KSC MK23 US SOCOM PISTOL



KSC
19800円
ガスセミオート、ブローバックタイプ
全長245mm
重量995g
装弾数28+1発

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 1998年にKSCから発売されたハンドガン。
 発売された当時「命中精度が高い」と言われましたが、作動が不安定であったり、イマイチな印象がありました。
 たしかに弾道は素直かもしれませんが、驚くほどのものでもありません。そして、近距離での命中精度も高くはありませんから、命中精度で特別優れた銃では無いでしょう。
 発売直後に言われた事は、主に「着弾が下にずれる」「スライドの動きが遅い」だったと記憶しています。
 着弾が下にずれるのは、簡単に言えばフロントサイトが高すぎるのです。1mmほど高いでしょうか。
 そのため、サイトを使用して撃った場合、狙った場所よりかなり下に着弾します。
 これはセカンドロットでは改善され、スライドとフロントサイトの形が微妙に変わり、改善されています。
 また、セカンドロットからは、冬用のスプリングが付属するようになりました。
 これは冬の寒い時期に作動させるためのもので、パワーは落ちますし、気温が低い時に使わないと作動不良を起こします。
 1998年、秋頃になると、気温が下がり、SO-COMの弱みが現れてきました。
 どうやらこの銃、寒さに弱いようなのです。
 寒い時に連射すれば、生ガスを吹いて作動停止してしまいます。
 たしかにSO-COMは、WA(ウェスタンアームズ)の銃などにくらべると、寒さに弱いでしょう。それは例えSO-COMに冬用スプリングを使ったとしてもです。
 ですが、この頃になって、コナミから発売されたゲーム、メタルギア・ソリッドにSO-COMが登場します。
 ゲームと一緒にSO-COMはヒットしました。

 また、始めの上は、スライドストップが勝手に抜け落ち安いという欠点もありましたが、いつのまか改善されたようです。

 1999年になって、KSCがハードキックタイプの銃を発売し、SO-COMにもハードキックバージョン、後付ハードキックユニットが発売されました。

 確かにこれを組み込むことでブローバックの勢いが増しますが、それと同時に寒さにも強くなるようです。
 ただ、シリンダーが非常に薄いプラスチックですので、夏場の暑い時期に割れないかどうかが心配です(私は割れたことはありません)
 この後、SO-COMのヘビーウェイトスライドバージョンが発売されましたが、あまりいい話を聞きませんでした。
 スライドが重く、作動不良が多いらしいです。

 これでSO-COMの大きな欠点が消えてはいるものの、まだ使用上の注意があるようです。
 まず、マガジンに弾を最大まで詰めてはいけません。
 一番上の弾がある程度下に下がるくらいにいれて置かないと、最悪、銃にマガジンを差し込んだと同時にスライドにヒビがはいるようです。
 また、これはSO-COMに限らず、他の銃(KSCグロックなど)にも言えますが、マガジンはたたき込まないで静かに入れた方が良いです。これは先に書いた、弾が満タンに入っているいないの状態には関係無くです。
 マガジンをたたき込むとスライドが上に押されるので、スライドにヒビが入る可能性が高いのです。

 他の欠点として、マガジンを入れずにカラ撃ちでハンマーを落とした場合、かなり高い確率で内部パーツが破損するという弱点もありました。
 最近のロットでは、このパーツの色が変わっているので、多少破損しづらくなったのかもしれませんが、SO-COMでは「マガジンを入れないでカラ撃ちしてはいけない」と覚えておいた方が良いでしょう。

 また、気になる点としては、マガジンは最後までダブルカアラムなので、特にマガジンリップが消耗してくると、弾との相性などにより、複数の弾が同時に飛び出し、給弾不良が起きます。
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 また、マガジンといえば、フォロアーが露出していないので、ローダーがないと装填できないに等しいのは厳しいです。
 そのぶん、マガジン外装がリアルなことは利点ですが。
 マガジンは内側が亜鉛ダイキャスト製、外側はスチールプレスです。
 マガジン自体が他の銃より大きいので、気化スペース等では、若干有利だと思います。

●操作等
 SO-COMの特徴といえば、セフティレバー、デコッキングレバーの存在でしょうか。
 SO-COMの前身であるだろうH&K・USPでは、セフティレバーがフレームに付いていて、上にあげてセフティロック、真ん中でセフティ解除、そして下に大きく下げるとデコッキングでした。
 しかし、SO-COMは、デコッキングレバーとセフティレバーは別々で、また、セフティレバーは、ハンマーが起きている時のみロック可能です。
 つまり、ハンマーを落としてセフティをかけないか、ハンマーを起こしてセフティをかける、コックアンドロックでの携帯となります。
 また、ハンマーダウンをする時、デコッキングレバーを使わず、トリガーを引きながらゆっくりと指でハンマーを落としても、暴発することはありません。
 SO-COMはセフティレバーのロックが甘い感じをうけます。セフティが勝手にかかりそうで、また勝手にはずれそうで、やや不安です。
 もう少ししっかり動いてくれたほうが、確実なロック、また解除を期待できますね。

 SO-COMは、マガジンキャッチも独特です。
 前身であるUSPもそうでしたが、マガジンキャッチは押し込むタイプではありません。
 上から下に多少下げるタイプで、やや操作しづらく感じるかもしれませんが、慣れるとなかなか扱いやすいものです。
 また、この利点ですが、どうも銃をホルスターにいれて走り回っている時に、マガジンが勝手に抜け落ちていることが少ないようなのです。
 というのは、マガジンキャッチがボタンではありませんから「勝手に押されてマガジンが抜け落ちる」ということが少ないのでしょう。

 また、トリガーはダブルアクションでもM92Fよりはストロークが短く、シングルアクションでは遊び部分は長い物の、本引き部分の切れは良く、なおかつなかなか軽いトリガーです。
 本引きに入ってから、ハンマーが落ちるまでのストロークは5mmほどでした。

 グリップは非常に大きく、特に手の小さい人にとっては握りづらいでしょう。
 デザートイーグル50AEと並び、最大サイズでしょうか。
 ただ、デザートイーグル50AEとの違いは、あちらがグリップが前後に長く、左右幅が普通なのに比べ、SO-COMは、前後幅がデザートイーグル50AEよりも短く、左右幅はさらに太くなっています。
 グリップ前後には滑り止めの細かい突起がいくつもあり、強く握っているとやや痛い感じもあります。

●携帯性
 大きめの銃ですから、携帯性は良くありません。
 まず困るのは、対応するホルスターが限られてしまう点でしょう。
 他のハンドガン、たとえば標準的であるガバメントやM92Fがぴったり入るようなホルスターには、SO-COMは収まりきりません。
 また、SO-COMは、どちらかといえば重い銃の部類に入りますから、携帯しづらいほうでしょう。
 スライドからやや突き出たバレルも、ホルスターに入れたまま匍匐などをしていると、場合によっては、やや土などが入りかけることもあります。
 SO-COMの携帯性でのメリットといえば、マガジンが脱落しづらい(と思われる)ことくらいでしょう。

●命中精度
 非常に怪しげなのが、SO-COMの近距離での命中精度です。
 SO-COMは遠距離での弾道安定性は、まずまずです。マルイのM92Fやグロック26には劣りますし、マルイのデザートイーグルにも劣る印象を受けますが、それでもとりあえず満足な弾道は描いてくれるでしょう。
 この弾道安定性の違いは、チャンバー構造の違いがもっとも大きいようです。
 マルイ・M92F、マルイ・グロック26は、弾の保持がバレル内で、ホップパッキンに支えられています。
 対してSO-COMはラバーチャンバーの中で弾が保持されるので、弾に対して安定したホップがかかりづらいのです。
 これはSO-COMが悪いというより、マルイの二機種が特別優れているという表現をしたほうが正しいでしょう。

 しかし、問題なのは近距離での命中精度です。
 下のターゲットは夏用スプリングで、マガジンを十分に暖めた後、室内でテストしました。
 ホップは0.2gで適正か、やや強めといったところです。
 ターゲットまでの距離は3mです。各ターゲットに10発ずつ撃っています。
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 左のターゲットは、右のターゲットよりまとまっています。
 対して、右のターゲットはというと、4発ほど下にずれているのがあります。
 左のターゲットは、SO-COMにKMのセミロングサイレンサーを装着して撃っています。対して右のターゲットはサイレンサー無しです。
 なぜかSO-COMはサイレンサー装着時のほうが近距離での命中精度が高く、心なしか着弾点も上にずれる印象を受けるのです。
 ここから先は推測です。私が思うに、SO-COMは、とくにホップを強めにかけたりした場合、弾が完全に銃口を出る前にバレルが下がり初めているのではないかと思うのです。
 これは昔のMGCのグロックにあった現象です。バレルが銃口から出る前にスライドが後退を初めてしまうと、スライドは「銃本体を蹴って後ろに下がった」ことになるので、銃自体は前に力を受け、グリップを支点に回転するように動き、結果として銃口がやや下を向いてしまうのです。
 もし理解できない、また、実感してみたい方は、ブローバック銃を右手で持ち、左手をフレーム先端の下側ギリギリに触れるか触れないかのところに置き、カラ撃ちしてみると分かるでしょう。
 一瞬、フレームは下にずれ、左手に接触します。ブレは銃によって違い、ほんの数ミリですが、これでも弾が銃口から出ていなければ、命中精度には影響するのです。
 サイレンサー使用時は、サイレンサーの重さがスライドの下がり出すタイミングを遅くしているように感じます。
 となると、ヘビーウェイトスライドのように重いスライドのものでも効果があるとなりますが。
 しかし、SO-COMが弾が銃口から飛び出す前にスライドが下がり始めているかは、非常に疑問です。
 とはいえ、サイレンサーを付けた方が命中精度が高いのも実感しますし、単にそのためにアウターバレルが重くなり、ガタがでづらくなるのであれば、サイレンサー使用時のほうが着弾点は下にずれるほうが考えられるのです。

 このへんは私自身もよくわかりません。
 あまり難しく考えないで、命中精度の結果だけ見てもらった方が良いかもしれませんね。

 また、SO-COMは、インナーバレルはアウターバレルの中にがっちりと固定されているわけではありません。
 インナーバレルはアウターバレルにあわせて前後に動きますが、アウターバレルとインナーバレルの角度が違います。
 SO-COMはスライドが後退した時、アウターバレルが、若干上を向きます。これは実銃がそうなっていますから、エアガンもそうなっているわけです。
 ですが、インナーバレル自体は、ほぼ水平を保ちます、つまりアウターバレルに対するインナーバレルの角度が多少変わるのです。  インナーバレルの先端付近には、アウターバレルとの固定用にOリングがあり、これが痛んできたり、ハズレ物で小さかったりするとガタができ、インナーバレルがアウターバレルの中でカタカタと動きます。
 もしこういう物の場合、インナーバレルとOリングの間にシールテープを挟むなどして、ガタを取ると良いでしょう。

●総評
 さて、いろいろとSO-COMについて書いてきましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。
 発売されてからけっこうな時間が過ぎており、他に良い銃が多くでているのも確かです。したがって今となってみれば、さほど良い銃ではないかもしれません。
 実際、命中精度ではマルイ・M92Fや、マルイ・グロック26など、SO-COMを上回る物がありますから。
 そして、何よりは信頼性、耐久性でしょう。私が知る限りではSO-COMは、さほどタフな銃ではありません。スライドが割れやすいなどの脆さもあれば、マガジンリップの痛みによるジャミング、それから謎の命中精度の悪さなどの問題があります。
 もちろん、SO-COMにしかない利点もあるでしょう。サイレンサーや、レーザーサイト、フラッシュライトが、これほど似合い銃も少ないでしょうし。
 結果、この銃が良い銃かどうか。となると「悪くは無い」としか言えません。
 ガスブローバックハンドガンとして、最高の部類には入りませんが、悪い銃でも無いでしょう。
 個性的な銃ですから、その個性に牽かれて「どうしてもSO-COMでなければ」という方もいるはずです。そういった方にとっては、薦めれる銃です。

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