MP5系


 マルイの電動ガンは、初心者がサバイバルゲームをするにあたり、一番無難な選択です。
 そのなかでもさまざまな種類があり、サバイバルゲームについて何も分からない初心者にとっては、どれを選んで良いのかは頭を悩ます問題です。
 しかし、他のコンテンツにも画いてあるように、マルイの電動は、その外側は違えど、中身はほとんど同じ構造です。
 つまり、中身が一緒のものを外側だけ買えて発売しているようなものであり、どれを選んでも性能的に大差はありません。
 ですから、ぱっと見たかんじで気に入ったものを購入しても、さほど大きな違いはありません。
 少なくても飛距離が倍違う、命中精度が倍違うなど、そのような大きな違いはありません。

 ただ、それでも分解のしやすさ、銃の大きさ、重さなどはそれぞれですから、自分の好みについで、自分にあったものを購入する必要があるでしょう。
 たとえば分解を繰り返してチューニング、カスタムをしたいのに分解の難しい銃を選ぶのは得策ではありませんし、軽い銃を欲しい人間が重い銃を購入してしまうのも後悔をすることになるでしょう。

 ここでは、私がマルイの電動ガンの中で「とりあえずは初心者に無難」といえるMP5系を紹介します。

MP5系

 まずMP5系はMP5K&PDW(MP5K系)と、それ以外のMP5系(MP5A5、MP5A4、MP5SD6、MP5SD5)に分かれます。
 ここでは後者を便宜上「MP5A5系」と呼ぶこととします。
MP5K系 MP5PDW
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MP5K
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MP5A5系 MP5A5
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MP5A4
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MP5SD6
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MP5SD5
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 MP5K系と、MP5A5系では、メカボックスが違う、分解方法が違うなど、かなりの違いがあります。
 ですが、オプションパーツ、スコープマウントやマガジンなどは共用できます。

 ここでは、MP5A5系にスポットを当てて書きます。
 なぜならMP5K系にくらべて種類が豊富で、ある程度の選択の幅が持てること。
 また、MP5Kは、ほんのわずかですが、他の電動ガンよりパワーが低めであること、などの理由です。
 完全な初心者であれば、より一般的な銃に近い、MP5A5系のほうが無難だと考えます。

 ※余談になりますが、分解のしやすさはMP5K系のほうがMP5A5系よりはるかに優れ、分解、組み立てを繰り返すかたがたにはお薦めです。

MP5A5系の生い立ちなど

 マルイの電動MP5系でもっともはじめの銃はMP5A5です。
 発売は1992年の末だと記憶しています。
 FAMAS、M16A1に次ぐ、マルイの3作目の電動ガンがMP5A5です。
 1993年の春にはMP5A4が発売され、1993年秋にMP5SD6、1994年の春にMP5SD5と記憶しています。
 MP5Kなどは95年以降です。

 さて、MP5A5系、つまりA5、A4、SD6、SD5は、これだけ古い銃ながら、いまだにフィールドでは多く見かける銃の一つです。
 電動の世界は某パソコンなどの世界と違い、「古いもの=性能が劣る」となるものではありません。
 とはいえ、一般的には新しいもののほうが優れているわけですから、古い銃がいまだに愛用されつづけるというのは不思議な話でもあります。
 今でも多く使われているのは、それだけ優れた、使いやすい銃であるからでしょう。

MP5系の特徴

コンパクトで軽量な電動ガン

 MP5系は、そのいずれもが軽く、長さもそれほどではあまりせん。
 この軽快さが、この銃の使いやすさの大きな要因だと思われます。
 エアガンはプラパーツ多用ですから、実銃のように頑丈ではありません、つまり、エアガンで重過ぎる銃は、その自重に耐えることでも不安を感じます。
 銃自体が軽ければ、多少強度不足であっても、あまり気になることはありません。
 また、エアガンでよく言われる問題点で「首」の弱さがあります。
 これは、バレル(銃身)の付け根などの固定、強度の弱さで、これが弱いと銃身の向きが安定せず、命中精度にも悪影響を及ぼします。
 MP5A5系の首は、あまり強いほうではありません、むしろ弱いほうに入ります。
 しかし、それはさほど気になりません。なぜなら銃身自体が短いMP5系では、たいした首の強度が無くても、首にかかる負担は小さく、充分に支えきれるのです。

200連マガジンには、若干の不安があります

 MP5系のマガジンはマルイから発売されているものかは全部で4種類。
 28連マガジン、50連マガジン、200連マガジン、240連マガジンの4種類です。
 このうち、多弾数マガジンと呼ばれるものは、200連と240連です。
 この200連マガジンは、やや不評な部分があります。
 一つは長いために伏せ撃ちをおこなうさいに地面に干渉し、低い姿勢をとりづらい。
 また、マガジンが細いために内部で弾が流れ込むスペースが狭く、給弾不良がおきやすいマガジンでもあります。
 もちろんマガジンの個体によっても違います、ですがMP5の200連マガジンは、平均をとった場合、他の電動ガンの多弾数マガジンと比べ、給弾不良がおこりやすい部類に入るようです。
 とはいっても、さすがにマルイの電動ガンですから、実用には充分耐えうる信頼性で、あくまで「他の一般の電動に比べれば、やや信頼性が低いマガジン」となります。

240連マガジンのほうが給弾が確実

 どうやら240連マガジンのほうが給弾の確実性としては上のようです。
 これは形状の関係、構造上、弾の流れ込むスペースを広くとれるのが理由だと思われます。
 給弾不良を懸念するなら、240連マガジンのほうが無難といえます。

実銃のMP5、映画の中でのMP5

 実銃のMP5といえば、特殊部隊や警察に愛用されている銃のようです。
 一般の軍隊で他の軍用ライフルのように使われているという話は、あまり聞いたことがありません。
 このことから「MP5=特殊部隊の銃」といったイメージが一般に浸透しているようです。

 他のサブマシンガンではなく、MP5だけが特殊部隊に好まれる理由は、構造上からくる命中精度の高さです。
 他の多くのサブマシンガンは、ボルトが開いた状態が作動開始への待機状態となっています。
 トリガーを引くとボルトが前進し、前進しきったところで弾が発射されます。
 一方、MP5の場合ははじめからボルトが前進状態にあり、そこから弾が発射されますので、発射時の振動が少なく、命中精度が向上します。

 また、映画でも特殊部隊が使う場合が多く、それ以外では、テロリスト等の悪役も多く使っているようです。

電動MP5の構造

分解しずらい構造

 MP5K、MP5PDWをのぞくMP5は、いずれも分解しづらい部類に入ります。
 具体的にメカボックスの取り出し方を言えばストックをはずし、グリップ&ロアレシーバーをはずし、ハンドガードをはずし、フロントレシーバーを抜き取り、アッパーレシーバーを両側にはずし、やっとメカボックスが取り出せます。
 ほぼ完全に分解する必要がありますし、特にアッパーレシーバーの分解、フロントレシーバーをはずすことは着弾点にも影響がでそうなので、あまりやりたくないことです。
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 レシーバーは左右モナカタイプ
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 モナカ構造のために、マガジンを受ける部分のレシーバーが左右に開いてくることもあります。
 対策パーツも発売されています。

固定に不安のあるホップレバー

 MP5A5系(A5&A4&SD5&SD6)のホップ調整レバーはハンドガード左側の上部分にわずかに露出したレバーです。
 外部に露出しているうえに、少しレバーを動かすだけでホップのかかりが大きくかかるので、やや使用感は悪いほうです。
 少しばかりレバーをカットして短くすることで外部への露出がなくなります。
 その場合はハンドガードをはずしてからの調整となります。

ちょっときしむハンドガード

 MP5A5、A6の三角形のハンドガードも、SD5、SD6の円筒形ハンドガードどちらも、ややきしみます。
 G3SG1、A4ほどではありませんが、わずかに気になるところです。

破損に注意、コッキングレバー

 コッキングレバーの強度は丈夫ではありません。
 コッキングレバーを後方のロックポジションに引っ掛けた状態から勢い良く開放させるとレバーが破損することがあります。
 コッキングレバーを戻すときは手で戻したほうが破損を防げます。
 もっともコッキングレバーにはなんら意味がありません(PDW系(PDW&K)を除く)
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前部の剛性について

 MP5A5系(A5&A4&SD5&SD6)は、ハンドガード付け根部分あたりから前のフロントレシーバーは別パーツです。
 よって、バレル先端に上下左右に力をかけた場合、着弾が狂うことがあります。つまり、「首」が弱いのです。
 また、スリングフックはフロントサイトの左側についていますから、スリングをつけて強く引っ張り負担をかけることは、あまりお薦めできません。
 このへんのことはMP5に限らず、多くの電動ガンに言えることです。
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 構造的にしかたないのかもしれませんが、ここから別パーツになっているのは剛性的には残念です(MP5K、PDWは違います)

チャンバーはねじ止め

 MP5A5系のチャンバーはレシーバー右側へのねじ止めです。
 よってチャンバーのブレは他の銃にくらべるとかなり少ない銃です。
 もしかするとこれは命中精度の向上に一役買っているかもしれません。

フロントレシーバーはバレルが支えています

 フロントレシーバー部分を支えているパーツで、もっとも重要なのはインナーバレルです。
 この銃はハンドガードをはずしただけでインナーバレルが露出しています。
 やや不安を感じるつくりではありますが、そのぶんインナーバレルの固定がしっかりとしている銃でもあります。
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SD5、SD6、勝手に脱落するハンドガード固定パーツ

 SD5、SD6ではハンドガードの右上、左上部分に固定用のパーツがあります。
 このパーツは脱落しづらく、とくにバッテリーを繰り返すたびにこのハンドガード固定ピンを取り外さなくてはならないSD6では、とくに脱落しやすいパーツです。
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 この固定パーツが脱落しやすいパーツです

SD5、SD6、サイレンサーの使い勝手

 SD5、SD6はサイレンサー標準装備です。
 取り外して使用することもできますが、デザインは美しくないでしょう。
 サイレンサーの効果は、一般の市販サイレンサーに比べれば、やや下といったところですが、そもそも電動ガンは消音に向いている種類ではありません。
 電動に使う分には、この標準のサイレンサーでも充分だと思われます。

使用感

見づらいサイト

 個人的な趣味のせいでしょうか。私個人としてはMP5系のノーマルサイトは狙いづらく感じます。
 フロントサイトは問題ないものの、リアサイトと目の距離がピープサイトにしてはやや遠く、また、ピープサイトの形が円形でないのもマイナスポイントです。

 さらにノーマルサイトの位置が低く、バレルに近いのは良いのですが、フルフェイスゴーグル使用時にはノーマルサイトが覗けなくなりがちです。
 これはスライドストックのA5、SD6より、固定ストックのA4、SD5のほうがフルフェイスゴーグル使用に向きません。
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 後ろからサイトを除いた写真

短かめのストック

 MP5のストックは短めです、小柄な方、普通の方には良いのですが、大柄な方の中には使いづらさを感じるかもしれません。
 とくに短めなのはMP5A5、MP5SD6のスライドストックです。
 さらにいえばPDWのストックも短いですが、ここではPDWとMP5Kにはあまりスポットをあてないようにしているので、これらには詳しい説明は省きます。

邪魔なアンビタイプセレクターレバー

 左右両方に配置されているセレクターレバーですが、フルオートに合わせた場合、構えた右手にぶつかってしまいます。
 右利きには右側セレクターレバー、左利きには左側セレクターレバーが邪魔になります。
 そのままでも射撃できますが、気になる方は削ってしまうという選択もあります。
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 セフティポジション

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 セミオートポジション

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 フルオートポジション

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 カット済みの右側セレクター

オプションパーツ

スコープマウントベースは・・・

 マルイ純正ではハイマウントベースとローマウントベースの二種類があります。
 ハイマウントベースは、デザインは良いものの、亜鉛ダイキャストで重く、また構造上ガタがでやすく、時としてかってに脱落することがあります。
 ローマウントベースのほうが使い勝手はよいですが、マウントベースのレールが一部無い独特のデザインのため、一部のダットサイトがつけられない問題があります。
 海外ブランドのマウントベースもあり、こちらのほうが良さそうな気もしますが、多少斜めにつきやすい物もあるようです。

総評

 欠点ばかり書いたような感じがありますが、MP5系はサバイバルゲームで初心者に安心してお薦めできる銃の一つだと思います。
 サバイバルゲームでは重く、大きな銃は使いづらい傾向があるのはもちろんで、コンパクトで軽量なMP5系は扱いやすい銃です。
 また、大きな欠点がさほど見当たらないのも長所といえるでしょう。
 分解がめんどうな短所などは初心者にはさほど問題ではないと考えます。

 2019/7追記
 今となってはほかにも優れた銃も増えてきた上、ダットサイトをつけるのが一般的になってきているため、マウントベースが標準装備ではないMP5のおすすめ度合いはこの文章が書かれた2000年代初頭より低くなっています。

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