APS−2チューニング講座


 APS−2は、現存するボルトアクションライフルとして、もっとも良くできたエアガンでしょう。
 しかし、それでも、ノーマルのまま欠点の無い銃とは言いがたいのが実状です。
 そこで、APS−2を購入した後、どのように手を加えれば良いかというを、初心者向けにまとめてみました。

APS−2の種類

 APS−2シリーズには主に4つの種類があります。他に競技用の限定生産物もありますが、ここでは使用目的をサバイバルゲームとするので、そういったものの説明は省きます。
APS−2OR29500円ホップ無し
APS−2SV29800円固定ホップ付き
APS−2スポーター49800円可変ホップ付き
APS−2スポーターMK249800円可変ホップ付き

aps-2_3.jpg
APS−2SVにSWATサイレンサー、50口径スコープを乗せた物。

 APS−2ORは、ホップがないのでサバイバルゲームに使うにおいては射程距離の短さがネックとなります。
 別売りのホップバレルのFALSかSCSを付けるのが良いと思われます。

 APS−2SVは、この三つの中では最も全長が短く、後々サイレンサーを付けるのに適しています。他のAPS−2よりバレルが短いのですが、それでもインナーバレルが400mmもあるため、命中精度の悪影響などはありません。
 初めから固定ホップがついていますが、これは0.3g程度の弾にあっています。それよる軽い弾を使うためには、ホップパッキンを自分で削るか、「くらげ」と呼ばれるホップパッキンの購入、またはFALS(要バレルカット)かSCSを付ける必要があります。

 APS−2スポーターとAPS−2スポーターMK2は、外見が違うだけで、内容は同じようなもののようです。可変ホップが初めからついていますが、設計のミスなのかノズルの長さが不足していて、カスタムパーツであるロングノズルを使わないことには安定した弾道を得ることができません。

APS−2の性能

 APS−2の平均的な性能です。

初速

 初速は85m/s〜100m/s程度です。製品によりスプリングがカットされているものと、されていないものがあるようです。
 さらにAPS−2シリーズはピストンカップとシリンダーの相性などにより初速が変わってくることから、あえて幅を持たせて書きました。
 電動なんかでも、メンテナンス状態により、同じスプリングでも初速は大きく変わってしまうので、これはある程度しかたないことでしょう。

命中精度

 基本的には電動と同じくらいです。
 弾道は同じようなものですが、トリガーフィーリングやロックタイムなどから、微妙にAPS−2シリーズのほうが電動よりも狙った場所によく当ります。スコープが銃身に近い低い位置にもってこれるのも理由の一つですが。この程度の多少の命中精度は、実際サバイバルゲームでの影響は無いと言っても良いでしょう。
 同じ初速、同じ弾であれば、連射性能や装弾数などから、電動フルオート銃のほうが圧倒的に有利でしょう。
 APS−2シリーズは、ボルトアクションライフルが電動フルオートより有利なレギュレーションのゲームに使ったほうが良いでしょう。

APS−2のホップについて

 APS−2シリーズに、ノーマルのまま満足のいくホップを装備しているものはありません。例外はAPS−2SVで0.3g前後の弾を撃ち出した時のみです。
 よって、自分なりに手を加えるか、カスタムパーツを装着していき、ホップ方式を良いものにしていく必要があります。

APS−2OR

 FALSかSCSのどちらかでしょう(カスタムパーツの詳しい説明は投稿パーツカタログをご覧ください)
 FALSは16800円にたいして、SCSはサイレンサー無しのものであれば9800円です。
 他にPDIチャンバーというものも存在しますが、エア漏れを起こしやすいので、特に初心者にお勧めできる物ではありません。

APS−2SV

 ノーマルホップは0.3gがまっすぐ飛びます。0.25gや0.2gの場合、弾が途中から急上昇するので使い物になりません。
 選択は以下の三つです。

 ホップパッキンを削る。
 これがもっとも安価です。マルゼンからホップパッキンを取り寄せれば数百円ですし。
 銃を分解してホップパッキンを目の細かい紙やすりなんかで削っては試射してみてを繰り返して、満足いく弾道にしてください。
 もし削りすぎた場合、ある程度であれば、ホップパッキンの回りにシールテープを巻いて組み立てることで、ある程度修正が聞きます。

 くらげを組む。
 名前が変ですが、この「くらげ」というのはカスタムパーツの名前です、ホップパッキンで、1980円で発売されています。
 種類がいくつかあるので、自分の使う弾にあったものを使用してください。
 これを使うと、種類によっては軽い弾でもまっすぐ撃ち出せるようです。
 ただし可変ホップになるわけではありません。ホップのかかりを変更するには、銃を分解してホップパッキンを換えるしかありませんから。

 SCSを組む。
 SV用のSCSはサイレンサー無しが8800円で出ています。

 FALSを組む。
 FALSは基本的にOR用なので、バレルカットと、マズルアダプターの穴を広げる、またはマズルアダプターを10mmバレル対応のものに変更する必要がりあます。
 やや手間がかかるので、組み込みに自信の無い方はSCSのほうが良いでしょう。

APS−2スポーター&MK2

 これはロングノズルを組んでしまうのが最もよいでしょう。ロングノズルは1400円で発売されています。
 OKパーツからは、鏡面バレルとセットのロングノズルも出ています。こちらは9700円。
 ロングノズルにするだけで、弾道が全く変わります。逆にいえばロングノズルの入っていないスポーターは弾道が不安定すぎて使い物になりません。
 ロングノズルを組んだ時の欠点として、シリンダー交換の時に、シリンダーを選ぶというものがあります。
 ロングノズルの使えるカスタムシリンダーにどのようなものがあるか、知っている方がいましたら教えてください。

 FALSやSCSをスポーターに組めたかどうかは不明です。アウターバレル内面の形が違うので。

 それから、このスポーターのホップチャンバー、エア漏れのしやすそうなデザインをしているのですが問題は無いのでしょうか?マズルを塞いでの空撃ちでは、気密が取れているようでしたが。
 2000/11/26追加。
 エア放出時、一瞬エア漏れが起きているような印象を受けます。
 ただし、ホップのかけ方などにより変化してくるように思えます。
 このエア漏れは、ホップパッキン部分の内圧が上がった時に一瞬だけ漏れるようなので、マズルを塞いでのカラ撃ちの場合は、エアがもれていないように見えます。
aps-2.longnozzle.jpg
左はノーマルノズル。 右はカスタムパーツのロングノズル。スポーターの必需品です。

結果、どれを選ぶのが良いか?

 1J以下のパワーで0.3g弾を撃ち出せるレギュレーションであれば、APS−2SVを勧めます。
 1J以下で0.25g以下の弾を撃ち出すのであれば、スポーター+ロングノズルの組み合わせもなかなかです。コストパフォーマンスでSVには劣りますが、木製ストックが好きな方も確実にいますし。
 パワーを含めてカスタムしていくのであれば、APS−2SVが良いでしょう。

チューニングについて

 APS−2シリーズは、購入しても調子が悪いものが、まれに見受けられます。
 以下にその症状と、対処法について書きます。

ボルトの動きがひっかかる

 シリンダー外部とレシーバー内部にバリがあります。
 目の細かいヤスリとコンパウンドで磨き、オイルを一吹きすれば、かなりよくなるでしょう。
 あとは使っているうちに良くなります。

 それでもどうしても直らない場合は、シリンダー内部に原因があるかもしれません。
 特にノーマルシリンダー+金属ピストンの組み合わせなんかをした場合、シリンダー内側上部が削れます。
 この場合もやはり磨いてください。ただしシリンダー内側ということで気を付けてください。
 最もよいのはシリンダーを交換してしまうことです。

弾速が安定しない

 APS−2シリーズは前倒れシアのため、二つのシアの接触部分がザラザラしていると、スムーズにピストンが解放されません。
 分解して二つのシアの接触部分、計4ヶ所をコンパウンドで磨いたあと、オイルを吹いて組み立ててください。

 特に新品のものには、この処理が必要なものが数多くあります。
 使い込むと、シア接触部分が削れて良くなっていくのですが。

弾速が低い

 原因はエア漏れと、ピストンカップがきついとの二つの原因が考えられます。
 エア漏れの方はシリンダーから漏れているか、チャンバー周りから漏れているかを確認してください。チャンバー周りから漏れていた場合、シールテープを使い組み立てることで直せる場合が多いようです。
 シリンダー内部から漏れている場合は、ピストンカップがシリンダーに対してうまくひらいていない場合が多いので、この場合はピストンカップの交換か、指でピストンカップをやや広げてみる、などの方法をとってみてください。
 ただ、ピストンカップは、ややスカスカぎみが良いようです。それでもピストン前進時の空気圧でピストンが開いて気密が取れますから。

 気密性を重視するなどして、きつめのピストンカップを使った場合も弾速が落ちます。
 シリンダーの中にスプリングを入れず、ピストンカップをつけたピストンのみを入れて動かしてみることで、これを確認することができます。
   APS−2シリーズはメインスプリングが弱い上に、ピストンの移動範囲が大きいので、ピストンカップの抵抗による弾速低下が顕著にでます。
 対処方法はやはりピストンカップ交換でしょうか。
 オイルをシリンダーの中に大量に吹き付けることはしないでください。オイルがバレル内に吹き出されて弾道が不安定になります。
 シリンダー内のオイルは、ピストンカップが多少湿る程度で十分です。

インナーバレルがガタつく

 APS−2シリーズでは、アウターバレルの中でインナーバレルがガタつくものが、かなりあります。
 これはインナーバレルにシールテープやセロテープを巻き付けることでガタを解消してください。

消音化を目指す

 サバイバルゲームでは、一般に発射音が小さい銃のほうが有利です。
 発射音で居場所を悟られたり、避けられたりすることが少なくなるからです。
 もっとも、フィールドや戦術によっては、些細なことに過ぎません。不必要だと思うのであれば無理して消音することは無いでしょう。

サイレンサー装着

 スポーターにサイレンサーは付かないことは無いようですが、デザインはイマイチです。
 ORにサイレンサーを付けた場合、長すぎるかもしれません。
 サイレンサーをつけるのはSVが最も向いていますが、そのまま付けた場合、サイレンサーのかなり中までインナーバレルが入ってしまい、実際に有効になるサイレンサーの長さは、見た目より短くなってしまいます。

 付けるサイレンサーですが、太すぎるとスコープに映りこんだりすることも有り得るでしょう。
 しかし、APS−2のバレル直径は26mmほどもあるので、サイレンサーがそれ以下だと、サイレンサーのほうがバレルより細いという、なんとも妙な形になってしまいます。
 細いサイレンサーよりは太いサイレンサーのほうが良いでしょうか。
 もとのデザインをあまり大きく崩したくないのであれば、デザイン的にはKMのSWATサイレンサーが直径27mmで違和感が少ないでしょう。ただ、大きさがそれほど無いので、極端に音が消えるわけでもありませんが。
 サイレンサーをつけるためには、それ用のアタッチメント(1500円程度)が必要です。

ソルボセインを貼る

 ピストンヘッドにソルボセインという、衝撃吸収のゴムのようなものを貼ることで、ピストン打撃音を小さくすることが可能です。
 これはホームセンターなどで売っています。
 個人的には東急ハンズなどで売っている「ゲル・OK・パッキン」という透明なものが、耐久性と効果両面からお勧めです。
 ピストンヘッドに貼り付けるためには、瞬間接着剤で可能ですが、ピストンカップのカップ部分に瞬間接着剤がたれないように十分に注意して行ってください。

スプリングの震動音を軽減する

 発射時のスプリングの震動の音を減らすためには、スプリングを変更するのが一番効果的です。
 しかし、それでは他パーツも変更する必要がある場合が多いので、ここではノーマルスプリングの場合を書きます。
 一番良いと思われるのは、ストックの内側、シリンダー下側あたりにスポンジを貼り付けていくことです。
 これでシリンダーから下に漏れる音を吸収することができます。
 スポンジがピストンに接触しないように注意して行ってください。

 それから、スプリングガイドを金属製のものに変更することによって、微妙にスプリング震動音を減らすことが可能なような気がします。もっとも、こちらは目に見えて変化があるようなものではありませんが。

APS−2の分解

 電動に比べれば、APS−2の分解は簡単です。
 あえて難しいところを上げれば、シリンダーヘッドの分解。それからトリガーメカボックスくらいです。

レシーバー、ストック、アウターバレルの分解

 レシーバー下部にある2本のネジをレンチを使用してはずします。
 それでストックが外れます。
 アウターバレルは、レシーバーから引き抜く方向(つまり左回し)に、何回も回すと外れます。
 これだけで銃が3つに分かれました。

インナーバレルの取り出し

 アウターバレル下部にある、前部マガジンハウジング下部の小さ目のネジをはずし、前部マガジンハウジングをアウターバレルからはずします。
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前部マガジンハウシング下部の小さなネジ

 これでチャンバー+インナーバレルが、アウターバレルから後ろに抜け落ちるようになります。
 マズルからインナーバレルを軽く押し込むと良いでしょう。
 ちなみにマズルキャップやフラッシュハイダーは、回転させることではずすことができます。

 チャンバーについているインナーバレルをはずす方法は機種により若干違います。
 ORは、インナーバレルを回すことで引き抜くことができます。  SVやスポーターは、チャンバーに縦方向にはいっている2本のピンを抜くことで、インナーバレルをはずせます。
 スポーターはやや構造が複雑な上に、可変ホップなので、この部分をあえて分解する必要はないでしょう。

シリンダーの分解

 レシーバーからのシリンダーのはずし方、組み込み方はマニュアルに書いていますので、そちらを見てください。

 さらにシリンダーを分解していくためには、シリンダーヘッドをはずすことが必要です。
 シリンダーヘッドの前面にある二つのくぼみにラジオペンチに頭を入れて回転させることでシリンダーヘッドをはずせます。
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シリンダーを前面から見た所。二つのくぼみにラジオペンチの頭をいれて回します。

 ただし、初期状態ではシリンダーヘッドは接着されています。
 どうしても回らない時は、シリンダーヘッドをコンロなどであぶり、接着剤を溶かしてやることで、はずしやすくなります。
 この時、樹脂製のピストンや、ピストンヘッド、シリンダーヘッド内のOリングまで溶かさないように、熱しすぎに注意してください。
 シリンダーヘッドょはずすと、ピストン、ピストンカップ、スプリング、ピストンガイドなどが取り出せます。

トリガーメカの分解

 トリガーメカをレシーバーからはずすには、下から刺さっている2本のネジをはずすことでできます。位置はトリガーメカの前のほうと後ろのほうにあります。
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トリガーメカ固定ネジ(後ろ)

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トリガーメカ固定ネジ(前)

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トリガーメカをはずしたところ。上からレシーバー、ボルトセットピン、トリガーメカボックス

 あとは、右側から、全てのネジをはずすことではずせます。
 組み込み時に間違いやすいのが、ピストンにかかるシアに対する2本のスプリングの位置と向きです。分解前に確認しておいてください。

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