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エアガンの歴史・つづみ弾時代 - 遙かいにしえの時代。\

遙かいにしえの時代。
まだモデルガンばかりの時代。
突如として現れたエアガンという存在があった。
当時、弾のでるトイガンは皆無。
そこに出現したエアガンの存在は、明治維新以来の日本の大革命であった。

「弾の出るトイガンで遊べる」

庶民は皆、口を揃えてそう驚いた。

つづみ弾と呼ばれるてるてる坊主型の弾を打ち出すその玩具銃は、瞬く間に日本の銃器ファンを虜にしていった。

つづみ弾はBB弾と違い前後がある。
かっこよく言えば実弾のようである。
しかし実際には実銃のような螺旋スピンをかけて打ち出すものではないため、飛行中に不規則な回転をしながら飛んでいき、空気抵抗が大きかった。無論、弾道もそれほど優れてはいない。

しかし当時のトイガンファンに、そのような事は重要な事ではなかった。
弾が出る。ただそれだけでよかった。

モデルガンは弾がでなかったのだ。
火薬を爆発させ、音と動作を楽しむ。
そこには、標的を狙って撃つという楽しみは存在しなかった。

つづみ弾のエアガンは、その夢を叶えてくれたのであった。
標的を狙って撃つという事を。

つづみ弾のエアガンが普及すると、そのエアガンを使って対人で撃ち合う者達が現れた。
これが今でいう日本のサバイバルゲームの原型である。
正確の言えば、それ以前、アメリカであったペイントボールと言われる遊びがあった。
ペイントボールを打ち出す銃を使い、それを使ってサバイバルゲームを行う遊びである。

日本ではペイントボールは存在しなかった。
よって、その代用品としてつづみ弾エアガンが使われたのである。
ごく当然の事だ。

つづみ弾を使ったサバイバルゲームは、今までのモデルガンでは出来なかったほどの楽しみを与えてくれた。
狙って撃つ、弾を避ける。そこには高度で深い戦術があった。
電動エアガンが普及した今とは違う楽しみがあった。

射程が短い。
10mも離れれば当たらないかもしれない。

連射ができない。
一発ごとにスプリングをコックしなければならなかった。

弾が少ない。
カートを使うエアガンが主流だった。
1マガジンに10発程度しか入らなかった。
数百発も入るエアガンは存在しなかった。


一発一発の大事さがあった。
狙って撃っても当たらない緊迫感があった。
相手の背後を取る駆け引きがあった。


今は忘れ去られた楽しみかもしれない。
便利になった反面、人はあの時代に何かを忘れてきたのかもしれない。