APS2、VSR10比較


 現在、多くのサバイバルゲームスナイパーが使用しているであろうAPS2シリーズとVSR10シリーズ。
 その二つを比較してみました。
 APS2シリーズの後継機、APS−TYPE96もテストしてみたかったのですが、残念ながら手元に無く、TYPE96に関しては見送りとなりました。
 なお、APS2はSV、OR、スポーター等があり、VSR10もプロスナイパー、リアルショック、Gスペックと、さまざまなバリエーションが存在しています。
 今回はAPS2系はサバイバルゲーム用に最もよく使われているAPS2SV、VSR系では比較的基本モデルとなるプロスナイパーを例に取り上げます。
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スペック

APS2SV
VSR10プロスナイパー
価格29800円19800円
全長1050mm1075mm
重量2500g1923g
装弾数25発30発
インナーバレル長400mm430mm
・価格が一万円も違います。
 しかし、実際にはVSR10プロスナイパーにはマウントベースが別売りなど、徹底的な簡略化によりコストを下げている部分もあります。
・重量の違いは500g程度。実際使っていてもっと違いがあるように感じてしまうのは気のせいでしょうか。
・装弾数はVSRのほうが5発多いのですが、VSRはマガジンを抜いた時に一発が弾こぼれします。とくに高価な弾を使う場合は痛い部分。

外観

太いAPS2、細いVSR

 APS2SVはショートバレルでブルバレルな事もあり、太く感じます。
 対してVSRは先細りな長いアウターバレルで、スマートな印象です。

違いの大きいストックの質感

 APS2SVのストックはプラとはいえ高級感のある物です。
 対してVSR10の方はプラの上にラバー的なコーティングを行った物。しかも、このコーティングがとても傷が付きやすく、使っているとだんだん傷が目立つようになってきます。
 ストックの質感ではAPSの圧勝です。

構造

レシーバーの固定

 ストックとレシーバーの結合は、どちらの銃もネジ2本で行います。
 面白いのはAPS2はレシーバーの前端、後端を固定するのに対し、VSRはレシーバーの前端とチャンバー下で固定を行います。
 APS2の場合、アウターバレルはレシーバーとしか触っていなく、ストックとは接していません。いわゆるフローティングバレルと言われる構造です。
 対するVSRはチャンバーがストックと固定されるため、アウターバレルもストックへとがっちり固定されます。
 個人的にはAPS2系の固定方法の方が好きですが、後発のVSRがこのような構造になっているのは、なにか理由があるのではないでしょうか。
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   ここから先は憶測の域なりますが、チャンバーをしっかりと固定するためだと考えられます。
 ストックにチャンバーをガッチリ固定することで、チャンバーのブレを無くします。チャンバーがブレにくい構造のため、結果命中精度が高くなるという物ではないでしょうか。
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 VSRのレシーバー固定ネジ(前)は、チャンバー下の金属ブロックに固定。
 チャンバーをストックにも固定するという意味でしょうか?

アウターバレルの固定

レシーバーにねじ込むだけのAPS2

APS2のアウターバレルはレシーバーへねじ込むだけです。
古くなってくると、回転しすぎる場合があり、アウターバレル下部のマガジン挿入口が正しい場所に来ない場合があり、非常に困ります。

アウターバレルをねじこんでネジ止めのVSR

 VSRの場合、アウターバレルをレシーバーにねじ込んだあと、上下からのネジで回転止めを行います。
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 難点は、この際上から止めるネジが、マウントベースの一番前のネジ。
 このネジを外すためには、一度スコープを外さなければなりません。つまりVSRの場合、アウターバレルを外すためには、一旦スコープを外さなければならないという厄介な構造です。
 また、VSRの場合、ストックとレシーバー結合ネジは、チャンバー下部の金属ブロックに固定されます。
 つまり、アウターバレルは、この位置でも固定されます。

APS2のレシーバー固定方式のメリット

 APS2系の場合、そのレシーバー固定方法の特性上、ストック無しでレシーバーとバレルだけで射撃をしても、普段と弾道が変わりません。
 バレル固定がストックに依存しないためです。
 もちろんVSRではこうは行きません。
 APS2系の場合、ストックとレシーバーの着脱を行っても着弾がズレにくいというメリットを持ちます。

バレルの固定

ホップシステム

固定ホップが難点のAPS2SV

 APS2SVはホップの強さ調整ができない固定ホップ。
 重量弾でなければ弾道が浮き上がり気味になってしまうものです。
 弾道自体は悪くないのですが。ここがAPS2チューニングの上での難しい所です。

気密の甘いVSRチャンバー

 VSRは初めから可変ホップで、とても便利な物です。
 しかし、チャンバーの気密性が低く、とくに重量弾使用時には、その気密性の低さが顕著にあらわれ、とてつもなくパワーダウンする場合があります。
 カスタムパーツで言えば「ぴたリング」などで解消されます。

トリガーシステム

前倒れシア、沈むシア

 APS2のシアはピストンの力により前に倒れてピストンを開放します。
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 ピストン保持状態。

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 トリガーを引くとシアが前に倒れる。
 
 VSRはピストンの力でシアが下に沈んでピストンが前進します。
 やや気になるのは、VSRのピストンというのは、発射前の後退待機時、常に上向きに押さえつけられています。
 これをマルイがわざとやったのかどうか分かりません。何か意味があるのでしょうか。
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 通常時
 
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 トリガーを引いてシアが下に沈んだ状態
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 シアとピストンの掛かり方。
 シアとピストンのかかる部分が斜め45度になっているため、ピストンがシアを押し下げて前進する。

VSRのトリガー調整システム

 VSRは六角レンチでトリガーのストロークとプルを調整できます。
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 トリガープル調整イモネジ

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 トリガーストローク調整イモネジ
 ※あまりにきわどくすると暴発したり、シアを痛めます。
 
 

シリンダーと、その内部の比較

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 上:VSR10
 下:APS2
 
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 左:APS2
 右:VSR10
 ASP2はピストンカップ。VSRはOリングでシリンダー内の気密をとります。
 ※VSRのエアブレーキ棒はカットしてあります。

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 シリンダー内部パーツの比較。
 上:VSR 下:APS2

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 左:VSR10 右:APS2

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 左:VSR10 右:APS2
 VSRのほうが若干シリンダー径が大きい。
 
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 上:VSR10 下:APS2
 ストロークが長いのはAPS2
 
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 シリンダーヘッド、ノズルの比較。
 上:VSR10 下:APS2
 VSRのノズルは3段階の太さ。
 

マウントベース

 APS2系のマウントベースは、なぜか前傾しています。
 弾の落差を計算した前傾なのですが、ホップのない銃ならともかく、ホップ付きの銃に関してはこの傾きは邪魔でしかありません。
 VSRの方は前傾マウントベースではありませんが、マウントベースが別売りです。

マガジン

 APS2、VSR共に内部でBB弾が二列になって収納されるダブルカアラムです。
 しかし、APS2は最後までダブルカアラムなのに対し、VSRはマガジン出口でシングルカアラムになります。
 よってVSRの場合、外から見るだけだとシングルカアラムに見えます。
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 上:APS2のマガジン 下:VSRのマガジン
 
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 APS2のマガジンは最後まで二列
 
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 VSRのマガジンは出口で一列になる

 VSRはまだ弾が入っている時に銃本体からマガジンを抜くと、弾が一発だけこぼれ落ちます。
 一発3円もするグランドマスター弾などを使っている時は涙が出ます。
 APS2では、そのようなことはありません。
 ただ、APS2では、時々グランドマスター弾など一部の弾で給弾不良が起きる場合もあります。
 私も一度経験があり、ほとんど撃てない状態でした。

操作性

ストック

 APS2はストックバットプレートにスペーサーを挟むことでストックの長さを調整できます。
 VSRはそのような機能はありません。
 また、APS2のバットプレートはネジ止めですが、VSRは手でひっぱると簡単に外すことができます。
 どちらといえばAPSのほうが安心感があります。
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 APS2のバットプレート

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 VSRのバットプレート

グリップ

 APSは滑り止めの入ったタイプ。
 VSRには滑り止めがありません。ただしストック全体がラバーコーティングされているので不要という事でしょうか。
 どちらも実用面では大差ありませんが、見た目はAPSの方が良く感じます。
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 APS2のグリップ

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 VSRのグリップ

ボルトハンドルの操作

 APS2のボルトハンドルはガタが小さく、操作していて安心感があります。
 ボルト操作時の冷たい金属音もAPSより良い音を出します。もっとも、サバイバルゲーム中には邪魔な音を発生されていますが。
 VSRの場合、ボルト操作はAPSほどよくありません。
 とくにプロスナ、リアルショックにおいては、ボルトハンドルが異常に上がりすぎ、使いづらい面があります(Gスペックでは改善されています)
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 上がりすぎなボルトハンドル。スコープに近い位置まで上がるので使いづらい。

 しかし、ボルトの前後移動感覚において、特に新品状態のAPS2ではスムーズに動かなく、ひっかかりがある物も目立ちます。
 これはAPS2の場合、金属のシリンダーに金属のレシーバーが直接こすれるためです。
 VSRの場合、レシーバー内部に樹脂製のリング形状のパーツが2つ入っており、これを通してシリンダーに接触します。このためVSRのほうがなめらかに動きます。
 APS2でもある程度使い込んだりするとスムーズに動くようになり。大きな問題はありません。

命中精度

 以下の条件でテストを行ってみました。

 エクセル.25弾
 距離15m
 レスト台使用。
 無風

使用した銃

銃の種類 APS2SV VSR10プロスナイパー
チューニング箇所  くらげ辛口・青組み込み
 4倍率固定スコープ使用
 PDI、EZY100スプリング組み込み
 Gチャンバー組み込み
 ピタリング
 ピストンのエアブレーキ棒カット
 チャンバーにアルミテープを貼り微調整
 3−9倍ズームスコープ使用(テスト時は4倍を使用)
 ※マウントベースネジゆるみ
初速
0.2gで測定
97m/s
98m/s
2006年の銃刀法改正前のため、比較的高いパワーになっています。

グルーピング

APS2SVVSR10
10発 aps2vsr10_aps10.jpg(16443 byte)
10cm
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7.5cm
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13.5cm
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7cm
10発測定時よりもなぜか小さい

結果

 驚く程の差でした。
 VSRの方はマウントベースのネジが緩んでおり、スコープが若干左右にガタガタしていたのに気づかないままのテストでしたが、それが無関係だったかのようによく当たっています。
 以前からVSRのほうが当たるとは感じていましたが、今回の結果は予想を上回るほどの違いでした。
 APS2SVのほうは、たまたま調子が悪かったのか、さんざんな結果です。

総合評価

 さて、さまざまな面から二つのボルトアクションライフルを比較してきましたが、結果、どちらが優れているのでしょうか。

命中精度、弾道安定性

 今回の結果で言うと、命中精度に大きな差があらわれました。
 これだけ差があると、VSRのほうが遙かに優れていると言わざるを得ません。
 しかし命中精度に関してはチャンバーやバレルのタイプによって大きく変わりますし、そのセッティングの仕方によっても変化します。
 今回、APS2がたまたま調子が悪かっただけかもしれませんし、今回試した「クラゲ」以外にも、APS2には様々なホップシステムがあります。
 そもそもクラゲ自体がマルゼンのノーマル品では無いため、ノーマルのAPS2とノーマルのVSRを比較した事にはなりません。
 次回テストするのであれば、クラゲ以外のホップシステムで試してみたいと思います。
 ※クラゲ自体、定評のあるパーツであり、悪いパーツではありません。今回の結果を見るとまるでクラゲが悪いように思えてしまいますが、そうではありません。

操作性

 操作性はどちらも似たり寄ったりです。
 ただVSRはマガジンを抜いた時に一発の弾こぼれが難点です。
 ボルト操作に関しても個人的にはAPS2のほうが操作しやすく感じます。
 若干APS2の方が上でしょうか。ただしこれは慣れのためそう感じるのかもしれません。

外観、質感

 外観はAPS2のほうが上です。程良い重量感やストックの仕上げ等、APS2の方が高級感があります。
 対してVSRのほうは特にストックが安っぽく、プラという感触を強く感じます。

購入するならどちらが?

 APS2は後継機のTYPE96が発売されています。
 今になってAPS2SVを購入するよりも、TYPE96のほうが良いように思われます。
 VSRはプロスナイパーやリアルショックよりGスペックのほうが安心です。

初心者向きなVSR

 VSRは比較的価格も安く、ノーマルの性能もそこそこ安定しています(性能を言い出すとGスペックが一番良いです)
 0.3gなどの重量弾との相性はいまいち低かったりしますが、0.2gなどの軽量弾なら相性がよく、初心者層にお薦めできます。

ディープなAPS2

 APS2の方はVSRに比べるとノーマルでの使い勝手はよくありません。
 後継機のTYPE96も価格が高く、初心者の入門銃としてはとっちきにくい感じがあります。
 APS2やTYPE96系は、初心者層より、ある程度経験を積んだ人間のほうが扱い安いでしょう。
 しっかりカスタムすればVSRと同程度か、それ以上の性能を出してくれます。

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