サバゲニッポン昔話


トラ吉「どないや、勝ったで!」
パン太「なんの話〜?」
うさぴょん「準決勝の話ぴょん」
エリー「なんか勝ったみたいね、トラ吉たちが、これって決勝戦は私たち対トラ吉たちってこと?」
トラ吉「そうや、どないや!」
クマノフ「私たちも決勝進出してるクマ。トラ吉だけが自慢できることではないクマ」
トラ吉「なんやて〜!」
うさぴょん「お便りいくぴょん」
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ハンドルネーム:92Fが好きっ♪
モリジョー男ですね〜♪
はずすとは・・・w
次で最終回ですかね〜。
少し、悲しいです・・・。
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クマノフ「狙撃手一人に手間取るとは、トラ吉たちもまだまだクマ」
トラ吉「アホにやられるおまえよりはマシや!」
クマノフ「あの狙撃手よりアホのほうが狂的……違うクマ、強敵クマ」
エリー「そうかも」
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ハンドルネーム:仮
トラ吉強え〜〜〜!!
モリジョー強え〜〜〜〜!!

ガキみたいな感想ですいません^^:
いよいよ次はネコ田さん率いる「共産主義」と、トラ吉率いる「くいだおれ」ですね!!
一体どっちが勝つんでしょうか?
そしてこの大会が終わったらこの話も終わってしまうのでしょうか?
せめて300話ぐらいまで続けてください!過労死するぐらい!
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ネコ田さん「俺の率いる『共産主義』だにゃ」
クマノフ「いつの間にネコ田がリーダーになったクマ?」
エリー「そうよ!リーダーはこのあたしよっ!」
うさぴょん「名残惜しいけどそろそろ最終回ぴょん」
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ハンドルネーム:ケン
我が故郷名古屋ッーーーーーーーーーーーーー!

畜生大阪のただうるさい奴等に畜生ッ畜生ッ

こうなれば我が第二のふるさとロシア!
頼んだぞ共産主義。

ところで何の銃が欲しい?
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トラ吉「うるさいだけちゃうでっ!大阪は日本一人情あふれる温かい街や!」
クマノフ「そう言ってるは大阪人だけクマ」
パン太「僕はM134バルカンが欲しいよ〜」
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ハンドルネーム:コクリュウ
お〜。いい勝負だった!!
これで万博に専念できるはず(?)
だけど共産主義VS名古屋も見たかったカモ。
てゆうか共産主義はなんか盛り上がりにかけているような・・・パラララララララ☆
うわ!クマに撃たれt(ry
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クマノフ「名古屋なんて私たちの敵ではないクマ」
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ハンドルネーム:エリー様ファンクラブ会員ナンバー1 歩歩
もうすぐ最終回なんて言わないでください!
我々ファンクラブはもっとエリー様の活躍を
拝見しとうございます!!
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エリー「やっぱりあたしの活躍を待ち望んでいる人がいるのねっ」
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ハンドルネーム:ENIAC
トラ吉おめでと〜^^
いやあ、銃撃戦のときついついマト○ックス風に脳内変換してしまいましたw
次はいよいよ決勝戦・・・たのしみです〜^^
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ネコ田さん「俺の活躍をマト○ックス風にしてほしいにゃ」
エリー「はいはい」
ネコ田さん「次は黒服でサングラスかけて登場するにゃ」
エリー「馬鹿な黒猫3人組と間違えられないようにね」
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ハンドルネーム:レイヴン
うぬぅ、白熱した試合だったぁ〜。
共産主義はなんかウヤムヤにされてゲームの内容が分からなかったけど、
くいだおれは確り内容を明かしてくれてるから、分かりやすい!!
頑張れくいだおれ!!
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クマノフ「私たちを応援してもらいたいクマ」
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ハンドルネーム:スーパーマリオRPG7
番組の途中ですが臨時ニュースです。たった今、臨時アルバイト特派員のクマノフさんから情報が入ってきました。
え〜それによりますと、グリ郎選手の直接の死因は誤ってアーモンドグ○コを摂取してしまった為である可能性が高い、との事です。
また、同じく臨時アルバイト特派員のプラホーイさんからの情報によりますと、択捉島マラソン当日の未明に、モノクロでずんぐりむっくりしていて手にアーモンドグ○コの箱を握りしめた謎の生物が、グリ郎選手の控え室に入って行く所が、通りすがりのド○レドさんに目撃されていた、との事です。
事件が十年以上前である事や外見的特長から、謎の生物の正体は、現在サバイバルゲーマーとして活躍(?)しているパ○太君の父親の故・パン造氏と思われます。
以上、臨時ニュースをお伝えしました。

それでは最後に一言。
ドナノレドマジック!パン太よ、カラフルになぁれ♪(ビビッドトーンに)
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うさぴょん「衝撃の事実ぴょん」
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ハンドルネーム:あぶとまっとからしにこふ
ネコ田さん頑張ってください
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パン太「僕には応援してくれないの〜?」
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ハンドルネーム:ルーエル・∞(インフィニティ)
ええ!?次回がないなんて!そんな事言わずにガンバってください!!!期待して待ってます!
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クマノフ「サバニポは不滅クマ」
うさぴょん「根拠はないぴょん」
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ハンドルネーム:ありたか
間違い発見です
仮にトラ吉のショットがグリジョーにヒットしたとしても、攻撃は途絶え、タイムアップの引き分けです
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ネコ田さん「わかりづらいにゃ〜」

第51話:ファイナル・バトル

「これより大会決勝戦、『共産主義』対『くいだおれ』の試合を行います」
 決勝戦の試合を知らせるアナウンスが会場内に流れました。

 フィールドはやや東西に長いフィールド。
 フィールド北側、西側、東側はやや高くなっており、フィールド中央と南側がくぼんだ形です。
 フィールド中央より南側には池があり、そのせいでフィールド中央の幅は狭くなっています。



 クマノフ達は西側、赤フラッグへ。
 トラ吉達は東側に黄色フラッグへと向かいました。


「高低差があるフィールドだにゃ〜」
 西側フラッグの周辺には、クマノフ、パン太、うさぴょん、ネコ田さん、エリーの5人。
「フィールド中央はやや深めのブッシュね。フィールド南側には池があるから、中央ルートか北ルートかで攻めないと」
「北ルートいくと斜面ぴょん。高い所は有利そうだけど、フィールド中央の低いところよりブッシュも少ないし、みつかりやすそうぴょん」
「そうね。見つかりやすくても高い位置をとるなら北ルート、低くても見つかりにくい位置をとるなら中央ルートってところね。クマノフ様ならどっち?」
 エリーの問いかけにクマノフは……
「トラ吉なら中央ルートクマ」
 エリーの質問にはマッチしない答えを返しました。
 しかし、その答えこそが、この試合において大事なことなのです。
「トラ吉ならにゃ?」
「クマ」
「トラ吉は相手チームで一番強いぴょん。トラ吉を倒さないと勝てないぴょん」
「クマ。いかにしてトラ吉を倒すか、あるいは無力化するかが、このゲームでもっとも重要な事クマ」
「そうね、でもどうやって?」
「トラ吉の予想進路でアンブッシュするクマ」
「そんなに単純に行くかにゃ?」
「大丈夫クマ」
 クマノフは自信ありげに答えました。さらにその理由の説明を続けます。
「トラ吉の射程は短いクマ。最大でチャンスがあっても30メートルクマ。しかし、30メートルでもトラ吉にとっては遠距離クマ」
「30メートルで遠距離にゃ?」
 普通の電動銃の最大射程距離は50メートルほど。
 30メートルといえば、その半分ちょっとです。
「考えてみるクマ。今までトラ吉が撃つときは、その殆どが20メートル以下クマ」
「しっかし見てないから分からないにゃ。トラ吉の試合は観戦したことはあるけどにゃ……」
「いつもブッシュに潜ってるから分からないぴょん」
「私も見ていないが間違いないクマ。トラ吉は一撃必中のスタイルクマ。それは一撃必中にこだわってるからではないクマ」
「なんで〜?」
 パン太のやる気の無さそうな疑問。
「単純クマ。それがトラ吉にとってベストな戦術だからクマ。トラ吉は見つからずに不意打ちをかけるのが得意クマ。そのためにはミスショットは許されないクマ。あの発射音の大きい銃で撃てば、確実に居場所がバレるからクマ」
「スナイパーみたいだにゃ〜」
「しかし確実に倒すためには、否応なく近距離から攻撃しないといけないクマ。だから中距離、近距離からしかトリガーを引かないクマ」
 さらにクマノフは続けます。
「トラ吉は、いつも最前線にいるクマ、どんな仲間より前にいてブッシュ内に潜っているクマ。つまり待ち伏せして一番最初にかかる敵はトラ吉クマ」
「でもおかしいにゃ?トラ吉って最前線にいるわりにはなかなか撃たれてないけどにゃ」
「それは姿勢を低く保って見つからないようにしているからクマ。そして自分では必中を期待できるときまで撃たないクマ」
「最前線にいるから必ず撃たれやすいってわけでもないわけね。クマノフ様」
「クマ」
「具体的にどうするにゃ?」
「私が中央ルートよりやや南側、池の近くで待ち伏せるクマ。うさぴょんは私より北側、フィールド中央付近クマ」
「あたしは?」
「この中でただ一人スコープがついているのはエリーだけクマ。エリーには北ルートの斜面から遠距離射撃を頼むクマ」
「高い位置でも、見通しのいい場所で射撃を続けるのは危険ぴょん」
 自分から広くフィールドを見渡せる位置というのは、すなわち敵からも注目を浴びやすい位置です。それはとても危険です。
「仮にトラ吉がエリーの発射音を聞いて、エリーを倒しにフィールド中央を移動したら私とうさぴょんの待ち伏せで倒すクマ」
「僕は〜?」
「パン太はエリーの近く、中央ルートを中盤で守るクマ」
「俺はディフェンスかにゃ?」
 ネコ田さんの質問。
「そうクマ。グリ夫のダッシュ対策クマ。ただしグリ夫がダッシュしてくるのは最後と考えるクマ」
「なんで〜?」
「今までのゲームを見れば分かるクマ。一回限りのダッシュで撃たれないため、相手の戦力を削ってからダッシュしてるクマ」
「じゃあ、俺がずっとディフェンスにいなくてもいいってことかにゃ?」
「隙は見せられないクマ。しかし、必ずしもフラッグにぴったりくっついてアンブッシュしている必要は無いクマ。臨機応変に前進しても構わないクマ」


 対するフィールド東側。
 黄色いフラッグの周りにトラ吉、チンドン、バンパク、グリ夫、ドーラクの5人。
「見通しのきくフィールドやな」
 ややフィールドを見下ろすようにトラ吉が言いました。フィールド東側も高さがあるため、フィールド中央を見下ろす形になります。
「どこから攻めるんや〜?フィールド南側中央に池がある以上、南側からの進行は難しいで〜」
 チンドンの問いかけ。
「あの池がフィールド中央を狭くしとる。そこを突破するなら北ルートか中央ルートってことやけど」
「北ルートの斜面は見通しがいいカニー。見つからずに進行するのは無理カニー」
「せやけど北斜面の確保は必要や、北斜面を確保しておかんとフィールド中央への援護射撃もできへん。もし北ルートの斜面を完全に相手に支配されたら、後は好き放題撃ち下ろされてまう」
「見通しのいい北斜面か……誰が行く?」
 腕を組み、木の幹に寄りかかったままのグリ夫。
「わいは無理や、射程の短めのドーラクも適役ちゃうな」
 ドーラクの銃は左右両手に持った2つのMP5K。
 MP5Kはコンパクトなサブマシンガンな反面、中距離、遠距離の射撃能力は他の電動ガンに劣ります。
「バンパク、チンドンの二人が北ルートや。念のためグリ夫はディフェンス」
「バンパク」
「トラ吉とドーラクはどこを行く?」
「わいらは中央ルートや。ドーラクが中央よりやや北ルート。わいは中央よりやや南を行く。池の近くや。ブッシュも濃さそうやし、一番相手から見つかりにくそうな場所やからな」
「了解やで〜」


 トラ吉達の作戦は、クマノフ達の予想通りです。
 しかしトラ吉たちは、そのようなことなど知る由もありません。


 ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

 ホイッスルが響きました。
 この大会、決勝戦の開始です。

「行くクマ」
 クマノフ、うさぴょんは東方向へのダッシュ。
 エリーは北東方向へダッシュしました。
 パン太はエリーの後ろあたりをノロノロとついていきます。いつもどおり、あまりやる気がなさそうに見えます。

 ゲーム開始から1分。

 エリーは北斜面へ到達しました。
 適当なブッシュにしゃがみ込み、フィールドを見渡します。
 高い場所ですから、とても広い範囲を見渡せます。
「もっと先に行けるけど、ここね」
 まだ斜面の中腹であり、もっと高い位置まで登る事が可能です。
 しかしエリーはこの場に留まりました。
 さらに高い位置まで行く途中に、敵に見つかりたくないからです。

 パン太もしばらくしてエリーから南方向の位置へとやってきました。
 フィールド中央より高い位置で、広い場所を警戒するには好都合の場所です。
 パン太は太めの木を選び、その木の影に腰を下ろしました。

 また、うさぴょんとクマノフはフィールド中央近くまでやってくると、その場に伏せました。
 うさぴょんとクマノフはエリーとパン太より東側、つまり前方に位置しています。
 この場所でトラ吉がやってくるのを待ち伏せるつもりです。



 トラ吉チームは、バンパクがフィールド北側の高い位置に達しました。
 ここから西へと進行するつもりです。
 チンドンはバンパクより南側、バンパクより低い位置までやってきており、ここから西へと進みます。
 さらにもっと南側にはドーラクの姿。

 トラ吉は、フィールド中央よりも若干南側のブッシュに入り込みました。
 おそらくここに入りこんだことは敵チームに見つかってはいないでしょう。
 ここから静かに西に向かい、敵を倒すつもりです。


 円形の視界の中に、バンパクの姿がありました。
 エリーのAUGのスコープの中。
 距離は50mほど離れています。
「北側ルートにバンパクね。クマノフ様の予想通りだわ」
 エリーは撃ちません。たんにスコープで敵に姿を確認しただけです。

 ドドドドドドン☆

 静かなフィールドに、突然独特の発射音が響きました。
 チンドンの太鼓銃の発射音です。

 エリーのスコープの視界が斜面を降ります。
 バンパクから10メートルほど南側、さらに手前の位置にチンドンの姿がありました。
 チンドンの射撃は、エリーから右の方向へと飛んでいます。
 その射線の先にいるのはパン太。
 二人の間の距離は50メートルほどもあります。
 とても当たる距離ではありませんが、パン太の隠れている木には何発かの弾がヒットしているようです。
「50メートル先にパン太や〜」
 チンドンの叫び声。



「当てるつもりはないみたいね」
 チンドンにスコープを合わせたままのエリー。
 現在、エリーが発見している敵はバンパク、チンドンの2人。
「あとの3人は中央ブッシュに入り込んだのが2人?だとしたらクマノフ様の読み通りだけど……」

 パラララララララララ☆

 パン太のMC51の発射音。
 何も考えず、パン太がチンドンへ反撃しているのです。
 もちろん、この距離でのヒットは期待できませんが、そのことをパン太が分かってはいないかもしれません。
 それを見たバンパクが前進してきました。
 パン太への攻撃に参加するつもりでしょうか。

「バンパクッ!」

 パラララララララ☆

 バンパクがパン太に向かって射撃を開始します。

 チンドン、バンパク、パン太の3人の発射音が重なり、フィールドがよりいっそう騒がしくなりました。
 エリーはスコープの中にチンドンを入れたま、しかしトリガーは引きません。
「まだ距離があるわ。もっと前進しないと……」
 伏せたまま、前方の様子をうかがいます。
 エリーの前方10メートルほどの位置、真正面よりやや左にブッシュがあります。
「あそこまでなら移動できるかも……たいした距離じゃないけど、あそこからなら当てれるかも……」
 エリーは低く伏せたまま、ゆっくりとやや左に移動しました。伏せてるとはいえ、目立ちやすい斜面。
 派手に動けば容易に見つかってしまうでしょう。
 1メートルほど左に移動すると、エリーの視界からチンドンとバンパクの姿が消えました。
 敵二人とエリーの間にブッシュを置く形になったのです。
 自分から敵が見えないということは、すなわち敵からも自分の姿も見えないと言うこと。
「このまま前進できるわ」
 エリーは伏せたまま、やや急ぎでトカゲのように前進を始めました。

 1分程して、エリーは目的のブッシュにたどり着きました。

 フィールドには、未だにバンパクとチンドン、パン太の3人の銃声が散発的に聞こえてきます。
 エリーはブッシュの横ギリギリに位置し、目と銃口だけをだしました。



 バンパク、チンドンまでの距離は35mほど。
 エリーのスコープの中にチンドンが映りました。
 エリーの指がトリガーにかかりますが、トリガーは引かれません。
「相手の攻撃に合わせて……」
 エリーはチンドンが射撃を行うのを待っているのです。

 ドドドドドン☆
 バンパクが撃ちました。パン太に向かって。
 それに合わせ、エリーがトリガーを半分まで引きました。
 ステアーAUGのトリガーは最後まで引ききらずに途中まで引くとセミオートになります。
 パンッ☆
 弾が一発だけ発射されました。

 弾はチンドンの手前で下に落ちました。

「ハズれた?でも気づかれてない、次こそ」

 エリーは銃口をわずかに上げました。
 今のショットのズレを修正です。

 パンッ☆

 弾はやや落下しながらチンドンに向かい……

「ヒットや〜!」
 30m以上離れている場所から、チンドンのヒットコールが聞こえました。

「当たった!」
 エリーは続けざまにバンパクへと狙いを定め、トリガーを引きます。

 パラララララララララ☆

「ヒットバンパクッ!」

 思わぬ不意打ちに、チンドンとバンパクの二人が立て続けにアウトになりました。



「一気に二人。行けるかも」
 エリーは敵の構成を考えました。
 残る敵はトラ吉、ドーラク、グリ夫。
 そのうち、トラ吉は射程が短く、MP5Kを使うドーラクも射程が長いとは言えません。
 グリ夫はおそらくディフェンスでしょう。
 そして、今北ルートの斜面付近を進行したきたのはすでに二人。
「北ルートには、もういないはず」
 エリーはブッシュを飛び出し、斜面をやや斜めに駆け上がるように前進しました。
北ルートを完全に確保するつもりです。
 フィールド北側の限界ラインまで20秒ほどで移動すると、エリーはフィールド中央を見下ろしました。
 すると、フィールド中央のブッシュ内に赤い姿。
 ドーラクです。

 エリーに見つかった事はドーラクも気づきました。
 ドーラクは両手のMP5Kをエリーに向けて、急いでトリガーを引きます。

 バラアアアアアアアアアア☆

 両手のMP5Kが猛烈な弾幕をはります。
 しかしエリーは焦りませんでした。
 手近なバリケードを取るでもなく、その場に伏せると、ドーラクへと狙いを定めました。

 パパパパパパパン☆

 ドーラクの弾は、エリーのスコープ内でも散っていました。
 この距離での撃ち上げでは、ドーラクにとって厳しい距離なのです。

 逆にエリーの放った弾は正確にドーラクを捉えました。

「ヒットカニー!」



「3人倒したわ!あとはトラ吉とグリ夫だけよ!」
 エリーが叫んで、フィールド全域の仲間へと知らせました。


「な……なんや……もう3人もやられたんかい……」
 フィールド中央のブッシュで、トラ吉はエリーの声を聞きました。
 今まで実際に3人分のヒットコールを聞いています。エリーの言ったことも間違いではなさそうです。
 トラ吉からはエリーの姿を確認できません。トラ吉は確認しようともしません。
 エリーがフィールド北側限界、斜面の高い位置にいるのはトラ吉にも予想できました。
 あえて目で見て確認する必要などありません。かりに視覚確認できたとしても、トラ吉のSPASでしとめられる距離ではありません。
 それに何より、姿勢を上げて他の敵に見つかるわけにはいかないのです。

 トラ吉はフィールド中央よりもやや南のルートを慎重に西へと進んでいます。
 トラ吉の左側、5メートルほどいったところにはブッシュがありません。
 そこにあるのは池です。


 クマノフの左前方で、僅かな動きがありました。
 ブッシュの中を静かに動く物体、それにクマノフの目が反応しました。
 まったく音を出さないで移動できる人物、一人しかいません。
 それに、今残っている敵はグリ夫とトラ吉しかいないのですから。

 クマノフのAKが、ゆっくりと動く物体へと向けられます。
 距離は10メートル。
 しばらく待ち、トラ吉の帽子が見えた瞬間、クマノフはトリガーを引きました。

 パパン☆

 クマノフのAKが2発の弾を撃ち出しました。
 弾は狙い違わず、確実のトラ吉の帽子へと向かいます。

 サッ☆

「クマッ!?」



 間一髪、弾はトラ吉の頭上を抜けていきました。
 クマノフのミスショットではありません。
 トラ吉がとても素早い反応で、発射音と同時に姿勢を落としたのです。
 遠距離ならいざしらず、たかが10メートルでこのような事は驚異的です。

「来ると思っとったで」
 伏せたままの姿勢のトラ吉。トラ吉はアンブッシュをあらかじめ予想していました。
 発射音と同時に伏せるというのは、前もって用意しておいた動作なのです。

 パパパ、パパパ☆

 トラ吉の隠れているブッシュに断続的に攻撃が撃ち込まれます。
 もちろんクマノフからの攻撃。


「トラ吉がいたぴょん!?」

 クマノフの射撃にうさぴょんも気づきました。
 その射撃音からトラ吉の位置を予測すると、うさぴょんから東南東10〜20メートルの位置にトラ吉がいるようです。
 うさぴょんは姿勢を低くし、慎重に前進を始めました。


 クマノフは伏せた姿勢のまま、じっと正面10メートルの位置にあるブッシュを凝視し続けています。
 その位置にAKを向けたまま。
 先ほどの射撃はすぐに終了させました。弾は20発程度使ったでしょうか。
 ヘタに撃ち続けてしまうと、その音がトラ吉にとってプラスに働いてしまうからです。
 発射音に紛れれば、トラ吉は用意に移動できてしまいます。
 しかしクマノフがすぐに射撃をやめた以上、トラ吉の位置は変わらず。
 クマノフから直接見ることはできませんが、ブッシュに向こう側にいるのでしょう。


「撃ってこんのか……」

 トラ吉は地面に伏せたままです。
 クマノフが撃ってこない所を見ても、伏せてる限りは安全そうです。
 しかし、先ほど撃ってきたところを見ると、姿勢を高くしてしまえばクマノフからの視線が通るのでしょう。
「クマノフ一人やったら問題あらへん……せやけどそうは思えへんな」
 トラ吉は伏せた姿勢のままSPASを構えると、やや右方向、北西方向に銃を向けました。


 うさぴょんはフィールド中央付近を姿勢を低くしたまま、慎重に前進していました。
 トラ吉のだいたいの位置はさきほどのクマノフの射撃で分かりました。
 そして、その場所にトラ吉がいるなら、トラ吉の視線と銃口はクマノフの方向である南西方向を向いているはずです。
 うさぴょんの予想では、トラ吉はうさぴょんより南東にいますから、トラ吉の側面が取れる計算になります。
 うさぴょんが一つのブッシュの薄い場所から前方をうかがった瞬間。

 バンッ☆バシンッ☆

 うさぴょんのゴーグルが派手な音を立てました。

「ヒットぴょん!」

 トラ吉の正確な一撃でうさぴょんがアウトになりました。



「やっぱ来とったんやな」
 伏せたまま、SPASを右方向に構えているトラ吉。
 うさぴょんの接近を予想していたのです。
 武器がハンドガンという射程の短いうさぴょんにとって、このフィールドで北ルートを行くわけにはいきません。
 従って中央のブッシュルートを来ると読んだのです。
 ブッシュルートのやや南際にはクマノフがいたわけで、そうなるとうさぴょんがいるのは中央から少し北ルート、いずれもブッシュ内と予想できました。
「エリーは北やな、降りて来ているかもしれへんけど、まだ距離があるはずや。パン太の位置もわかる。ネコ田はおそらくディフェンスやな……囲まれる前にクマノフをやらんとあかん」

 トラ吉はSPASを左側へと向けます。
 体も左に向くようにゆっくりと姿勢を変え、ブッシュに顔を近づけます。
 しかしクマノフを発見することはできません。
 もっとブッシュの薄い場所から見れば発見できるかもしれませんが、それはリスクが大きすぎます。
「……どないすればええ……この場でやるか、それとも……」
 トラ吉は周囲を見渡します。
 西側5メートルほど先の太い木に目がとまりました。
「いけるやろうけど見つかってまうか……せやけどエリーはまだ遠いはずや。パン太が近いとしてもパン太なら大丈夫やろうな」

 トラ吉は姿勢を低くしたまま前方に駆け出しました。

 パラララ☆

 クマノフの攻撃がトラ吉に襲いかかります。
 しかしトラ吉は素早く木の影へと駆け込みました。

 パララララララララララララララララララララララララララララ☆

 木の幹の北側についたトラ吉。そのトラ吉を北西方向から攻撃が襲いました。
 パン太です。
 トラ吉は相手の弾幕にもひるまずに狙いを定めます。

 パンッ☆ガシャパンッ☆

 2ショット放ちました。

「ヒットだよ〜」

 パン太のやる気のなさそうな声があがりました。



「あとはエリーが来る前にクマノフを倒せるかどうかや」
 もしエリーが北からやってきたら、トラ吉は前後から挟まれる形となってしまいます。

 トラ吉は木の右側から顔を少しだけ出し、南側を見ました。
 ブッシュは静まっています。
 しかし、トラ吉は確信していました。かならずクマノフが撃ってくることを。



 パララ☆

 少しの時間を置いて、突然弾が飛んできました。
 即座にトラ吉は顔を戻します。
 飛んできた弾は正確に木のギリギリ横を抜けていきました。
 トラ吉の顔の10cm横を。
「ほんま正確な射撃や。せやけど、今ので位置が分かったで」
 トラ吉は飛んでくる弾を見たのです。
 わざと自分の顔面、目に近い位置に攻撃させることで敵の弾道を視認し、敵の位置を掴んだわけです。


「この距離で回避が間に合うクマ?」
 クマノフが感心げに言いました。
 トラ吉までの距離はたかが10メートルほどしかありません。
 それでもトラ吉は発射音を聞いてから回避しています。

「いつまでもバリケードを使い続けるなら側面をとるクマ」
 クマノフは静かに右前方に移動しはじめました。
 トラ吉の隠れている木にAKを向けたまま。
 姿勢を低くし、なるべくブッシュを取るようにしてゆっくりと移動していきます。

 30秒ほど経過した時……

 バンッ☆

 トラ吉のSPASの発射音。
 同時に姿勢を低くするクマノフ。

 トラ吉の攻撃はクマノフの手前ブッシュではじかれました。

「どこクマ?」

 弾が飛んできた方向はさきほどの木ではありません。
 そこよりさらに左側です。
 トラ吉はブッシュづたいに移動し、すでに先ほどの木の影にはいないのです。

「いつのまに移動したクマ……」

 クマノフはトラ吉の正確な位置を見失っています。もちろん今の発射音、着弾音でだいたいの位置は分かります。
 しかし、今クマノフに向かってトリガーを引いたトラ吉は、クマノフの位置を正確に掴んでいるのです。
 つまり、さっきまでの状況とはまったく正反対。今度はクマノフが不利な立場と言えます。
「……トラ吉がいつまでも同じ場所にいるとは思えないクマ」
 静かに移動するのが得意なトラ吉のことです。また移動しているに違いありません。
 右か、左か……それとも後退か。
 すぐにクマノフは答えを出しました。
「……左クマ」
 この考えには理由があります。
 北ルートからエリーが駆けつけてくる可能性が高いからです。
 そうなれば、もし長期戦になった場合にエリーとクマノフ二人から囲まれる位置には移動したくありません。
 少しでも囲まれにくい南側から南西側に移動したいと考えるはずです。つまりはクマノフから見て真正面より左なのです。
 クマノフはブッシュ隙間から慎重に前方を覗きます。
 しかしやはりトラ吉の姿や動きは見えません。
「……左に動いていたら、今頃このへんクマ」
 トラ吉は予想位置に銃口を向け、トリガーを引きました。

 パラララ☆


 ガサササッ☆

 トラ吉のすぐ横のブッシュが着弾音を立てました。
 すかさず地面に伏せるように姿勢を下げるトラ吉。
「な、なんや?バレとんのかい?」
 伏せたまま静かに左方向の様子をうかがいます。
 クマノフは撃ってきません。
「……バレとるのか、そうやないんか……どっちや……」


「わずかに動いたクマ」
 AKを構えたままのクマノフ。
 トラ吉がブッシュの向こうで回避する動きがほんの僅かにだけ感じられたのです。
「左に動いたまま伏せたはずクマ……それなら右から行けば足を取れるクマ」
 クマノフは右に移動を始めました。
 伏せたままのトラ吉の足がある方向から攻撃を掛けるつもりです。
 もしトラ吉が姿勢を変えようとすれば、その動作で正確な位置が掴めるはずです。


 ……サ……カサッ……

 ブッシュ向こうで聞こえる僅かな足音。
 クマノフの移動音です。
 距離はおそらく10メートル程度。

「左に移動してるんかい……?」
 トラ吉は少し考え……
「わいの後ろをとるつもりか?」
 トラ吉の予想通りならクマノフは伏せたトラ吉の後ろ側に向かって来ているのです。
「姿勢を変えようもんなら動きでバレてアウトやな……一旦逃げてもええねんけど……」
 伏せた姿勢を変えず、トラ吉は左手をホルスターに伸ばしました。


 AKを構えたまま、クマノフは一歩一歩、トラ吉に近寄って行きます。
 クマノフの前方、10メートルも無い位置にやや不自然な塊が見えてきました。
 トラ吉の背中です。
 トラ吉はクマノフに足を向けるように伏せているようです。
「これで終わりクマ」
 クマノフは静かにAKをトラ吉の背中に向けました。


−−−もしかするとさらに続くかもしれない−−−

あまりにあきれたのでメッセージを送ってみる。

なまえ(なまえ公開の許可/不許可も書いてください。無記入だと勝手に公開されちゃいます)
※例:「クマノフ なまえ公開許可」

つくったひとへのメッセージ


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