サバゲニッポン昔話


うさぴょん「いよいよこの大会も決勝戦ぴょん」
ネコ田さん「今回もお便りがいっぱい来たにゃ」
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ハンドルネーム:エリーファンクラブ会員X(不特定多数)
ぉ、エリーはラストバトルでも活躍の様子ですね。
さすがエリー、そこらのトカゲとは違います。

ところで・・・
>エリーは伏せたまま、やや急ぎでトカゲのように前進を始めました。
哺乳類には出来ないのかな('A`)
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ネコ田さん「今回はエリーが活躍してるにゃ、珍しいにゃ」
エリー「いつもあんたより役に立ってるわよっ!」
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ハンドルネーム:ジェイソン
面白いんだけど・・・
これ終わったらサバニポおわりっしょ?
第二部とかありえるの?
その辺よろしく
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ネコ田さん「第二部あるのかにゃ?」
うさぴょん「ないぴょん」
パン太「無いの〜?」
うさぴょん「気分しだいぴょん」
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ハンドルネーム:トモヤ
どうも、お絵かき掲示板などでも下手な絵でお世話になっております。
「サバゲニッポン昔話」
更新のたびに愛読しております!!
是非是非これからも私たちを楽しませてください!!
そりゃぁ、作者が「もう終わらせる」と言うならば終わってしまうのでしょうが…
たとえ本編が終わったとしても…
クマノフのニッポン密入国記とか
クマノフ・うさぴょん・ネコ田・パン田の出会いとか
同じようにトラ吉・チンドン・バンパク・グリ夫の出会いとか
トラ吉が師匠の下で修行した事とか
大会その後とか
新企画「BB戦隊 サバレンジャー」とか(は?
挙げていけば幾らでもネタなんて転がってるものです。
サバニポは不滅です
がんばってください!!!!!!
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クマノフ「出会いのシーンはどこかの掲示板で語られていたような気もしたクマ」
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ハンドルネーム:仮
う・・・ネコ田さんの出番がなかった・・・

それはおいといて。エリーってこんなに強かったっけ?
一気に3人も倒しちゃったし・・・
でもトラ吉も2人倒したし・・・
ほぼ互角ですね。
っていうかドーラクの出番がほとんど皆無ですね・・・
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ネコ田さん「ドーラクは弱いから出番なしにゃ」
パン太「ネコ田さんより〜?」
ネコ田さん「あたりまえにゃ」
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ハンドルネーム:ENIAC
おおおっ・・・すげえ頭脳戦だ。
僕にはとてもこんなの無理ですよorz
しかし、今はクマノフ有利だけど、トラ吉のM93Rが気になりますねぇ。
ってかこの調子だと次最終回ですか!?
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パン太「これで最終回なの〜?」
うさぴょん「それは秘密ぴょん」
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ハンドルネーム:ルーエル・∞(インフィニティ)
おお!次の話が出るのが早かった^^いや〜この調子で次の話も見たいのでがんばってください!!まぁがんばりすぎて体調をくずさないようにてきどにがんばってください!!!!最後に・・・(・∀・)サバニポイイ!!
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グリ夫「体調が悪くなっても、このキャラメルさえ食べれば大丈夫だ!」
ネコ田さん「それはグリ夫だけだにゃ〜」
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ハンドルネーム:PC356メイン
とら吉すごい敏感って言うか
反射神経とか動きとかすごいですね

あんな感じにやってみたい・・・・・・・・・・・・

とら吉のサイドアームの名前がおもいだせないんですよねあ
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トラ吉「M93RUやで」
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ハンドルネーム:92Fが好きっ♪
おおっ!
凄い戦いですっ!
次がとても楽しみですよ♪
私もこうゆうファイトをやりたいです〜♪(笑)
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パン太「僕のほうがスゴイよ〜」
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ハンドルネーム:ケン
そういえばサバゲ中に菓子食べるのいいのか?
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グリ夫「こ、これは父さんにもらった大事なキャラメルなんだ」
パン太「だから〜?」
グリ夫「だ、だからゲーム中に食べても問題ないはずだ!」
エリー「それってどういう繋がりなのよ?それに、お父さんからもらったのは箱だけじゃなかったの?中身は違うでしょ?」
グリ夫「うおおおおおおおおおおぉz!」
クマノフ「叫んでるクマ」
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ハンドルネーム:コクリュウ
ぬお!更新が早い!!
そして凄いバトルだ!エリー大活躍だなあ・・・
それよりもこの前スパスを撃ってみたが、音がでかい・・・形がでかい・・・良くこんなので気付かず撃てるなあ・・・関心関心。(何様)
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トラ吉「撃ったら当てる、これや」
クマノフ「敵一人だけは問題なく倒せるクマ。しかし一人撃ったらバレバレクマ」
トラ吉「銃に頼るんやないっ!己自身に頼るんやっ!」
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ハンドルネーム:レイヴン
お・・・おぉ!!
流石、決勝戦だけあって白熱してるっっっ!!
エリー大活躍だね。すばらすぃ〜。

続きが気になる!!
にしても、パン太は全く活躍なしか・・・
パンダは好きだから、パン太には頑張って欲しかった;

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パン太「僕も活躍したよ〜」
ネコ田さん「どこがにゃ〜」
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ハンドルネーム:匿名希望
いやー読んでて緊張しました。ところで次回策の
主人公はキツネにしませんか?
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クマノフ「なぜキツネクマ……」
うさぴょん「緑のタヌキもだすぴょん」
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ハンドルネーム:スーパーマリオRPG7
…んん…?
>うさぴょん「もうすぐ最終回ぴょん」
な…なにっ!?

>うさぴょん「もうすぐ最終回ぴょん」
そ…そんな!
『番外編2〜パン太の極悪MC51〜』
を見る事無く終わるなんて!私の楽しみの一つを奪わないで下さい(本編と番外どっちだ)!
ここは是非、まったり更新で構わないので続けて欲しいです。世界のニンジン詰め合わせ送りますから(必死)>うさぴょん
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パン太「僕の銃は普通だよ〜」
ネコ田さん「どんな風に普通にゃ?」
パン太「普通に180%スプリングだよ〜」
クマノフ「本当だったら危険クマ」
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ハンドルネーム:月刊ショットガン
熊なんか死ねトラキチに料理されろ電動がショットガンに勝てるわけないだろ共産死ね食い倒れマンせー
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クマノフ「最近嫌われてるような気がするクマ」
トラ吉「堕ちたものやな、クマノフ」
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ハンドルネーム:Vz61
クマーニャって何者なんでしょうね。

クマーニャは大佐の手下なんでしょうけどね、
クマノフには全く興味示さないし。
やっぱり一番の損役は恵理ですよね。

恵理とクマーニャでは人気のレベルが

クマーニャ<<<<<38度線<<<<<恵理

ですね。分ってますよねそこの熊さん。
・・・?


クマーニャのいかりにふれ パーティはぜんめつした


こういうとき事前にセーブしてないと最低です(謎
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うさぴょん「こまめにセーブしなきゃダメぴょん」
ネコ田さん「サバニポにはセーブ機能あるのかにゃ?」
うさぴょん「『ふっかつのし゛ゅもん』方式ぴょん」

第52話:クマトラ


 大会本戦トーナメントの決勝戦。

 クマノフチーム対トラ吉チームの対決です。
 ブッシュの濃いエリア、クマノフとトラ吉の静かで熱い、一対一の戦いが繰り広げられていました。
 そして、ついにクマノフは伏せているトラ吉の背後を取ることに成功したのです。

「これで終わりクマ」
 クマノフは静かにAKをトラ吉の背中に向けました。

 しかし、クマノフの目に映った物。
 M93Rの銃口。

「クマッ!?」

 ガガガガガガッ☆

 クマノフは瞬間的に膝を曲げ、姿勢を落とします。
 そのクマノフの頭上すれすれを白い弾が飛んでいきました。


「なんやっ!あたらんかったんか!」
 トラ吉はクマノフに足を向けるように伏せていました。
 しかし、その首は左側から斜め後ろを見るようにひねっています。
 また、左手のM93Rも左後方に向けるように構えていました。

 すぐにトラ吉は伏せた姿勢から飛び起き、クマノフの方を振り向きました。
 その左手はクマノフの方に向かって伸びています。

 ガガガガガ☆

 クマノフの前のブッシュに弾が着弾していきます。

「油断させておく作戦とは、トラ吉にしてはなかなか考えたクマ」

 クマノフもAKを構えました。

 パパパパパパパパ☆

 AKの弾がトラ吉のすぐ左側を抜けていきます。
 トラ吉は右側にあるブッシュに体をめり込ませながら、負けじとM93Rのトリガーを引きます。

 ガガガ☆ガガガガガ☆

「もうちょっとなのに当てられへんのか」
 トラ吉があと少し、10CMも左に移動できればクマノフをダイレクトに狙う事が出来ます。
 しかし、その位置にはAKから撃ちだされる弾が通り過ぎているのです。

 対するクマノフのすぐ右側もトラ吉のM93Rから撃ち出された弾が抜けていっています。
 お互い、あとちょっとの移動で敵を倒せながら、それをすることが出来ないのです。

 ガガガガガガンッ☆

 やがて、トラ吉のM93Rのスライドが後退状態で止まりました。
 弾切れです。ハンドガンとしては装弾数が多いM93Rでも電動の装弾数にはかないません。持久戦になれば不利なのです。

「ここで弾切れかいっ!」

「チャンスクマ」
 クマノフがAKを構えたまま姿勢を上げてきます。

 クマノフがブッシュの向こうに見た物は……

 ブッシュ向こうにあるトラ吉の顔。
 その前にはSPASの銃口。

「今度はSPASクマッ!?」

 バンッ☆

 3発の弾がクマノフの頭上を越えていきました。
 とはいえ、トラ吉の狙いにミスはありません。
 クマノフが素早く姿勢を落とし、回避したのです。


「負けへんで!」
 ガシャッ☆
 M93Rを地面に落とし、トラ吉は左手でSPASのフォアグリップを引きました。
 ホルスターにしまわなかったのは地面に置くより時間がかかるからです。今、そのような暇は到底ありません。


「しぶといクマ」
 クマノフは再度ブッシュの上に顔を出しました。
 すかさずトラ吉に向けて射撃を行います。
 トラ吉の第二射の前に主導権を掴むつもりです。

 パララララ☆

 素早く姿勢を下げたトラ吉の頭上をフルオートの弾が過ぎ去っていきます。
 トラ吉は少しばかり横に移動しながら姿勢を上げました。SPASを構えながら。

 バン☆パラララ☆

 SPASとAK47の発射音が同時に発せられました。
 
 クマノフ、トラ吉双方の顔の近くをお互いの敵弾が通り過ぎていきます。

 ガサッ☆

 クマノフがブッシュを押し倒しながら、さらに一歩前に踏み込みました。

 パララララ☆

 さらにトラ吉に対して攻撃を浴びせかけます。
 相手に反撃させないようにし、戦闘の主導権を握り続けるつもりなのです。
 しかし。

 パカカカカ☆

 発射音が変わりました。
 弾切れです。
 80連のノーマルマガジンを全弾打ち切ったようです。
「弾が切れたクマ……」
 クマノフは一旦ブッシュに沈み、マガジンポーチに手を伸ばしました。

「今やっ!」
 トラ吉がSPASを構えながらブッシュ上に顔を出しました。

 バン☆

 クマノフの隠れているブッシュへと撃ち込みます。
 当たらなくてもかまいません。今は主導権をとることが大事なのです。
 トラ吉はさらにフォアグリップを引き、前進しました。
 ブッシュ越しにクマノフの頭が見え隠れします。

「もらったでっ!」

 ガシャバン☆ガシャバン☆

 クマノフはさらに姿勢を低くし、ブッシュに隠れました。
「逃がさへん!」
 ガシャバン☆ガシャバン☆ガシャ☆バン☆ガシャ☆
 トラ吉の連射の中、ブッシュ内を伏せながら横に転がって回避するクマノフ。

 主導権はトラ吉に移りました。

「顔をあげてみい……次でしとめたるわ」

 マガジンチェンジを終えたクマノフが顔を上げました。
 トラ吉がトリガーを引きます。

 バシンッ☆

 トラ吉のSPASが今までとは違う音を立てました。
 弾切れです。

「なっ!なんやっ!」

「勝負あったクマ」
 ガササササ。
 トラ吉の弾が切れたのを知り、クマノフがAKを構えながらブッシュ内を前進してきました。
 同時にトラ吉は後退します、先ほどM93Rがあった場所まで。
 SPASの難点の一つはシェル交換に時間がかかることです。
 一般のアサルトライフルやハンドガンに比べて、シェルの交換がしづらい銃なのです。
 M93Rを置いた場所まで戻り、トラ吉はしゃがみ込みました。
 トラ吉に左手がベルト左側にあるM93Rのマガジンポーチに伸びます。
 素早くポーチを開け、マガジンを取り出しました。

 その時。

 ブッシュ上に現れたクマノフの顔。
 距離は僅か2メートル。
 クマノフのAKの銃口は確実にトラ吉に向いていました。

「ちっ!」
 トラ吉は強く地面を蹴りました。
 左側へ、ブッシュ外へと飛び出します。

 パララララ☆
 飛び退いたトラ吉に向かってクマノフの攻撃が来ました。
 トラ吉は攻撃を回避したものの、自分からの攻撃手段はありません。
 右手にはSPAS。
 左手にはM93Rのマガジンを持ったまま。
 M93Rはさきほどの位置の地面に置き去り。
 トラ吉は着地すると同時にさらに飛び退き、一本だけある木の裏に逃げ込みました。
 しかし、トラ吉の体が全部隠れる程太い木ではありません。

「M93R拾えとったら!」
 右手に弾切れのSPAS、左手にM93Rのマガジンだけでは為す術がありません。当然ですがM93RのマガジンをSPASに使えるわけはなく、SPASのシェルを交換するにしても数秒かかります。
 今はその数秒ですら命取りなのです。
 トラ吉は左手だけでマガジンから一発だけの弾をつまみ出し、マガジンを地面に落としました。

 パラララ☆
 ベシベシ☆

 クマノフの攻撃がトラ吉に襲いかかりました。
 トラ吉は僅かな細い木の幹を利用し、うまく攻撃を防ぎます。
「あかんがなぁっ!」
 一方的に攻撃を受けるトラ吉。
 立ち上がって逃げるにも距離が近すぎます。
 とはいえ、このままじっとしてても5秒と持たないでしょう。

「終わりクマ」
 AKを撃ち続けるクマノフ。
 その時、トラ吉の体がバリケードの木の影から現れました。
「あきらめたクマ?」
 しかし、トラ吉はSPASを構えています。

「これでどないやぁっ!!」
 トラ吉がトリガーを引きました。

 パカンッ☆

 カラ撃ちに似たSPASの音。

 バスッ☆

 着弾音がありました。
 クマノフの胴体で。

「クマ!?ヒットクマ!」

 一発だけの弾がクマノフにあたりました。
 本来、3発ずつ撃てるSPASから発射された一発だけの弾。

「やったで!」

 トラ吉はSPASのシェルを交換していませんでした。
 SPASのシェルを交換するには他の銃以上の時間がかかります。
 そのため、トラ吉は先ほど左手に持っていたM93Rのマガジンから取りだした弾をSPASの銃口に流し込んで使ったのです。

「まだ油断できへん、エリーが向かってきとるはずや」

 トラ吉はベルトからSPASのシェルを取りだします。
 SPASのトリガー前方にあるレバーを押し、シェルカバーを開き、古いシェルを取り出しました。
 新しいシェルを入れ、コッキングを行います。

「これでSPASは大丈夫や。あとはM93Rやな」
 トラ吉はすぐ横に落ちているM93Rのマガジンを拾おうとした時……

 パパパパパパパ☆

 トラ吉の肩で白い弾が跳ねました。

「な!なんや!?ヒットやっ!」

 弾は左側から飛んできていました。
 左方向、斜面を見上げると……MP5を構えているネコ田さん。

「ね、ネコ田かいっ!?」

 トラ吉にとって完璧に予想外でした。
 トラ吉チームにはグリ夫のダッシュがあるため、必ずディフェンスはフラッグ沿いから外さないと思っていたのです。
 しかしネコ田さんは前進してきていました。
 おそらく先ほどまでのクマノフとトラ吉の戦闘音を聞きつけてやってきたのでしょう。


「にゃ!当たったにゃ!やっぱり俺ってすごいにゃ!」
 ネコ田さんが斜面下のトラ吉を見下ろしながら喜びました。


 フィールドから去っていくトラ吉を、東フラッグからグリ夫が見下ろしていました。
「トラ吉まで撃たれるとはな……クマノフはアウトのようだし、相手はエリーとネコ田か」
 グリ夫はポケットに手を入れます。
「しかたない、俺の出番のようだ」
 グリ夫の手にはキャラメル箱。
 顔に穴の開いたランナーの描かれているキャラメル箱です。
「エリー、ネコ田。俺の足が勝つか、それともお前達の射撃技術が勝つか……勝負だっ!」
 グリ夫はキャラメルを口に放り込みました。

 グリ夫の魂に火がつきます。
 燃えるランナーの魂に。

「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「グリ夫の叫び声よ!来るわ!」
 フィールド中央でエリーが後方に向かって叫びました。
 エリーの後方、30メートルほどの距離にはネコ田さんがいます。
「フラッグに戻るにゃっ!?」
「今から戻って間に合う?フィールド中央で待ち伏せよ!」
「わかったにゃ。でも北側斜面を走られたらどうするにゃ!?」
「そんなわけないでしょ!相手はグリ夫よ!中央を走るしか頭に無いに決まってるでしょ!」


「うおおおおおおおおおおおぉっ!」
 東側フラッグからグリ夫が斜面を駆け下りました。
 フィールド中央ルートに向かって。

「来たわ!」
 フィールド中央で待ちかまえるエリーとネコ田さん。
 二人は正面の斜面を猛烈な速度で駆け下りてくるグリ夫に気づきました。
「射程に入るのをまって一気に撃つのよ!」
「わかったにゃ!」


 斜面を駆け下りるグリ夫。
「うおおおおおおおおおおおぉ!!!」
 走り出したら止まらないランナーの熱い魂がそこにはあります。

 グリ夫がフィールド中央の平地にさしかかかろうとした時です。

 バアアアアアアアアアアアア☆

 正面から浴びせられる発射音。
 一人ではなく、二人分の。

「なにっ!俺の進路を予測していたのかっ!」
 グリ夫の進路上にエリーとネコ田さん。
 しかし、中央を走ってきた人間が『予測していたのか』も無いでしょうが……

 グリ夫も負けずに走りながらトリガーを引きます。

 バラララララララ☆

 しかし走りながらでは狙いは定まりません。
 それに、もし撃ち合ったとしても人数は1対2。
 不利なのは目に見えているのです。

「どうせ牽制射撃よ!ひるまないで!」
 エリーの指示。
 二人はグリ夫に対する攻撃をゆるめません。

「うぉおおおおおおっ!!!」

 正面からの激しい弾幕に、グリ夫は進路を左に変えました。
 変えざるを得なかったのです。

 エリーとネコ田さんの弾幕がグリ夫の後方を流れていきます。
 射撃をしてくる相手に対して真正面に走るより斜めに走る方が危険率が低いのは当然です。
 しかし、グリ夫の先にあるものは……

 池。

 フィールド南側にある大きな池。

「な!池かっ!こんなところにあるとはっ!」

 今になって気づくのも遅い気がしますが。それがグリ夫です。
 グリ夫の脳味噌が少しばかり少な目なのは今になって分かったことではありません。

「うわああああああああああああああああっ!!」

 バシャアアアアアアアアアアッ☆

 グリ夫の足が池にさしかかりました。
 派手な水しぶきが上がります。

 バシャッ☆バシャッ☆バシャアアアッ☆

 グリ夫は……

 水の上を走っていました。

 

 グリ夫の脚力。
 強烈に地面を蹴りつけることによって、水面の抵抗を利用し、水の上を走っているのです。
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 グリ夫の後方には巨大な水しぶき。
 それとエリーとネコ田さんから放たれる弾。

 しかし、グリ夫の体はちょっとずつ沈んで行きます。
 やはり水の上を走るのは無理があるのです。

「なっ!なんて事だっ!こんなとこでっ!こんなとこで沈んでたまるかっ!」

 グリ夫は手に持ったライフルを目の前の水面に投げ捨てました。

 バシャアアアアアッ☆

 ライフルが水面を叩きます。

「やってみせる!やってみせるさっ!!」

 バシイイイイイイィィィィィィィィィィィッ☆

 グリ夫は水面に落ちたライフルが沈む前に強く踏みました。
 その力でグリ夫の体がやや上昇します。

 さらに、ライフルが無くなり身軽になったグリ夫は走る勢いが増しました。
 速く走るのには腕を動かす事もとても重要です。

 バシャアアアッ☆バシャアアアッ☆バシャアアアッ☆バシャアアアッ☆

 水面を疾走するグリ夫。
 その顔は勝利の顔でした。
 誰にも止められない、勝利を手にする笑顔。
 あの、道頓堀の壁画の様に。


 ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆


「どっちやっ!?」
 試合終了の笛がなりました。
 フィールドの外で待機しているのはクマノフ、トラ吉、うさぴょん、パン太、チンドン、バンパク、ドーラク。
「グリ夫のダッシュの声が聞こえたはずやで〜」
「まだエリーとネコ田がいるはずクマ。グリ夫を倒したかもしれないクマ」
 お互い、自分チームに都合のいい解釈。

 全員の目がフィールドに向けられています。
 そこから出てきたのは。
 グリ夫。
 赤いフラッグを手に、グリ夫が走り出てきました。
 勝利の笑顔で。
 両手の掲げて。

「勝ったよ!勝ったよみんな!勝ったよ父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 大喜びのグリ夫。
 その後にフィールドから出てくるエリーとネコ田さん。
 二人はグリ夫とは正反対に暗い様子。

 グリ夫はトラ吉たちの元に駆け寄り、また、トラ吉、チンドン、バンパク、ドーラクもグリ夫の元に駆け寄りました。
「ようやったでグリ夫!」
「バンパクッ!」
「すごいカニー!」
「ほんますっごいな〜」

 対称的にクマノフチームは……

「負けたにゃぁ……」
 ネコ田さんも残念そうです。
「しかたないぴょん」
 うさぴょんはいつもどおりの笑顔です。
「え〜。僕はとっても残念だよ〜。絶対勝てると思ってたよ〜。だって相手はトラ吉たちだよ〜」
 パン太もやはりマイペース。
「走ってくるのに当てれなかったクマ?」
 クマノフがエリーとネコ田さんに尋ねました。
「そうね。なんか途中から方向を変えて、フィールド南側の池の上を走られたわ」
「池の上クマ?それは予想できなかったクマ」
「そのぐらい予想しようよ〜」
 パン太がクマノフに対して言いました。パン太は予想できていたのでしょうか。


 陽は西の山に近い位置に傾いていました。
 大会会場のステージの前に、参加者たちが集まっています。
 いよいよ結果発表と閉会式です。
 ステージの上に、サバ・イバールが現れました。
 サバ・イバールの横、ステージの上には、2メートル四方ほどの巨大な木箱が置いてあります。
「今回の大会、例年に無いほどのハイレベルの戦いであった。素晴らしいぞ皆の者」
 会場が歓声に包まれます。
「そしてだ。今回の優勝チームは『くいだおれ』だ。それでは『くいだおれ』の者達よ、ステージ上に来るがよい」
 トラ吉たち5人がステージ横の階段からステージに現れました。
 会場からはさらに大きな歓声が上がります。

「おしかったにゃ〜。俺達があそこにいてもおかしくなかったのににゃ〜」
 ステージ前の人の群れの中、ネコ田さんが言いました。その横にはクマノフたちもいます。
「クマノフさんがあっさりやられるからだよ〜」
 パン太が普段通りのほほんとした口調で言いました。


「それではお前達に商品だ。これを受け取るがよい」
 サバ・イバールがステージ上に置かれた巨大な木箱を指さして言いました。
「商品カニー!何カニー?」
 ドーラクは笑顔で木箱に向かいました。
 他の4人もドーラクに続いて木箱を囲みます。



「な、何が入っているのだ。これは」
「これはなんと、ハンバーガー一年分だ!」
 会場がざわめきます。
「こ、これで一年間、食費がかからないぜ」
 ガッツポーズをとり、心の底から喜ぶグリ夫。
 彼もまた、クマノフと同じように貧乏生活です。
 サバ・イバールが指をパチンと鳴らすと、木箱が前後左右4方向にパカッと開きました。
「ハンバーガーやで〜」
「バンパク〜♪」
 そして……

 会場が悲鳴と絶叫に包まれました。

 中から出てきたのは……

 無数のミミズ。

 何千、いや何万という。木箱の中にぎっしり詰まったがミミズが、箱が開くと同時に崩れるようにあふれ出しました。

「なななななな!なんやこりゃぁああ!」

「なんでミミズなんかがおるのだっ!」
 サバ・イバールも驚愕の様子です。

 トラ吉は自慢の素早い反射神経で後ろに飛び退きます。
 チンドン、ドーラク、グリ夫も間一髪で難を逃れました。

 バンパクは反応が遅れてしまい、バンパクに足下に大量のミミズが崩れ落ちてきます。
「バ、バンパクッ!」
 バンパクの周辺はミミズだらけ。
 前にも後ろにも、右にも左にも移動できません。
「バクパクッ!」
 バンパクの足下から炎が吹き出します。
 空に飛び上がって逃げるつもりです。

 ぼわわわわぁぁ☆

 大量のミミズが空中に舞い上がりました。
 バンパクの足下のバーニアに吹き飛ばされたミミズが。

「バンパク!やめるんやバンパク!」
 トラ吉の必死の叫び。しかしバンパクの耳にそんなことは聞こえていません。
 自分自身がミミズの山から逃げるのに必死なのです。
 ミミズがステージの上を舞います。
 いえ、ステージの上だけでなく、ステージの前方、多くのプレイヤーがいる場所まで、ミミズの雨が降ってきます。

「ぎゃああああああああああああああ!!!」
 比較的前列にいるプレイヤーが叫び声を上げ、逃げ出そうとします。
 しかしすぐ後ろにも人がぎっしり詰まっていますから、簡単には逃げ出せません。

 何万匹、いえ、何十万匹というミミズの雨の中、会場は大パニックに包まれました……




−−−もしかするとさらに続くかもしれない−−−

あまりにあきれたのでメッセージを送ってみる。

なまえ(なまえ公開の許可/不許可も書いてください。無記入だと勝手に公開されちゃいます)
※例:「クマノフ なまえ公開許可」

つくったひとへのメッセージ


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