サバゲニッポン昔話


うさぴょん「ぱんぱかぱーん、サバゲニッポン昔話のお時間だぴょん」
パン太「そうなの〜?」
うさぴょん「そうだぴょん」
パン太「そうなんだ〜」
うさぴょん「早速のお便り紹介だぴょん」

度々コメントを掲載していただき、ありがとうございます。
おかげで、よりいっそう妖しげなコメントする勇気(?)が湧いてきます。

教○テレビの番組にありがちな、
にこやかに着ぐるみが踊っている裏で、
ADがボコボコ殴られているような、
ドロドロとした暗雲がたち込めてきましたが、
良い子のサバゲ講座のままで終われるんでしょうか?

そのうち、中の人まででてきて、
ネチャネチャのグッチョングッチョンな展開になったりして……

うさぴょん「この人ってこのお便りの常連さんなんだぴょん、毎回コメント送ってもらってるぴょん。とってもありがとうだぴょん」
パン太「でも名前書いてないから誰か分からないねぇ〜」
うさぴょん「そうだぴょん、名前を公開していい人は、お便りの最後にでも『ハンドルネーム公開可』って付けて欲しいぴょん。次回からよろしくぴょん」
ネコ田さん「これって良い子のサバゲ講座だったのかにゃ〜」
クマノフ「悪い子のためのサバゲ講座だクマ」
パン太「僕たちって中に人入ってたの〜?」
クマノフ「そんなことはないクマ」
ネコ田さん「ちなみにクマノフさんはロシアの開発した最新型戦闘ロボットらしいにゃ」
パン太「だから強いんだ〜」
クマノフ「クマーーーー!いい加減なこと言うじゃないクマー!」

(゜ロ゜)
(@_@)
( ̄Д ̄;)
(゜▽゜)
(-_-;
「ご利用は計画的にネ♪」という注意が、
「計画的な人は借金なんかしません」と突っ込まずにはいられないくらい、
良心の欠片もない上辺だけのものとはいえ、
ここまで計画性がないとわ……
沈着冷静が基本資質の長距離ランナー(なのか?)がこんな事で良いのか?

結論
普段大人しい人を怒らせると何をするか分からない。
しかも、やつ当たり風味がピリリと効いて、陰湿度20倍。

うさぴょん「これはグリ夫のことだぴょん」
ネコ田さん「あいつはヤバいにゃ〜」

ハンドルネーム:キュマノフ
さわやかな笑顔の裏にこんな、恐ろしい顔を持っていたなんて・・・
これは本部に連絡だ!!
   (連絡中)

キュ:危険な奴を見つけた。
偉い人:誰だ!!
キュ:グリ夫だ。
偉い人:わかった。各国のエージェントに伝えておく。次の獲物を見つけたと・・・
キュ:気を付けろ!奴はかなりの危険人物だ。
偉い人:何をビビっているのかね?bPエージェントの
    キュマノフ君。
キュ:ビビってなんかはいない。
偉い人:どういう意味だ!
キュ:奴はアイ*ルからかなりの金を借りている。
偉い人:グリ夫が!?よく奴に金を貸せたな・・・
キュ:まったくだぜ。ブラックリストに載ってる奴によく貸せたよな・・・
偉い人:逆探知されている!
キュ:なに!!!
偉い人:早くその場から逃げろ!キュマノフ!!
謎:フハハハハハ
  プッシュプッシュ
偉い人:キュマノフ?おい!キュマノフーー
謎:フハハハハハ

うさぴょん「毎度恒例となりつつあるキュマノフシリーズだぴょん」
ネコ田さん「キュマノフも危険な世界に生きてるにゃ〜」
パン太「ハードボイルドだね〜。かっこいいね〜」
ネコ田さん「本気でそう思ってるのかにゃ?」
パン太「うん〜」
ネコ田さん「……」

この先が見たいので早く作ってほしいっす
あとトラ吉にもっと活躍の機会をあたえてくだされ。
あとすこし戦術を叩き込んでください。トラ吉に。

ネコ田さん「トラ吉ファンだにゃ〜」
パン太「トラ吉より僕のほうがかっこいいのになあ〜」
ネコ田さん「そ、そうかにゃ?」
パン太「そうだよぉ〜」

がんばれグリ夫!
まだ、金融業者はいっぱいある!

パン太「『貧乏敵なし』だねぇ〜」
ネコ田さん「それってなんか違うにゃ〜」

第9話:道頓堀の白い奴

「……奴はどうしても倒したい。頼む、力を貸してくれ」
 グリ夫は電話の向こうの相手に熱く語りかけた。
「どうだ?頼めるか?」
 そして電話の向こうからは。
「……わしはおぬしに命を救われた身。断ることなどはできぬ。力を貸そう」
「感謝する。次の日曜日に勝負を挑む、相手は4人、こちらは3人だ」
「了解した」

 電話が切れた。

 受話器を置いたのは白髪の男だった。
 歳はもう60を越えているだろうか。白いタキシードに身を包んだ紳士風の男。

「グリ夫よ。おぬしが何をしようとしても、わしはおぬしの味方。あの日の恩は忘れぬよ……」



 ある日曜日でした。
「クマー、サバイバルゲームするクマー!」
 クマノフ、パン太、うさぴょん、ネコ田さんの4人は、いつものフィールドにやってきました。

 さっそくレジャーシートを敷き、荷物を置いていきます。

「クマノフさん、今日は何つかうぴょん?」
「今日はミニ電動でいいクマ」
「クマノフさん強いからにゃ〜」
「じゃあ、クマ狩りしようよ〜」
 パン太が、ちょっとひどいことを言いました。
「いいにゃ〜、1対3でタイムアップまでにうちらを全滅させれなかったらクマノフさんの負けにゃ」
 ネコ田さんが追い打ちをかけます。
「普通、一人の側は逃げ切ったら勝ちじゃないクマ?」
「クマノフさんならできるにゃ〜」
「もちろんミニ電動でやってね〜」
 パン太は鬼でした。

 そこに……

「邪魔させてもらうぜ」

 クールに決めて、いや、決めたつもりでやってきたのはグリ夫でした。

「グリ夫だぴょん。今日はお仲間さんとかいないぴょん?」

「ふっ、仲間はいるさ。ドーラク!サンダース!来いっ」
 その声で、さらに二人がやってきました。

 一人はカニでした。
 そしてもう一人は、白いタキシードの白髪の男です。

「カニカニ、ドーラクって言うカニ。よろしくカニ」
「わしはサンダース。老いてもまだ若い物には負けぬぞ」

「というわけで勝負だ。うさぴょん」

「なんで僕なんだぴょん?」
「うさぴょん、恨み買ってるにゃ〜」

「ねぇねぇ、もし勝負を断ったら〜?」
 パン太が普通に質問しました。

「ふっ、その時は……」
 グリ夫は静かに言い、そして……
「このフィールドのあっちこっちに野糞をしてやるっ!」
 強く言い放ちました。
「そ、それは困るクマ……匍匐できないクマ……」

「というわけだ、おまえ達は俺達と勝負するしかないのさ」



 ゲームはフラッグ戦。
 制限時間は20分。
 弾数規制200発。
 パワー規制は0.2g使用時90m/s。
 ボルトアクションライフルのみ0.2g使用時100m/s。
 使用弾はフルオート0.2g以下、ボルトアクションライフル0.3g以下、それ以外の銃は0.25g以下です。



 クマノフたち4人は、西側フラッグで待機していました。
「相手は3人、こっちは4人、こっちのほうが有利にゃ〜」
「だが油断はできないクマ」
「相手の銃は何だったかにゃ?」
「そんなの見てないよ〜」
「グリ夫がM4RIS、ドーラクが両手にMP5K。サンダースがトンプソンだクマ」
「全員電動だぴょん」
「こっちは電動3人にうさぴょんがハンドガンだにゃ〜。そういえば、クマノフさんはミニ電動じゃないにゃ〜」
「さすがにミニ電動ではつらいクマ。無難に普通のAK47にしておいたクマ」
「作戦はどうするぴょん?」

「僕は動きたくないな〜。疲れたくないし」
 いつも通り、パン太がやる気がなさそうです。
「やはりパン太がディフェンスだクマ。あとは3人で中央から攻めるクマ」
「なんで中央行くぴょん?」
「ディフェンスがパン太だから不安クマ。敵に抜かれないようにするクマ」



 フラッグが鳴り、ゲームが開始しました。

 クマノフ、うさぴょん、ネコ田さんの3人は、さっそく東に進行していきました。
 先頭はうさぴょん。その後方4メートルにクマノフ、さらに3メートル後ろにネコ田さんが続きます。

 うさぴょんの前方、15メートルほどブッシュが動きました。

 パパパパパパ☆

 僅かに動いたブッシュに反応し、瞬間的にうさぴょんはその場に伏せました。

 弾がうさぴょんの頭上を通り抜けていきます。

 正面のブッシュに潜んでいたドーラクからの攻撃でした。

 今度はうさぴょん後方から発射音がしました。
 クマノフがすかさずAKを構え、ドーラクの潜んでいるブッシュに向けて攻撃しました。



 パパパパパ☆

 ここで攻撃しておかないと相手の攻撃によってうさぴょんが行動出来なくなってしまうからです。
 クマノフの放った弾は、ドーラクの潜んでいるブッシュへと向かっていきます。それほど深いブッシュでも無いため、ドーラクへの着弾が期待できました。
 しかし。
 弾が到達する直前、ドーラクはブッシュから横へと飛び出しました。
 クマノフから見て向かって右側へと、とても素早い移動です。
 クマノフが放った弾は、ドーラクが一瞬前までいたブッシュを抜けていきました。

 パパパパンと、横移動をしながらドーラクが前方に向かって両手でMP5Kを撃ちました。
 クマノフは瞬間的にブッシュの中に沈み、ドーラクはそのスキに別なブッシュへと入り込みました。

 クマノフは姿勢を低くし保ち、AK47を構えたまま、とてもゆっくりとした速度で右へと移動していきます。
 低い視点ながら、その目はブッシュの隙間から前方を強く警戒していました。

 その間、うさぴょんも伏せた状態のまま、左前方へと静かに移動を開始しました。
 ゆっくりとした移動です。それは音を立てず、また、相手の目にも見つからないためです。



 フィールド南側、限界ラインギリギリに白髪の老人がいました。
 その手にはトンプソン。
 サンダースでした。

 サンダースはブッシュの隙間から北側のブッシュをじっと見ています。
「敵は3人か……」
 サンダースは銃を構え直し、西方向へとブッシュの中を静かに進行していきました。


 クマノフは前方15メートルほどの位置に、ブッシュから飛び出ているドーラクの左足を確認しました。
 クマノフはAK47をその足に狙いを定め。
「!!!クマッ」
 そして、直後に後方へと飛び退きました。

 パパパパパパ☆

 一瞬前までクマノフがいた場所を弾が抜けていきます。
 攻撃はクマノフから右側、南方からによるものでした。

 1メートルほど瞬間的に後方に移動したクマノフですが、そこにブッシュはありませんでした。
 再び発射音が右側が聞こえました。
 それと同時に、クマノフは今度は前方へと跳びました。

 クマノフの読みは正しかったらしく、弾はクマノフの位置の後方を流れていきました。
 移動する敵を撃つ時は、弾の飛行速度も考え、敵の移動先を撃っておかなければなりません。
 敵は、クマノフが再び後方へ移動すると予測したのでしょう、再びフルオートで放たれた弾は、クマノフの数メートル後方を飛んでいきました。

 クマノフはさきほど、ドーラクと向き合っていた時に盾にしていたブッシュの中へと飛び込みました。
 このブッシュがこの付近で一番濃いブッシュで、右方向の敵からの攻撃を回避するためにはこの場所しかないと判断したのです。
 そしてブッシュに飛び込み、伏せると同時に、正確な狙いも定めずに前方に向けてトリガーを引きました。



 ドーラクは、いままさにクマノフに向かって攻撃しようとした時でした。
 南方向のサンダースからの攻撃で、クマノフは回避に必死でした。今こそクマノフを倒すチャンスでした。
 そう判断し、両手のMP5Kを構え、ブッシュぎりぎりまで姿勢を高くした瞬間、前方からフルオートの攻撃け受けました。
 咄嗟にドーラクは再びブッシュに沈みます。

 クマノフの狙いは、まさにドーラクをブッシュに沈めることでした。
 こちらが南方向からの回避の専念しているのはドーラクも分かったはずで、ましてやさきほどの位置より前方のブッシュに飛び込んだのですから、ドーラクが攻撃してくるのは明白です。
 その攻撃を受けないようにするため、前方へとフルオートで弾を撒いたのでした。

 当たらずともトリガーを引き続けるクマノフに対し、ドーラクは移動することにしました。
 クマノフが30発ほど撃ったあたりで、ドーラクは北方向への移動を開始しました。

 すばやく北側に移動するドーラク。うまくいけば自分が北東側から、サンダースが南側からクマノフを攻撃し、挟み撃ちにできると判断したのです。

 しかし、ドーラクが移動を終えた時点で。

 パンパンパン☆

 匍匐で前進してきていたうさぴょんに撃たれました。
「ヒットカニー!」
 ドーラクはセフティゾーンへ向かいました。



 クマノフはドーラクのヒットコールを聞くと、ブッシュの中で姿勢を南向きへと変えていきました。
「こんな所まで来ているとは思わなかったクマ……フィールド限界ラインから侵攻してきたり、あの正確な射撃……なかなかできるクマ」

 ネコ田さんは、サンダースの発射位置を警戒しながら南方向へと移動していました。

 先ほどのサンダースの射撃位置から30メートル付近まできた時。

 パンッ☆パシッ。

「にゃに〜!ヒットにゃ〜!」

 サンダースはすでに移動してきていたのでした。
 ネコ田さんの南側、10メートルほどの所にサンダースはいました。





「ネコ田がやられたクマ?敵はもう先に進んでいたクマ……」

 クマノフはマガジンを予備のものと交換すると、西側を向きました。
「セミオートで一発だけクマ……やはり出来る奴クマ……」

 ネコ田さんのヒットコールを聞いたうさぴょんも西に向かいます。


「……来たか……あと二人じゃな……」
 サンダースはブッシュ内を南東方向に引き返しました。



 1分後。
 クマノフが西に向かって侵攻していると。

 パパパパパン☆



 突如、南南西の方向から発射音でした。
 同時にクマノフは体を前に倒すように前方に跳び、空中で左手を地面に付き姿勢を立て直し、ブッシュに沈みました。
 と同時にクマノフに向かって飛んできた弾は、クマノフの後方を抜けていきます。

「なんて奴クマ。完全に読まれているクマ……」
 クマノフは飛び込んだブッシュの中で弾の飛んできた方向を凝視しました。
 しかし、見えるのはブッシュだけ、敵の姿はありません。



「ほう、でかい体に似合わず、反応の速いクマさんじゃ……」
 再び先制攻撃に失敗したサンダースの独り言でした。
 先ほど攻撃したブッシュから2メートルほど西に移動したブッシュの影に彼はいました。
 彼の視線の先には、しっかりとクマノフが飛び込んだブッシュが捕らえられています。


「クマノフさんが危険だぴょん」
 うさぴょんがクマノフさんの方向へと移動を開始した時。

「一粒300メートルアターーーーーーーーック!!」

 東方向から声が聞こえました。



 うさぴょんがそちらを向くと、なんとグリ夫がM4RISを構えながら猛スピードで走り込んで来ていたのです。
 グリ夫の立てる風圧で、あたりのブッシュが激しく揺れています。

「ウサギーーーーーー!貴様の相手はこの俺だーー!」

 パパパパパ☆

 グリ夫の攻撃を避けるため、うさぴょんは手近なブッシュに飛び込みました。
 その横をグリ夫がM4RISを撃ちながら駆け抜けていきました。
 走り去っていくグリ夫に、うさぴょんはグロック26を連射しました。
 しかし、高速で走り抜けたグリ夫を捕らえることはできません。
 グロック26は全弾を撃ち尽くし、スライドが下がりきった状態で作動を停止しました。

「怖かったぴょん……」
 と、胸をなで下ろしたうさぴょんは、グリ夫が走り去った方向を見て、再び驚きました。

 グリ夫がターンして戻ってきたのです。

「許さないぞー!ウサギー!父の仇ぃぃ!覚悟ぉぉぉぉぉぉっ!!」

 今度は撃たずに走ってきたグリ夫は、一瞬にしてうさぴょんの目の前までやってきました。
 うさぴょんのほんの3メートルで立ち止まり、M4RISをうさぴょんへと向けます。

「これで決まりだな。ウサギめ」

 グリ夫がトリガーを引くよりも一瞬速く、うさぴょんは左側へと跳びました。
 そのまま脱兎のごとくブッシュへと駆け込みます。
 グリ夫がM4RISを発射した物の、弾はうさぴょんの後方を抜けていきます。

「く、くそっ!動いてる物に当てるのはこんなに難しいのかっ!」

 グリ夫は射撃の練習不足のようです。

 ブッシュに飛び込んだうさぴょんは、次のマガジンをポーチから取り出すと、素早くカラのマガジンと交換しました。
 そのマガジンチェンジが終わるよりも早く、グリ夫が走り込んできました。

 パパパパパパン☆

 うさぴょんのいるブッシュに、グリ夫が走りながら弾をばらまきます。

 うさぴょんは姿勢を低くしてやりすぎると、左手にカラのマガジンを持ったまま、右手一本でグリ夫にサイトを合わせました。

 グリ夫の移動先を先読みして、そこに向かってトリガーを引いていきます。

 パンパン、パンパンパン、パンパンパン☆

 それでもグリ夫の高速移動を捕らえることはできません。
 グリ夫はターンして再び乱射しながら戻ってきました。

 パパパパパパン☆

 うさぴょんも負けじと連射します。

 パンパン、パンパンパン、パンッ☆

 グロック26のスライドが、再び後退状態で止まりました。

 それに気づいたグリ夫が、射撃をやめてうさぴょんの前に走り込んできて、止まりました。
 うさぴょんはグリ夫にグロック26を向けたままですが、そのスライドは後退状態のまま止まっています。

「フッ、弾が切れたか。残念だったな、ウサギよ」

 勝ち誇った笑みを浮かべ、うさぴょんにM4RISを向けました。



 と、その瞬間、グロック26のスライドが前進しました。
 そして、

 バシッ☆

 グリ夫の眉間をBB弾が直撃したのです。

「な、なにっ!?ヒット!?なんでだっ!?」

 グリ夫がうさぴょんのグロック26を見ると、またもスライドは後退した状態になっています。

 うさぴょんは、全弾撃ち尽くす寸前で親指でスライドストップを押し上げ、故意にスライドストップをかけていたのです。
 こうすることでマガジンに弾が残っている状態でも、スライドを後退状態で止めることができ、グリ夫はそれを弾切れだと思ってしまったのです。



 うさぴょんとグリ夫が熱い戦いを繰り広げているその頃、さらに南側ではクマノフとサンダースが静かに向かい合っていました。
「読まれているクマ……相手はそうとうの熟練クマ……」
 クマノフの額に汗が浮かびました。
 おそらく自分がやられたら後がありません。この相手、サンダースならうさぴょんとパン太を一人で倒すことも可能でしょう。

 クマノフは相手が隠れていそうなブッシュを目で一つ一つ探っていきます。
 しかし相手の姿はどこにもありません。無論、何か動いてる物も見あたりません。
 クマノフの視線は先ほど相手が撃ってきたブッシュに固定されていました。
「もうあそこにはいないはずクマ、撃ってこちらが伏せたと同時に移動したはずクマ……」
 さらに周囲のブッシュまで見渡し、
「しかし、何も動いたようには見えないクマ。いくら静かに動くのが上手いプレイヤーとは言え、まだあの付近にいるクマ……」
 クマノフのAK47の銃口が、さきほど相手が撃ってきた位置の右側、2メートルの位置に向きました。
「おそらく、このあたりクマ……」

 パパパパパパン☆

 クマノフがトリガーを引きました。

「ほう、探り撃ちにしては的確じゃ。なんともカンのいい奴じゃ」
 弾が着弾しているブッシュの後ろ側にサンダースはいました。
 アンラッキーヒットにやられないように姿勢を限りなく低く保っています。

 サンダースは左に少し移動し、ブッシュの隙間から銃口と目だけを出しました。
 そして、先ほど弾が飛んできた位置に向かってトリガーを引きます。

 パパパパパパン☆

 弾は的確に、直前のクマノフの射撃地点へ着弾しました。
 しかし、なんら反応はありません。

「ほう、撃った直後に移動したというのか。ということは左じゃな」

 サンダースは、さらに左に移動すると、クマノフが移動した先のブッシュを予測し、トリガーを引きました。

 パパパパパパン☆

「クマッ!?」

 弾は的確にクマノフの隠れているブッシュを確実に捕らえました。
 あまりに的確な攻撃に驚いたクマノフは、伏せたまま左に体を転がしました。
 弾はクマノフが伏せていた位置、地面ギリギリを抜けていきます。クマノフが少しでも体を転がすのが遅れれば当たっていたでしょう。

 しかし、弾が当たらなかったのは幸いとしても、クマノフは相手の射撃地点を掴むことができませんでした。
「しまったクマ……相手をロストしたクマ」
 一端頭を低くしてしまったせいで情報がとれません。
 頭を上げ、情報を取ろうとすると、それにタイミングが合うように数発ごとのバーストショットで弾が飛んできます。
「クマー……読まれすぎクマ……なんで手に取るようにこっちの動きが分かるクマ……?」

 サンダースはクマノフの位置を捕らえました。
「ほう、今を避けたのは見事じゃ。だが一度そこまで伏せてしまうと、もう視界の確保は出来ないじゃろう。もう頭は上げさせんよ」
 サンダースはバーストショットを繰り返したながら、クマノフに対して斜め前方に移動しながら距離を縮めていきました。

 パパパパパパパパン☆

 クマノフのAK47がフルオート射撃を開始しました。
 しかし、その狙いはさきほどまでサンダースがいた場所に向けられていました。
 すでにサンダースは移動しているので、AK47の狙いの先には誰もおらず、ただブッシュを揺らすだけでした。

「ほう、どこを狙っているのか。案外鈍いものじゃのう……」
 検討はずれの方向にAK47を撃ちまくるクマノフに、サンダースはさらに近寄っていきます。
 サンダースはクマノフの隠れているブッシュに、もう10メートルもない距離まで来ました。
 クマノフは未だに関係ない方向へと断続的な射撃を繰り返しています。
 サンダースはブッシュの横に回り込むようにブッシュの影をのぞき込みました。

 そこに見えたのは、サンダースに向けて右手一本でハンドガンを構えているクマノフでした。

「なんじゃとっ!?」

 パンッ☆

 弾はカーネルの白髪で跳ねました。

「ヒットじゃっ!」

 サンダースはガクリとその場に膝を落としました。
「み……見事じゃ……」

 丁度その頃、グリ夫チームのフラッグから「タッチだぴょん!」という声と、ゲーム終了を知らせる笛が響きました。



「な、なんたる奴ことじゃ……そのAK47の射撃はもしや……」
 クマノフは左手にAK47、右手にCZ75を持ったまま立ち上がり、
「AK47は左手で無駄撃ちしていたクマ。関係ない方向を撃って私がそちらの位置を誤認したように見せかけたクマ」
「な……なんと……まさかごまかしだったとは……完敗じゃ……」
「だがそちらも強かったクマ。ここまでこちらの行動を見抜けるプレイヤーには初めて会ったクマ」
「たいしたことはない……」
「ところでつかぬことをお聞きするクマ」
「なんじゃ?」
「グリ夫と何があったクマ?」
 サンダースは空を見上げ……
「あれは1985年のことじゃ……」



「バースや!」
「ほんまや!こんなところにバースがおるで!」
「みんなでバースを胴上げやー!」
 あの日、わしは、ある熱狂的野球ファンたちに胴上げされた。
 そしてそのまま……

 道頓堀に投げ込まれた。

 悲しかった……悔しかった……

 いったいわしが何をしたというのだ。

 わしはただ、いつもの場所に立っていただけだというのに。

 そしてわしは泳げなかった。

 道頓堀に沈んでいくわしは、死を決意した。

 父よ、母よ、そして我が子よ。
 わし、サンダースは、このまま道頓堀に沈む。もう二度と会えないと。

 そんなわしを、一人の男が道頓堀から助け出してくれた。

 そう、それがグリ夫だ。

 グリ夫はわしにとって命の恩人。
 グリ夫が居なければ、わしは、今この世に居ることはないのだ。
 ゆえにわしは誓った。
 一生かけてもグリ夫にこの恩を返すと。



 セフティゾーンに全員が集まりました。

「負けちゃったカニ?カニカニ」
 ドーラクが笑顔で言いました。
「そうにゃ、うちらの勝ちにゃ〜」
 ネコ田さんが意地悪っぽく言いました。
「カニカニー、カニー」
 ドーラクは、だら〜っと涙を流しました。なんともオーバーアクションな人(?)です。
「今度も勝ったぴょん」
 うさぴょんが笑顔で言いました。
 するとグリ夫は……
「く……くそう……くそう……」
 肩をふるわせ、涙を流し、そして……
「くそううぅ!今、ここでお前を撃ってやる!」
 グリ夫はM4RISを構え、うさぴょんへ向けました。

 パカンッ☆

 そのM4RISがたたき落とされました。

 黄色いバットによって。

「な、なんだっ!?」

 グリ夫が涙顔で振り向くと、そこには黄色いプラスチック製のバットを持ったトラ吉が立っていました。

「と、トラ吉っ!?」
 トラ吉は真剣な表情でグリ夫を見定めていました。
 そして……
「サバイバルゲームで負けたから言うて、今ここで撃ってどないするんや!?自分はサバイバルゲーマーとしての誇りすら無くしたんかいっ!?」
 トラ吉の一言がグリ夫に突き刺さりました。
 グリ夫の背景が黒くなり、「ガーン!」という大きな文字が現れました。
「と、トラ吉……けど……だけどこのウサギは父さんを……」
「悔しい気持ちはよう分かる。せやけどな、フィールドに持ち込んだ物が撃たれて壊されても文句は言えんよや。そんなん、分かっててサバイバルゲームやってるんとちゃうんか?どうなんや!?」
 グリ夫は力無くうなだれ、地面に両手をつきました。その頬からは涙が溢れています。
「なぁグリ夫、悪いが自分があかんのや。認めるんや……気持ちは分かる。せやけどな……認めにゃあかんのや」
 トラ吉がグリ夫の背中を優しく叩きながら、そう声をかけました。

「クマノフたちよ。グリ夫が迷惑かけて悪かったわ。けどな、都合ええ事言うかもしれんけどな、グリ夫を許してやって欲しいんや」
「グリ夫や、親父さんを尊敬しとったんや。とってもな。せやから、めっちゃ悔しいはずなんや……」
「クマー……」
「ほな帰るで、グリ夫……」
 荷物をまとめると、トラ吉、グリ夫は夕日に向かって去っていきました。
 その後を追うようにサンダースは一礼をして、ドーラクは笑顔で「また遊んでカニー」と笑顔で言い残して帰っていきました。



「なんか大変だにゃ〜」
 ネコ田さんが去りゆくトラ吉たちを見て言いました。
「友情とは美しい物クマ……」
 クマノフさんは本気で感心しているようです。

「で、何があったぴょん?」
 うさぴょん、実はパン太以上の天然ボケなのでしょうか……


−−−もしかするとさらに続くかもしれない−−−

あまりにあきれたのでメッセージを送ってみる。

なまえ

つくったひとへのメッセージ


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