れて暴発します。暴発したらカスタム品にかえるも良しです。
そこまで撃たないかもしれませんが。
アッパーレシーバー、ロアレシーバーアッパーレシーバーは耐久性に問題ありませんが、ロアレシーバーがやや耐久性にかけます。
それでも交換するとかなりの金銭的負担となるので、ノーマルで我慢しても良いでしょう。ノーマルスプリング程度なら耐えてくれると思います。

 こうして出来上がったSS−9は、命中精度で同じパワーのAPS−2よりも劣るでしょうが、他は大差ないはずです。もちろん組み込みに腕にもよりますが。
 パワーは1.3Jほどだと思います。あとはスプリングをカットしていって調整していってください。
 ただし、1J以下までパワーダウンさせようとすると、スプリングが短すぎ、ピストンがシリンダーの中で遊んでしまいます。

SS−9の消音化
 やはり最近のスナイパーといえば消音でしょうか。
 SS−9はスプリングの巻きの直径がAPS−2ノーマルスプリングより大きいので、スプリングの震動音がしづらいという特徴があります。
 ピストンヘッドにソルボセインを貼り、KMのサイレンサーアダプターなどを使用し、サイレンサーを使用して撃ってみてください。おそらくかなり静かな銃になっていると思われます。

結果、SS−9は良い銃か?
 ノーマルから使える性能のSS−9の作り方などを書いてみましたが、どうでしたでしょうか。
 うまくカスタムしたところでSS−9はAPS−2に命中精度で劣ります。
 これはチャンバー、バレルの固定方法がAPS−2にくらべてSS−9が甘いからだと思われます。
 APS−2は一本のアウターバレルというパイプの中にシリンダー、チャンバー、バレルが一直線に並びます。
 しかしSS−9は違います。それぞれが独立し、レシーバーやストックに支えられて、なんとか一直線場に並んでいるに過ぎません。
 そういった差がSS−9とAPS−2の性能さとなって現れるのでしょう。
 他のトリガーのキレなども、SS−9のほうが劣ります。

 ここまで書くとSS−9はAPS−2に比べて圧倒的に劣っていますが、完全に負けているわけでもありません。
 消音で、ノーマルスプリング同士であれば、スプリングの震動音が少ないぶんSS−9が有利です。
 他に、慣れの問題でもありますがSS−9はいじりやすく使いやすい。さらにローパワーのSS−9は、異常なまでの耐久性を持ちます。
 別に銃自体が特に頑丈なわけでもないのですが、常にある程度の安定した性能を出します。
 もし破損個所がでれば、そこは「ハイパワー用のカスタムパーツ」に交換されます。
 ハイパワー用のカスタムパーツをノーマルスプリングの銃で使えばどうなるかというと、非常に長い間持ちます。
 もちろん中には金属ピストンなど、ローパワーとあまり相性の良くないパーツも存在しますが。
 例えば電動銃の場合、一つの銃で5年持たせようとすれば大変です、ギアは削れますし、モータートルクも落ちてくるでしょう。
 とりあえず電動銃は5年持ちます。ただし、それだけ使えばギア音が大きくなったりすることは避けられないでしょう。
 対してSS−9は5年持ちます。耐久性だけなら他の銃に負けません。
 たとえ性能が低くても、もし他の銃が全て破損したり調子の悪かった時、また、なんらかの原因であなたの家が全焼して、すべての銃を失ってしまった時でも、あなたのSS−9はベストコンディションで動いてくれるに違いありません。

ですが、これからSS−9とAPS−2で、どちらか購入されるか迷ってる方は、迷わずAPS−2を購入してください。

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