狙撃手入門4


攻撃


written 2002/12/21

 前回は主に、相手に発見されないことがどれほど重要なのか、そして、そのためにはどうすれば良いのかを書きました。
 前回も書いた通り、相手に発見されない限り、撃たれることはありません。例外とすれば探り撃ちにヒットしてしまう場合や、アンラッキーヒットの場合です。
 つまり、相手に発見されない限り、反撃の手段を持たない敵に対し、こちらからの一方的な攻撃ができるわけです。

攻撃の危険性

 攻撃、つまり一発でも射撃を行うということは、被発見率の非常に高い行動です。
 完璧とも言えるギリスーツを着込み、待ち伏せに適した場所でじっと動かなければ、そうそう見つかるものではありません。
 場合によっては発見するのは不可能とも言える場合もあるでしょう。
 しかし、そこで僅かにでも動くか、一発でも射撃をすれば、たやすく見つかってしまうこともありえます。
 偽装はトータルバランスです。動き、装備、発射音、周囲の地形など、すべての物が総合されて偽装効果が決まります。
 よって、どんなしっかり偽装していても、一発撃った時に確実に発生してしまう発射音が、偽装効果を大きく下げてしまいます。
 そのため、ギリースーツを着込み、待ち伏せ、狙撃主体の戦術をとるプレイヤーほど消音に対してこだわりを見せます。
 逆に、服装も、戦術も、それほど偽装効果があるものでなければ、銃の発射音の大小などは大した意味を持ちません。

 射撃を行ったことにより発見されてしまう要因は以下のようになります。

 発射音
 弾道
 動き

発射音

 前述したとおり、発射音は被発見率を高める大きな要因です。
 発射音を立てたことにより、その場に確実に人が潜んでいることがバレてしまうのはもちろん、だいたいの位置も推測されてしまいます。
 発射音のみで完全な位置特定は不可能かもしれませんが、その後、発射音のしたあたりに集中的な策敵が行われ、視覚により発見された時点でアウトとなります。

 発射音を消すには銃の消音化しかありません。
 サイレンサーを装備し、ピストンカップにも緩衝剤。
 また、スプリングの種類を選ぶことも効果があります。長くて短いスプリングを組み込むことが有効でしょうか。
 さらに言えば、銃をパワーを落とすことも大抵の場合、発射音の減少に繋がります。

 発射音だけを考え、銃を選ぶとしたら、静かな方から以下の順です。
 電磁弁、ガスセミオートライフル、スライド固定式ガスハンドガン、ボルトアクションライフル、電動ガン。
 どれもサイレンサー装備が前提です。
 また、作動方式が同じであれば、一般にバレルが長い方が多少静かです。
 最も静かなのは電磁弁ですが、大手メーカーで大量生産されてるものはありません。
 ガスセミオートライフルは今ではほとんど存在せず、また、ノーマルで満足行く性能のものは皆無で、どこかしらチューニングする必要があります。

弾道

 弾道は相手の正面から撃てば撃つほど見られやすくなります。
 弾道の見やすさは周囲の地形、光量に大きく左右されます。
 全てが直射日光が当たっている場所、または逆に暗い場所なら弾道が発見される確率は低いのですが、森の中で直射日光が差し込んでいる場所などを弾が横切る弾道は側面からでも非常によく目立ちます。
 弾道が見えてしまうと音以上に居場所が特定されてしまう場合がありますので注意が必要です。

動き

 狙いを定める瞬間、大きく動いて撃つようでは狙撃手としてよくありません。
 アンブッシュ状態から、あとはトリガーを引くだけの状態を保ち、チャンスと同時に指先だけ動かして一撃でいいでしょう。
 当然、撃つ瞬間にサイティングではありません、あらかじめスコープのレティクル中央に相手を捕らえた状態でチャンスを待ち、トリガーを引くだけです。

ホップ、サイトの調整

 ホップ、サイトの調整は、狙撃手としての成果を決める大きな要素です。
 「発見されない」ことを前提にゲームをするのであれば、狙撃に二発目を使うべきではありません。
 常にハズれたことも頭にいれながら、常に一発目を当てていくようにするべきです。
 そのためにはフルオートでありがちな弾道を見ながらの着弾修正、1発目をハズしても2発目で着弾を修正して当てるという方法に頼るべきではありません。

 ある位置にアルミカンを置き、それを1発目で仕留めることと、2発目で仕留めることでは、全然難易度が違います。
 2発あれば、たとえ1発目がハズれたとしても、1発目の着弾を見て、2発目は修正して狙うことができます。
 しかし、サバイバルゲームで1発目をハズせば、ベテランゲーマーほど一瞬でブッシュに潜り形勢逆転を試みます。
 1発目で当てることと、2発目で当てることでは、その重要性に雲泥の差があるわけです。

ホップ弾道の調整

 ホップは基本的に強くすれば強くするほど弾道が散るようです。
 これはホップの構造により、マルイが使っているような安定性の高いホップではさほど感じられないかもしれませんが、実際にホップを強めれば散る傾向があるようです。
 また、地面に伏せている相手を撃つ場合や、ブッシュの向こうに頭だけでている敵を撃つ場合もあるため、強めのホップではいけません。
 もし、フィールドの都合上、どうしても遠距離で撃たなければならないのならともかく、普通のゲームであれば、弱めのホップを推奨します。
 遠距離を撃つ場合は、斜め上に打ち上げると良いでしょう。そうすれば弱めホップでも遠距離が狙えます。

弱めのホップ弾道
sniper4_1.png

強めのホップ弾道
sniper4_2.png

スコープ調整

 次はスコープ調整です。
 まずスコープがが斜めについていないかをよく確認してみてください。
 スコープが斜めについていると弾道が斜めに曲がって見えてしまいます。
sniper4_3.jpg
 左が普通にまっすぐついた状態。
 右がスコープが左に傾いている状態。
 白い線が弾道です、まったく左右への弾の曲がりがないと分かりづらいので、多少曲げて書いてみました。

スコープから見えるホップ弾道

sniper4_4.jpg
 左が一番ホップが弱み、右が一番ホップが強いイメージです。
 右に行けばいくほど、いざ敵を狙った時に、弾が敵の頭上を越えていってしまいます。
 私が理想としているのは、弾道の頂点がレティクル中央に来る一番左の図です。
 強めにホップの場合、レティクル中央に弾が位置しているのは、ほんの一瞬だけとなり、実際使いやすい弾道にはなりません。
 スコープのダイヤルで着弾位置を下げても、やはりレティクル中央に弾が合うのは一瞬だけです。
 弱めのホップでは、中距離でぴったりレティクル中央に弾が来るように調整し、遠距離では落差分、上を狙います。

 参考までに私の場合、APS2、1Jギリギリ、0.29gグランドマスター弾では、以下のように落差分をずらして狙います。
 10m 修正なし
 20m 修正なし
 30m 修正なし
 40m 40cm上狙い
 50m 1m上狙い

射撃練習

 狙ったマトに当てることは、決して簡単なことではありません。
 同じマトを狙い何発もうち、そのうち何発が命中した。というのであれば簡単です。
 ですが、実際のゲームでは、決まった距離に敵を置き、それに何発も撃ちこみ、何発あたったかを競うわけではありません。

 つまり、実際のサバイバルゲームでは、敵は近距離から遠距離、どこに出るか分かりません。
 また、途中の草木も弾道を遮ります。
 ブッシュから自分の体を大きく出さないように、なおかつブッシュに弾をはじかれないように弾道を選び、確実に一撃で仕留めるとなると、一気に難易度が上がります。

落差を読む

 同じマトに何発も撃ち込むのであれば、1発目がハズれ、そのハズれた分を修正して2発目を撃てば、当てられる確率は高くなります。
 しかし、実戦ではそうはいかないため、スコープで敵を捕らえたら、次の瞬間には落差を計算し、その場所にレティクルを合わせなければなりません。
 常に自分の銃が、どの距離でどのぐらい落差が生まれるかを知っておかなければなりません。
 これは一撃必中を狙うためには必要不可欠で、また、弾道を知るためには可変ホップよりも固定ホップに分があります。
 可変ホップで毎回ホップをいじれば、そのたびに弾道が変わり、スコープも調整しなおしということになります。
 たしかに固定ホップで、なおかつ銃のパーツ構成が同じでも、気温や気圧により弾道は変化します。
 しかし、それは可変ホップでホップ調整したときとは比べ物にならないほど微々たるものです。
 ホップとスコープのセッティングは一度調整し、うまくいったら動かさず、使い続けることが、その銃の弾道、特性を知る近道です。
 この銃は何メートルでどのぐらい弾が落ち、何メートルのどの大きさまで当てられると分からなければ確実な狙撃は生まれません。
 銃を知れば知るほどよく当たる、つまり一つの銃を使い込めば使いこむほどよく当たるのです。

狙うことと当てることの違い

 マトとしてアルミカンかなにかを置き、それに向かい何発撃ち何発あたったか、これには大した意味はありません。
 重要なのは当てることであり、狙うことではありません。
 実際のサバイバルゲームでは、とくに中距離、近距離の狙撃では、ミスショップが直接こちらのアウトに繋がることもあります。
 つまり絶対にハズせないわけで、一発のショットが当たるか、ハズれるかで、その後の展開は全く違います。
 ためしに20m先にA4版の紙を置き、そのターゲットが大きいと感じるでしょうか、それとも小さいと感じるでしょうか。
 単に何発か撃って半分ぐらい当たれば良いと考えるのであれば、小さいターゲットでは無いかもしれません。
 しかし、それがサバイバルゲームの敵だと想定すれば、20mの距離では確実に当てなければ危険がつきまといます。
 つまり、20mの距離でA4版の紙に、かりに10発撃ったとすれば、10発全て当てなければいけません、ハズしたら即死と考えれば、けっして大きいターゲットでも、決して近いターゲットでもないのです。

 ターゲットとしてお薦めするものの一つにプリンタ用紙、コピー用紙などがあります。
 これはしっかりと着弾が残るため、自分の銃のサイトが、どの方向にズレているかも、しっかりと表してくれます。
 ただしこの手の用紙をしっかり狙いたい場合は、マジックなどで中心に丸印を付けておくことをお薦めします。
 無論、サバイバルゲームで敵を狙う時は、その中心にマークなどありませんから、自分で素点を決める必要がありますが。

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