サバゲニッポン昔話


うさぴょん「いよいよ今回は僕たちの出番ぴょん」
ネコ田さん「しばらくでてなかったにゃ〜。このままずっと出番無しのほうが良かったのににゃ」
うさぴょん「やる気ださなきゃダメぴょん」
ネコ田さん「もうやる気ないにゃ〜」
クマノフ「クマクマ」
エリー「クマノフ様、それではネコ田さんに同意してるのかしてないのか分からないわよ」
クマノフ「クマ」
うさぴょん「NOと言えないロシア人ぴょん」
=====================================
ハンドルネーム:kouhei
は〜い最近欠かさずおてがみ出してるkouheiで−すw
ええ・・・クマーニャの一面だとかクマノフさんの
つっこめそうでつっこまないところやあの人が
サーカスで働いているだとかwおもろかったが・・・・・
おいおい!クマノフチームは負けたのか!?
ってぐらい試合してませんねwまあつぎ試合だと
思いますがw んにしてもラブストーリー・・・
3時間ってw 呼吸は?w
まあ突っ込みどころはたくさんあるこの物語ですがw
愛読しまくりますw 最終回作るな〜w

PS うさぴょんさん ニンジン送っときましたw
   ネコ田さん まっしぐらの空き缶送っときましたw
   エリーさん ネコ田送っときましたw
   パン太   俺が食べました(殴
=====================================
うさぴょん「ニンジンくれるぴょん」
ネコ田さん「俺もネコまっしぐら食えるにゃ」
うさぴょん「『空き缶』ってかいてあるぴょん」
ネコ田さん「にゃに〜」
エリー「久々に肉が食べれそうね」
うさぴょん「エリーちゃんの目つきが怖いぴょん……」
=====================================
ハンドルネーム:レイヴン
重い!!!
サバニポなのに、スト〜リ〜が重すぎる!!!
なんて重圧だ!!
所々、笑いを取らせる部分が無かったら、
確実に破滅の道を辿ってますよ!!
いやぁ、シリアスも程々に・・・

・・・グスン

=====================================
うさぴょん「サバニポはいつもシリアスぴょん」
ネコ田さん「嘘っぽいにゃ〜」
=====================================
ハンドルネーム:グヒョピン
ついにクマノフの過去が明らかに!!
ウオォォ泣けるぜー!!
ってかサバニポ続いてくれよ〜〜
次はサバゲ世界昔話とか・・・。
でそん次は宇宙制覇になっちゃったりして・・・。
とにかく終わらんでくれ!!
あと、トラ吉がんばれ!!(関係ないしw
=====================================
ネコ田さん「サバゲ世界昔話かにゃ〜。主人公は誰にゃ?」
うさぴょん「パーヤネンぴょん」
ネコ田さん「それって誰にゃ?」
うさぴょん「前にでてきたフィンランド人ぴょん。タイトルも『サバゲ世界名作劇場』に変更ぴょん」
ネコ田さん「どこかで聞いたような名前にゃ〜」
=====================================
ハンドルネーム:きなこMIX
クマノフ兄貴の過去がついに...。
切ないぞ兄貴!(ToT)
つーか3時間キスって...?

=====================================
ネコ田さん「俺とかの過去ってあるのかにゃ?」
うさぴょん「無いぴょん」
ネコ田さん「なんか俺ってどうでもいい扱いにされてるようにゃ……」
=====================================
ハンドルネーム:北方工房
こ、こんなところで「山」ネタに遭遇するとは……
#焼きスパに逃げたヘタレです
=====================================
ネコ田さん「何のことにゃ?」
うさぴょん「名古屋では有名ぴょん」
ネコ田さん「名古屋人じゃないから分からないにゃ〜」
=====================================
ハンドルネーム:匿名希望
熊社会にも色々あるんですねぇ。実は首都はモスクマですか。クマは国も貧しかったんですね。
=====================================
ネコ田さん「そういえば、サバニポにでてるクマってみんな貧しいにゃ」
うさぴょん「クマだからしかたないぴょん」
クマノフ「どういう意味クマー!」
=====================================
ハンドルネーム:ENIAC
こんにちは。って最終回ぃ!?
お願いします!終わらせないで!!
トラさん主人公でいいから〜(むしろそっちが(ォィ

さて、今回はやけにシリアスでしたねぇ
ってキ●ガイピエロいるしw
アメリカ・ロシア・日本と、いろんなとこにいたんですねw
ってクマは最初のサバゲのとき気付かんかったんか??
しかしいろんなことがわかりましたね
クマさんの過去とか古いハンドガン(名前忘れた)使ってる理由とか
次が楽しみです、が
どうか終わらせないで〜 お願い〜
=====================================
クマノフ「古いハンドガンの名前はCZ75クマ」
うさぴょん「トラ吉が時期主人公候補に上げられているぴょん」
ネコ田さん「そのほうが俺が出なくていいから楽にゃ」
うさぴょん「続けたくないぴょん?」
ネコ田さん「もちろんそうにゃ」
うさぴょん「じゃあネコ田さんが主人公するならどうぴょん?」
ネコ田さん「それなら続けるにゃ!」
エリー「それ無理よ」
うさぴょん「じゃあ時期主人公をみんなから公募するぴょん。みんなお便りに書くぴょん」
ネコ田さん「俺は自分の名前かいて送るにゃ」
=====================================
ハンドルネーム:かぢ
頑張って1話から全部読みました^^
今回のお話は。。。クマノフにとっての辛い過去を知り、多くを語らない理由、そしてサバゲの戦略面、技術面が高い理由がわかりました。

って3時間長っ!息できなくて死んじゃいますよ!
さりげなくドナレドもいるし。。。

ちなみにネコ田さんファンだったり。もうちょい活躍して欲しいなぁ。。。頑張れ!
=====================================
ネコ田さん「俺のファン多いのににゃ……」
=====================================
ハンドルネーム:M24
クマノフさんとクマ―ニャの過去が明らかに
エリーはもうクマノフさんの事を
諦めた方がいいと思います。
=====================================
ネコ田さん「エリーには見せられない手紙だにゃ」
うさぴょん「殺されちゃうぴょん」
=====================================
ハンドルネーム:MP5
凄く感動しました〜!!クマノフさんにあんな過去があるなんて知りませんでした。(あたりまえだけど)
マジ感動しました!!!
=====================================
うさぴょん「ありがとうぴょん!」
=====================================
ハンドルネーム:強酸主義者
今、サバニポの話が急展開してますが、それはなぜでしょう?

見ると、絵がありません。つまり、「話は出来たけど絵が無いよ」という状況を示しています。

仮説を立ててみました。
・絵描きさんが書くのをやめた
・絵描きさんがネットゲームにはまった
・絵描きさんが変わった
・絵描きさんが描きたい絵が少なくなった

こんなとこです。
=====================================
うさぴょん「たぶん全部当たりぴょん。もしかして絵描きさん本人ぴょん?」
エリー「あたしを実物通り美しく書いてくれる絵描きさん募集よ」
=====================================
ハンドルネーム:オセロットの大将
クマノフがめっちゃかわいそうやなぁ〜〜
そんな過去があるとは思いもよらなかった・・・
つ〜かクマノフ!定職につけ!今のままじゃAKも差し押さえされてし(ry
=====================================
クマノフ「私は無職ではないクマ」
ネコ田さん「怪しいにゃ〜」
うさぴょん「でも僕たちも無職っぽいぴょん」
エリー「あたしはアイドルやってるのよ。アイドル!」

第44話:知恵袋

 先ほどまでの雨が嘘のように、空は晴れ渡っていました。
 木々も草も濡れています。
 地面のあちこちには大きな水たまり。
 雨上がりのフィールド。

 本戦トーナメント、第3回戦、クマノフたちの敵は、チーム『スナック菓子』
 謎の三角形の生き物が3人。
 帽子とクワを持ち、麦わら帽子をかぶった農民風のおじさん。
 そして最後の一人は、この大会には不似合いとしか言いようがないおばあちゃんです。このおばあちゃんだけは銃をもっていません。しかし、もしかしたらハンドガンでも隠し持っているのでしょうか。


 フィールドは左右に長い森です。
 殆どは平坦なフィールドですが、フィールド北東部はやや地面が盛り上がっています。

 西側のフラッグにクマノフたち5人が集まっていました。
 地面のあちこちには水たまり。匍匐するにはちょっとばかり勇気がいりそうです。
「作戦決めるにゃ」
「今度は私も攻めるクマ」
「守りは誰?クマノフ様」
「クマーニャにやってもらうクマ」
 クマーニャは無言で頷きました。
「攻撃は北ルートで行くクマ」
「それだと中央、南ルートはガラ空きよ。もし敵がその辺を突いてきたらディフェンスの負担が大きいと思うけど、大丈夫?」
 エリーの問いかけです。
 オフェンスが接敵しづらいルートを選んだ場合、無傷の敵オフェンスと自軍ディフェンスがぶつかるため、ディフェンスに不安があるというのです。
「クマーニャなら問題ないクマ」
 これまでのゲーム結果から、クマーニャの戦力は相当な物だと判断していました。
 もしかするとクマノフ自身以上に。

 一方、フィールドの東フラッグ。
 チーム『スナック菓子』が作戦会議をしていました。
 先ほどとは違い、全員が頭部に無線機を装備しています。
 耳と口元につくタイプの無線で、手を使うことなく会話が可能です。
「今度の敵チームはどうなんだ?」
 三角形の形をした生き物の一人が言いました。彼の名前はジャンと言います。
「本戦に入ってからは1回戦、2回戦ともに3人の生き残りで勝利しておるのう。敵チームは全滅じゃ」
 穏やかな笑顔を浮かべながら、フラッグ前に座ったおばあちゃんが言いました。
 正座をしているおばあちゃんの元には分厚い座布団。びしょ濡れの地面に直接座れば濡れてしまうからでしょうか。それとも普段から使用しているかもしれません。おそらくは後者でしょう。
 彼女の手には湯飲み茶碗。中にはあたたかいお茶入っています。
「そんな強いのか?」
 今度はポールが尋ねます。
「ほっほっほっ。大丈夫じゃよ」
 おばあちゃんは笑顔です。
「いぐら強え相手でも、おばあちゃんの知恵袋には勝でねえべ」
 農民風のおじさんが言いました。彼の名前はカール。彼はエアコッキングのボルトアクションライフル、レミントンM700を持っています。
「そのとおりじゃ。あたしらの相手はのう、どんな相手でも……」
 おばあちゃんは笑顔のまま、お茶を一口すすり、

「……殺す」

 鋭い眼光を輝かせながら、言いました。



 ピーーーーーーーーーーーーーー。

 ゲーム開始のホイッスルが鳴りました。

 うさぴょん、ネコ田さん、クマノフ、エリーの順番で、雨に濡れたフィールドを北ルートを目指し駆け出します。
 クマーニャはただ一人、フラッグ近くのブッシュでお留守番です。


 対する『スナック菓子』はディフェンスが無し。
 三角形の三人組、ジャン、ポール、ベルモント。それから農民風のおじさんのカールがが中央ルートにダッシュ。
 おばあちゃんはよろよろとした足取りで北ルートに向かいました。


 ジャン、ポール、ベルモント、カールの4人は、フィールド中央付近までやってくると足を止めました。
 勢いよくスタートダッシュを切っても、いつまでもダッシュするのは危険です。交戦前にはゆっくりと移動していなければなりません。

 少しして、おばあちゃんがフィールド北側の、やや地面が高くなっているエリアにたどり着きました。
 フラッグからの距離は大した事がありまん、たかが20mほどの移動ですが、おばあちゃんにとっては一苦労です。
 おそらく彼女はこの大会参加者の中で、サンダースを抜いて最高齢のことでしょう。

 おばあちゃんは適当な所に腰掛けました。
 どこからともなく出した愛用の座布団をフィールドに敷き、その上で正座。
 さらにはどこからともなく取りだした湯飲み茶碗を持ち、静かにすすり始めました。
「……さて、そろそろ戦いが始まるのう……」
 とても余裕そうです。
 これも年の功でしょうか……


 三角形の三人組とカールは相変わらずフィールド中央付近。
 スタートダッシュをやめてからは殆ど前進していません。
 待機中と言っても過言ではないでしょう。
 そこに……
「北ルートを何人か来てるのう」
 無線から声が入りました。
 おばあちゃんはやや高い場所からフィールドを監視しているため、遠くの様子まで分かるのです。
 ジャン、ポール、ベルモント、カール、4人全員の無線に。
「ジャン、もう少し北に移動するのじゃ。そこから北ルートを狙撃できる場所があるじゃろう?」
 無線からの指示どおり、ジャンは5メートルほど北に移動しました。
 その位置から北北西の方向を見ると、20メートルほど先にフィールド北限界ラインを表すテープが見えました。
 左右にはブッシュがあります。
 しかし、ここから北北西の方向にはブッシュが存在しない線があるのです。
 つまり、フィールド北限界ルートを進行する敵を、いずれは狙撃できるのです。
「ジャン。このチーム最弱の敵はネコじゃ。ネコは撃たんでも良い。無視するのじゃ」
 ジャンはスコープ付きのMP5A4を北北西に向けたまま無線を聞きました。
 スコープを覗いたまま。

 スコープ内を白いウサギが横切りました。
 とても素早い動きです。
 まるでここが狙撃されやすいポイントと分かってるかのごとく。
 ジャンはトリガーを引けませんでした。

 ついで、10秒後、ネコが同じ場所を横切りました。
 ウサギほど素早くない移動です。
 充分に撃つチャンスはあったものの、ジャンはトリガーを引きませんでした。
 おばあちゃんの指示に従ったのです。
 続いて現れたのは、クマ。
 ジャンはトリガーを引きました。


 バババババ☆

 突然の発射音、それに対し、最先頭を進んでいたネコ田さんは咄嗟に身を低くしました。
 うさぴょんも同様です。
 しかし、後列を歩いていたクマノフ、エリーは姿勢をやや下げた程度。
 クマノフに至っては、自分より前を歩いているネコ田さん、うさぴょんが攻撃を受けたのではないかと、AKを正面方向に向けました。

「ヒットクマッ!」

 回避することなくクマノフが撃たれました。

 クマノフのヒットコールを聞き、振り返るネコ田さんとうさぴょん。
 クマノフは立ち上がり、セフティーゾーンへと向かいます。


「ほうほう、よくぞ倒したのう」
 無線に向かって穏やかな口調で言うおばあちゃん。
 フィールド北東部、やや盛り上がった地面の上です。
 やはり座布団の上で正座、そして手にはお茶。
 そのお茶を一口すすると、
「今まで確認した敵は何人かのう?」
 無線に向かって問いかけました。
「先頭がネコ、次がウサギだよ。おばあちゃん」
 ジャンの返答。
「ほうほう、そうかそうか。それではまだ確認していないのはもう一人のクマさんとトカゲさんじゃのう。ところでカールよ、北ルートの敵前方で待ち伏せじゃ。それからベルモントには北ルートへの射撃を頼もうかのう」
 おばあちゃんからの指示が続きます。
 カールは北ルートに向かって移動しました。
 敵のいる位置ではなく、その前方に向かって。
「でもおばあちゃん。僕からは敵の姿が見えないよ」
 ベルモントからの返答。
「北ルートのブッシュが見える位置ぎりぎりまで姿勢を上げるのじゃ。ブッシュが揺れた場所に撃ち込めば良い」
 言われたとおり、ベルモントは姿勢を上げていきました。
 北ルートの草の先端が見えるギリギリ。
 しかし、北ルートでの草の揺れなどありません。
「何も動いてないよ」
 ベルモントが無線に向かって問いかけます。
「なに、いずれ動くじゃろうて」
 その数秒後。
 ユラユラと草が揺れました。

 ババババババババ☆

 ベルモントがトリガーを引きました。
 ベルモントのMP5A5が弾を吐き出していきます。


「にゃっ!見つかったにゃ!?」
 草を揺らしたのはネコ田さんでした。
 ネコ田さんは咄嗟に伏せます。
「音は出してなかったのににゃ」
 ネコ田さんは斜め後方。南西方向にいるうさぴょんの方向を見ました。
 うさぴょんが敵を発見していないかの確認です。もしうさぴょんが敵を発見していたら教えてもらうことが出来るからです。
 うさぴょんはしゃがんだ状態でフィールド南側を警戒しています。
 敵を発見しているようには見えません。

「カールよ、いずれ敵は動く。それを待って撃つのじゃ。そうじゃ……スコープを覗くときは両眼共に開いたままにすると良い、広い範囲を警戒できるからのう」

 うさぴょんが草を揺らさないように東に移動を開始しました。
 未だ南からの射撃は断続的に続いています。

「ジャンの狙撃ラインを越えたのは二人だけじゃ。その狙撃ラインより東側に行った人間が南側から攻撃を受けると東に動く。そこを狙うのじゃ」
 おばあちゃんの穏やかな声。
 それがカールに耳に伝わってきます。

 カールはうさぴょん、ネコ田さんより南東方向にいます。
 そこで二人を待ち伏せているのです。
 それを知らずに東へと前進してくるうさぴょん。

「そうじゃ。そこじゃ……カール……今じゃ!」

 入れ歯が外れそうな勢いで狙撃命令を出すおばあちゃん。
 カールがM700のトリガーを引きました。

 バッ☆

 ボルトアクションライフルの単発の弾が発射されました。

 弾はややフライ気味になったものの、うさぴょんの頭をかすめるように跳ねました。

「ヒットぴょん!」

 うさぴょんまで倒され、人数は3対5。
 クマノフチームは完全に不利な状況です。

「カール、よく倒したのう。もう一人、その付近にネコがいるはずじゃ。もし相手がやってきたら……」
 やはり穏やかな声のおばあちゃん。
「やっでぎだら。どうするだ?」
 カールの返答。
「……殺せ」
 おばあちゃんの短い命令。


 その頃、エリーは北ルートから南下していました。フィールド中央付近に向かって。
 この移動を開始したのはクマノフが倒されたちょっと後の事です。
 クマノフを倒した敵の体が北を向いていると予想し、それを西側から叩くつもりです。

 一方、ネコ田さんは動けないでいました。
 南方向からの射撃はすでに静まっていますが、南方向に敵がいるのはほぼ確実と言えます。
 また、東に移動したうさぴょんが倒されていると言うことは、東に移動してしまえば自分まで敵のアンブッシュの餌食になってしまうからです。
「にゃ〜。どうしようかにゃ〜」
 ネコ田さんは決断できずにいました。


「敵の攻撃部隊のうち3人は発見じゃ。そしてそのうち2人は倒しておる」
 おばあちゃんが無線に向かって仲間全員に説明しています。
「敵の攻撃部隊が4人とすると、ジャンの射撃ラインを越えていないのは一人じゃ。その敵がフィールド北側からきているならよし。しかし他ルートからの遊撃、またはフラッグ狙いかもしれん。ポール、万が一のためにフラッグのディフェンスについてくれんかのう」
 おばあちゃんがポールに対しディフェンスに下がるように指示しました。
 実際にはこのゲームにおいて、クマノフチームに遊撃プレイヤーはいません。
 しかし、万が一フラッグに走り込まれて逆転負けするわけにはいかないのです。
 現在は人数差で有利な状況なのですから。

「ベルモント、もう一度探り撃ちじゃ。そしてその音に紛れカールが前進するのじゃ。移動は誰かの射撃中に行えば敵に見つかる可能性が低くなるからのう」
 おばあちゃんが言いました。

 ババババババババ☆

 ベルモントの射撃音。
 それに合わせカールが少しずつ慎重に前進していきます。
「カール、もうすこし右じゃ。その位置なら良い射線が取れるのじゃ」
 おばあちゃんの丁寧な指示。

 カールがその通りに動くと、ブッシュの中、草が切れたような良い狙撃ポイント。
 その向こう、20mほど先にしゃがんで丸くなったネコ田さんの背中の一部が見えました。
「おばあちゃん。ネコの背中が見えだ。んだげどあんまり見えねえ。これじゃ当てれそうにねえだ」
「それは良かったのう。それならベルモント、一旦射撃を中止するのじゃ。油断した相手はこちらを探そうと姿勢を上げるはずじゃよ」
 言われたとおり、ベルモントは射撃を中断しました。
 フィールドが静かになります。


「にゃ。敵の射撃がやんだにゃ」
 ネコ田さんはすこしずつ姿勢を上げていきます。
 低い姿勢では敵弾に当たりにくく、敵に発見されにくい反面、自分が情報を得ることも難しいからです」
 そのネコ田さんの姿がカールのスコープの中にありました。
 ベルモントの射撃がやみ、じょじょに姿勢を上げていくネコ田さんの姿。
 ブッシュからの露出面積が次第に大きくなっていきます。

「撃てるかのう?カール」
「撃でるだ」

 カールがトリガーを引きました。

 バッ☆

「にゃっ!ヒットにゃ!」
 弾はネコ田さんの肩に命中しました。
 人数は2対5。
 クマノフチームの残りはエリーとクマーニャだけです。


 北ルートから南下していたエリーは、南北で言えばフィールド中央付近まで南下してきていました。
 そこで東を警戒します。
 真剣な眼差しで東側全体、フィールドの中央あたりを警戒するエリー。
 愛銃のAUGを握る手にも力が入ります。
 そこに。
「後ろに下がって」
 すぐ真後ろからの声。
 あわててエリーは振り返りました。
 そこにいたのは愛用の長いライフルを持ったクマーニャ。
 エリーの後方、2メートルほどの所にいたのです。
 しかし、話しかけられるまでエリーはクマーニャの存在に気づきませんでした。
「あんたディフェンスでしょ?」
 エリーの問いかけ。
 ディフェンスに下がっているはずのクマーニャがなぜここまで前進しているのかと問いかけたのです。
 しかしクマーニャは、
「でも、この状況からだとあなたでは無理。ディフェンスを交代して」
 シベリアの空気のような冷たい目で静かに言いました。現在、圧倒的に不利な状況にも関わらず、焦った様子など微塵もありません。
 エリーの頭に少し血が上ります。
「なっ、何よ!あたしじゃ無理であなたなら大丈夫って言うの!?」
 クマーニャは静かに首を縦に振ると、エリーの横を抜けていきました。
「む、むかつく女ねっ……」
 しかたなくエリーはディフェンスへと戻ります。


「敵の動きが無いのう……」
 フィールド北東部のおばあちゃん。
 その言葉どおり、ここ数分間、敵の動きは全く見えません。
 そのおばあちゃんが湯飲み茶碗を手に取り、口に運ぼうとしたところ。

 カチン☆
 突然、湯飲み茶碗が音を立てました。
 その音におばあちゃんの表情が凍り付きます。

「な……な……なんたることじゃ……」

 おばあちゃんの手がガクガクと震えます。
 やがておばあちゃんの手から湯飲み茶碗が落ちました。
 湯飲み茶碗は雨上がりの濡れた地面に落ち、お茶がこぼれました。

「あたしがヒットじゃ……」
 おばあちゃんはゆっくりと立ち上がりました。

「おばあちゃんが撃たれた?」
 ジャンが無線に向かって驚きの声を上げます。

 ボッ☆

 そのジャンの頭で弾が跳ねました。

「どごがら撃っでぎでんだべよ!?」
 カールも敵に位置が掴めません。
 カールはやや高めの姿勢にし、広い範囲のフィールドを見渡しました。
 しかし敵の姿はありません。
 ただ一人見えるのは、自分から南西方向にいるベルモントの後ろ姿だけ。
「いねえだ……」
 カールはスコープを使い、フィールド各所をズームで確認していきます。
「どごだ……どごだ……」
 各所の太い木の陰などを重点的に索敵します。
 フィールド中央よりやや北側のブッシュでスコープを止めた時。

 パシ☆

 発射音も無く、カールの顔面に白い弾が着弾しました。


 発射音はベルモントも聞き取れませんでした。
 相手の狙撃手は発射音がとても静かな銃を使っているのでしょう。

 ベルモントは一気に駆け出しました。
 相手フラッグを取りにいく作戦です。
 相手が単発式の銃の狙撃手なら、走る標的を撃つのは苦手なはずです。
 全力で相手フラッグ目がけて駆け出しました。


 ベルモントがクマーニャのスコープの中を左から右へと駆けています。
 クマーニャは冷静な表情でベルモントの少し前にレティクルを合わせ、トリガーを引きました。

 ボッ☆

 バシッ☆

 とても正確な狙撃です。
 弾は走っているベルモントの胴体を直撃しました。

 人数は逆転し2対1。
 しかし相手フラッグを取るまでは油断できません。
 本戦トーナメントでは人数差による勝利は無いからです。
 相手フラッグを時間内に取らないかぎり、再試合となるのです。

 一度に4人倒したクマーニャは静かに前進を開始しました。
 最後の一人はおそらくディフェンスについている事でしょう。しかしそう断言できるわけでもありません。
 アンブッシュを受けないように、静かに。


 クマーニャの前方に敵のフラッグが見えてきました。
 クマーニャがいるのは北東にある、やや高い場所。
 5分ほど前まで、この場所に敵チームのおばあちゃんが陣取っていた場所です。
 クマーニャはスコープを使わずフラッグ周辺を見ていきます。
 本気で見ているのでしょうが、その目に真剣さは感じられません。
 冷たく、まるで生きていないような目でした。
 クマーニャの目が一つのブッシュで止まりました。
 フラッグ前方にあるブッシュ。

 クマーニャはその位置に長いライフルを向けました。
 スコープをブッシュに合わせると、黄色い生き物が見えました。ブッシュの影に少しだけ見える姿。
 距離は20メートル、クマーニャはトリガーを引きません。
 クマーニャは静かに前進を開始しました。
 フィールド東側を目指すように。
 敵のフラッグの裏に入り込むつもりです。

 クマーニャはフィールド東端限界まで移動しました。
 クマーニャのすぐ横には地上から1メートルほどの位置にフィールド東限界を閉めるテープが張られています。
 クマーニャは静かに南に移動を開始します。
 とても静かな移動で、音を出さず、また、草も揺らさず。
 しばらく南下した後、クマーニャは西方向を見ます。西南西の方向に先ほどの敵の背中。
 クマーニャのライフルがその背中に向けられました。
 スコープのレティクルを敵の背中センターに合わせ、一回だけトリガーを引きます。

 ボッ☆

 モーターの回る音も、ハンマーの落ちる音もしない静かな発射音です。
 電磁石の力によってバルブを解放するタイプのガスガンのため、余計な音が発生しません。
 弾は正確に敵の背中を捉えました。

「ヒット!」


 敵を全滅させた後、クマーニャがフラッグにタッチ。クマノフチーム『共産主義』の勝利でゲームセットになりました。


「おばあちゃんの知恵袋が負げるなんで、信じられねえだ……」
 フィールド外で待っていたカール。そしてその横にはおばあちゃん。
「クマじゃ……もう一人のクマじゃ……」
 おばあちゃんが敗因を語りました。
「おばあちゃん……負けちゃったよ……おばあちゃん、どうしても勝ちたがっていたのに……」
 戻ってきたばかりのポールが悲しそうに言いました。
 しかしおばあちゃんは笑顔を浮かべました。
「もういいんじゃよ。あたしゃあの方と戦いたかった。あの白髪の……素敵なお方と……じゃがもしあたしらが勝ったとしても、あのお方とはもう戦えないんじゃ……みんなここまでよく頑張ってくれたじゃて……」
 そこまで言い、おばあちゃんは静かにその場に倒れました。
「おばあちゃん!」
「ばあちゃん!」
 3人の三角形の生き物たち、それからカールが一斉に叫びます。
「持病の腰痛が悪化したようじゃ……あたしゃ……あたしゃもうダメじゃ……」
 おばあちゃんの瞼がゆっくりと閉じていきます。
「おばあちゃん!最後に!最後にもう一度、知恵袋を教えてよ!おばあちゃん!」
 瞼を閉じ、地面に倒れたままのおばあちゃんに語りかけるベルモント。
 おばあちゃんは瞼を閉じたまま……
「バレル内にオイルを噴いてはいかん……いかんぞ……」
 それがおばあちゃんの最後の言葉でした。


 あるフィールドの前に6人の人がいました。
 1人は審判。
 1人はドナレド。
 そしてトラ吉、チンドン、バンパク、ドーラク。

「ふひゃひゃひゃひゃひゃ……」
 ドナレドが静かに、そして不気味に笑い出しました。
 対するトラ吉たち4人の表情は、誰もが真剣。
「ふひゃーーーーーーーっひゃひゃひゃっ!!」
 大きく笑うドナレド。

「よくもっ!良くも私にバットをぶつけたねぇぇぇぇっ!!」
 ドナレドの前回のゲーム、サンダース戦の時の事。
 勝負が付いた後、ドナレドはサンダースをハンバーガーにしようとしました。
 しかし、そこに邪魔を入れたのはトラ吉。
 トラ吉が投げたプラスチック製のバットがドナレドを直撃した為、呪文が中断されたのです。

「私は!私は!私はお前をゆるさないっ!ふひゃーーーーーひゃっひゃっひゃっぁぁぁぁっ!」
 狂ったように叫ぶドナレド。
 悪魔の形相で。
 ドナレドの怒りは120%充填されているのです。」
「こ、これから『くいだおれ』対『ドナレドマジック』の試合を行いますっ」
 審判も少し脅え気味です。
「相手は1人、せやけどこっちも4人やな〜」
 チンドンが言いました。
 本来ならば5人で戦えるはず。
 しかしメンバーの一人のグリ夫は予選最後の試合で重症を負い、今は病院。
「それでは『くいだおれ』は東フラッグに、『ドナレドマジック』は西フラッグへと移動してください」
 トラ吉たちは4人で東フラッグへと移動しました。

「グリ夫がおったら……」
 フラッグのすぐ前に座り込んだトラ吉が呟きました。
「相手は一人やからな〜。走り込んでフラッグゲットできるかも知れへんってとこか〜?」
 チンドンの問いかけ。
「せや……せやけど……グリ夫の力はここにあるで……」
 トラ吉はベルトについたポーチの一つから小さな拳銃を取り出しました。
 それはグリ夫愛用のコルト.25ポケット。
「それが役に立つカニー?」
 ドーラクの言うことはもっともです。このような非力で連射もできない銃では。
「これにはグリ夫の魂が宿っているんや……きっとわいらの助けてくれるはずや」
「そうやな〜」
 いつもどおりゆっくりとした口調のチンドン。
「作戦はどないするんや〜?」
「ディフェンスは無しで総攻撃や」
「ディフェンスは置かないカニー?」
「せや」
「確かにあいつがフラッグ狙いで来るとは思えへんな〜」
 チンドンもトラ吉の作戦に同意しました。
「そろそろホイッスルが鳴る。いくで……」

 その時。

 ガサガサ。

 誰かが走ってきました。
 このフラッグに向かって。
 走ってきます。

「グ!グリ夫カニー!!」

−−−もしかするとさらに続くかもしれない−−−

あまりにあきれたのでメッセージを送ってみる。

なまえ(なまえ公開の許可/不許可も書いてください。無記入だと勝手に公開されちゃいます)
※例:「クマノフ なまえ公開許可」

つくったひとへのメッセージ


i_back1.gif